過保護のカホコ 第5話 ママは出て行くわ!!どうぞどうぞどうぞ

過保護のカホコ
(2017年7月期・日テレ・水曜22時枠)

脚本 – 遊川和彦
チーフプロデューサー – 西憲彦
プロデューサー – 大平太、田上リサ
演出 – 南雲聖一、日暮謙、伊藤彰記、明石広人
音楽 – 平井真美子
主題歌 – 星野源「Family Song」

http://www.ntv.co.jp/kahogo-kahoko/

第5話

【ストーリー】

いつもの加穂子と母・泉の儀式が復活。朝起こしてもらい、
今日着ていく服を選んでもらい、そして弁当を作ってもらって
は学校まで送り迎え。しかしその中に父親・正高の姿は無かった。
昨夜、あれだけ父親が苦労したにも関わらず父親の前では
決して母子の関係が戻る事は無かったが気がつくと母子はまた
元のようにして笑い合っているのである。
「オレは父ではなくスポンサーか?愛して居るのは金なのか?
2人で仲良く暮らせばいい」。
そう言い残して父親は家を出て行く。
加穂子は母にパパから連絡は有ったかと問うとその内帰るという。

その頃正高は実家に戻っていた。
教子からはまた一人扶養家族が増えたわねと嫌み。明日には
帰るよという正高だが・・ケンカでもしたのかと問われ、二人共
オレのありがたみを分かって居ないんだと。すぐに謝ってくる
筈だと。

加穂子は私がパパと電話しようかというが、母親はこれはケンカ
ではなくパパが勝手にキレて出て行ったのよとしてパパが
謝ってくるまでは入れてはダメだという。

父はせめて加穂子からは連絡が有っても良いのではないかと切ない
思いで出社する。

加穂子は通学途中に麦野からメール。「頼みたい事がある」
とのこと。母親は麦野からのメールだと知り気になり娘に忠告
する。でも私は恋愛対象ではなく友達だから・・というが、それ
なら会う必要は有るのかという。男女の友達は成立しないと。
しかし麦野くんは新しいことを色々と教えてくれるのだという。

アトリエ館にいく。
麦野からの頼みとは最近褒められた3枚の絵はいずれも人物画
だったこと。才能を発揮出来るのはそういう絵を描いている時
なのかと感じて、加穂子にモデルになってくれないかということ
だった。

■感想

日常はワンパターンなフォーマットでタイムスケジュールが
回っているところが有る。無機質で代わり映えの無い日常。
しかしドラマでは盤石と課しているそのフォーマットを少しずつ
壊していくことで僅かな違いや綻びから、人となりの成長、人間
関係、愛情などの綱引きを通して感じさせる作りになっている。
一見同じだけど実際には少しずつ軌道はズレていっているのだ。

親ならば子供は何時までも子供で立場は変わらねど、
色んな意味で優先順位が変わり始める。家庭を守る母親にとって
は子供の成長こそが自分の人生・価値を証明するものとなる
ことが多いのだろうし泉のような専業主婦ならば尚更のこと。
泉にして見れば、子供に頼られることがなくなることでの自分の
価値の喪失感というものは人以上に持ち合わせていそうだ。

泉だけがそんな心配をしているわけではない。
これまで自分の価値に対してそれぞれが悩み苦しんできた。
先週までは主に加穂子だったり、幼い時からチェリストだけを
目指してきた糸がその道を絶たれて価値を見失い、色んな人
に影響を与えている麦野でさえも自分の行く道は模索している
途中だ。
そして今週はパパさんが家族にとっての自分の価値というものに
言及し始めた。
決してスポンサーじゃないけど、毎度のように「2つのお願いが
有る」という娘からのアンサーは十分頼られているので良いので
はないかと。

先週のラストでは正高が自分は家族にとってどんな価値がある
のかということに苦悩し、怒りを覚えた。
怒りの感情が一斉に根本家、富田家、国村家を襲い酒の力も借り
て益々収拾が付かない状況だった。

このドラマは誰が悪いというものでもなく、以前にも言及した気が
するけど結局日本人の持つ臆病さを表していて、人一人が少し
変わって相手の悪い所を指摘できれば、変えるチャンスが与えら
れる。しかしやっぱり嫌われること、争うすることを
嫌う日本人の苦手な分野をナチュラルに刺激していっている。

存在するだけで周りを幸せにさせるというカリスマ性を持つ加穂子
はある意味凄い事だ。勿論全員にその魅力が伝わる訳では無い
のだろうけど。

結局加穂子は母親のDNAを受け継いでいるようにして麦野の為に
出来ることの一つとして弁当を作るということを決める。

青春のドラマにはよくある感じの、思い出の品を川に捨て、
それを探す為に川に入っていく描写を見て、「わっ臭い」と
思わず噴きそうになるところも有るけど、その臭さが人間臭さ
ではないかな。

全てが理想的に物事が進んでいて、人生に於ける予測不明な衝突
や難問でさえも予定調和的で安心して見ていられる。
逆にその分物足りなさも存在してしまうのは確かだ。
世界観は良いんだけどね。

■出演者

根本 加穂子 …… 高畑充希 (22歳、稜青大学・文理学部社会学科)
麦野 初 …… 竹内涼真 (24歳、芸術学部・美術学科)
根本 正高 …… 時任三郎 (54歳、父、双葉生命)
根本 泉 …… 黒木瞳 (51歳、加穂子の母、専業主婦、不妊治療)
国村 衛 …… 佐藤二朗 (47歳、交番勤務、環の夫)
国村 環 …… 中島ひろ子 (48歳、次女、身体が弱い)
根本 多枝 …… 梅沢昌代 (74歳、正高の母)
根本 正興 …… 平泉成 (77歳、正高の父)
根本 教子 …… 濱田マリ (50歳、正高の妹、出戻り)
富田 厚司 …… 夙川アトム (41歳、節の夫、看護師)
富田 節 …… 西尾まり (44歳、三女)
富田 糸 …… 久保田紗友 (18歳、節の娘、チェリスト)
並木 初代 …… 三田佳子 (72歳、泉の母)
並木 福士 …… 西岡徳馬 (74歳、泉の父)

倉橋秀美、保榮茂愛、川上ファラ、平川柚那

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