コールドケース 迷宮事件簿 Cold Case シーズン5 第6話 鳩 Wunderkind

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May 6, 2007
第6話 鳩 Wunderkind

脚本/Greg Plageman 監督/Kevin Bray
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2002年6月16日。
フィラデルフィアでも危険地域の一つスラム街ノースフィリー。
マイケルは義弟と共にジェスターが路上で賭場を開いていると
ころでブラックジャックで賭ける。
ジェスターはマイケルに対してそこでぶつぶつ語っているのは
誰なのかと問うとオレの腹違いの弟だと語る。マイケルは
負けて有り金を奪われる中、テランスに対して金を貸して欲しい
と頼む。しかし無理だと語ると、マイケルは負けたままでは帰れ
ないことを語る為、テランスが代わりに入ることに。
手札の2枚が配られると合計17の数字になる。テランスはもう一枚
要求する中、掛け金を倍にかけていく。ジェスターは17から
カードを引くヤツはいないとして笑うが、なんと配られたカード
は4の数字・・・21で勝利する。52枚あるカードの中で、絵札
の残りはあと一枚だったとし、4以下が出る確率は5割だったの
だという。
しかしそんなテランスは屋上で9mm弾を受けて殺されて発見され
る。

フィラデルフィア警察署・殺人課にテランスの父だと名乗る
ジェラードがやってくる。遺留品を形見として引き受けたいと
いうもの。5年も経って突然来たのかと呆れる。
テランスによると子供の頃には離婚した妻のシェリルが逢わせ
てくれなかったのだという。サイフをくれと言っていることから
して明らかに息子の社会保障番号が目当てだろうとし、リリー
に対して番号を無効にしろとスティルマンは語る。
スティルマンたちはジェラードに対して事件が解決するまでは
遺留品を渡す事は出来ないと語る。テランスが殺害された銃が
発見されていない事を告げ、近所の誰かが知っているハズだと
すると、ジェラードは警察の無責任さを指摘して、結局は近所
のせいにして捜査をしないのだという。一人でも証人を見つけ
れば事件捜査は動くのだと語るが・・
そんな中リリーは今でもテランスの社会保障番号が使われて
いる事を告げ、亡くなった後に3つの請求口座が開設されている
のだと語る。

過去の資料室にいたヴェラはスコッティに対して飲み会に来な
かったことを指摘する。するとスコッティは面倒な検事補に
捕まったのだと告げる。あの脚だけは綺麗な鬼の女だろ?と言われ
るとそれを否定し、前の部署で担当した強盗事件絡みの検事補
だと語る。
そんな中5年前ノースフィリーのアパートの屋上で撃たれた
テランスの事件報告書が見つかる。そこには”流れ弾”に当たった
とされていること。ギャングが試し打ちをすることはよくあるので
それに当たったものなのか。しかしそもそも屋上で何をしていたの
かだと語る。あの辺は29丁目ギャングのシマだと語る。
ヴェラは報告書に添えられていた証拠品の写真は、被害者の手に
書かれていたSAM6789235の文字跡だけだと語る。
母親は生活保護を受けて父親は行方不明。あのエリアで証人を
見つけるのは不可能だろうと。
スティルマンはテランスの名義で口座が開かれ支払いがあること
を告げ、最近の振り込みはフィラデルフィア電力へのものだ
という。母親のシェリルがその保証番号を使っていることが分かる。

ジェフリーズとミラーがシェリルから話を聞く。
テランスの葬儀で金は全て無くなったのだとし、電気・ガス・水道
も止められたのだという。遺族給付金はどうしたのかと問うと棺桶
を買ったら終わりだと語る。父親は駄目人間ばかりだったし、
当時息子たちは夢ばかりを見ていたので学校に行かないのであれば
自分で金を稼いでみろと言った事を語る。14歳の少年に働かせる
なんて・・というミラーに対して、私は14歳の頃には既に働いて
いたのだというシェリル。テランスは何をしていたのかと問うと
マイケルとよく連んでいたとのこと。マイケルは母の躾が悪くて
二人は学校をサボっては遊んでいたのだという。

