特捜9 S3 第5話 見忘れていたエピ

特捜9 S3
(2020年4月期・テレ朝・水21時枠)

第5話 10年目の殺人
(再開新作! 班長の秘密に新展開!! 過去から来た男…10年目の殺人)

【ストーリー】

●特捜班

国木田は一人オフィスの中で部下たちの人事ファイルを
観る。国木田は先日警視総監の神田川宗次朗から班長の椅子
が空いていることも有り特捜班を率いる様命じられていた。
彼らを統率することは出来るのか。

そんな状況の中、国木田の元に一通の手紙が届き目を通す。
届いたのは竹内沙織という女性からのもの。
電話を掛けてみるも彼女に繋がることはなかった。

直樹がオフィスにやってくると二人は顔を合わせるが、国木田
は野暮用が有るとして出て行ってしまう。

その頃真澄の元には新藤がやってくる。
今朝発見された自殺体として解剖した女性の遺体だが、真澄
によると口元に違和感があるという。口紅がはみ出ている
のである。女性が自分で塗ったものではない。しかし所轄は
自殺と言い張り聞く耳を持たずにいるという。
それを聞いた新藤は自分たちが捜査することを約束する。

新藤はオフィスにいる直樹に電話すると、真澄から見せられた
遺体のことを話す。
亡くなったのは竹内沙織(37歳)、都内の税理士法人・住松
会計事務所に勤務。無断欠勤していたので同僚社員が自宅を
尋ねたところ首を吊って亡くなっていた。

それを聞いた直樹は

『他殺を疑う根拠は?』

と尋ねる。
真澄は口紅の塗り方だとしていたし、更に調べると前歯に
微量の血痕が付着していたと朗は報告してくる。そして
その血は第三者のものであること。死には他の誰かが関わって
いる事を告げる。
新藤は第一発見者から話を聞きに行くという。

竹内という名前に直樹は聞き覚えが有った。
所轄時代の直樹の先輩の門脇健治と不倫関係に有り、二人が
警察を辞めたのはその不倫が原因だった。
現在門脇は元捜査一課で有ったことを利用して書籍を書いた
り事件関係のニュース時のコメンテーターとして活躍して
いた。
直樹と門脇は10年前に女性ばかりを狙う連続殺人事件で再会
していた。事件は無事に解決したがその後直樹は門脇とは
連絡を取らずにいた。

直樹は青柳たちにも電話で門脇のことを話す。
かつて10年前の事件でも門脇は容疑がかかっては居たが逮捕
されることはなかった。青柳たちには被害者を調べて欲しい
事を告げ、直樹は門脇と会うという。
村瀬と志保は非番で休んでいた。

■感想

6、7話を見てからの5話の鑑賞と至ります。
5話が放送する頃(6月17日)はまだ各社ドラマの特別編という
名で過去を振り返る編集ドラマを放送しているところが
多く、春ドラマと夏ドラマの関係がどうなるのかよく分から
なかった頃です。一応19日に日本では緊急事態宣言が引き下げ
られて行動制限措置が解除される事になっていたのでその後に
ドラマが撮影されたり放送されたりするのかなと思って居まし
たが思いっきりその予想も外れて放送され、仕方なく知人に
ドラマを借りて見てみました。

今回は10年前に発生した事件の再来感を臭わせる事件で、当時
登場した橋本さとしさん演じる元刑事の男・門脇健治の再登場。
当時のタイトルは「新・警視庁捜査一課9係」でしたが、
そのシーズン2の6話「殺しのルージュ」に登場した人物で、
まさに10年をかけての再登場というのだから、テレビ朝日の
ドラマの凄さ・深さ・長さを感じさせます。

新・警視庁捜査一課9係 s2-6より (別サイトに飛びます)
https://itawind.web.fc2.com/2010/shin_keishicho206.htm

このドラマがいつ頃撮影されたのかは分からないけど
ソーシャルディスタンスという名で電話でのやりとりが多か
ったり、聞き込みでもなるべく対面しないような工夫がされ
ていたかなという感じ(色んな分割的画像演出が多かった)。
しかも10年前の回想シーンを挿入出来るとなけば現場での
撮影機会も減るしね。

人の付き合いというのはどのくらい続くのか。
同姓同士ならともかく異性間での付き合いには密接感こそ
あれ崩れるとどうなるかは神のみぞ知るって感じでしょうか。
今回の被害者の様にずっと引きずっている人も居れば、一方の
相手方は次の人生の為に先に進んでいる。
ただ門脇本人によると、

「人は簡単には変わらない」

とセリフの中で述べていた事があり、まだまだずぶずぶの関係
が続いているのかとさえ感じさせる。

興味深いのはその対称性として描かれたのかも知れないけれど、
一方で気になるのは、特捜班の人間関係だ。
相棒である村瀬と志保の二人が非番で私生活でも一緒に居た
という流れを作っていること。7話を見た時にも感じた
けれど、このシーズンは意外と2人の関係を更に一歩近づける
という流れがあるのではないかな。
そして班長の国木田を絡ませてきたけど、正直私はこのキャラ
には全くピンと来ていないのでこのポジションは必要なのだ
ろうか?

