相棒21 第14話 まばたきの叫び

相棒21
(2022年10月期・テレ朝・水曜21時枠)

監督:橋本一(1)(2)(3)(4)(7)(10)、権野元(5)(6)(8)(9)(11)
内片輝(12)(13)、守下敏行(14)
脚本:輿水泰弘(1)(2)、川﨑龍太(3)(14)、光益義幸(4)
岩下悠子(5)(13)、瀧本智行(6)(10)(11)、山本むつみ(7)
森下直(8)、根本ノンジ(9)、櫻井智也(12)
エグゼクティブプロデューサー – 桑田潔
チーフプロデューサー – 佐藤凉一
プロデューサー – 高野渉、西平敦郎、土田真通
編集 – 只野信也
音楽 – 池頼広

https://www.tv-asahi.co.jp/aibou/

第14話 まばたきの叫び

【ストーリー】

・駅

美和子は電車から降りると駅前掲示板に目を通す。
予約を取って取材に行くところだが、予定よりも早くそれでも
美和子は早めに行こうとする。
掲示板には最近都心部で発生している連続強盗事件発生を知ら
せるポスターが貼られていた。

■柳沼家

美和子は家のインターフォンを鳴らすが中から応答がない。
代わりにアラーム音が聞こえてくる。
ゲートを開けて家のドアを開けて室内に居るであろう家主の
名を呼ぶ。
異変に気が付いた美和子は室内に入る中、何者かが刺されて
倒れているのを発見する。
現場には強盗犯がまだ居た為に鉢合わせする形になり、
美和子は急いで外に向かって助けを求めるが犯人によって
室内に引きずり込まれる。

■病院

特命係の二人、右京と亀山は美和子が襲われたことを聞いて
急いで病院にいく。
彼女は頭を殴られたであろうことに包帯を巻いていた。
意識がもうろうとしている彼女の手を握る亀山だが、美和子
は二人を見て意識を失う。

・柳沼家

現場に鑑識が入る。
殺害されていたのは町岡卓也(25歳)。この家に派遣されている
ホームヘルパーの男性だと出雲は語る。
益子によると致命傷は腹部をナイフで刺した事だという。
両手を結束バンドで縛り付けて室内を物色しているという伊丹。
最近都内で現れている連続強盗事件の手口と一緒だという芹沢。
更に犯人と鉢合わせた亀山美和子はこの花瓶で頭を殴られ
かなりの出血が有ったとのことだった。

・病院

美和子は意識を失ったが、実際には寝不足でのまさかの寝落ち
だった。ホッとした亀山。美和子は二人の顔を見たら安心した
事を告げる。
亀山と右京にこうなる経緯を語る。
取材で行っていた家でインターホンを押したが何かがおかしい
と思い家の中に入ったこと。そしたら中には目出し帽を被った
ことがいて、身長は170から180cm。
右京は取材対象者は柳沼勝治なのかと問う。

・柳沼家

一方現場で捜査していた伊丹たちも柳沼のことを話題に出して
いた。彼はもうシャバに出たのか?あの通り魔殺人事件の犯人。
彼は大学受験に失敗し自暴自棄になり見ず知らずの女性・佐竹綾
を殺害した。その際彼は「死刑になりたくて犯行に及んだ」
語っていた。判決は懲役14年、半年前に出所。しかしその直前に
彼は脳卒中で倒れてこの家で寝た切り状態だという。
両親が資産家だった為に遺産がかなり有ったらしく家は豪華
だった。

そんな中捜査官が伊丹たちの元にやってくると彼の奥さんの
柳沼聖美がやってきたという。

「主人は無事ですか」

・病院

柳沼は三年前に獄中結婚していた。
相手は大手商社でバリバリ働いている女性だという美和子。

「何故そんな女性が受刑者と結婚するのか。」

それを取材する為に美和子は柳沼家に来たのだった。

・柳沼家

特命係の二人も現場にやってくる。
すると外に出て行こうとする捜一の三人と鉢合わせする。
我々は犯人に関する目星がついているという。
出雲は最近多発している連続強盗事件の手口からみるとその
犯人と同一人物ではないかと考えていることを語る。

