スチュワーデス物語
(1983年10月18日 – 1984年3月27日・火曜20時枠)
プロデューサー:野添和子、野村清
監督:國原俊明(1)、瀬川昌治、合月勇、江崎実生
脚本:安本莞二(1)、加瀬高之、増村保造
原作:『スチュワーデス物語』(深田祐介著)
音楽:菊池俊輔
主題歌: What a Feeling (Flashdance) 歌:麻倉未稀
第1話 先生好きですッ!
放送日:1983年10月18日
【STORY】
●フランス・パリ
村沢浩は真っ白な服を着た新藤真理子の事を避けようとする。
真理子も彼が仕事を言い訳にして逃げようとしていること
に気かづいていた。
「下手な弁解ね」
「私はあなたを逃げさない」
彼女は床に手をついていた彼の手を自ら履いているヒールの
トップリフトで踏みつける。
しかしそれは浩が見た夢だった。
ベッドの中で気が付いた彼の元にフロントの女性を通して
日本から電話が鳴る。
電話の相手は彼が務める日本航空/JALの上司。
羽田の客室訓練センターとして働く課長の柿野竜太からだ
った。
彼は浩に対して辞令が出たことを告げる。
今後はスチュワーデスの訓練教官となったとのこと。
パーサーとしては抜群で客や部下からの信頼を得ているが
今後は東京に戻り、自分の片腕となって欲しいといわれる。
浩は東京以外の勤務地ならばどこでもいいので、それだけは
勘弁してほしいと頼む。しかし辞令は出たのだといわれる
と返す言葉もなかった。
・ドゴール空港
日本へのフライトで帰国する。
■松本家
この日松本千秋にとっては大事な日だった。
亡くなった父親の写真を見ながら気合を入れる。
今日はスチュワーデスの試験。合格してパイロットだった
父と同じ空に飛ぶことを夢に見ていた。
母・松本弓子がやってくる。
弓子は夫を亡くして5年前に再婚しているが、千秋が継父の
松本誠治と仲が悪く、少しでも今の環境に慣れて欲しいと
願っていた。
誠治は性格的にも厳しく、懐かない千秋のことに難癖を
つけては傷つけていた。
スチュワーデスの試験を受けると聞けば、狭き門である
仕事に一流大学出でもないお前が受かるはずはないとまで
語る。
千秋はスチュワーデスになれないならば死んだ方がマシ
だと言って家を出ていく。
■日本航空スチョワーデス採用試験会場
沢山の人が採用試験に来ていた。
受付を済ませた千秋だが後ろからぶつかってきた人の
せいで試験票を落としてしまう。這い蹲って探している
と同じ受験生である石田信子や木下さやかが拾って千秋
に手渡す。
「5500人中、合格するのは80人」
互いに励ましあうが、近くにいた受験生である池田兼子
は、ここにいる人はみんな敵であることを語る。
中島友子は父親がJALで航空機の整備員の仕事をしている
関係である程度内情を把握していた。今年は例年以上に
大変であり娘のことを心配していた。
●洗面所へ
試験前に洗面所で顔を洗い外に出ると誰も室内に
居なかった。千秋は焦って施設内を探して回る。
訓練機のところで彼女は意識を失い倒れる。
彼女が倒れていたのを見つけた浩はイスを簡易ベッド
として利用し、彼女が楽になるよう服のボタンを外す。
その時目覚めた千秋は痴漢だと思って浩の顔を引っ搔い
てしまう。
「それだけ元気ならば大丈夫だろう」
と言って彼は立ち去る。
千秋はその後、第一次試験・・二次試験へと進んでいく
が・・・
【感想】
2024年から数えて41年前である1983年のドラマ。
当時のドラマは夕食時か家族団らんの時を狙った夜8時枠
に設定される事が多かったですよね。
やはり一番気になるのはタイトルにある「スチュワーデス」
というワードだろうか。
スチュワーデスという言葉が失われたのは1996年。
言葉自体が”性差別用語”だという理由の元で公式的には
使用されなくなる。
背景には男女雇用機会均等法であったりジェンダーフリー
の問題があるのだろう。。
男女雇用機会均等法は制定されたが、あくまで企業努力
に留まっていたために、努力義務から義務へと確実にする
為の改正法が1997年には成立した。
このドラマを書いていく文中では当時にならってスチュ
ワーデスという言葉を使うことも多いのでご了承ください。
昔は「スッチー」なんて言葉が使われて憧れの職業だった
んですけどね。
ドラマは航空業界の中でも客室乗務員になるべく
試験を受けてスチュワーデスの卵たちが一人前になるまで
を描いていく。
成長の過程で教官が見習いたちに厳しい言葉を使って
