アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋
(2020年7月期・フジTV・木22時枠)
原作 – 荒井ママレ
脚本 – 黒岩勉
主題歌 – DREAMS COME TRUE 「YES AND NO」
音楽 – 信澤宣明
プロデュース – 野田悠介
演出 – 田中亮(1)(2)(5)(7)(8)(10)、相沢秀幸(3)(4)(6)(9)
第10話 薬剤部はバラバラになった
【ストーリー】
ガンの事実を隠せなくなった瀬野章吾は、自分の薬剤のこと
に関しては葵に任せる事を告げる。
●萬津総合病院
・調剤室
翌日、瀬野が重複ガンであることを販田はスタッフ仲間にも
告げる。瀬野が入院治療で休む間はみんなで薬剤部を守ろう
と。病気については担当医師は畑中で薬剤師は葵になると
いう。葵は刈谷たちに非小細胞肺がんと食道の腫瘍には
抗がん剤のS-1で対応する事を告げる。しかし問題は確立
された標準治療の無い副腎がん。葵はミトタンを対処療法で
使用することを語る。
瀬野がやってくる。
入院手続きが終わったので今日から俺は患者扱いだというと
ちゃんと戻ってくるので心配するなとみんなに語る。
・7週間後
畑中医師から説明を受ける。
1クール終わったが今のところミトタンによる効果は無し。
2クール目からは増量しようと思うと言う。葵もまた今は
それがベストだと語る。
・DI室
葵は副腎がんについて調べていると七尾がやってくる。
このままだとあと数ヶ月。海外には有効性が認められて
いるクスリ・FP258があるという。治験のエントリーは可能
なのか?という葵に対して、彼は話を通すことは可能だが
後々強引に治験をねじ込んだと分かると責任問題になると
いう。そこで提案として葵が全責任を持つこと。
製薬会社がokを出しても治験には3つの関門があるという七尾。
1) 主治医の畑中に治験責任の医者になってもらうこと
2) 病院内治験審査委員会で承認を得ること
3) 瀬野本人の同意
だと語る。
■感想
いよいよ10話なので最終話なのかなと思ったけど、来週が
最終話みたいだ。
今回もまた職場としてのチームワークはもちろんの事、
葵や七尾の原動力となる不思議な命の連鎖的流れが興味深く
設定してある。
七尾はこれまで治験・研究担当なので殆ど顔を見せること
が無かった。瀬野との絡みが殆ど無かった気がするが、
今思うと、時折二人が顔を合わせる際には厳しい態度を
取っていたような印象もある。
二人は瀬野の母親・佐織里との治験で関係している。
そんな流れの繋がりがあったかと思えば、今度は瀬野を
説得する際には葵がその存在感を発揮した。
葵の妹の話はこれまでにも有ったけど、まさかその時の
薬剤師が佐織里さんだったこと。
何処かのドラマではないが「恩返し」的な意味合いがあった
り、後悔していることへのある意味リベンジ的な意味合いが
含まれていることは言うまでも無い。
医者も患者になって初めて知る思い。
がん治療に於いて母親が治療の甲斐も無く最終的には
緩和ケアを通して亡くなっていること。
いざ息子・瀬野が同様の事態に陥った時、やはり緩和ケア
を望む光景があり、今回救急搬送されてくる患者の絶望感
を和らげるような台詞は、まさに瀬野にも同様に言える
事になる。
佐織里を治験を使って治そうとしていた七尾にとっては
悔しかったであろう事実。その過去を踏まえて治験審査
委員会では彼の経験則からやってくる説得力が人々の
気持ちを揺るがした。そもそも大学病院だけでしか治療が
出来なかったらみんなが集中してしまうし出来ることなら
ば病院関係者が治験を受けた方が正確なことを伝えられる
のではないかと思ってしまう。
またその瀬野に対して教わったものたちは、みんな彼が
挫折しかかっている際には彼の教えと称して色々と励まし
原点に立ち返らせるような演出がなされた。
「お前がしたいことではなく患者がして欲しいことをやれ」
「もっと患者の為に働け」
■患者
今回は二人の患者だったが病院関係者の瀬野がメインと
なってしまったので丸岡の存在感は極めて薄かった。
しかし薬剤師としてアドバイス出来ることや、瀬野が
指導していた葵、葵が指導していたくるみに伝わり、成長
