相棒15 第13話 声なき者～籠城

相棒15
(2016年10月期・TV朝日・水曜21時枠)

脚本／太田愛 監督／橋本一

【ストーリー】

右京と冠城はチェスで勝負する。冠城が次の手を考える中、
彼の携帯が鳴る。「メールが来てますよ」という右京に対して
メールを読んでくれますかと頼む冠城。携帯にはKという人から
のメールで「君には借りが出来た」と書かれている事を告げる。
冠城はこの続きは風呂にでも入ってから決めますと語る。
右京もチェスの写真を取って次回の対戦機会へ待機する。
Kとは神戸尊だった。

冠城は最初に彼と同じ事件に関わったのはちょうど去年の今頃。
俺がまだ法務省から出向いた頃のこと。あの事件は俺たちが
知るずっと前から始まって居た・・・

2016年2月。
雪の降る日。大河内は喫茶店にいる神戸に対して聡美さんは
現れたかと問うと約束の時間から一時間が経過しているが未だ
来ないと報告。そのまま待っていてくれという大河内。そんな
大河内の元に光子からの電話で、

「先日お願いした娘の聡美の件はもう忘れて下さい。そっとして
おいてやろうかと思っている」と言われる。

白泉女子大・排球部員の6人はトレーニングで構外を走っている
と男性が倒れているのを見つける。一人が男性に声を掛けると
まだ息があることを知り、一人が救急車を呼ぶ中、一人は逃走
する犯人の後ろ姿を見て追いかける。車に乗って逃走するが
ちょうどそこにパトカーで警邏中の警察官がやってくる。
目撃者の女性は警察官の木村にシルバーのセダン、ナンバーは
練馬340「に」の711だという。パトカーは無線で練馬区旭台
で傷害事件が発生した事を告げる。

その頃、司はアパート・ガーデンハイツ旭台202号室に住んでい
る母・亮子に対して今すぐに逃げろとメールする。
亮子はバッグに最低限の現金や通帳を持って逃走する。
202号室の郵便受けには表札が無かった。

伊丹は車両の持ち主が分かったと報告。
真渕治(29歳)。マンションの管理人によるとバイトをしながら
司法浪人をしてる男性だという。中園は被害者はどうなったか
と尋ねると手術中で所持品は現金4万。身元を示すものが何も
ない為に身元不明だという。搬送した救急隊員の話では20代男性
とのこと。物盗りではないなと。
そんな中捜査官の綿貫肇は中園に対して真渕は練馬区成塚の路上
に車を乗り捨て逃走中であることを語る。

芹沢たちは真渕の車を乗り捨てた時にはまだエンジンは冷めて
はいなかったことを語る。すぐに非常線を張ったので遠くには
逃げられないハズだという伊丹。
そこに右京たちがやってくると、可能性として車を乗り換えたか
逃げていないかだという。伊丹は嫌そうな顔して、なんで特命係
がここにいるのかとすると、冠城は巡回カードを集める手伝い
に来た所だという。
そんな中右京はあのお宅が気になるとして指指す。
普通の街工場”森田鉄工所”ではないか・・住居も兼ねていると
いう芹沢。しかし庭の水まきホースが流れ続けていることを
指摘すると家に押し入っている可能性があるという。
そんな中伊丹の元にも連絡が入り真渕の携帯の位置情報として
成塚3丁目4-1・・・つまりあの家だと判明する。

すぐに捜査本部が設置される。
伊丹は急いで家族構成を調べろというが、右京が度々口を挟んで
くる。2丁目の松原敏子さんは地区の民生委員をされているので
あの家の事もよく知っているという。住んでいるのは森田貴志
と妻の八重(66歳)だが、夫の方は入院中で今工場は休業している
という。息子一家は九州で暮らしているので家の中は八重さん
だけだろうと。森田家は携帯がなく固定電話だけとのこと。中に
犯人が居るかどう調べるか。松原に電話してもらうことにする。
なんとか家を訪れようと話しかけるが八重は具合が悪いとして
断ろうとする。そんな中電話口にはスマホの着信音が聞こえる。
米沢さんに頼んで冠城が真渕の携帯に電話したから聞こえたのだ
ろうと。確実に犯人が立てこもっているだろうことが分かるが・・

