監察医 朝顔
(2020年10月期・フジTV・月曜21時枠)
原作 – 香川まさひと(原作)、木村直巳(画)、佐藤喜宣(監修)
脚本 – 根本ノンジ
演出 – 平野眞(1)(2)、阿部雅和(3)
音楽 – 得田真裕
主題歌 – 折坂悠太 「朝顔」
プロデュース – 金城綾香
演出 – 平野眞、阿部雅和、三橋利行
https://www.fujitv.co.jp/asagao2/
第3話 ミイラ化遺体は20年前の凶悪犯!?
【STORY】
●万木家
雨が降る中、平とつぐみが帰宅すると、万木家の立垣に
もたれかかっている男がいた。よく見ると男は山倉係長。
平は取りあえず中に入るよう催促する。
朝顔が帰宅すると山倉が居ることに驚く。しかし山倉に
理由を聞いてもその都度涙して話してくれなかった。
鉄板焼きなので一緒に食事をしていってくれと語る。
風呂場で髪の毛を乾かしている所で真治が帰宅する。
一体どういうことなのか・・やはり涙してここに居る理由を
話してくれなかった。
しかし食事をしている際に、彼は語り出す。
「私は異動になるようだ。恐らく交通課か庶務課。」
「俺はずっとそういう人生だった。」
・翌朝
朝顔が起きる頃には、山倉はメモを残して帰っていた。
彼は朝食を作っていた。
●興雲大学法医学教室
ラボでは雅史が1000円ハムスターをかわいがる中、
光子は何かを購入してくる。涼介はケーキかと考えていた
が中身を教えようとはしない彼女。
そんな中、朝顔の元に丸屋検視官から電話が鳴る。
●現場/神奈川県高原市江尻
現場に到着すると何故かそこでは神奈川県警と山梨県警が
管轄争いで言い争いしていた。ここの場所は県境だという。
そしてなんと山梨県警には伊東純の姿がある。
「通報を受けたのは我々だ」「一歩我々の方が早かった」
「これは神奈川県警がずっと追いかけている事件」
話し合う中、山梨医大の先生・菅原や山梨県警・警部の谷川
は他にも抱えている案件があるので無理してやることはない
とし捜査は神奈川県警に任せるという。仕方なく伊東は
諦める。
神奈川県警の西野は朝顔に挨拶を交わす中、遺体はそこの
農具用倉庫で見つかったと語る。発見したのは市の土木課の
職員。長年使われていないので調べに来た所を発見したと
いうものだった。
・農具用倉庫
遺体はミイラ化されていた。
これでは年齢や死亡推定時刻の特定が難しい。身元を確認
出来るものもない。一見するとタキシードと蝶ネクタイを
しているので男性ではあるが・・
そんな状況の中、丸屋によるとあのミイラは重大事件の容疑
者の可能性があるという。佐竹龍二という20年前から追って
いる指名手配犯の可能性に触れる。
ミイラ化した遺体は通常とは違う。乾燥していて血液が採れず
内蔵の位置も変わってしまう。解剖前にはCTとMRIで画像
診断するのだという。
■Impression
ドラマとしてはあからさまにエンディングに向けた幾つかの
流れがある。
残された遺族に焦点を当てる事により、今後起こりうる朝顔
の家族へのリアクション的期待感とメッセージ的内容へと
誘導・示唆している流れが一つ。
そして遺留品や遺体から見つかる数々の解明までのロジック
だが、今回のように明らかに解明するのが難しい案件に
対する過去の大震災・津波による遺体特定への流れだ。
今回は単独のエピソードとして見るともの凄くバランスが
良かった。
今回は遺体を特定する流れ自体が難しいものだけど、
役割分担をはっきりとさせて、まるで海外ドラマ「BONES」
的な展開を持ち込んだ。数少ない証拠から生前のことに
まで言及して亡くなる前にはどういう行動を取っていたの
か。
最後に見た死体の光景が父親の姿として強烈にイメージされ
てしまった。ミイラなんて最悪のイメージだ。
そのイメージを払拭する為の朝顔の行動。
私はパニック障害を患っているので脳や記憶のことについて
は少し興味がある。脳科学の分野ではここ数年は
「テンセンテンス法」と言う言葉がよく耳にし目にする。
誤った脳神経回路を書き換える作業をするというものだが、
パニック障害を持つものは過去の恐怖の連鎖に苦しむ所が
あるのでその回路を書き換える作業をして治していくという
ものだ。このドラマでは少し違うものだったが、良い時の
父親の姿を引き出すこと・・娘の知らない父親の一面を見せる
ことで上手く書き換える事ができた。
しかし多少ドラマとしては不自然なところがあった。
例えば今回の遺体は女性の影があったこと。
そして亡くなった男性の妻の墓の近くで亡くなっていたこと。
それを考慮すれば誰かが捜索願を出して、当然あの遺体が
見つかった場所なども捜索しないだろうか?