したことを感じさせる。最後にはまたその連鎖が続くのか
の如く、入院患者だった簑島心春がこの病院に戻ってくる。
鮭の遡上か、帰巣本能か!(笑)
・瀬野章吾
非小細胞肺がんと食道の腫瘍という重複がんの患者。
問題なのは副腎がんという100万人に2人程度の確率が
がんになるヶ所の問題で治療方針は確立していない。
抗がん剤にはS-1というものが使われたが1クール目は
まるで効果無し。2クール目は薬を倍にしていたが
吐き気で苦しそうだった。
そこで治験の話が出てくる。七尾からの提案で、一応
治った実績は存在する。
ただし色々と治験の資格を得るには問題もある。
ただがん患者100万人に2人の確率ならばそんなに多くはない
ので治験をどんどんさせれば良いのにね。
最後に治験を受けるかどうかという際に、瀬野は母の墓参り。
その場所は葵もよく知っていて何度も来た事が有るという。
当時の瀬野の母が何故緩和ケアに移行したのか。
その絶望的なまでの痛みというのが背景にあり、それが
永遠のように感じるところがあったからだ。
瀬野の母と葵の繋がりは白血病だった葵の妹の担当薬剤師
だったという。その母親の対応の良さに葵も薬剤師を目指
すようになった。
・丸岡はじめ
萬津駅で倒れて、救急で運ばれてくる。
瀬野がまだこの時点では歩いていて様子を見に来ていた。
飲んでいる薬と持病などを看護師や医者にいうべきだと
いう。
元々丸岡は
「脂質代謝異常症」を患っていて、
清宮中央病院からロスバスタチン錠とニコランジェル錠
を飲んでいた。
それを聞いた医師は副作用の心筋梗塞を疑いすぐに
塩酸モルヒネを用意した。
容体が収まると処方された薬は・・
・アスピリン
・ランソプラゾールOD
・クロピドグレル
・ビソプロロール フマル酸塩錠
・ペリンドプリルエルブミン錠
・ロスバスタチン錠
・ニコランジル錠
1ヶ月5430円の薬が処方される。
しかし一生その金額を払うことは出来ないとして落ち込んで
いたが、基本的に医療費はある程度高額になると申請すれば
戻ってくるぞ。
ジェネリックと合剤で対応して、1ヶ月3007円にまで抑えら
れた。
■さて最終話は?
2年が経過していた。ドラマの時計を見るとずっと2019年
だったからな。2年後には研修として武蔵医科大薬学部
から簑島心春がやってきた。
しかし残念なことにここの薬剤部に二人の姿が無い。
協力して瀬野の件では対応していたハズだったけどどう
なったのか。
あの時のみんなで押した判子のことを思い出して欲しい。
判子は現代の日本の負の象徴のように言われるが現場に
よっては感動的なアイテムに見えるね。
■出演者
萬津総合病院薬剤部
葵みどり …… 石原さとみ (薬剤部)
相原くるみ …… 西野七瀬 (薬剤部・新人)
刈谷奈緒子 …… 桜井ユキ (薬剤部・主任)
羽倉龍之介 …… 井之脇海 (薬剤部・メガネ)
工藤虹子 …… 金澤美穂 (薬剤部・メガネ)
販田聡子 …… 真矢ミキ (薬剤部・部長)
七尾拓 …… 池田鉄洋 (薬剤部・副部長・治験担当)
荒神寛治 …… でんでん (薬剤部・魔術師、DI室)
瀬野章吾 …… 田中圭 (薬剤部・副部長)
小野塚綾 …… 成田凌 (ナカノドラッグ薬剤師)
豊中瑠衣 …… 臼田あさ美 (救急センター医師)
久保山竜也 …… 六角慎司 (小児科医)
外来患者
辰川秀三 …… 迫田孝也 (中華料理”娘娘亭”、イライラ型)
簑島心春 …… 穂志もえか (20歳、急性骨髄性白血病)
不破りこ、長谷川恒、中村文也、佐々木ちあき、市原茉莉
原田真季
丸岡はじめ …… 近藤公園 (41歳、漫画家、心筋梗塞で搬送)
丸岡彩乃 …… 宮澤佐江 (妊婦、はじめの妻)
幼少期の葵みどり …… 堰沢結愛
瀬野佐織里 …… 田中美里 (元調剤師、10年前ガンで亡くなる)
清田春樹 …… (医者)
中澤孝三 …… 渡部遼介 (医者、外科部長)
山田千夏 …… (医者)
丸山佐江子 …… 枝元萌 (主婦)
高田小夜 …… 石川ともみ (主婦)
クレームの患者 …… 諏訪太朗
救命士 …… 野々山郁也
葵なな …… 吉澤梨里花 (幼少期に亡くなったみどりの妹)
田中貴裕、石川啓大
西村光弘
遠藤史崇、池内優希、峯石桃花、佐藤侑梨