相棒22 第14話 亀裂

相棒22
(2023年10月期・テレ朝・水曜21時枠)

監督:橋本一(1)(2)(6)(8)(9)、権野元(3)(7)(10)
守下敏行(4)(5)、川崎龍太(11)、徳永富彦(12)、
片山耀(13)(14)

脚本:神森万里江(1)(2)(13)、岩下悠子(3)(5)(14)、
森下直(4)
光益義幸(6)、瀧本智行(7)(8)、輿水泰弘(9)(10)
田村孝蔵(11)(12)
エグゼクティブプロデューサー – 桑田潔
チーフプロデューサー – 佐藤凉一
プロデューサー – 高野渉、西平敦郎、古革昌実、
土田真通
編集 – 只野信也
音楽 – 池頼広

https://www.tv-asahi.co.jp/aibou/

第14話 亀裂

【ストーリー】

■喫茶店MAX

右京はチェスの学生チャンピオンと勝負する。
その光景を喫茶店のマドから見た男性・道明寺吉嗣
(67歳)が入店する。道明寺は常連客のようでマスター
に挨拶する。

チェスの勝負は右京のチェックメイトで決まる。
学生チャンピオンにも勝利する右京の強さ。
道明寺はそれを知り学生に席を譲って欲しいとし
右京に対してあなたを見る度に一局交えたいと
思っていたことを語る。右京も快く勝負を受ける。

道明寺と右京のチェスの対局となる。
彼は右京が警察に勤めていることを知っていた。
一種の社交場でとびきり腕が立つ客のことはみんな
が気になりあれこれ噂をするのだという。
右京は道明寺の噂も知っているとし、

「著名な美術コレクターであり若きクリエイター
たちの支援者でもある」

と語り、芸術世界に尽くしているところは素晴らしい
と語る。

陶芸家の島川雪乃(31歳)はあなたが支援者の一人だ
ったとし、アート系雑誌で偶にみるという。部下が
今日彼女の陶芸教室に参加すると言っていたと。

そんな中で道明寺のスマホが鳴るが無視する。

そして勝負は右京が勝利して終わる。

「恐ろしい人だ。棋風には人間性が出るもの。あなた
の差し回しは全てが正しく、無慈悲で冷酷」

勝負が終わったのでスマホに出ると殺人事件が発生
したとよし子から聞かされる。

●陶芸教室

亀山夫婦は、島川雪乃(31歳)が指導する陶芸教室に
通う。室内には雪乃が2019年4月に行った陶芸展の
ポスターが貼られている。

美和子は美和子スペシャルの大皿を作る。
雪乃は個性的な植木鉢になるとするが、美和子は料理用
の大皿だという。
一方薫は雪乃からマグカップの取っ手の作り方のコツを
教わるが、薫はTカップであることを告げる。

雪乃は現在人気の陶芸家で、教室に通うのに10倍近い
抽選倍率を引き当てたという。
来月からニューヨークに拠点を移すので、日本で
教えるのもこれが最後であると聞かされる。

■道明寺家 渋谷区

家の内外には捜査一課も含め刑事たちが多数居た。
家政婦をしている元木よし子はご主人は昼過ぎに
帰ると言っていたという。

伊丹の挙動がおかしいことに気がつく出雲と芹沢。

「来ねぇな」
「あの二人は今日は非番ですよ」

・特命係が到着

道明寺も同時に帰宅する。
遺体が道明寺家から見つかったというもの。
被害者は若い男性。
心当たりを尋ねられる道明寺だが、無いことを語る。
道明寺のコレクション(20億円相当)が全て何者かに
持ち去られたことを芹沢が語る。

第一発見者は通いのお手伝いさんのよし子だった。

捜一は「例のグループの仕業だと考えている」。
この一ヶ月で既に2件が発生している美術品強盗事件
のこと。
コレクターの資産家の邸宅に宅配業者を装い押し入る
強盗グループ。防犯カメラ映像を見る限り三人組の
犯行だった。

右京はドアノブを見つめる。

右京は遺体の状況を見て益子と会話する。
後頭部の外傷・硬直の度合いから見て昨夜の犯行で
あろうこと。益子は午後22時から午前2時だろうと語る。

机の角から血液反応が出ていることから見て揉み合っ
て突き飛ばされて頭部をぶつけたのではないかという
薫。

そんな中コレクションが入ったガラスケースとケース
の間に何かが落ちているのを見つける。

「陶器の破片」

犯人がキャビネットから美術品を出す時に落とした
ものなのか?

