スチュワーデス物語
(1983年10月18日 – 1984年3月27日・火曜20時枠)
プロデューサー:野添和子、野村清
監督:國原俊明(1)(2)、瀬川昌治(3)、合月勇、江崎実生
脚本:安本莞二(1)(2)、加瀬高之(3)、増村保造
原作:『スチュワーデス物語』(深田祐介著)
音楽:菊池俊輔
主題歌: What a Feeling (Flashdance) 歌:麻倉未稀
第3話 とんでもない噂
放送日:1983年11月1日
【STORY】
●訓練センター
今日はスチュワーデス仕様の化粧のレッスン。
訓練生たちも美容の事なので盛り上がっていた。
「女らしく、優しく、ほんわかした丸みを・・」
一方、千秋は浩が来るのを一人待っていた。
今日はビューティーレッスンがあり、彼女にとって初めて化粧を
する日。どのような化粧が好きなのかを尋ねに行く。
しかし浩は化粧のことは分からない。美容院から指導員が
来るのでしっかり教えてもらえと告げられる。
■課長のオフィス
竜太の元には和装姿の女性が座っていた。
彼女はハナ美容室から化粧指導の依頼を受けてやってきた岩倉ハナ。
カワイ教官の病気が治るまでは彼女が臨時で指導することに
なっていた。
さと子は来客のことも忘れて派遣されてくる指導員
の悪口を言ってしまう。改めて課長はさと子に彼女を紹介
するとバツの悪さが辺りに包まれる。
■ビューティーレッスン
岩倉から訓練生にレッスン前に話がある。
「化粧をした顔は女性の看板。恋人、ボーイフレンド、世界の男性の
為に心を込めて念入りにしましょう」
しかしさと子はその意見に反対する。
「職業人として飛行機に乗るお客様の為です」
「化粧は男のためにするのか? この世に男性が居なくとも化粧は
するか?」
岩倉は意見を訂正し、
「スチュワーデスの化粧の第一は清潔さ、第二にエレガントさ」
「お客様に不快感を与えない為に毒々しいアイシャドー、
付けまつげ、真っ赤な口紅は止めましょう」
「爪のマニュキュアは無色かピンクにし、好感を持たれるよう
上品さを装うこと」
・千秋は残って練習する
はじめての化粧故で何もわからない彼女。
兼子と克美が彼女にアドバイスする。
「口紅、アイシャドーはもっと濃く塗ること。教官は
外国生活が長いからパっとした化粧が好き」
克美はカタログを持ってくるとソフィア・ローレンの写真を見せ
る。恋の為に頑張らんといかんよと兼子。
・教官に化粧姿を見せる千秋
教官の前に来た千秋に彼は驚いて感想を言う。
「まるでサーカスのピエロだ」
「それが岩倉の指導か? 化け物みたいな化粧は落とせ」
「教官は派手な化粧が好きだと聞きました」
それを受けて浩はそれを教えた兼子と克美に頼みに行く。
「松本のような純粋なやつをからかって楽しむな」
「千秋はのぼせ上っている。自覚を促すためにやった」
「松本の成績は良くない。内気で臆病なので自然と俺を頼って
くるんだ。ただそれだけのこと。」
「487期生の中でも年齢が一番若くお前らのことを姉のように
頼っているのに傷つけるやつが何処にいるのか!!」
【感想】
今回は社内ルールに縛られ、そして仲間同士の連結感によって
縛られる主人公を描いたもの。
個人の欲が他人に及ぼす影響力。自分の欲は満たされても
他人には不利に働いてしまう場合もある。
また展開上、千秋が教官に縋り付きそして教官がどの訓練生
よりも千秋を気にかけているのは確かで、そこで色んな感情
が生み出されている事実もある。
ただ教官らしく意地悪する訓練生を説いていく姿は、全盛期の
風間杜夫さんらしく格好良いし説得力もある。
帰り道で改めて化粧した顔を見せるシーンは少し出過ぎた真似を
していた感じだけど、千秋を「野菊」に例えて「目立たないけど
かわいらしく派手なバラのような化粧をする必要はない」と
するところは良いムードだった。
「民さんは野菊のような人だ」(by 伊藤左千夫)
そこで早くも真理子の圧力があるところがホラーだ。
ピアノを叩く姿。
真理子にワイングラスを持たせる手。
今回の義手を見せるシーンは41分。
千秋を不良に襲わせ、野菊の花を踏み潰すという彼女を抱くしか
