相棒22 第8話 センチメンタル・ジャーニー

相棒22
(2023年10月期・テレ朝・水曜21時枠)

監督:橋本一(1)(2)(6)(8)、権野元(3)(7)、守下敏行(4)(5)
脚本:神森万里江(1)(2)、岩下悠子(3)(5)、森下直(4)
光益義幸(6)、瀧本智行(7)(8)
エグゼクティブプロデューサー – 桑田潔
チーフプロデューサー – 佐藤凉一
プロデューサー – 高野渉、西平敦郎、古革昌実、
土田真通
編集 – 只野信也
音楽 – 池頼広

https://www.tv-asahi.co.jp/aibou/

第8話 センチメンタル・ジャーニー

【ストーリー】

■家庭料理店・こてまり

角田課長の夫婦関係が怪しい事を知る常連たち。
離婚の言葉も出てきた為に美和子は思わず声をあげる。
薫は課長は夫婦仲が良かっただけに何故そんな話に
なっているのか疑問に思う。
課長は来週の休暇に京都旅行に夫婦水入らずで行こう
と思っていたがそこで夫婦の意見が分かれたのだと
いう。課長は鴨川でのんびりしようとしていたが
妻からは、

「今まで何処にも連れて行って貰えなかった分を
取り戻す」
「これまでロクに家族サービスをしてこなかった」
「こんな男と結婚したのは間違い」

散々言われた課長も最後はブチ切れて、離婚を言った
のだという。

小出も美和子も、今すぐに帰って奥さんに謝った方が
良いことを告げる。しかし彼にも意地があり、当分は
帰るつもりはないという。

「このままアテのない旅に出たい気分だ」

右京は旅を表す英語についてTravel、Tour、Journey
についての意味合いの違いについて説明し始める。

■東京シティエアターミナル

・東部海陸交通(TK)社

青森県弘前行きの深夜バスが停車していた。
運転手は時間が来ると客を入れ始める。
チケットセンターには杖をついた女性・尾上絹が
来ていた。カウンターで弘前行きのチケット一枚
(8500円)を購入(10月8日・21時30分発)。その後ろには
右京の姿も有りチケットを購入する。

・乗車

バスには団体客が乗っていて少し騒がしい雰囲気。
機嫌の悪そうな顔をしながら尾上は自分の席を探して
着席する。その後を追って右京は彼女の隣に座り
込む。
東京から弘前までバスで10時間はかかる。
右京は隣の席の尾上に話しかける。

「長旅になると思うのでよろしく」

互いに自己紹介する。と言ってもほぼ右京が彼女へ
語りかける格好だった。

「名前は?」
「飛行機、新幹線と違い、最近時間をかけた旅の
贅沢さは旅情を味わうのに最適」
「旅のお供を買ってくる」

■警視庁

・特命係

角田は家に帰ることが出来ず特命係のソファーで
晩酌する。七輪でスルメを温めて酒を飲もうとして
いると、そこに出雲がやってくる。

「噂は本当だったんですね」

夫婦喧嘩して特命係で寝泊まりしていることを耳に
していた。
出雲は何時でも愚痴を聞くというが、角田は彼女を
信用せず、「輪をかけて広めるつもりだろう」
と語る。その意図がバレた出雲。

「お前は性格が悪くなった」
「あの二人の部下ですからね」

捜査一課は現在 「連続強盗事件」を追いかけている
という。今日も一人捕まえたが指示役までは追い詰め
ることが出来なかったという。
最近の犯罪の傾向として犯人は車ではなくナンバー
プレートを盗んで付け替えるて犯行に使う事情が有っ
た。

昔は盗難車が相場だったが、車を盗むよりも簡単な
のでそういう傾向にあることを角田も語る。
どこぞのヤクザが仕切っているのだろう。

・右京から角田に電話

右京はバスに乗ろうとする中、角田が特命係に居る
のであれば「尾上絹」について調べてほしいと頼む。
年齢は70歳後半。犯歴データなどメールで連絡して
欲しいという。
“角田は何処かで聞いた名前だ”と口にするも思い出す
ことは出来なかった。

■東部海陸交通(TK)社・高速バス

弘前行のバスが出発する。
右京は旅のお供としてミカンを買って尾上の隣の席
に座る。弘前に行く彼女に旅先のことを聞き出そう
とするが詳しくはないとのこと。いつも旅行は
行き当たりばっかりであると言われる。
また彼女は現在夫に死なれて独り身であること。
また大昔に女児を産んでおり名前は陽子だと語る。
右京は自分も昨年妻に先立たれたことを語る。
仕事の話になり彼女はとっくに隠居の身であること
を口にすると右京は特命係という窓際族であることを
語る。

■工場地域

薫は一人、工場敷地内の様子を見守る中、盗難車だと
思われるナンバープレートが外された車を発見する。

■感想

捜査一課は連続強盗事件を追いかける中、特命係は
老人と若い女性がいる所に黒いバン停まり、女性を
拉致していくところをたまたま目撃する。
亀山は拉致したバンを追いかけ、右京はその場に
留まり老人と男性が会話しているのを静観する。

