相棒22 第13話 恋文

相棒22
(2023年10月期・テレ朝・水曜21時枠)

監督:橋本一(1)(2)(6)(8)(9)、権野元(3)(7)(10)
守下敏行(4)(5)、川崎龍太(11)、徳永富彦(12)、内片輝(13)
脚本:神森万里江(1)(2)(13)、岩下悠子(3)(5)、森下直(4)
光益義幸(6)、瀧本智行(7)(8)、輿水泰弘(9)(10)
田村孝蔵(11)(12)
エグゼクティブプロデューサー – 桑田潔
チーフプロデューサー – 佐藤凉一
プロデューサー – 高野渉、西平敦郎、古革昌実、
土田真通
編集 – 只野信也
音楽 – 池頼広

https://www.tv-asahi.co.jp/aibou/

第13話 恋文

【ストーリー】

■家庭料理店”こてまり”

美和子は右京と小出に、ラブレターが届いたことを
語る(世田谷区成都橋)。匿名なので誰からかわから
ないが5通も届いていた。
右京は相手はシャイな方みたいだとし、封筒、切手、
消印のどれもがバラバラで統一性がないことを語る。
素性を知られたくないのか。
美和子は右京に誰が書いたか突き止められますよね
として調査を頼む。

「しかし突き止めてどうするのか?」

そういえば最近化粧が違うと指摘する小出。
決して浮ついている訳では無いと言いつつ顔が緩む
美和子。

右京は近頃薫の機嫌が悪い訳が分かったことを告げる。

美和子は右京と小出に対して、

「ちょっと期待しては駄目なのか?」
「この俊になったらもうこんな事を言われる事が
ない」
「どんな人が書いたのかな~っと夢見ては駄目か?
嬉しがっては駄目か?」

と問う。
右京も決して責めた訳では無いと語る。

「右京様、誰が書いたか突き止めてください!」

■商業地裏

薫は一人で飲み屋街を見回りしていると、そこに
伊丹が偶然やってくる。

「こんな所で一人で何をやっている?」
「普段は警部殿、それ以外はカメ子と待ち合わせ
だろう」

という伊丹。薫は一人になりたいときも有るという
と、

「さては女房に捨てられたか。カメ子が不倫した
んだろう」

と言われ、嘘のつけない薫は動揺する。伊丹は図星
とばかりに声をかけてくると、薫はラブレターが
届いただけだと語る。

・突然の悲鳴

伊丹と薫が会話していると突然男性の声で、

「救急車を呼んで」

と聞こえる。
倒れている男性は美和子宛の封筒を手に握っていた。

■警視庁

捜査一課は現状を語る。
被害者は佐藤晴樹(23歳)。喉を切られての失血死。
凶器は見つかっておらず、切り口から見て普通の
ナイフではないことを語る。

美和子宛の封筒を持っていた為に彼女が警視庁に
呼び出されてやってくる。

彼はよく行くカフェの店員さんだという美和子。

そこで晴樹は美和子を見初めてラブレターを書いた
ものなのか。握りしめて死んでいたが、手紙が中に
入っていないことを指摘する右京。
薫はそれがラブレターかどうかはまだ分からないと
し、手紙は犯人が持ち去ったものではないか。

美和子は持ち寄ったこれまでのラブレターを見せる。

内容には、

「あなたは太陽、見つめていると僕の心は日焼け
する」

しかし今回佐藤が手にしていたものとの違和感を
指摘する。これまでは郵送してきたのに今回の手紙
には送り先が書かれていない。つまり被害者は
この手紙を美和子に直接手渡そうと思っていた・・
ついに会って告白をしようとしていたのか!?

また佐藤の所持品の中で気になるものが有る。

「戸倉充 絵画展 令和6年1月29日~2月5日・会橋
区民ホール」

彼は画家として有名になったのではなく、12年前に
彼の奥さんである戸倉祥子(当時48歳)が忽然として
姿を消したことだった。

■戸倉家

室内には絵画・油絵の作品が置かれている中、
主の戸倉充は二人分の食事を作り、向かい側には
妻の肖像画が掲げられていた。テーブルには充が
服用している薬が置かれている。

