嘘の戦争
(2017年1月期・フジTV・火曜21時枠)
脚本 – 後藤法子
演出 – 三宅喜重、宝来忠昭
プロデューサー – 三宅喜重、河西秀幸
音楽 – 林ゆうき、橘麻美
ナレーション – おかなつこ
http://www.ktv.jp/uso/index.html
第9話 最終章へ恩人に復讐…宿敵一族と全面戦争に
【ストーリー】
浩一は五十嵐が残していた録音テープを聞いて30年前の首謀者が
興三であることを知り復讐を仕掛ける。望むものは二つ。
「懺悔」と「絶望」だ。しかし逆に隆に詐欺の証拠を掴まれた
浩一は窮地に陥り、正体を明かして罪を償わせようとする。
六車に復讐する中、父が事件の証拠を恩人の守に託していた
真実を知る。「家族を守りたかった」という守の言葉に浩一は
復讐しようとする。アイツを地獄に落とすのは簡単だと。
興三は退院する中で、楓のことを聞くと七尾は抜けられない仕事
があるとして誤魔化す。興三にも来ない理由は分かっていた。
興三の退院には桜や梨恵なども訪れる中、浩一がやってくる。
仁科家は理由も聞かされずとにかく浩一には気をつける様
言われていた為に、梨恵は桜を呼び寄せる。興三は浩一と二人
きりにさせてくれと頼む。
興三は浩一に対して何が望みなのかを尋ねる。
まずは謝罪会見だとし、30年前の嘘を公表して謝れという。
家族殺しと呼ばれた俺の父、そして殺された母と弟。話はそれか
らだという。興三はそれに何の意味があるのかと問うと、
もっと賢い人間かと思ったという。浩一は従わなければネットに
音声を流すとし、その音声を世間が聞いたらどうなるか。
それ以外にもう一つデカい秘密も握っているとし、世間に知られ
ればニシナcorp.は終わるだろうと。興三はハッタリだろとし
詐欺師めと告げる。信じる信じないかはご自由な・・と。
その頃七沢由美子と八巻康介は守の最大の弱点だとして監視して
いた。守の一人娘は由美子である。ハルカは本当に守さんをハメ
るのかと問うと子供の頃に助けてもらったのでしょと。婚約者の
家族は官僚一家。父・和夫は元厚労相で夫は文科省に勤務してい
ること。そして母親は千穂。大学を出ていない由美子との結婚は
反対されたが康介の押しで親を説得したのだという。何年も遭って
いない父のせいで縁談がぶちこわされたら娘は一生父を恨むと
いう。ハルカはそれを聞いて今回は協力は出来ないとし一人で
やってと語る。
隆は興三の元にいくと、浩一との件を尋ねる。
謝罪しないとネットでレイの音声を流すといわれたこと。
もう一つ大きな秘密を握っていると言っていたとしニシナにとって
致命的なものだそうだと。七尾は粉飾決算のことではないかと
すると、晃なのか・・と。隆は録音の方は何とか出来るかも
知れないと語ると、その足で百田の店にいく。
■感想
いよいよラス前のエピソード。
日本のドラマでも最後まで予断を許さない展開・状況というの
が作れるようになったんだね。
日本の小説家のレベルは高いなと思うけど、どうも日本は脚本
から映像に起こす作業がヘタで、正直この辺は韓国ドラマにも
劣るなと思わせる部分が有った。
最初の掴みが面白いドラマは意外と有るのだけど、その後の
展開力、シナリオの構成力があまりにお粗末な日本のドラマ
が多すぎるのだ。これは恐らく日本のドラマで影の形で進行する
主軸のドラマの結末の形が見えてしまうことで求心力を失って
しまうからだと思われ、本来ならば普通のドラマの中にこそ
面白さを見出すような工夫が必要だと思うから。
私は何らかの形で浩一にも被害者の気持ちだけでなく加害者の
気持ちを味わわせて虚無感に包まれる浩一の姿を想像していて、
その展開が最後にあると思っていた。
それが父親の中の隠されていた真実みたいなところに繋がって
いくのかなと思っていたけど、実際には守と父親の友人関係の中
