特捜9 S3
(2020年4月期・テレ朝・水21時枠)
製作総指揮、大川武宏
プロデューサー、神田エミイ亜希子、金丸哲也、丸山真哉、
森田大児
脚本 – 徳永富彦(1)、稲葉一広(2)
監督 – 田村直己(1)(2)
音楽 – 吉川清之
エンディング V6 「It’s my life」
第2話 妻の死体を運んだ男
【ストーリー】
八田義和のスーツケースが盗まれたということで現場に一緒に
いく直樹と新藤。新藤は遺失物係/目黒西署の仕事だと語る
が・・
一方そんな直樹の元に村瀬から遺体発見の連絡が入る。
足立署からの臨場・応援で村瀬ら特捜班にお声がかかって
いた。名刺によると被害者は柴山里美(44歳)、村正出版の
雑誌”週刊ブーム”の記者。大型のシルバーのスーツケース
の中に遺体は詰められるように入れられていた。
直樹はその報告を受けると八田に盗まれたとされるスーツ
ケースの特徴を尋ねると同じであることが分かる。
“持ち手に狼のマスコットが付いている”。
それを受けて事情を聞かせてもらうとして彼の取り調べを
行う。
青柳たちは村瀬が指揮を執っていることに納得がいかない
中で、被害者が勤めていた出版者に話を聞きに行く。
彼女の上司である門倉哲夫に話を聞くと、彼は真っ先に
誰に殺されたのかと問う。死んだことしか言わないのに
何故殺人だと決めつけたのか。それを尋ねると記者としての
宿命でもある記事として取り上げたものたちの生活が一変
していたからだった。最近は加賀美涼平と人気アイドルの
吉田里織の淫行疑惑をすっぱぬいていた。
現在追いかけていたネタは何だったのか。
取調室では里美が殺害されたことを八田に告げる。
彼女は彼の元妻だった。
何故あのスーツケースを持っていたのか。
彼の供述では夕べ突然電話がかかり話が有ると言っていた
こと。部屋についたのは10時過ぎのことだったが電気は
消えて留守の状態だった。スーツケースだけが置いてあり
以前にも何度も出張の度にホテルに荷物を運ばされていた
ので今回も運んでいる最中に無くなったとのことだった。
■感想
被害者がマスコミ関係者だということもあるのだろうが
全体的にドラマを見ていくと、他人に対する「印象操作」を
行っている感じを盛り込んだのかなと思える内容だった。
また「出会いは偶然か必然」かという感じで、ドラマの関係
者は面白いようにその繰り返しであり、利用しようとした
ものによって最終的には殺害されるというものだった。
出会いは運命とも言えるが、人との関わり合いは選べなく
とも、自分の行動や意思の選択肢は本人の手によるもので
ある。
村瀬がまたリーダー風を吹かせていくのかなと思えて面白か
った。そしてチームとして共有すべき情報を村瀬が知り得た
情報を隠して行動しようとするところが有る。
それがまた気にくわないとばかりに一蹴する青柳の
態度。青柳はチャラチャラしているようにも見えるけど
実は一番鋭いところを突いてくるよね。
国木田もいよいよ関わり始めてきたが、「一切捜査はしない」
「定時なので帰宅」というまさかの米倉さんの「ドクターX」
大門美智子ばり人物像である。と言っても人事に関しては
ほぼ前回神田川さんによって振り分けられた感じだけど・・
この班長の座というのは、これまで視点を変えての捜査を
行う人、悪く言えば”変人”という印象が強いので彼はどんな
捜査を行うのか。
・被害者の人物像と交友関係
柴山里美、44歳、出版者の雑誌記者。
主に芸能界や政治家のスキャンダルを暴いて金を稼いでいる。
人物関係を見ると被害者と最も近しく、そして遠いのではない
かという人物が容疑者であり、それは元夫・八田義和。
上司は門倉哲夫。金で記事を購入しようとしている人物だ。
