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コールドケース 迷宮事件簿 Cold Case シーズン5 第5話 詐欺師 Think As Thieves

May 6, 2007
第5話 詐欺師 Think As Thieves

脚本/Christopher Silber 監督/Holly Dale
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1989年3月28日。
シャンパンを開け装飾品など高級なものに身を包む女性マーゴ
は高級車に乗り、カントリークラブへ会員の申し込みのために
向かう。

そんな中、マーゴは巡回中の警察官によって路上で倒れて居る
のが発見される。カレッジ街と5丁目の角で女性が倒れている
として警察官は救急車を要請する。
強盗事件・・ホームレス・・ジェーン・ドー。

リリーは救急車で運ばれた時の夢で目覚める。時計を見ると
まだ朝の4時3分だった。
出勤途中のリリーにスコッティとスティルマンが声をかける。
リリーが疲れている顔をしているのでスコッティはまた二日酔い
なのかと問うと仕事で夜更かししたのだという。スティルマン
はこれから身元不明遺体を見て欲しいと語る。
セント・マイケルズ病院に18年間入って居た意識不明の患者が
夕べ亡くなったという。1989年に何者かによって撃たれて昏睡
状態のまま結局目覚めることはなかったという。誰からも
捜査届けもなくホームレスではないかと言われていたが、不思議
なことに月に一度匿名の人物からシャンパン、キャビア、ゴディバの
チョコレートが届いていたという。

そんな中トマス検事補がスティルマンたちの前に現れる。
昼間に出歩くこともあるんだなと皮肉るスティルマン。トマス
はご機嫌伺いの為に来たとし、監察医に証言を頼みに来たのだ
という。スコッティは彼女を敵意を示すように君に出来るのか
と語ると、スティルマンはリリーにまだ冷戦は続いているのか
と問う。スコッティは一度ビルに入ろうとするが、言い過ぎた
と考えて謝罪に行こうとすると、彼女は内務調査局のゴードン
と逢っているのを見てショックを受ける。

監察医のアビーに逢うリリーたち。
亡くなった女性の遺体は脳内出血が原因の脳卒中が死因だという。
18年前に頭の中に打ち込まれた銃弾が少しずつ脳内を汚染して
いったのだという。アビーは解剖したら生理食塩水の豊胸バッグ
が入って居たと報告。89年頃はシリコンが殆どだったので
珍しいものだとし、恐らく1万5千ドルはしただろうことを告げる。
ホームレスだとされていた女性の遺体は寧ろ金持ちであること
を知る。犯人はそんな彼女のことを探しているのか、それとも
死んだことを喜んでいるのか・・・。

被害者は30代半ば。
顔に被弾して発見されたのはバッドランズだという。
当時の警察はホームレスだとされていたこと。しかし実際には
金持ちだとジェフリーズは語る。口径は恐らく9mmだとし、
分かっているのは被害者の顔写真だけだという。しかも半分は
撃たれて失っている事。スティルマンは現在の技術で撃たれる
前の顔を復元したので全米行方不明者リストと照会している
という。ミラーは豊胸バッグの製造番号から担当医がジェレミー
フィンチャーだと判明したと告げ、現在もニュージャージー州
チェリーヒルで開業している美容外科医だと語る。

フィンチャーを署に呼んで話を聞く。
写真を見るとマーゴ・チェンバースだという。カントリー
クラブの仲間で”19番”ホールで一緒だったという。ジョニー
とウォーカーさえ有れば何処にでも来たという。彼女がクラブ
に来たのは89年の冬のことで半年で会員は辞めてしまったという。
当時豊胸を頼まれたが、非の打ち所のない美女だったので手術
には反対したが、彼女は熾烈な争いの中にいたのだという。
カントリークラブの女性たちは恐いと。

— 1989年 —
プールサイドでいたマーゴはフィンチャーと会話する。
手術した胸は完璧だなというフィンチャー。
そんな中マーゴはメリッサがスペンサー・メイソンからマッサージ
を受けて居ることを知って激怒する。人のものに手を出すなと
いうマーゴ。しかしスペンサーは既に別れただろうとしてマーゴに
告げる。

— 2007年 —
フィンチャーはマーゴとスペンサーが見られなくなったが、
マーゴはアスペンかハンプトンに行っているかと思ったという。
メリッサの現状を尋ねると彼女は現在クラブのオーナー夫人だと
いうことだった。昨年整形したとのこと。