今回の会話で見ると「かつて班長は熱血刑事だった」
それに「人は簡単には変わらない」という主張をぶつけると
いずれ彼は元の性格に戻っていくのかな。まぁこのポジション
はそういう役割なのかも知れないけどね。

さてドラマとしては冒頭からいくつかの謎が提示されている。
男女のことなので難しいものだけど、まず二人の不倫が何故
門脇の奥さんに当時バレてしまったのか。
竹内が信頼していた上司は捜査一課の国木田だった。

国木田のデスクの上に有る「竹内からの手紙」。

そして男女関係に於ける難しさを示唆するものとして登場する
志保さんと村瀬さんの痴話げんか。
こういう対比が面白かったりする。

・事件関係者 / 検視

・竹内沙織

今回の被害者。元東赤羽署の捜査官。自殺体として運ばれて
きたが、真澄は口紅の塗り方から違和感を覚える。
また竹内に関しては、冒頭でいきなり国木田さんに手紙が
届いていたことも有り、二人の間にどういう事情があるのか
というところか。日本橋印刷の経理課の和田孝雄

・門脇健治

「自己顕示欲のいけ好かないヤツ」・・とは青柳談。
元警視庁の捜査一課の刑事で最初に出てきた10年前には既に
テレビコメンテーターをしていた。被害者と不倫関係に有った
ので辞めざるを得なかったところ。当時容疑者になったことも
有る。
10年前別れて会っていないが、二週間前に謎のファンレター
が届いている。
10日に会いたいという内容だった。
彼女の家は知らないと言っていたが実際には彼女の家を尋ねて
いる。参院選出馬を目指している為に過去のスキャンダルを
消そうと思って尋ねていた様子。
案の定彼女の部屋に行くと死んでいて口の中には門脇との
ツーショット写真があった。

・和田孝雄

和田が竹内のところにやってくるところを青柳たちが任意同行。
竹内には交際を申し込んでいた。
和田は門脇が竹内の部屋の前にいた所を録画している。

・それぞれの役割

・直樹と新藤

直樹と新藤は別々に動くことが多かったかな。
直樹はかつての先輩の門脇、新藤は被害者の会計事務所で
聞き込みをしていた。笑えるのは新藤と会計事務所の女性
がソーシャルディスタンスのせめぎ合いをしているところか。
女性は新藤に好奇心を抱いていたようで近づいて話をしよう
としているが新藤はボードを隔てて聞き込みを行う。

・志保と村瀬

今回は非番の二人。なんと二人は一緒にいた。
志保の引っ越しする友人から家電をもらい運んでもらう為に
村瀬に同行してもらったみたいだ。見栄を張って二人は夫婦役。
志保が嫌みを言った途端に二人は痴話げんか。

・青柳と矢沢

被害者周りの捜査を担当していた。
被害者の竹内は東赤羽署で働いていたようで4年前に辞めて
いる。面白いのはここでもソーシャルディスタンスの壁が
出来ている。荷物を運ぶ男がさりげなく青柳と矢沢の距離を
遠ざける。「わざと?」とは矢沢談。

・国木田

常に訳ありそうだった。
彼は門脇に会いにいっていた。
「後悔している・・あの時親身になっていれば・・」とは国木
田談。

被害者の解剖のやり直しを頼み、リンパ節ガンだったことを
知る。

■クローズド

「2通の手紙」「筆跡鑑定」「歯に残った血痕」「口紅の跡」

10年前に発生した事件に於いて被害者には口紅が塗られていた。
そのことを知っている人物による仕業ではないか。

警察関係者に思えたが、結論からすると自殺だった。

和田孝男は選挙のポスターを作る印刷会社。
そしてその会計事務所は竹内沙織が担当していた。
その関係で二人は出会い、そして不倫関係だった時代のことも
打ち明けていた。その時点で心は許していると思うんだよね。

和田は彼女は報われない人生に悔やんでいたと考える。
ただ実際には彼女のガンが発覚したことが全てだった。
和田との関係を真剣に考えて居たが余命を宣告されたので
辛い別れを経験させないようにしたようだ。
そう考えるとまさに報われない人生になってしまった。

手紙を偽装したのは和田。二人を引き合わせようとしていた。
彼女の事を思っての事だった。
彼女もまた和田自身の幸せを進んで欲しいと願っていた。

そして最後のオチには
「門脇は変わっていない」

「志保のパンは美味しいのか否か」

誰もが思ったであろうことは何故倫子ちゃんに味見して
もらわないのか。

不味いパンってあんまり食べたこと無いな。

美味しい派・・志保、直樹
不味い派・・村瀬、新藤

■出演者

浅輪直樹 …… 井ノ原快彦 (特捜9・主任)
小宮山志保 …… 羽田美智子 (特捜9)
青柳靖 …… 吹越満 (特捜9)
矢沢英明 …… 田口浩正 (特捜9)
村瀬健吾 …… 津田寛治 (特捜9)
早瀬川真澄 …… 原沙知絵 (監察医)
新藤亮 …… 山田裕貴 (特捜9)
浅輪倫子 …… 中越典子 (パティシエ、直樹の妻)
神田川宗次朗 …… 里見浩太朗 (警視総監)
佐久間朗 …… 宮近海斗 (鑑識)
広岡巧 …… 新貝文規 (監察医)
三原達朗 …… 飯田基祐 (刑事部長・広域捜査担当・審議官)
国木田誠二 …… 中村梅雀 (警視庁・総務部・広報課)

門脇健治 …… 橋本さとし (元警視庁捜査一課刑事、現TVコメンテーター)
和田孝雄 …… おおたけこういち (38歳、日本橋印刷・経理課)
竹内沙織 …… 竹内恵美 (37歳、住松会計事務所、元東赤羽署)
東赤羽署婦人警官 …… 谷川清美
住松会計事務所職員 …… 林田麻里 (第一発見者)