に色々と浩一を複雑にさせるシナリオを用意したものだった。
子供を守る大人が居なければ確実に道を外してしまう状況の中
二兎を追う守は両方とも救えないかと思った。
守の勇気は娘との関係を犠牲にしても浩一と寄り添うこと。
色々ともっと器用なやり方というのは有ったと思うけど、結果と
して少しでも自分が事件のことを知り家族に知られれば、被害が
及ぶと思っていたのだろうし、黙って浩一を見守ることにしたの
だろう。
人間は非情な生き物だと思っていた浩一の価値観を破る守の存在
によって、長いこと時間はかかったが浩一という人物の人間性
を最後の所で踏みとどまらせたのではないかな。
ハルカはそれを止められるのは楓だとしていたけれど、寧ろ楓
には浩一を止めるのではなく、仁科側の暴挙を止める役目を
持たせるのかも知れないね。
ダマしダマされの構図。
隆が騙すと称して百田に接近する流れの中には、謝罪のネット
中継という名の元で故意に作成された偽の謝罪動画を浩一に
見せることなのかなと思っていたけど、それを見せただけでは
時間稼ぎは出来てもすぐにバレてしまうものね。
百田とカズキの使い方に関しては色々と複雑な意図が含まれて
いて面白い。やはりカズキは浩一と一緒に居る時間、一連の
復讐劇に関わっている時間が長い分だけ完全なる非情さには
徹しきれないところが有った。
問題となるのは、浩一が形勢不利な状況になり気がゆるんでいる
ニシナに倍返しだ!!とばかりに、ニシナの社運がかかる命運を
奪いとること。
個人的には百田がニシナのデータを盗む流れに一枚噛んでいて、
百田が隆の気を引き留めて居る役目を果たしているのではない
かなと思っているけど、額面通りに裏切っている可能性も否定は
出来ないか。
隠れている時にスプーンが落ちて見つかってしまうという悪事が
出来ない宇宙の法則めいたベタな流れは笑えた。
晃も出来れば浩一をハメていると見せかけて実際には自分の責任
を取る形で何か裏の裏を突く展開を期待したいところ。
仁科家には浩一の家族にしたことの全てが明らかにされたので、
今後相手にダメージを与えるとなれば、復讐するのは辞めたことを
知った後に浩一を絶命に追いつめることになるのかな。
晃や楓にとっては相当なダメージを受けることになり、その結果
興三や隆にも間接的には伝わっていくところも大きくなりそう
だしね。
■出演者
一ノ瀬浩一(旧名:千葉陽一)…… 草彅剛 (家族を殺された詐欺師)
二科隆 …… 藤木直人 (次男、二科コーポレーション社長)
十倉ハルカ …… 水原希子 (浩一の仲間?)
八尋カズキ …… 菊池風磨 (ユウジの甥)
百田ユウジ …… マギー (バー”800″オーナー、浩一の師匠)
七尾伸二 …… 姜暢雄 (会長の秘書)
四谷果歩 …… 野村麻純 (社長秘書)
三瓶守 …… 大杉漣 (宮森わかばの家の園長、元医師)
二科楓 …… 山本美月 (興三の娘、慶明医科大、救命救急医)
二科晃 …… 安田顕 (長男)
二科興三 …… 市村正親 (二科コーポレーションの会長)
二科桜 …… 吉澤梨里花 (娘)
二科梨恵 …… たくませいこ (妻)
鳥の声 …… ゆりやんレトリィバァ (バーのオウム)
千葉 …… 迫田孝也 (慶明医科大学、陽一の父)
幼少期の千葉陽一 …… 小林颯
千葉一恵 …… 中島亜梨沙 (陽一の母)
千葉大輝 …… 齋藤絢永 (陽一の弟)
春一 …… 伊藤歩夢(施設の子)
光也 …… 水野哲志 (施設の子)
祐樹 …… 庵原匠悟(施設の子)
六車了司 …… 神保悟志 (暴力男、興三の息がかかる)
八巻庸介 …… 浜田学 (文科省官僚、由美子の婚約)
三井研治 …… 杉野遥亮 (ニシナcorp.開発部)
七沢由美子 …… 国仲亮子 (守の娘)
八巻千穂 …… 金沢きくこ (庸介の母)
三津田誠二 …… 井上浩 (弁護士)
岩田知幸、遠たつお、長島竜也