特命係が柳沼家で妻の聖美と会う。
彼女は襲われた美和子のことを気にかけてくれる。
過去の殺人犯の柳沼勝治はベッドに寝た切りで手足を動かす
ことは出来なかった。しかし目は見えているし耳もよく聞こ
えるのだという。意思伝達方法は目線の動きだけでモニター上
のキーボードを操ることが出来るというもの。また瞬きの
回数によって1回ならYES、2回ならばNOとしてコミュニケーション
を図るということだった。

■感想

シナリオとしては幾つかの流れを絡ませてはいるものの割と
シンプルな構成に感じる。そこに奥深さと意外性を求めるが
あまり少々不自然な設定になってしまった感じだ。

気になるのは、妻の聖美は勝治と結婚するまでの中で、人生
のどの部分で関わり(接点)合って来た人物なのかだったと思う。

三つの異なる殺人事件がドラマの中で関わってくる。
一つは過去の殺人事件だが、この時から時間が止まっている
人は必ずいる筈だ。
その三つの殺人事件を現在の事象に照らし合わせ如何にして
えり分けていくのかが一つのポイントである。

・過去(15年前)に発生した自殺願望を持つ男。
・現在進行形で発生している都内での老人を狙う押し入り強盗事件。
・柳沼家で殺害されていたホームヘルパーの男性。

殺意のベクトルを考えた場合、勝治が狙われているのであれば
15年前に関連した流れから派生したものであることしか考えられ
ない。しかし今回はその関連性から離れたところで犯罪は起きて
しまう。

あくまで最初に起きた事件はそこで働く介護ヘルパーで
あること。警察ならば柳沼勝治についてはすぐに分かること
だろうけど・・

視聴者的には勝治が嘱託殺人を依頼したであろうことは
想定の範囲内にあると思っていた人は多いはずだ。
殺人のベクトルは勝治にとって自らにも向けられていた
事実がある。
ドラマの冒頭で勝治と初めて会った際には体を動かすことは
出来ないがインターネットなどは使えることを語っている
ことから見ても彼が人を動かしていたであろうことは容易に
想像できる。

15年前は受験に三度失敗して自暴自棄になり、精神的には
追い詰められていたであろうこと。そして15年が経過して
何が変わったのかを考えた場合、より彼の状況は極めて厳しく
惨めな状況へと転落している。

期待していたのは、上述した疑問点である聖美は勝治の心情
を理解した上で死にたがる人を生かすことにこそ最高の復讐
であるということを認知した上で粛々とそれを進行していく
流れみたいなものがあると良かったのになと思うが、その気持ち
はあったみたいだが態度には現れなかった。

15年も経てば大切な人が殺害されたとしても所詮は他人だと
思えるものなのか。一番憤りが強いのはやはり殺された被害者
の身内ではあるが、その彼自身が我慢しているのに別の所で
犯罪は起きてしまうというのは皮肉でしかない。

●人の命の値段と人の持つ感情

嘱託殺人に用意した金は2000万円だった。
その金欲しさに人を殺す。しかもターゲットとされる人物
ではなく、共犯者だった人物を殺してしまうというのだから
何とも言えないものがある。

・自分が死刑になりたいが為に他人を殺す。
・金が欲しい為に他人を殺す。

見ず知らずの人間である程に感情移入せずに殺せるものなのか。
まるで恨みも怒りも関係性もない相手に胸糞悪い殺人を起こせる
ものなのか。

介護スタッフが介護される側の人間を虐待する例は
恐らく現実には無数にある。誤った思考として殺人を犯した
人物も過去には現実に存在していて世間を騒がせたことも
ある。

容易に室内に入れる環境に有り、内情を知っているのが
そんな人たちだということも有る。

●全ては思わせぶり

ちょっと安っぽい誘導の仕方をしてしまった感のあるシーン
が多かった。敢えてそのチープな所を目をつぶるかそれとも
身を任せて騙されていくべきか。

・冒頭での美和子の寝落ち
・15年前の事件に於いて現場に居た子供。
・SNSで悪態をつく行動
・最近界隈で出没している強盗事件(犯人は目出し帽、結束バンド)
・現地にいくとピンポイントな情報をくれる町人。
・勝治は聖美が嘱託殺人を止めたと思っているが視聴者には
彼女が殺害を依頼したと思わせる振り。
・二週に渡り容疑者は乗り物で現場から逃走し亀山が追いかける

