相棒16 第7話 倫敦からの客人

相棒16
(2017年10月期・TV朝日・水曜21時枠)

EXプロブューサー:桑田潔
チーププロデューサー:佐藤凉一
プロデューサー:高野渉、西平敦郎、土田真道
音楽:池頼広

http://www.tv-asahi.co.jp/aibou/

第7話 倫敦からの客人

脚本/徳永富彦 監督/内片輝

【ストーリー】

冠城は今日も一日事件らしい事件がなかった事を語る。
右京は無事平穏なのが一番だという。冠城は帰宅しようとして
いた所、右京の携帯に電話が鳴る。花の里の女将・月本から
のもので杉下さんな逢いたいとして来ている人がいるとの事。

・花の里
そこには南井十の姿が有った。3日前に来日したこと。夏に
仕事をリタイアしたという。日本旅行に来た以上は右京と
逢わない訳にいかないだろうと。右京は同席した冠城に対して
南井のことを紹介する。スコットランドヤード/ロンドン警視庁
の警部だという。ロンドン研修時代に右京は世話になっていた。
南井は親が大戦後に渡英し、私は向こうで生まれたのでイギ
リス国籍だという。かつての右京の相棒とのこと。
女性は袖口、男性はズボンの膝を見れば全てが分かるものだ
として冠城が自己紹介しようとする前に語り出す。
あなたは警視庁なはまだ間もない・・元官僚・・恐らく法務省
かと。そんなことまで分かるのかと驚くが月本は自分が話して
しまった事を語る。右京によると彼には人に心を開かせる
所が有るとのこと。犯罪者も彼を信じて自供させる所がある
という。右京は3年前にロンドンで未解決事件を解決した
ことを語る。流石のお手並みでロンドンの殺人事件、迷宮入り
しそうだったとのこと。被疑者の自殺で終わってしまったのが
残念だったという右京。結局犯罪は無くせず、「光で照らせば
必ず影が出来る・・寧ろ光を強める程影は濃くなり、正義
と悪はそういう関係に有る」と南。

・南玉川公園
事件が発生する。被害者は西田泰史(45歳)、派遣の警備員
の仕事をしていたという芹沢。所持品はこれだけだと伊丹に
見せる。死亡推定時刻は昨夜の22時から24時。後頭部を動機
で殴られているが、死因は外傷性脳出血だろうと。益子は
池の中に落ちていた電池の残量から落として間もないという。
本体の識別番号を照合するがどのキャリアとも契約していな
いものだという。そこに現場で証拠品を捜していた土村晋之
はもしかしたら犯人の携帯かも知れないとし中から妙なもの
が出たとのこと。

VTRを見ると男が何者かを殺害しているような動画だった。
もみ合っている人物。携帯の識別番号から割り出そうとした
が中古で転売されたもので分からないとのこと。中園は
VTRの人物の身元を特定しろという。

青木は特命係にやってくると動画以外に2枚の写真が有った
という。時計が2つ写っていた。そして落ちていた携帯を
調べるとダークウェブにアクセスした形跡が有るという。

芹沢たちは被害者の遺族で息子の西田真人に事件のことを
知らせに行く。そして彼にもみ合っていた男の画像と
落ちていた携帯電話を見せるが見覚えはないという。父の
人間関係は知らないとし生活の時間帯が違うのだという。
夜勤が多かったとのこと。昨日もそうだったと語る。

青木はインターネットの構造を説明する。
普通の人はサーフェスウェブ、そして検索エンジンには出な
いディープウェブは暗号化されたもの。そしてダークウェブ
と呼ばれたものがあり通常では見られず専用ツールでしか
アクセス出来ないとのこと。そこでは麻薬や銃が購入出来る
という。青木は捜査はしているがサイト自体が海外に有り
治外法権だという。ダークウェブではオニオンルーティング
という技術が使われて居て身元の特定が出来ないとのこと。
右京は元は海軍が出資して開発したもので秘匿通信技術
の一つだと語る。犯罪の温床故にアクセスするからには逆に
パソコンが乗っ取られる可能性が有り、以前にハッキングさ
れたことがあるという。殺人動画もこのネットに掲載されて
おり、同じ名前の人物が2人を殺害動画を掲載しているとの
ことだった。