— 2002年 —
マイケルとテランスはトランプを使って”カウンティング”の練習
をする中会話していた。マイケルは刑務所の父から母宛に手紙が
届いていたという。そこには俺に会いたいことが書かれていたが
口実だろうと語る。テランスは自分のことが書かれていないこと
にショックを受ける。
そんな中、屋上で鳩を世話する男性・オーガスティンは一体何
を考えているのかと問うが知らないという。マイケルは今度は
大物から金を巻き上げようと語る。

スコッティたちはテランスがカウンティングの練習をしていた
ということはブラックジャックをしていたのかと告げる。数字に
は強い子で、マイケルはテランスを誘っていたという。

スコッティはリリーに対してカウンセリングの件を尋ねる。
リリーはスティルマンみたいなことを言っているとして、カウ
ンセリングについて尋ねられることにウンザリしている感じ
だった。あと1回行けば卒業だと語る。
そんな中二人はマイケルに逢うと、彼は車椅子の状態でコミュニティ
センターにいた。テランスが死んだ夜に何処に居たのかと問うと
家にいた事を告げ、彼が死んだ一年後にはオレもこのざまだ
と語る。犯人の事を知っているのだろう?と問う中、屋上では
何をしていたのかと問う。儲ける為の作戦会議だとして、本物
の賭場であるビッグ・ファット・レイズの元で賭けをしようと
していた事を知る。しかしスコッティは少年二人では賭場に
入れてもらえなかったのではないかと問うと、デロンテに紹介
を頼んだのだという。デロンテは29丁目ギャングのリーダー
だという。

— 2002年 —
マイケルとテランスはデロンテと逢うと、ビックファットレイズ
が賭場を開くときに自分達を出して欲しいと頼む。儲けの半分
は渡すと。そんな中テランスは自分の実力を示す様にして、
デロンテたちが乗ってきた車のドアの鍵を開ける。
運転手のJキッドは何で番号が分かったのかとして激怒すると、
テランスは説明していく。組み合わせは3000通り有り、数字は10個
でもボタンは5つ、つまり5桁だと組み合わせは1600通りだと
いう。最初の2つの数字は”29″に違い無いので、残りは200通りに
なり、キーを見ると56と78の数字がすり減っていることから、
ここがセブンティシクサーズの地元だと考えれば29の次は76。
残るは一つだが、確率は1/5。その数字もJキッドの来ている服
を見れば明らかだと語る。それを聞くとデロンテは床の金庫など
も開けられるか?と問うと、来週にまた逢おうと告げる。
空き巣に入る事を告げるが、パクられたとしても俺の名前を
出せば殺すぞと言われる。
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スラム街で起きた殺人事件。
父親がまともに働かず刑務所暮らしをしていたり、養育費も
払わない人物であり、この町から抜け出すのは容易ではない
現状がそこには有った。警察官もスラム街で起きた殺人事件を
本気で取り合おうとはせず、事件は結局何の進展も見せない
まま5年が経過していた。

事件が発生した場所はネットなんかで調べてもフィラデルフィア
の中でも危険な区域に入る場所。
スラムで育った子たちが、この環境から抜け出せない現状という
のは、それこそ5万とある設定の内容なので引き合いに出したら
きりがない。
「ハリーズ・ロー」とか「クローザー」辺りのエピソードでも
スラム地域の事情が描かれているし、このドラマでも何度も
見た光景だ。
一番辛いのは、才能が有るのにそれを活かす方法が分からなけ
れば、それを支援する人も、それを導く人もいないという現実
にあることのように思う。これだけ才能が有れば、他の地域でも
十分に活動できる状況の中、生まれた場所や家族のものたちが
足を引っ張り合い、なかなかその現状から抜け出させてはくれない
とする辺りがなんとも切ない感じ。

金になりそうなものにすがりつくというのはこの手の地域に
置いてはごく自然の流れなのだろう。
長いものに巻かれることもまた生きていく上で必要なことで、
それだからこそギャングのような形で徒党を組んで、活動する
ものたちがいるのだと思う。
警察が普通の地域と違って一つの事件に向き合うことを忘れて
いるのも事実だと思う。この地区の人たちの警察官に対する
視線は決して正義でもなく、ただ生きていく上で邪魔な存在
にしか見えないのかも。