精神的に追い詰めたりする。数多くの中から優秀な人材を
選り分けていく作業でもあるのだろうが、やはり初回から
主人公には特に厳しい態度で接する姿が描かれる。
歯を食いしばって教官に食らいついていく様は、
「スポ根」ドラマにみる根性論が含まれており、厳しい訓練
とは逆に恋愛要素を盛り込みそれを中和したり、また
励ましあう姿を描いていく。
何よりも新藤真理子の存在はミステリアスなものだ。
村沢浩との過去の事情を通して二人の間に何が有ったのか。
毎回彼女が彼を縛る手段として手にはめられた手袋を
外す光景は何度見てもホラーである。
■スチュワーデスになるための試験
1話の中では第一次試験(面接)から始まり
第二次試験(筆記)、第三次試験(運動能力)を行い最終的には
訓練候補生80人が選ばれた。
そしてそれは20名ずつ4グループに分けられる。
第一次試験では「なぜスチュワーデス試験を受けたのか」。
・友子は両親共に航空会社のスタッフだったから。
・兼子は世界中飛び回りあらゆる文化・民族・人々との交流を
求める
・信子は大学では英文科を専攻して得意な英語を活かす為
・さやかは実家が蕎麦屋で幼いころから接客業に慣れていて
客をもてなしている時の自分が自分らしさがあるとのこと
・千秋は小さい時から空に憧れを抱いていたこと。
■少しずつ見えてくる形
●関西 vs 関東の構図。
個々の性格上、木下さやかと池田兼子は訓練生の中でも
みんなの事を率いるタイプだ。
どちらもサバサバした性格なので嫌味は感じられないけど
意見の衝突がある時には必ず先頭に立っているのは
この二人。
合格通知(電報で発送)が来た際に、兼子は「なんば駅」の
公衆電話からさやかに対して電話してくる。
石田信子は才女という感じ。千秋が困ったときにフォロー
してくれたり、その場をうまくまとめる役を務める。
演じている高樹澪さん、幼いころから好きだったな。
中島友子は何不自由なく育ってきた感じのぶりっ子な感じ
のする女性た゜
ちなみに彼女たちが住むアパートは「くれない寮」という。
部屋割りにはさやかと兼子、そして千秋が同部屋になった。
●教官・村沢浩に恋する松本千秋
二人の出会いは最悪だった。
貧血で倒れたところを浩が助けようとして顔を引っ掻いて
しまった千秋。面接時に二人が対面した際にはバツの悪さは
有った。
そして訓練センターに来る真理子と抱き合う浩の姿。
年上の男性を見る千秋の心境はどうなのだろうか。
父親が亡くなってしまったこと。
そして継父は浩の登場時のように厳しい一面を持つ。
千秋は浩に頼みごとをする。見捨てずに指導してほしいこと。
「見込みがない」という浩に対して彼女は「ダメなら死ぬし
かない。自殺して見せる」と迫る。
これでは真理子さんの圧と同じだ。
■その他
●スチュワーデスに禁止されているもの
「眼鏡」をかけて勤務することはできない。
ここで眼鏡をかけているのは兼子だ。
逆に求められている今回の課題として挙げられたのは
「笑顔」だった。
●春やすこさん
春やすこさんはこのドラマが始まる頃には春やすこ・けいこの
コンビ名で関西で漫才をしていた。
アイドル的存在で、「オセロ」の全盛期・中島知子さんを彷彿
とさせる。
●決め台詞
・千秋が教官に語るセリフの一つ。
「私ドジでバカでのろまで・・」
・浩に会う真理子のセリフ
「ヒロシ! あなたは一生私のもの」
【CAST】
村沢浩 …… 風間杜夫 (479期担当教官)
松本千秋 …… 堀ちえみ (479期訓練生)
新藤真理子 …… 片平なぎさ (浩の元婚約者)
石田信子 …… 高樹澪 (479期訓練生)
木下さやか …… 山咲千里 (479期訓練生)
池田兼子 …… 春やすこ (479期訓練生)
中島友子 …… 白石まるみ (479期訓練生)
落合克美 …… 松岡ふたみ (訓練生)
寺本はるえ …… 百瀬まなみ (訓練生)
江原三郎 …… 光石研 (千秋の幼馴染み、実家は鮮魚店)
小堀庄介 …… 田山涼成 (「そば徳」のアルバイト店員)
火山さと子 …… 秋野暢子 (479期担当教官)
松本弓子 …… 吉行和子 (千秋の実母・5年前に再婚)
松本誠治 …… 長門裕之 (千秋の継父・車セールス)
柿野竜太 …… 石立鉄男 (客室訓練部課長)
松本千秋の実父 …… 佐々木敏 (故人/生前パイロット)
大川陽子、監物房子、片山理子、岡本梢、宅間恵津子
古沢由美子、宇佐美眉、東福久栄、川原実紗、南麻衣子
高本直子、神童むつみ、五木直美