■世田谷中央署

戸倉充は警察署の前で失踪した妻の情報を求める
掲示物を持ち毎日そこに滞在していた。

刑事の春日によるといつも来ているが、既に死んで
いると語る。

始めはよくある家出と思ったが売れている画家では
ないので奥さんは苦労していた。昼は家事代行業、
夜は居酒屋で働いていた。ついに嫌気が指したのだ
ろう。調べたら失踪前には男につきまとわれていた
という目撃証言がある。戸倉には金を貸してくれる
パトロンがいた。その人物は新宿区三流谷に住む
画廊のオーナーの清水久志(65歳)

■感想

喫茶店で働く23歳の男性・佐藤晴樹が何者かに
鋭利刃物で喉を切られて死亡する。
傷口から見て普通のナイフの形状とは違うもので、
彼は美和子宛の封筒を手にしていた。
最近美和子宛に5通のラブレターが届いていた事情
が有ったが、今回の佐藤が手にしていた封筒の中身
は犯人に持ち去られていた。
更に被害者が手にしていた戸倉充の絵画展のパンフ
レットを持っていたことから、二人の関係を探って
いく。

偶然のような必然のような・・少々強引な流れも含め
て色んな選択肢が度々発生するので、的を絞らせない
ストーリーラインが出来上がっていて面白かったです。

この事件に関して、過去に関与しているのではないか
という人物は、二人の失踪も含め二人共に亡く
なっている事が判明する。
そこから派生した流れを以て現代では一人が亡くな
っている為にドラマでは幾つかの分岐した流れを
想像しては視聴者にも楽しめる作りとなっている
ところが流石だ。

このドラマの全貌を暴くためには、過去に遡り
人間関係がどのように構築されているのかを把握
しなければならない。

「愛情」と「嫉妬」
人は何処まで自分以外の相手に対してそこまで固執
するだけの愛情を持ち続けることが出来るのか。
愛情の裏に存在する嫉妬の感情もまた紙一重のもの
として存在して、愛情にも負けない執着心がある。

●戸倉祥子の件

「2012年2月14日 世田谷区在住失踪事件」

戸倉祥子を巡って、それぞれの人物がそれぞれに
何らかの事実を隠している。

なぜ失踪者を探しているのに、関係者が全てを語らず
にいるのか。知り得る事実や情報を共有していれば
確実に事件の解決に向けた流れにつながる筈である。

そもそも夫婦であった祥子と充の間でも、相手の
気持ちが分からずに、何処かで誤解している事実
があることを見れば愛情の深さは他人にはなかなか
分かり得ないのかも知れない。

妻に苦労させている旦那の罪悪感が、真実から
目をそむけている事実があるのだろうし、人生が
順調ながら、こういう事件は存在しなかった
筈だ。

祥子が佐藤と知り合うことも無かっただろうし、
画廊のオーナーである清水との関わりも存在しない。

芸術や芸能関係を目指している夫のことを女房が
生活の工面をして支えている物語は昭和のドラマ
では幾つもあるが当時と違い今時の人はそこまで固執
することはあるのだろうか。

金の切れ目は縁の切れ目だと古くから言われるが、
今どきここまで他人に対して自らを犠牲にして助ける
人物はなかなか見当たらないかも知れない。

甲斐性の無さは上述する罪悪感に繋がり、妻を
愛する程にその罪悪感と嫉妬心は大きく膨らんで
しまう。
不甲斐ない自分に怒り、不満は妻へと転嫁し、
暴力を振るうという負のスパイラル。
しかしそれは誰もが想像し得る物語であるので、
脚本家も安易な流れにはしなかった。

男女平等が叫ばれる社会なので、女性の夢を支える
男性の物語が今後出てくることに期待しよう。

●人と人の感情の行方

人は他人と何処でどう繋がってくるのか分からない。
そしてそこで知り合った人物が良い人なのか、悪い人
なのか未来を見通せる訳ではないのでやっぱり分から
ないのだ。
大抵意図して近づいてくる異性の中には、金欲、物欲
性欲などがあって、弱みに利用してそれらを満たそう
とする事が多いのだろう。無条件に他人を助けること
は生活にそれ程深くは踏み込まない関係の中にばかり
有る。

このドラマの中で真相を難解にしたのは、血の繋がり
がある親子(佐藤家)の間で愛情がないが為に、戸倉
夫婦の間にも、どれ程、結婚当初の誓いである、
「健やかなるときも、病めるときも・・愛、敬い、
慰め、助けを、命ある限り誓えるのか」という気力が
残っているのか。