まぁ山梨と神奈川の県境だとしていたので相当山の中なの
かも知れないが・・
■刑事の仕事
検視官たちの努力によって見つかったものを元に刑事たち
は淡々と役割分担して捜査をしていく。
・岡島と愛川
服用していた薬から肺高血圧症の既往歴がある人を捜す為に
県内の医療機関を調べる。
・平と森本
この地域の行方不明者リストの中から当初は50代前半から60代
後半だとしていたものから遺体に付着する生物から条件を
絞り込んでいき、62歳から68歳までの人物だと限定して
調べていく。
■法医学教室の力
・薬物検査
検査結果が来る。亡くなる直前にシルデナフィルという薬を
飲んでいた。これは肺高血圧症の薬だった。
・歯科
右の大臼歯の治療にセラミックインレー使ってる。
歯科治療に対する進化を感じさせるが、そのお陰で何年前の
技術なのか。そしてミイラとはいえ何年前まで生きていたの
かの特定が可能になる。
・法昆虫学
遺体に付着していた虫は2匹。
カツオブシムシ(甲虫目カブトムシ亜目の昆虫)とホシカムシ
というもの。
乾いた生き物の遺体にしか付着しない虫と完全に乾ききって
いない遺体につく虫。遺体の乾燥が完全ではない状態だった
ことを意味していた。
・胃の内容物
何かの骨、ホウレンソウとキノコの組織片が見つかる。
最後に食事していたであろうものが残されていた。
ただ見つかった場所から想定すると野生のものを食べたり
育てていたものを食べていた可能性が無いわけでも無い。
結果的に父親は亡くなる前に女性の影がある。
そして二人でフレンチのカエルのブランケット白トリュフ
添えを食べに行っていたことが判明する。
■気になる要素
・歯の存在
かなりゴツイ歯をお爺ちゃんの嶋田浩之が持っているのは
前回のエピソードでも見られたけれど、やはりアレは
里子のものなのか。意外と浩之は里子の死を目の前で見て
助けられなかった無念さとかあるのではないか。
私は朝顔に探しに来なくても良いと言っていたことから、
その日にがんの治療にでもいくのかと思って居たが・・
■Cast
万木朝顔 …… 上野樹里 (興雲大学法医学教室・新人)
万木平 …… 時任三郎 (野毛山署強行犯係・朝顔父)
桑原真也 …… 風間俊介 (野毛山署強行犯係・朝顔彼)
安岡光子 …… 志田未来 (興雲大学法医学教室・学生)
高橋涼介 …… 中尾明慶 (興雲大学法医学教室・検査技師)
森本琢磨 …… 森本慎太郎 (野毛山署強行犯係)
沖田宗徳 …… 藤原季節 (鑑識)
岡島浩司 …… 斉藤陽一郎 (野毛山署強行犯係・メガネ)
愛川江梨花 …… 坂ノ上茜 (野毛山署強行犯係・新人)
熊田祥太 …… 田川隼嗣 (医学部、実家は歯科医)
渡辺英子 …… 宮本茉由 (鑑識)
富澤 …… 辰巳雄大 (神奈川県警・捜査一課)
桑原つぐみ …… 加藤柚凪 (娘、4歳)
山倉伸彦 …… 戸次重幸 (野毛山署強行犯係・係長)
藤堂絵美 …… 平岩紙 (興雲大学法医学教室・歯科)
伊東純 …… 三宅弘城 (離婚して山梨県警・検視官)
丸屋大作 …… 杉本哲太 (鑑識、伊東純の変わりに来た)
藤堂雅史 …… 板尾創路 (興雲大学法医学教室)
夏目茶子 …… 山口智子 (興雲大学法医学教室)
嶋田浩之 …… 柄本明 (里子の父、釜石地区・仙ノ浦)
万木里子 …… 石田ひかり (朝顔の母)
中村一郎 …… 相島一之 (神奈川県警・捜査一課)
鈴木 …… 大内厚雄 (神奈川県警・捜査一課)
忍 …… ともさかりえ (声のみ・姉)
若林 …… 大谷亮平
山口真央、山口タツヤ、塩崎竜海
渚紗、小幡良祐、山田優弥、廣瀬この香、UNA、桑野将春
吉野佳奈 …… 佐久間由衣 (被害者の娘)
吉野紀夫 …… 尾花かんじ (66歳、死亡者)
佐竹龍二 …… (20年前に人質立てこもり事件・逃走中)
保育士 …… 宮島はるか (潮干狩り)
西野 …… 樋渡真司 (神奈川県警)
菅原 …… 中野順二 (山梨医大の法医学教室)
谷川 …… 岩本淳 (山梨県警・警部)