メリッサに逢いに行くリリーとヴェラ。
スペンサーについて尋ねるとメリッサは誰のことかと当初はとぼける
が、18年前にプールサイドで働いていた人物で、89年のカード
記録を調べた事を語る。相当彼と遊んでいたのではないかと
するが、メリッサは真剣に彼のことを思っていたのだという。
駆け落ちも考えていた事を告げるが、スペンサーには鬼女に脅されて
いたのだという。別れたらレイプされたと訴えると言われていた
とのこと。私は助けようと決めたことがあったと語る。

— 1989年 —
メリッサは夜、スペンサーの元にやってくる。
二人はマーゴから逃げてジャマイカのビーチに二人きりで行こう
と考えていた。メリッサは逃走資金に5万ドルと車でやってくる
中、スペンサーはマーゴの車だとして、高速で一度彼女の車を
まいてからここに戻るので待っていて欲しいと語る。代わりに
このネックレスを持っていて欲しいとしてスペンサーはその場を
後にするが、メリッサは何時間待っても彼が戻ってくることは
なかったとのことだった。

彼は5万ドルと私の車をだまし取ったのだという。夫の手前
ギャンブル依存症だと言って施設に入りその場を納めたのだと語る。
スペンサーは自分の手を汚さず金持ち同士を争わせて金をだまし
取る詐欺師なのだろうとするが、マーゴの件では手を汚した
のではないかと告げる。
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1989年から名前も分からず身元不明者として入院し意識不明の
ままつい昨日息を引き取った女性がいるとして、殺人課は
捜査に乗り出す。監察医のアビーから彼女が整形で豊胸をして
いて、余程高額な食塩水のパッグを入れていたことを指摘
され、現在の技術から顔を復元し捜査機関にその画像を配布する
と、すぐにバッグの製造番号から執刀医が見つかり、医師から
被害者の名前がマーゴ・チェンバースだということを聞く。
彼女の元に月に一度、贈り物が届いていたことを知り、誰が
送っていたのかを調べていく。

イケイケなバブル時代の頃のエピソード故に遊び人のビッチな
女性が恨みを買って殺害されたものだと思っていたけど、
何故18年間も身元不明のままでいたのかというところが、この
ドラマに於ける登場人物の人生を物語っている感じがする。

貧しいトレーラーハウスで育った女性が金持ちになることを夢に
見て金持ち相手に詐欺を繰り返していたというものだけど、なんと
言ってもその相棒役は自分の息子を巻き込んたということで
一種のサプライズ感が有ったし、母親のエゴに巻き込まれる息子
の悲しい一面が描かれた。

そんなマーゴ自身も幼い頃から、虐待されていた過去が有り、
夢や希望を持っていた。毎日母親に殴られた後に見ていた映画は
ハンフリー・ボガート(役名:ライナス・ララビー)とオードリー・
ヘプバーン(サブリナ・フェアチャイルド)が主演する
「麗しのサブリナ」だ。貧しい女性が金持ちの男性と出会い、
幸せを掴んで行くまでの過程を描いたもの。

バブル時代に有って、今の生活から抜け出そうとする人物が多い
中で、そんなものたちが熾烈な闘いを広げて、食うか食われるか
の生活をしている。昨日の敵は今日の友であることも有れば、
昨日まで信頼していたものが今日は信頼できない人物だとされる
のが詐欺師の罪なところである。
誰にでもそんな一面が存在することは、マーゴを殺害した夢と
希望を持つ女性の姿を見ても明らかだけど、マーゴは両親に
虐待され、スペンサーはそんな母から虐待に近いエゴをぶつけ
られていたところを見ると、何処かでその負の連鎖というものを
断ち切って欲しかったね。それを求めたがあまりに殺害されるの
だから、切ないものが有った。

内輪ネタでは・・
スコッティの正当防衛による発砲の件で情報を漏らしていた犯人が
見つかるものが有った。
「クローザー」でのラストシーズンに於ける署内での人間関係の
不審さと同等のものを感じさせる内容だったので、犯人が誰なのかと
いうことは少なからず興味深かったけど、「クローザー」と比べても
このドラマでは、心に傷を抱えている人物が多い割りに、人の痛み
も分かる人たちが揃っているので、その分信頼している人を
裏切るようなマネはしない関係に思えていたので、何故スコッティ
がそこまで関係不審に陥ったのかはちょっぴり謎だった。
結果としてはシーズン4に登場していた地方検事補のトマスが該当者だった。
トマスが出演したのは過去S4-7、S4-19、S4-22、S4-24。
あれだけ怒っていたのに突然ケンカから一転してラブシーンに至る
という辺り、日本人にはない感情の転換があるわけで理解出来ない
ところの方が大きいけど、スコッティ自身は”怒り”よりも”愛”の方が
勝ったのか。