事件の当事者は父親が同じで母親が違う異母兄弟。
寂しいけど兄弟の中でも親から受ける愛情の差というのは
生きていく中で自然と感じ取ってしまうのもまた事実なのだろう。
相棒のようにして過ごしていたマイケルとテランスが、テレンス
の才能によって彼だけが父や指導者である鳩おじさんによって
導かれようとしていることに嫉妬しないハズもなく、また実の父
でさえ、鳩おじさんがテランスに対して正しい道を示そうとしている
のを見て無言のまま立ち去ることは出来ないとする嫉妬心は
感じていたはずだ。

殺人課刑事ならば多かれ少なかれその変の事情は理解して
いるもののように思われるし、本人たちの中にも貧しい環境で
育った人物がいるのに、それでも育つ環境によって行き違って
しまう運命というのは有るんだろうね。

こういう時にはジェフリーズが上手く過去の経験を活かして
黒人同士、マイノリティ同士の情をもって上手く関係者との
隙間には入り込んで事情を聞いていくことになるかと思えば、
「白人の飼い犬」呼ばわりされ、逆に怒りを植え付けられる
というのだからなんとも難しいものがある。

ヴェラがいきなり冴えを見せて、SAM6789235の謎を解いて見せた。
SAM = San Antonio Mercury News 89年6月7日、23ベージの5。
過去の新聞記事であり、テランスのことを助けてくれそうな
設計技師のオーガスティンの過去に犯した失敗だった。

「数字で説明の付く奇跡って沢山有る」
「ドブの中にいても星を見ることは出来る」(オスカー・ワイルド)。
として人生の決断に対する助言を与えてくれたオーガスティン。
それにしても14歳で人生の大事な決断を強いられることへの
環境的な問題が全てだと思う。

リリーはカウンセリングの最終日。
カウンセリングは戦いではないのだから、もう少し心を開いても
良いのにね。
スコッティは散々殺人課内を不快にさせたのに謝ることもなく、
検事補と良い思いをしては、シラーっとしているところが実に
憎たらしいところだな。せめて飲み会に言ってみんなにお酌して
謝罪しろと小一時間だ。

結局犯人は兄だった。
自分だけが置いて行かれることへの焦燥感と、弟の才能に対する
嫉妬心からくるものだったのだろう。これまではそんな感情が
芽生えることもなかったのだけど、やはり外の世界にいくことの
難しさは感じるところだった。

■使用された曲

・Superstylin’
Performed by Groove Armada
・Clint Eastwood
Performed by Gorillaz
・The Clipse
Performed by 3Grindin’
・Speak Your Peace
Performed by Terry Callier
・Won
Performed by The Beta Band
・Natural Blues
Performed by Moby

リリー・ラッシュ (Kathryn Morris) 殺人課の刑事
スコッティ・ヴァレンズ (Danny Pino) 殺人課
ジョン・スティルマン (John Finn) リリーの上司
ニック・ヴェラ (Jeremy Ratchford) リリーの同僚刑事
ウィル・ジェフリーズ (Thom Barry) リリーの同僚刑事
キャット・ミラー (Tracie Thoms) 麻薬課刑事 s3#8から

2007年
ジェラード・カーター (James Moses Black) テランスとマイケルの父
マイケル・カーター (Michael B. Jordan) 長男、車椅子
オーガスティン・ベネット (John Lafayette) 元航空設計士
シェリル・カーター (Sandi McCree) テランスとマイケルの母
デロンテ (Spider Loc) “29丁目ギャング”のリーダー、服役中
Dr.ペニー・ダヴォレン (Patricia Bethune) カウンセラー

2002年
テランス・カーター (Maestro Harrell) マイケルの義弟
J-Kid (Malieek Straughter) デロンテの部下
ジェスター (Lil’ Zane) スラムの若者
ファット・レイ (Stu ‘Large’ Riley) 賭場

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