ない浩だが翌朝の訓練時の千秋の純粋でまぶしい笑顔を見た
彼は耐えられるのだろうか。
■スチュワーデスになるために・・
・ビューティーレッスン
翌日、ろくに化粧方法も教わっていないのに化粧チェックが入る。
機内も制服も暗いので顔色が悪くなりがち。
制服時には少し濃いめの化粧を求められる。(赤強調)
・長髪
石田信子、落合かつみ、池中きよ子、伊丹とし子、榊原あき子
草刈さゆり、溝口たえ子、天野くり子
肩まで髪の毛を切るよう求められる。食べ物を扱うことがある
為に食事に髪の毛が入れない為、そして髪の毛に触れた際の
衛生の問題。
■少しずつ見えてくる形
千秋の義父の松本誠治はギャンブルに興じて借金がある。
真理子から50万円を受け取り千秋排除の為に動いてもらう。
浩をドンファン扱いし、娘をおもちゃ扱いさせる教官の元
に居させないように強引に引きはがそうとしたり、また
千秋に好意を寄せる江原三郎を利用しようとする。
余談だが三郎は潤喫茶でドジャースのユニフォームを着て
いた。ある意味先見の明があるのか。
・石田信子
信子の私生活が描かれたのは初めてか。
中野孝という男がいて、彼は信子のストレートで長い髪の
毛を好んでいるという。
・関西 vs 関東の構図。
ロングヘアのカットに賛成、反対派に分かれる。
木下は石田の恋を応援するためにカットに反対。
池田兼子は賛成派は相変わらず。
信子の為のレッスンをボイコット。
千秋も反対派に入れられるが、心情的には教官の
意向に背きたくない。
ここで面白いのは石田は恋人の為に行動を起こしている。
千秋もまた愛する教官の教えの為に行動を起こそうとして
いるにもかかわらず親友を優先させられそうになる。
この選択はいつの時代も難しい。
この微妙な心情を現在一番理解しているのは石田だ。
・三郎の嘘
義父との喧嘩で母が家を飛び出して死のうとしているといわれ
て外に呼び出す。
人気の無いヨットハーバーに呼び出して強引に襲おうとする
が3人組のバイカーの不良に囲まれる。
千秋がヨットのオールで殴り飛ばす。
三郎の恋心を利用した義父とその裏で三人の不良を差し向ける
真理子の悪事。
反対派は21時に呼び出し
反対派9名、賛成派10。
その中に千秋の姿はない。どちらとも決めかねている。
石田の恋人に教官を合わせる。
教官は”夢”を引き合いに出して説得することに成功したが
石田本人は切らないと決めたのは自分の意志だとして
断固として譲らない。
教官は石田が切らないならば教官を辞めるとし、教官が
辞めれば千秋が辞めるという。その連鎖で石田も切ること
になる。
■その他
●挿入歌
挿入歌 「100℃でHEARTBEAT」歌:風間杜夫
「洒落男/A Gay Caballero」フランク・クルーミット
【CAST】
村沢浩 …… 風間杜夫 (27歳歳、478期担当教官)
松本千秋 …… 堀ちえみ (19歳、478期訓練生)
新藤真理子 …… 片平なぎさ (25歳、浩の元婚約者・父は新藤商事の社長)
石田信子 …… 高樹澪 (478期訓練生)
木下さやか …… 山咲千里 (478期訓練生・ハキハキ)
池田兼子 …… 春やすこ (478期訓練生・関西弁)
中島友子 …… 白石まるみ (478期訓練生・ぶりっ子)
落合克美 …… 松岡ふたみ (478期訓練生・博多弁・兼子と仲良し)
寺本はるえ …… 百瀬まなみ (訓練生)
江原三郎 …… 光石研 (千秋の幼馴染み、実家は鮮魚店。サブちゃん)
**小堀庄介 …… 田山涼成 (「そば徳」のアルバイト店員)
火山さと子 …… 秋野暢子 (479期担当教官)
**松本弓子 …… 吉行和子 (千秋の実母・5年前に再婚)
松本誠治 …… 長門裕之 (千秋の継父・車セールス)
柿野竜太 …… 石立鉄男 (客室訓練部課長)
大川陽子、監物房子、片山理子、岡本梢、宅間恵津子
古沢由美子、宇佐美眉、東福久栄、川原実紗、南麻衣子
高本直子、神童むつみ、五木直美
岩倉ハナ …… 奈美悦子 (ビューティーレッスン担当教官)
中野孝 …… 金田賢一 (信子の婚約者、アルピニスト(登山家))
谷村好一、上村公一、小柳基