■感想

如何にも正月スペシャルとか来シーズンのスペシャル版のネタ
に使いそうな雰囲気感満載のシナリオ。
人の心を開かせるのが得意と言った冒頭での前振り感と
事件の解明が進み、人が人に操られている構図が判明していく
ごとに、そんなロジックを組み立ててその元凶を作ったのが
南井だという感じがしてくる内容だった。

「完全犯罪を教える」というドラマ。
過去にも別のドラマで繰り返し題材になっている。

南井が嘆いているのが、幾ら捜査しても悪人は無くならないし
法廷で裁けないかも知れない犯罪者を相手にして制裁的意味
合いを持って自らの手で死ぬように工作している感じだ。

ネットに於ける深層的な内容も含まれていた。
オニオンルーティングについては、同じ日に放送していた
「NCIS : ニューオーリンズ」12話の中でも使われて居る
匿名性システムで、スペイン銀貨を闇サイトで売る為に
それを使っていた形跡が有った。

これだけ計画が重なっていくと何処かで必ず綻びが出てしまう
もの。ここでは個人の経験が逆に蛇足のような形で犯罪の
証拠を残してしまうという流れが有る。

どれだけ身を隠そうとしても何処かに真実は存在している。

連続殺人鬼として幼少期からその傾向を持っていた真人。
人はこういう傾向を見せ始めた時にはどう対処すれば良いの
だろうか?
犯人は自分の親さえ殺そうとしていて罪をぬすりつけようと
している。それに気がついた父親も息子に罪は着せられない
として襲われたにもかかわらず身内を無条件に守ろうとして
いた。

右京のロンドン時代の話は興味深いけれど、3年前の事となる
とそう遠い日のことではないな。
このロンドンでの事件もネタとしてはドラマで扱いやすそうだ。

至るところで見逃すことがなかった物証を淡々と積み重ねた
ことで難題を解いていった形だが、最後は結局スッキリしない
結末を迎えた。
犯罪を犯罪だと感じていない人への扱いはとても難しい。

ネットの匿名性の問題、ネットが及ぼす影響力などが含まれて
いて、一部オレオレ詐欺に見るようなロジックにも繋がるの
だろうけど、少々一般人とは違うところで起きた感じのする
事件でもある。
ただ買い手がいるからこの手のマーケットが存在してしまう
こともまた真実なのだろう。

■出演者

杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁・特命係)
冠城亘 …… 反町隆史 (4代目相棒、総務部広報課->特命係)
月本幸子 …… 鈴木杏樹 (2代目”花の里”)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)
角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策五課)
大木長十郎 …… 志水正義 (組織犯罪対策部)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長・刑事部長)
中園照生 …… 小野了 (警視正・参事官)
青木年男 …… 浅利陽介 (サイバーセキュリティー対策本部特別捜査官)

南井十 …… 伊武雅刀 (スコットランドヤード・警部補)
土村晋之 …… 須田邦裕 (捜査第一課)
西田泰史 …… 康喜弼 (45歳、派遣社員・警備員)
西田真人 …… 深澤嵐 (泰史の息子)
平岡尚道 …… 中村元気 (大麻・拳銃の売人)
朝山 …… 原田文明 (マンション・グランデ玉川中央管理人)
…… 水野大絆 (刑務官)
矢沢正 …… ホームレス・6年前殺害、当時66歳
藤岡淳子 …… 3年前・家出、当時16歳
小川 …… 3階の住民・公務員
加藤 …… 6階の住民・ゴミ捨て

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