■感想

美術品コレクターで芸術家に惜しみない支援をして
いた男性・道明寺の自宅で若者が殺害される。
美術品のコレクションが自宅から全て盗まれていた
ことも有り、最近この界隈を賑わせている美術品
強盗グループの犯行に思われたが・・

人を人とは思わず駒のように扱うコレクターの男の話。

ドラマを見ていて何処かで既視感がある。
核心的なところが先週の「アストリッドとラファエル」
に通じるところがあるかな。
まぁこじつければ色々とこじつけられるのが
事件捜査のシナリオではあるのだけど・・

●アストリッドとラファエルのS4-3の場合

・過去に強盗事件が発生し、今回の事件と関係が
あるのではないかと疑いの目を向けさせる。

・犯行の動機は美術品にある様に見せかけて違う
ところで動いている。

・匿名性のあるネット(ダークネット)のやりとりで
集まった人たちなので、主犯が分からない。

・犯行をサポートしている人物は室内に精通していて
(合鍵を作れる)、家の主の行動を把握しているもの。

・議員殺害事件の事を連続殺人犯に押し付けようと
したが、その事件は別の流れから派生したもの。

・自分の作品が処分されることを恐れて見える
ところに色々と工作している。

・機内で殺害していたことも有って身近な人物の犯行。

・被害者が犯罪を犯していたがそれを操るものがいる。

・チェスを嗜むアストリッドとテツオ。

●策士は誰だ

大抵チェスを嗜む人がこういう犯行に及んだりしま
すね。その名の通り、人を駒に例えて犯行を行う。
時に駒を取られたり、それが戦術的に必要要素で
有ったり・・

このコレクターが異常でも有るけど、そもそも金の
力が人をおかしくしているところもあるし、余命を
告げられた人の中には好きなものに囲まれて死にたい
と思うものもあるのかもしれない。

金のあるコレクターであるほどに作品そのものを
超えて、それを創作する人たちを見えない足かせを
つけて遠くに逃げないようにする。
生前は支援という名で良い事をしているように見せ
かけて自分が亡くなる時にはそれを自分と共に
処分するという遺言を作成した。

美術品の強盗グループ事件とは犯行の手口が違う。

そもそもそのグループが家に入った時には作品その
ものが部屋からなくなっていたのだ。

この事によってこの事件は時系列が重要なファクター
になることは言うまでもない。

アリバイづくりに誰かを利用したり・されたりと
言ったような行動は確実にあるはずだし、その時系列
の一つ一つを克明にその瞬間を残しているのが
写真で有ったりする。

ストーリー的に荒いのは、それらの美術品を盗み出す
行動には相当な労力がいて、人に見られないように
して盗み出すことにあるのかもしれない。

●右京さん、”おまいう”状態

今回も捜一の言動は楽しかった。
特命係との短い絡みの中に楽しさが凝縮されている。

いよいよ犯罪の真相が発覚した際に、道明寺は
右京に尋ねる。

「何処から疑っていたのか」(道明寺)
「違和感穂覚えたのは初めてお会いした時。挨拶を
交わした事もない僕にチェスの対局を申し込み
直後に事件の一報が入る」(右京)
「”偶然”にしては出来すぎています」(右京)

これを言ってしまうと特命係こそ事件に遭遇する確率
が偶然にしては出来すぎている。

そもそも冒頭のやりとりを見ていると互いに相手の
噂だけは耳にしていて、右京自身も相手のことを
知っている。その相手にチェスの対局を挑んでも
不自然なものだろうか。