●真の犯罪者

今回の犯罪は金欲しさによる殺人で、犯人は介護士の男性だっ
た。

15年前の無差別殺人事件で勝治は裁判の場で以下のように
語っている。

「後悔しているのは1人しか殺せなかった事」
「あと2人くらい殺していれば死刑になったのになって・・」

15年が経過し介護士の男性も3人の人物を殺す機会があった。
共犯者の町岡、亀山の妻・美和子、そして依頼してきた勝治。

少し角度を変えてみると、勝治が人を動かして町岡が死んだ
ことになり、そして自ら死ぬことで三人を殺したことになる
ことにはなる。
受験は三度失敗している彼のことだ。やはり2度あることは
サンドア〜ル(c)SEGA (<-いやいや意味が分からない)

●意思の疎通

手足が動かせずに言葉を話すことが出来ない状況の勝治。

「チャイムとアラームとブザー」

今回の舞台となる柳沼家からは「三つの音」が流れて来る。
敷地に入るまでに室内と者と連絡を取るためのインターフォンの
チャイム。アラームは生命維持装置のようにして勝治に
繋がれている器械の異常を知らせる時の音。そしてブザーは
勝沼が妻や介護スタッフを呼ぶときに使用するもの。

音による意思の疎通がうまくいかなかった。
その音が犯行時の矛盾を解くカギとなる。

■その他

・「亀子の看病でもしとけ」
(伊丹が特命の二人と現場で鉢合わせしたシーン)

・「僕もそれは考えていましたがそれだけですか?」
(亀山の推理を右京に聞いてもらった際のリアクション)

・聖美の母の失踪。小2から小4まで静岡県沼鶴町にいた
聖美。

・15年前の殺人事件。
2008年3月9日、文京区で発生。勝治23歳、聖美28歳の事
だった。懲役14年で出所

・日本での犯罪・殺人

警察庁の犯罪白書を見ると殺人事件の多くは大抵顔見知りで
あり、日本では年間900人前後の被害者が出ているが被疑者
と被害者の関係を見ると面識がない殺しというのは多くて
年間20人程度である。
関係性があれば犯罪を犯しても容易に足が付く。

■出演者

杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁警視庁・特命係)
亀山薫 …… 寺脇康文 (1と5代目相棒、)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (警視庁捜査一課。伊丹の後輩)
角田六郎 …… 山西惇 (警視庁組織犯罪対策五課)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視庁警視長・刑事部長)
中園照生 …… 小野了 (警視庁警視正・参事官)
**益子桑栄 …… 田中隆三 (警視庁鑑識課員)
小出茉梨 …… 森口瑤子 (家庭料理店”こてまり”の女将)
出雲麗音 …… 篠原ゆき子 (警視庁 交通機動隊から捜査一課)
**衣笠藤治 …… 杉本哲太 (警視庁副総監)
**甲斐峯秋 …… 石坂浩二 (警察庁次長・警視監 警察庁のキャリア官僚)
亀山美和子 …… 鈴木砂羽 (フリージャーナリスト、”こてまり”見習い)
**土師太 …… 松嶋亮太 (サイバーセキュリティ対策本部特別捜査官)

柳沼聖美 …… 陽月華 (柳沼の妻)
柳沼勝治 …… 忍成修吾 (元受刑者、15年前は23歳)
佐竹良輔 …… 佐久間悠 (綾の息子)
洲本和哉 …… 猪征大 (訪問介護ステーション「筧坂園」ヘルパー)
町岡卓也 …… 鳴海心斗 (訪問介護ステーション「筧坂園」ヘルパー)
佐竹綾 …… 羽村純子 (15年前、柳沼に殺害された女性)
桑村真琴 …… あづみ昌宏 (訪問介護ステーション「筧坂園」所長)
聖美の知人の女性 …… 井上夏葉
柳沼家の隣人 …… 二家本辰己

少女期の聖美 …… 花鈴
少女期の綾 …… 森山のえる
5歳時の良輔 …… 阿久津将真

佐竹茂樹 …… (2008年当時65歳)
佐竹喜代美 …… (2008年当時68歳)

柳川公輔

スポンサーリンク
レンダグル大336
レンダグル大336

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク
レンダグル大336