君が心をくれたから 第5話 すべて魔法のせいにして

君が心をくれたから
(2024年1月期・フジ・月曜21時枠)

脚本: 宇山佳佑
プロデューサー:草ヶ谷大輔
演出:松山博昭、相沢秀幸(5)
音楽:松谷卓

主題歌 – 宇多田ヒカル「何色でもない花」

https://www.fujitv.co.jp/kimikoko/index.html

第5話 すべて魔法のせいにして

【ストーリー】

◆◆2005年12月

■逢原家

アメは眠れずに「アラビアンナイトの本」を握り
しめて座っている姿が有る。雪乃がそんな彼女に
近づき声をかける。

「眠れないのか?」

なかなか心を開こうとしないアメに雪乃は一つ
あなたに秘密にしていた事があるとして

「ばぁちゃんは魔法使いだ」
「イフタフ ヤー シムシム (開けゴマ)」

この魔法をかけられると心の扉も開いてしまうのだと
いう。そして次こそはアメの心を開かせるとして
切り返し魔法を唱える。

そして雪乃は語る。

「アメの本当の気持ちを聞かせて」

「ばぁちゃんと一緒に寝たい」

自分が魔法を使えるならどんな願いを叶えたい?

「ばぁちゃんと母さんと三人で暮らしたい」

◆◆2024年

「あの頃私は信じていた。おとなになればどんな願いも
叶う」・・と。

・2024年1月27日

■病院

雪乃の病室に行くと、雪乃はアメに心配かけた事を
謝罪する。

「ばぁちゃんはガン。苦しいのはごめんなので抗がん剤
治療も断ってきた。もって後2ヶ月で数週間かも
知れない」

と改めて医者から言われたことを語る。

しかしアメはそれは嘘だとして信じないことを語る。
医者が間違えているだけ。死んでしまうなんて言わない
でとアメは頼む。
雪乃は改めて死ぬことを伝えつつ、それでもまだ生きて
いる事を告げ、アメに対してリクエストする。

「生きている間はアメの笑顔を沢山見せて欲しい。
笑っているアメが好きだから」

■朝野家

父親は太陽に対して慰めの言葉をかける。
「人生、明けない夜はない」

食事・酒を飲みながら話をする。

父さんは母さんとどんな恋愛をして来たのかと
忌憚のなき質問をぶつける。

「俺も散々明日香に振られた」
「明日香の実家は福岡で商売をしていた。
箱入り娘で悪い虫がつかないよう長崎の全寮制の
女子校に入学させた」
「母親の親戚と付き合いがないのも最後は駆け落ち
同然だったから」

陽平は息子に振られた男が出来る3つの事を教える。

・相手の幸せを願う
・何事も無かったように今まで通り普通にする
・一人で悲しんでいたら、何を置いてでも駆けつける

■感想

ドラマはよく出来ているのだけど、やはり既視感は
拭いきれないかった。

個人的にはウチもこのドラマの雪乃さんの如く週末に
母親がガンの再発を知ったのでこれを鑑賞した12日に
は逢原家に感情移入出来る部分が多くて悲しくなり
もした。

過去と現在を行き来する中で、継ぎ接ぎだらけの
流れを一本通るストーリーに仕上げているところは
上手いのだけど、今のところはそこまで盛り上がって
はいない。

過去と現代を結ぶアイテムである”本”や”指輪”、そして
“手紙”の存在など、先週にやり残したことがある
ことを提示したと思えば、一週間で全て回収させて
しまったことなどは少々お粗末くんだ。

こういう要素は引っ張るほどに面白く、忘れた頃に
現れると面白いんだよね。

・余談だけど・・

引っ張るほどに楽しい要素といえば、逆のことも有る。

ジーコ監督が日本代表に就任した期間(2002/10~2006/6)
に日本代表が韓国のソウルで試合(2003/4)をした時、
プレスに押されて内容はイマイチだったけど、1-0で
日本代表が勝利した事がある。
この頃韓国は2002年のワールドカップで4強に入って
絶好調であり有頂天にもなっていて、韓国のテレビを
見ると毎晩ワールドカップが流れたりもしていた。

この時の韓国は昼間のテレビ放送に制限があり、正午
12時から夕方4時までの放送は禁止されていて、深夜
も規制の対象だった。

日本が劣勢になることは予想されたのだけど、少ない
チャンスを活かして勝利に導いて歓喜した覚えがある。
キリン杯前の試合(2003/5)に日本は対戦国が見つから
なかったので、日本サッカー協会のドアホたちがまた
韓国戦を入れてしまい今度は0-1で負けたことが
ある。この時ジーコ監督も語っていたけど、ライバル国
に勝った時にはその結果を以てしばらく優越感を
感じて相手に屈辱感を叩き込むべきことを語っていた
のに、案の定1ヶ月してあっさりと負けて最悪な気分を
味わわせられたことがある。

■ドラマをより不安化させる要素

この時点で既に互いの意思の確認をし合ってしまった
ことにより、急造した疑似三角関係は終了に終わって
しまった。
恋愛ドラマの要素を考えれば、二人の間に邪魔する
要素が多いほどに小さな幸せを噛み締めて楽しめる
ものだけど、スパンを入れずに全ての事実を語って
しまう。

この先、状況がガラリと変わるというのであれば
それもいいのだが、この調子で病気と恋愛の関係
だけを続けて心情の変化を伝え続けるなら確実に
視聴率も稼げないし、シナリオとしてもどちらに
転んでも、感情を先立たせる以上に「まぁこんな
ものだろう」という厳しい視聴者の査定が待って
いるであろう。