また犯人が異常な程にエゴをむき出しにした発言を
するのに対して、右京がいつもの一喝することに
よってシメとするのがこのドラマの良き所なのに
今回はその物言いがやんわりしていて歯切れの悪さ
を感じてしまう。

もちろんこの人物が直接手を下した訳ではないのだ
けれど、あまりの身勝手な行動に絶対に右京が
怒るだろうと思っていたが静かな諭しは何を意味
していたのだろうか。

●作品の所有権

世の中色んなコレクターがいるだろう。
小さなものから大きなものまで・・

亡くなってからのことをコレクターの人たちはどの
ように考えているのか。

このドラマに出てくるコレクターの心理が作品だけに
留まらず、それを生み出す作者自身も自分の
支配下に置いて新たな作品を生み出させて搾取する。
そして自分の命が尽きようとしていると、全ては
自分の権利だとばかりに、作品も同時に焼却しよう
としている。
当然それを創作したものたちはそれを快く思わない。
支援された事によって足元を見られて作品は支援者
の元に流れているからだ。
自分が居ない世の中に、彼らが作った作品が他人に
見られることにそんなに抵抗感があるものなのか?

■その他

・芸術

「明朝の壷」「北村源太郎の鉢」「加賀洞永の茶碗」

・美しい金継ぎ

割れた破片を漆で接着して金粉をまぶす修復方法

・百舌鳥ひとり

道明寺が気に入っている作品の一つ。

剣豪宮本武蔵が残した枯木鳴鵙図(こぼくめいげきず)

関口が筆を折る前に描かれた代表作は枯木鳴鵙図
に刺激を受けて作成された水墨画の掛け軸。

「隅にポツンと描かれた孤独と自信を併せ持った
百舌鳥の姿。作者自身の鋭さがにじみ出ている。」

百舌鳥の生態は面白いもので、深く追求していけば
作者のメッセージ性は隠されているものかもしれない。

・トクリュウ

ネットを介して特定の犯罪目的で繋がる匿名の
流動型グループ。
「スコルピオ」の存在

・「不器用で愚直だが温かい」

亀山薫が作成していたティーカップから右京が受けた
印象は彼の性格を表している。

今回の道明寺はチェスの棋風を見て右京の性格を
見抜くような発言をしている。

・見ちゃった感想

素直ではない捜一が特命係にやってくると、事件は
解決したように語るが机にさり気なく4枚の写真を
置く。その時に苦労して手に入れたものを見せて
ちゃったではないかという出雲たちに対して言った
セリフ。

「犯行グループにこの画像(写真)を見せたもの」

撮影者の見当がつかないので特命の力を借りようと
した捜一の人心掌握お芝居。

■出演者

杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁警視庁・特命係)
亀山薫 …… 寺脇康文 (1と5代目相棒、)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (警視庁捜査一課。伊丹の後輩)
角田六郎 …… 山西惇 (警視庁組織犯罪対策五課)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視庁警視長・刑事部長)
中園照生 …… 小野了 (警視庁警視正・参事官)
益子桑栄 …… 田中隆三 (警視庁鑑識課員)
小出茉梨 …… 森口瑤子 (家庭料理店”こてまり”の女将)
出雲麗音 …… 篠原ゆき子 (警視庁 交通機動隊から捜査一課)
亀山美和子 …… 鈴木砂羽 (“こてまり”見習い)
土師太 …… 松嶋亮太 (サイバーセキュリティ)

道明寺吉嗣 …… 小林隆 (67歳、美術コレクター)
島川雪乃 …… 清水葉月 (31歳、陶芸家)
横井正孝 …… 小野健斗 (32歳、洋画家、ミレー賞受賞)
関口倫之助 …… 坂口辰平 (37歳、元画家)
元木よし子 …… 村中玲子 (道明寺の家政婦)
浅原亮 …… 高尾悠希 (33歳、美術品強盗グループの一員)
新田真司 …… 祐楽 (30歳、美術品強盗グループの一員)
…… 青山伊津美 (喫茶店のマスター)
杉野雄大 …… 川端康太 (31歳、美術品強盗グループの一員)
…… 苅田裕介 (チェスの学生チャンピオン)

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