一方今回の事件は母親によって振り回される息子のエピソードだ
った故に、同じように酒飲みで男に振り回されっぱなしだった母を
持つリリーとしては、最も容疑者に感情移入しやすい相手だった。
スペンサーがリリーに心を開いたのも何処かにそんな母親の面影を
見たからだったのか。もう少しリリーがスペンサーの心をわしづかみ
にする様な台詞なり、とっかかりでも有れば違ったのかも。
リリーが悪夢から目覚めるという冒頭のシーンを見ても、不眠で
苦しんでいる姿が有り、リリーの強がっている姿に対して、何故
周りの人が気が付いてあげられないのかというところに繋がって居る。

今回のエピソードは、レニーというマーゴと同じ環境で育つ
トレーラーハウスの男性が出てきたけど、彼はマーゴが母親から
虐待されている事実を知りながらも止めてあげられなかった辺り
はちょっぴり憤るものがあるし、そこで何らかのアクションが
有れば、ここまで不幸な連鎖には至らなかったような感じにも思える。
レニーには弟のハンクがいたこと。マーゴが有り金の全てを奪って
自殺していること。当時の環境からするとマーゴが関係を持ちスペン
サーを身ごもったのは、ハンクが子供の父だったりするのだろうか?

そしてヴェラは過去に叔父さんがプロの詐欺師だという訳の分からない
人物像が加味されたけど、釣り銭詐欺と称してミラーに20ドル札
のテクニックを披露するシーンがある。結局ヴェラは10ドル札しか
ミラーに返却していないところが有ったけど、あの後ちゃんと金を
返したのか?

出生から知っている母親だけが本当の自分を知っていて、無条件に
愛してくれるのもまた母親だけど、母親のエゴに巻き込まれてしま
った息子にとっては、母親に対する気持ちには複雑なものが有る。
そんな母親の手から離れたかったスペンサー。
しかし殺すという決断は取れない中で、似たように幸せを夢に見る
女性・カイリーと出会い、その計画を奪われてしまうというのだから
切ない流れだった。

少なくとも詐欺を行う事で人生が滅茶苦茶になる人がいるという
ことをスペンサーが理解していたことや、直接殺害に及ぶという
猟奇的考えに及んでいないところを見れば、スペンサーは母親の
それとは違う性格を身につけ、そして違った人生を歩みたかった
のだろうことも伺えるね。

■使用された曲

・All She Wants Is
Performed by Duran Duran
・Lips Like Sugar
Performed by Echo & The Bunnymen
・I Drove All Night
Performed by Cyndi Lauper
・Sacrifice
Performed by Elton John
・Don’t You Want Me
Performed by The Human League
・One More Try
Performed by George Michael

リリー・ラッシュ (Kathryn Morris) 殺人課の刑事
スコッティ・ヴァレンズ (Danny Pino) 殺人課
ジョン・スティルマン (John Finn) リリーの上司
ニック・ヴェラ (Jeremy Ratchford) リリーの同僚刑事
ウィル・ジェフリーズ (Thom Barry) リリーの同僚刑事
キャット・ミラー (Tracie Thoms) 麻薬課刑事 s3#8から

2007年
カイリー・クラマー (Daphne Ashbrook) 元スペンサーと心を通わせる
アリ・ゴードン (Mark Rolston) 内務調査局
メリッサ・カンター (Jamie Rose) カントリークラブのオーナーの妻
スペンサー・メイソン (Rodney Rowland) 詐欺師
アビー・サントス (Roxana Brusso) 検死官
レニー・デルフィ (Frank Medrano) トレーラー暮らし、弟が自殺
Dr.ジェレミー・フィンチャー (John Sanderford) 形成外科医
アレクサンドラ・トマス (Bonnie Root) 地方検事補
— (Teresa Huang) Hairdresser
— (Kim Handloff) Woman on Street
— (Megan Rose) Pedestrian

1989年
マーゴ・チャンバース (Monet Mazur) スペンサーの母
スペンサー・メイソン (Justin Bruening) 息子
カイリー・クラマー (Joelle Carter)
メリッサ・カンター (Darby Stanchfield)
Dr.ジェレミー・フィンチャー (Russell Edge)
レニー・デルフィ (Sean Everett)

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