もう少しドラマチックなものを持ち込めないのだろ
うか。
一つはタイミングである。
五感を失うタイミングがどうも自分にはピンと
来ない。必要な時にその五感の一つが失われると
いう絶対的、絶望的タイミングがどうしても時間
による消化の結果でしかなくなっている。
ドラマには5つのピンチの反面、演出的な絶対的な
チャンスがあるにもかかわらず、その部分が
平々凡々としている感じしか受けないのだ。

●奇跡はあるのか

奇跡というのは何度も起きては面白くない。
一度あるかないかというところで起きるからこそ
面白いものだ。
しかし奇跡という名の人為的選択が介在しているの
であれば、また別のところで似たような奇跡が起きる
可能性は否定できないのではないか。

奇跡に近い”魔法”という単語が使われた。
子供の感情などを操るために利用することが多い
ような気もするが、それにより現状を良い方向に
導くことが出来ればそれもありなのだろう。

2005年にアメちゃんは「アラビアンナイト」が彼女
自身のバイブルのようにもなっていた。
そして現在になってその本をユリアという名の少女
が手にしていたこと。ユリアといえば、私の世代
では「北斗の拳」を真っ先に思い出す。

私に降りかかる奇跡は、「千夜一夜物語」が最近
見た海外ドラマ「アストリッドとラファエル」S4の
2話「千夜一夜物語」でも取り上げられていることだ。
https://dramatimez.sakura.ne.jp/blog/?p=8330

また奇跡といえば日下の語りが多かったこと。
そして彼にも過去の何らかの事象が有って現在に
至る流れが回想シーンとして浮かび上がる。

「本当に行くんだね?」
「はい、後悔はしません」

●とにかく頑張るマン

根性論的恋愛として描かれている今回のエピソード。

雪乃さんは余命宣告されてもとにかく生きるという
科学や医療を無視した根性論でアメちゃんを悲しま
せないようにしようとする。

父親も母親との恋愛はとにかく振られても頑張って
アプローチしたことを述べていたし、春陽は兄が
捨てた指輪を根性で探し出した。

最後は太陽の根性の出番だ。

バスに乗って振り向きもずに行ってしまったアメ
ちゃんのことをとにかく走って追いかける。
一体いくつの停留所を過ぎただろうか。

恋愛ドラマあるある。

●直接にものを言わない世代?

大抵の隠している事実は周りのものがお節介と
ばかりに対象者に伝えて、なんとかこの二人の関係
修復を図ろうとしている。

司も雪乃も春陽も、それぞれ言えない隠している
真実をすべて話してしまう。
田舎であるほどに秘密など存在しないし、昭和の
頃には恋愛を成就させる為にお節介な人というのは
周りにいたような気がする。

ただ五感を無くす病気と言われても簡単に伝わる
ものだろうか。

●現在・過去・未来

アメちゃんの過去は散々だった。
しかし祖母がいたお陰でその寂しさやその傷も和らぐ
効果が有った。
しかし学校では陰険だとしていじめられたこともある
し、両親の居ないアメちゃんがいじめられるという
事は否定できない。

アメちゃんの現在も散々だ。
五感のウチ、現在は「味覚」と「嗅覚」を奪われて
いる。
しかしそれが奪われたことによる不都合を感じない
のは何故なのか。

そして今回タイマーが回ったのは「触覚」であり、
タイムリミットは3週間後の2月18日の午前3時。

触れると感じる感覚を失うことにより何が起きる
のか。立っていられるかどうかも分かっていない。

「触覚」とは世界の誰かとの繋がりを実感する
ための感覚だという日下。
時には他人がそれを、時には自分からその触覚を
絶とうとしてしまう。

●日下が喋る・語る

この人が二人の関係のキーマンになっていることは
明らかで、未来を握っているであろうことも想像
される。

「”イフタク ヤー シムシム”。この魔法にかけられた
ら心の扉も開いてしまう。素直になれる特別な呪文
です。」

「あなたは今日の選択を何時か後悔するでしょう。
彼の元に行っても行かなくても必ず後悔する。
だったら今は全てを魔法のせいにして幸せな後悔を
すべきだ」

「彼女はこれから先、もっと辛い思いをする。
しかしそれでも今だけは幸せな道を選んで良い」

雪乃も似たようなことを語っていたよね。

そもそも日下の存在が明らかにされていないが、
それと同時にアメちゃんの父親のことも明らかに
されていない。

言葉は繋がる。
意外と彼はアメちゃんの**親だったりしてね。

■出演者

逢原雨 …… 永野芽郁 (26歳・パティシエを目指す)
幼少期の雨 …… 佐藤恋和
朝野太陽 …… 山田裕貴 (28歳、朝野煙火工業)
望田司 …… 白洲迅 (33歳、長崎市役所の地域振興課)

朝野春陽 …… 出口夏希 (24歳、太陽の妹)
朝野陽平 …… 遠藤憲一 (59歳、老舗煙火店「朝野煙火工業」)
逢原霞美 …… 真飛聖 (46歳、雨の母親)
逢原雪乃 …… 余貴美子 (67歳、雨の祖母)

日下 …… 斎藤工 (奇跡の案内人)
千秋 …… 松本若菜 (奇跡の案内人)

柳田達夫 …… 螢雪次朗 (朝野煙火工業)
花村竜一 …… 佐藤貴史 (朝野煙火工業)
菊野純 …… 谷恭輔 (朝野煙火工業)
飛岡雄星 …… 萩原護 (朝野煙火工業)

…… 右近良之 (雪乃の病院の医師)
…… 中脇樹人 (重症心身障害者施設「ながさき心の里」の職員)
…… 岩田知幸 (日下に決断を求める男)
ユリア …… 小松優里亜 (アラビアンナイトを読む子)
ユリアの母 …… 内海香織

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