相棒22
(2023年10月期・テレ朝・水曜21時枠)
監督:橋本一(1)(2)(6)(8)(9)、権野元(3)(7)、守下敏行(4)(5)
脚本:神森万里江(1)(2)、岩下悠子(3)(5)、森下直(4)
光益義幸(6)、瀧本智行(7)(8)、輿水泰弘(9)
エグゼクティブプロデューサー – 桑田潔
チーフプロデューサー – 佐藤凉一
プロデューサー – 高野渉、西平敦郎、古革昌実、
土田真通
編集 – 只野信也
音楽 – 池頼広
第9話 男の花道
【ストーリー】
■「Yott・VISION」
「扶桑武蔵桜」若頭・鬼丸播磨は、IT企業の弓生崇智
のオフィスに来ていた。
鬼丸は弓生崇智からみかじめ料を取っていたが、弓生
はこれ以上渡すことを拒む。
暴排条例が出来てからというもの。暴力団のような
ものは影を潜めていたがそれでもまだ煙たがれる存在
である。
「バカにするな」
という弓生は鬼丸に掴みかかる。
床に押し倒した弓生が有利に思えたが、それもすぐに
形成は逆転される。
●法医学教室
遺体として運ばれたのは鬼丸播磨だった。
特命係の二人が死因について聞きに行く。
准教授によると、死因は頸部圧迫による窒息死。
扼殺だと断定しても良い。
肋骨骨折も有るが死因とは無関係だという。
特命係の二人が捜査に当たっているのは、内村刑事部長
と懇ろだった暴力団の若頭が殺されたからだった。
部長がデュープロセスの鬼となったきっかけの暴力団
でもある。
殺されたのは広域指定暴力団・扶桑武蔵桜の鬼丸播磨。
その名前を聞いた薫は厳つい渡世名だと語る。
しかし巨体の極道を絞め殺した事件故に理解しかねる
ところも有った。
■警視庁
・内村部長のオフィス
中園から事件の報告を受ける。
被疑者は青年実業家。
しかしそれを聞いた内村は一般市民があの鬼丸を素手で
殺したことに疑問を生じる。
■警視庁・城上警察署
・被疑者の取り調べ
捜査一課は弓生から当時の状況を聞く。
「とにかく必死だった。手を緩めたらやられると
思った」
「大学でプロレス研究会にいた」
伊丹は正当防衛を主張するには成功要件はかなり厳しい
ことを語る。場合によっては裁判になること。
弓生はやむを得なかったとはいえ人ひとりの命を奪った
ことは重く受け止めていると語る。
・特命係の2人が来る
伊丹らの嫌そうな顔を横目に右京らは弓生に質問する。
「あなたは心臓マッサージをしていますね?」
明日には解剖初見があがってくる。
プロレイ経験者故に胴絞めスリーパーホールドに
持ち込んで胴締めで肋が折れることはあるが
解剖医によれば蘇生措置を施したのではないかとの
こと。
我に返った時、殺意は無かったという証拠。
自分はヤクザではない。人を殺そうなどとは思わない。
身を守っただけ。
・取り調べ後・・
右京たちは所轄から出てくるとガラの悪い人物が一人
いることに右京は気がつく。
話を聞くと彼は扶桑武蔵桜の組員の虎太郎だった。
しかし彼は何も重要なことは語らずただ見ていただけ
だとして何処かへ行ってしまう。
右京も薫も一波乱ありそうだとし、組のNO2の若頭を
殺されてヤクザが大人しくしているはずはないと感じて
いた。
■感想
ヤクザの若頭が青年実業家によって首を絞められて
亡くなる。被疑者は身を守るために殺したとするが、
その場合正当防衛が成立する可能性も秘めている為
捜査も慎重になる。しかもヤクザの若頭が亡くなった
となると事実関係はどうであれ報復的な行動も出てくる
案件故に解決するのは難しいものかと思われた・・
今日のコロナ不況、侵略戦争による物価上昇により
老舗のホテル、百貨店、名のある店舗も例外なく
潰れていく中で、ヤクザも例外ではない。
構成員になる人物が少ないので別の組から人員を
借りたりしている現実なども耳にする。
果たしてこの事態をどう処理していくのか。
既にヤクザの存在が半グレの存在や中国、ベトナム
などのヤクザによってその存在が脅かされている。
ドラマとしての興味は殺害時の詳細な状況の解明だ。
説明通りだとそういった体勢にはなり得ず、
その辺がドラマの一つの肝となる。
内村が流れに組み込まれているものの、正直特命係
を関わるが為の行動にしか見えず、この辺は外した
感じも受ける。
残念なこととして、ドラマは事件そのものよりも
ヤクザの終末期に於けるけじめのとり方に集中して
いることも有って、人情などまるで感じることのない
状況の中でそれを行うために単なるヤクザの自画自賛
的終焉を迎えたに過ぎないこと。
検察官が既にやる気がなく、ドラマはヤクザに人権が
無いものの、画策されたものとして描かれていくなら
それに一石を投じることにも繋がるようにも見えたが
特にそれもなく淡々とした印象しか残らなかった。
日本は正当防衛に厳しい。
ヤクザが一般人に接触して金を要求してきた時点で
既にヤクザの存在そのものが凶器となり得るものだ。
これは正当防衛かどうかを考えるよりも、そもそも
ヤクザと社会についてに言及すべきだったのかも。
ナイフを持っていたのがどちらの人物なのかなんて
ことも全く意味がない。
遺体に武器を隠しているということは想定がついたし
組長自らが一連の件で決着を図って処理することで
しか解決できない案件で有った。
一番無難なまとめ方でサプライズ的なものはほぼ皆無
だった。
■出演者
杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁警視庁・特命係)
亀山薫 …… 寺脇康文 (1と5代目相棒、)
伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (警視庁捜査一課。伊丹の後輩)
角田六郎 …… 山西惇 (警視庁組織犯罪対策五課)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視庁警視長・刑事部長)
中園照生 …… 小野了 (警視庁警視正・参事官)
益子桑栄 …… 田中隆三 (警視庁鑑識課員)
小出茉梨 …… 森口瑤子 (家庭料理店”こてまり”の女将)
出雲麗音 …… 篠原ゆき子 (警視庁 交通機動隊から捜査一課)
亀山美和子 …… 鈴木砂羽 (“こてまり”見習い)
桑田圓丈 …… 大石吾朗 (「扶桑武蔵桜」組長)
鬼丸播磨 …… 三国一夫 (「扶桑武蔵桜」若頭)
虎鉄 …… 鳥谷宏之 「扶桑武蔵桜」若頭補佐
虎太郎 …… 田中俊介 (「扶桑武蔵桜」組員)
弓生崇智 …… 赤ペン瀧川 (「Yott・VISION」社長」)
法海 …… 直江喜一 (財照寺住職)
浅戸彰良 …… 間瀬英正 (警視庁組織犯罪対策部部長)
平田弁景 …… やべけんじ (扶桑武蔵桜顧問弁護士)
…… ゆぶねひろき (拳銃の売人)
…… 宮沢大地 (法医学教室・准教授)
…… 奥村隆正 (扶桑武蔵桜組員)
淺野浩