そして加賀美涼平の記事も彼が書いたもので、元々は里美が
書こうとしていたもの。
名刺からたどり着いたのは衆議院議員・海藤誠一郎の第一秘書
である牧村祐二。
寺川秀介は建設会社勤務で、当初は里美の不倫相手だとされ
る。
・印象・情報操作
色々と印象操作がある。
例えば里美は浮気人とされたり、金が稼げるようになると
途端に性格が変わったような印象を与えた。そして
彼女はスクープを狙うが故に金の亡者になったかのような
印象を与える。
八田との関係に於いて人々は違うことを語っている。
特に離婚についての見解は様々。
八田は妻の浮気が原因だとしていた。
里美の後輩で浮気相手だとされていた寺川は暴力夫のせいだ
としていた。
・捜査の分担
直樹と新藤の担当は被害者周りのこと。
髪の毛が見つかったけれど正直あの場なら指紋とか沢山残って
いそうな気がする。
青柳と矢沢の担当は被害者の職場関連。
志保と村瀬は議員周りを調べていた。
面白いことだが大体三組は同時に容疑者・被疑者が絞り込ま
れたのではないか。
■クローズド
今回の事件を握るキーワードとなっていたのは、被害者女性
がどんな記事/スキャンダルを追っていたのかということ。
その流れを調べる為にあちこち振り回された。
裏で捜査を攪乱していたのは政治家第一秘書の牧村。
当初の目的はスキャンダル記事によって政治家の贈収賄事件
の噂を払拭させようとしていたんだけどね。
いつものように加害者に一喝し・力説するシーンがある。
担当は直樹だった。
そこで初めて犯人の心理・真相が分かるつくりだが、なにぶん
思い込みが激しい人物だった。
また一時期容疑者にされていた八田についても当日呼び出さ
れた理由として指導しているチームの優勝を祝うものだった
ことで、二人の間に愛情が残っていたことが覗えるもの
だった。そして何よりも夢について、まだ諦めていた訳では
無いことが証明された。
比較的早い時から大路山建設の名前が出ていたので犯人の
目星はついていた感じはする。
殺された里美は色々と汚い真相を解き明かしていたことで
感覚を失っていたのかも知れないが、協力者相手にかなり
酷いことを言っていたし、先輩の立場を利用していたり、
犯罪を暴く為に変に相手をかばって時効を待つなどイマイチ
感情移入はしづらい人物像ではあった。
■出演者
浅輪直樹 …… 井ノ原快彦 (特捜9・主任)
小宮山志保 …… 羽田美智子 (特捜9)
青柳靖 …… 吹越満 (特捜9)
矢沢英明 …… 田口浩正 (特捜9)
村瀬健吾 …… 津田寛治 (特捜9)
早瀬川真澄 …… 原沙知絵 (監察医)
新藤亮 …… 山田裕貴 (特捜9)
浅輪倫子 …… 中越典子 (パティシエ、直樹の妻)
神田川宗次朗 …… 里見浩太朗 (警視総監)
佐久間朗 …… 宮近海斗 (鑑識)
広岡巧 …… 新貝文規 (監察医)
三原達朗 …… 飯田基祐 (刑事部長・広域捜査担当・審議官)
国木田誠二 …… 中村梅雀 (警視庁・総務部・広報課)
柴山里美 …… 雛形あきこ (44歳、村正出版社”週刊ブーム”記者)
八田義和 …… 永井大 (少年バスケチーム”用賀ウルブズ”コーチ)
海藤誠一郎 …… 徳山秀典 (衆議院議員、前国交省副大臣)
牧村祐二 …… 矢島健一 (議員秘書)
寺川秀介 …… 金井勇太 (大路山建設、ジャーナリズム研究会)
門倉哲夫 …… 松田賢二 (村正出版社”週刊ブーム”記者)
加賀美涼平 …… 町井祥真 (吉田と淫行疑惑)
朝井智之 …… 岡安泰樹 (関東経政新報社・社会部記者)
吉田里織 …… (人気アイドル)
夏里美琴 …… (ドラマ「亜麻色 ファンタジー」主演)
岩清水薫 …… (ドラマ「亜麻色 ファンタジー」主演)
真砂京之介、園山敬介、吉村優花