■感想

相棒では珍しく2話続きのエピソード。

2016年2月というと放送時機的にはシーズン14の今頃だよね。

シーズン14の最後に米沢さんが辞めることになるけど、その際
に突然右京や冠城に不満を述べて去って行ったシーンが有ったん
ですがあれがやけに不自然だったので、何か有ったのかなと
思っていたのだけど、今回の展開を見るとこの辺にヒントが有った
のかなとも思える。出世の道を閉ざされて今回の米沢が憤怒する
姿が見られた。

ドラマとしては過去の事件を扱ったものだけど、その過去より
も更に過去の事件が関係していることは明らかで、至るところ
で訳ありできな臭い流れが有る。

聡美に関して大河内と神戸が光子からの依頼で探していたみたい
だし、今回の一件でも新堂誠と山崎哲雄が語り合う中で、
立てこもり犯が要求した吉井コーポレーションの常務の吉井秀典
の妻の聡美の名前が出ていること。

そして今回事件を起こしているのが新堂家の人物で、そんな彼ら
もまた聡美のことを引き合いに出している。
既に聡美は3ヶ月前に亡くなっているということを考えると
その辺の繋がりになにが有るのか。

また周りの流れでは新堂が襲った真渕という人物。
調べていく司法試験をしていたが3年前に辞めてウチにクラウド・
オールラウンドサービスの仕事。実にきな臭すぎる。

やたらとこの時は冠城も不自然なくらいに席を外すシーンも
多かったり、右京が語るように不自然なまでの偶然の警察官の
巡回のタイミング。
ただいつも事件の現場に居合わせる右京から、偶然という名の
違和感を聞きたくないし(笑)
冠城が亮子のポストから回収した法務省からの通知って
何だったのかな。隠れるように過ごしていたので夫の暴行でも
有って離婚していたのか。その新堂誠は今回山崎哲雄という
警察庁長官官房総務課長の男性と会話しているし、そこでも
吉井秀雄の名前が出ている。

常に先読みして行動を起こしている右京や冠城の行動の鋭い
視線も至る所で感じることが出来た。

生田斗真&小栗旬が復讐の為に動く「ウロボロス〜この愛こそ、
正義。」の中で金時計がキーアイテムになったけど、ここでも
明里に近づく男の手には金時計がして有ったな。

過去立てこもり事件では相棒の中で苦々しい過去が有ったという
エピも存在するので、どうなることかな。

また背景で報道されるベルギーブリュッセルでの国際犯罪組織
「バーズ」の首謀者なるレイブンについてはネタとして広がり
を見せていくのかな。

■出演者

杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁・特命係)
冠城亘 …… 反町隆史 (4代目相棒、総務部広報課->特命係)
月本幸子 …… 鈴木杏樹 (2代目”花の里”)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)
角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策五課)
大木長十郎 …… 志水正義 (組織犯罪対策部)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長・刑事部長)
中園照生 …… 小野了 (警視正・参事官)

大河内春樹 …… 神保悟志 (首席監察官・警視正)
神戸尊 …… 及川光博 (長官官房付・警視)
米沢守 …… 六角精児 (鑑識課)
綿貫肇 …… 児島功一 (捜査一課)

真渕治 …… 三浦英 (29歳、司法浪人)
吉井聡美 …… 及川莉乃 (光子の娘、秀典の妻、ホームから転落死)
山崎哲雄 …… 菅原大吉 (警察庁長官官房総務課長)
吉岡琢磨 …… 坂田雅彦 (SITの班長)
水野浩介 …… 迫田孝也 (CARS代表、クラウドソーシングサイト)
新堂誠 …… 永野典勝 (法務省矯正局、夫)
新堂亮子 …… 仁藤優子 (妻、シングル)
新堂司 …… 田中偉登 (息子、定時制高校)
新堂明里 …… 横山芽生 (8歳、練馬区立旭台第一小学校)
森田八重 …… 片桐夕子 (66歳、森田鉄工所、夫の貴志は入院)
吉野真弓 …… 渋川あかね (明里の担任)
吉井秀典 …… (吉井コーポレーションの常務、海外出張)

松原敏子 …… 塚田美津代 (旭台2丁目民生委員)
Camera_Kozou …… 福場俊策 (盗撮)
木村 …… (練馬区中央署・旭台交番)
芝田 …… 竹森千人 (練馬区中央署・旭台交番)
光子 …… (聡美の母)
刑事に通報する女子大生 …… 鶴田奈々
救急隊員 …… 松井正樹

川渕良和、川崎誠一郎
大高雄一郎、綱島恵里香、疋田ちはる、藤原正和、池田宜大
川名陽介、横沢洸、北川果歩、立花瑠菜、内藤英理香
樋田優花、青木凰