戸倉夫婦と比較対象となる亀山夫婦の物語は
なかなか面白く出来ていた。右京さん任せで解決を
図ろうとしていたが、実際に一連のラブレターの
流れは美和子には分かっていた感じだった。

夫婦間でも言葉に出してのコミュニケーションが
必要だ。
思わせぶりなメッセージを残していくというのは
鈍感な人なら分からない。その誤解がドラマの
シナリオを広げる格好となった。

●視聴者の好奇心をくすぐる要素

今回の事件では幾つかのパターンが考えられる。
どの可能性を想定して事件を見ていくかで驚きも
悲しみも憎しみも感じる。

・戸倉充は妻・祥子を既に殺害している
・祥子が本当に夫に愛想を尽かして浮気相手と逃亡
・佐藤が祥子に対して愛情や母親以上のものとして
執着している
・喫茶店で謎のヤクザの銃撃事件
・佐藤の同級生で幼馴染の長田瑞穂の存在
・過去の事件に於いて祥子が借金の代わりに体の関係
を求められていた事実。
・凶器は明らかに油絵を描くときのもの。
・佐藤家の流し台に絵の具を削ったような跡。
・2012年の年賀状に佐藤と長田が連絡を取っていたで
あろう事実がある。
・過去の写真の中には夏にも関わらず祥子が長袖を
着ている
・12年前にトラブルで家事代行業を辞めている祥子
(佐藤が両親から虐待されている事に口出しした)
・佐藤が戸倉充の妻・祥子が行方不明になっている
と知ったのが2年前。人探しに協力している。
・佐藤は祥子と顔見知りである事実を充に言わなかった
・清水は既に殺害されていた。

それぞれの相手に対する愛情の深さを図るのは容易な
ものではないな。

●最後のオチはやたらと手が込んでいる

夫・充が彼女を殺したのかと思えば、実際には奥さんを
殺していない。

「間違った道だとしても私の気持ちは変わりません。
どうかお元気で 祥子」

佐藤はメッセージを見て曲解してしまうが、この文面
からすると殺しには見えない。
そもそも充がカモフラージュの為に失踪者情報を
求めて続けていたとするのも無理がないだろうか。

「人生とは何か。」

長い時間をかけて来たものを否定されると人は
これまでの人生の全てを否定されたと思う。

彼女の存在は明らかにしたくないが、何処かで
生きていると思い続けたかったのではないか。

科学捜査的に言えば今回の事件は意外と滑稽に
映るかも知れない?

■出演者

杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁警視庁・特命係)
亀山薫 …… 寺脇康文 (1と5代目相棒・特命係)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (警視庁捜査一課。伊丹の後輩)
角田六郎 …… 山西惇 (警視庁組織犯罪対策五課)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視庁警視長・刑事部長)
中園照生 …… 小野了 (警視庁警視正・参事官)
益子桑栄 …… 田中隆三 (警視庁鑑識課員)
小出茉梨 …… 森口瑤子 (家庭料理店”こてまり”の女将)
出雲麗音 …… 篠原ゆき子 (警視庁 交通機動隊から捜査一課)
亀山美和子 …… 鈴木砂羽 (フリージャーナリスト)
*土師太 …… 松嶋亮太 (サイバーセキュリティ)

戸倉充 …… モト冬樹 (画家)
戸倉祥子 …… 岡内美喜子 (戸倉の妻・12年前に失踪)
佐藤晴樹 …… 松澤和輝 (23歳、カフェの店員)
(11歳時の晴樹:山田忠輝)
長田瑞穂 …… 永瀬未留 (23歳、会橋区民センター職員)
(11歳時の瑞穂:伊東璃々愛)
春日 …… 岸田研二 (世田谷中央署刑事)
高島 …… 相川裕滋 (家事代行サービス”くつろぎサポートPRO”社員)
清水久志 …… 佐野元哉 (画廊のオーナー)
宮下 …… 高間智子 (祥子の知人)
…… 松田祐司、 町田政則 (暴力団員)
…… 井上奈々、伊丹英寿 (晴樹の両親)

宮田博一、松田逸平、保科光志

宮部たまき ……

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