珍しく今回のドラマの中では人が亡くなっていない。
故に鑑識課は捜査に参加することはなく、
捜査一課の出る幕はあるのかというところを
面白い形で出雲麗音というキャラクターを利用して
美味しいところで関わらせる。

普段はリスクを冒して特命係に情報を提供する彼女。
しかし今回の彼女はトリオザ捜一に加わることなく
単独で動き、薫に協力しているかと思われたが
情報は伊丹らに流れていた。

右京と薫の役割分担も上手く機能し、老人から話を
引き出すことが出来る右京をバスに同乗させる
ところなどはよく出来ている。

年の瀬ともなると昔はこのエピソードに近い作品
をよく見たなという印象がある。

年末年始に故郷に帰省する人が多いからでしょうか。
幼い頃に貧しく、思い出したくもない幼少期の
記憶が残っている故郷に帰省せざるを得ない心境。

彼女の人生は不幸を渡り歩いてきたものだった。

ようやく掴んだ幸せも嫁姑問題であったり、離婚して
また振り出しに戻ったりして・・
それが振り出しならば良いのだけど、歳を重ねた分
だけマイナスからのリスタートは住みにくい世の中
での生活を強いられる一因にもなってしまう。
一度外れた人生のレールを掛け直すには難しい世の中
なのだ。

●人生ガチャ

旅を始めとする”言葉”がテーマとなった今回の案件。
旅を英語にすると色んな単語があることを示して
いたが、その意味の違いが面白く現れたエピソード
だった。

一人の人物の人生の流れを旅を通して掘り下げる。

人生は旅するかの如く移り変わり旅は人生を象徴する。

松尾芭蕉の「奥の細道」の俳諧を意識して作った
ものなのだろうか。
絹(シルク)という人物設定もシルクロードに見る
名前の付け方のようで意図した感じがありありと
見える。

集団就職で上京するなんて話は今はもう昔で、現在
生きている世代の中でも後期高齢者の人たちからの
情報でもない限りはなかなか見当たらない。
エレベーターガールなどの職種は久しぶりに聞いた
が、昔はドラマ化もされたし、百貨店ではよく
見かける光景だった。

●因果応報

ドラマのスパイス的なものとして詐欺を犯したもの
が詐欺師によって騙されそうになることだ。

かなり以前から始まり、今でも続いているオレオレ
詐欺の世の中である。

このドラマに見る長期的スパンで行われたオレオレ
詐欺にみる流れは、独り身となっている彼女に
取って求めるものが何かが含まれているからこその
ものがあるのだろう。殆ど目にしたこともない
娘の姿。そんな娘の妹が都合よく現れた時点で、冷静に
見れば詐欺である。それに気が付かないところも
今尚続いているオレオレ詐欺の特異性を感じる所だ。

●親の言葉。子供の頃の記憶

親の言葉が彼女の行動を指し示す唯一のものだった。

「東京に行ったらきっと貧乏から抜け出せる」
「守ってけろじゃ おど」

津軽弁での寝言。

寝ている時にも警戒心は持っていると思うが、それで
も無防備な時には口に出てしまうものだ。

●事件データ

被害者 : 尾上絹 / 門脇多恵子 (本名)
加害者 : 後藤真奈、磯貝直樹

本籍地 : 青森県弘前市竹ケ平

・10年前(2013年)に川崎の土地取引を巡る詐欺事件
が発生。
(大手不動産会社から10億円をだまし取った)
(現在そのウチの1億円が行方不明)

主犯格は女性・門脇多恵子(偽名:尾上絹)
詐欺罪で懲役10年、常盤刑務所に収監される。
天才詐欺師と呼ばれた女。

・2013年9月29日、刑務所に面会者・後藤真奈が現れる。
自らを後藤陽子の妹だと名乗り、半年前に陽子はガン
で亡くなったとのこと。
死ぬ間際に祖母がいることを聞いたという。
しばらくしたら金が入ることを彼女に話してしまう。

・磯貝直樹

元関東漸央会構成員
10年前の詐欺事件の共犯者

六本木(貴金属店)、北千住で連続強盗事件

●鋭い観察眼

右京が尾上に墓参りの話をした際に、微かに動揺
したのを見逃さなかった。

幾ら苦労を重ねて面の皮が厚くなったと言っても
人間の行動習性・習慣などはなかなか誤魔化すことは
難しい。

金は墓に入れてあったみたいだが、洪水で既に
墓は無くなっていた。

■出演者

杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁警視庁・特命係)
亀山薫 …… 寺脇康文 (1と5代目相棒、)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (警視庁捜査一課。伊丹の後輩)
角田六郎 …… 山西惇 (警視庁組織犯罪対策五課)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視庁警視長・刑事部長)
中園照生 …… 小野了 (警視庁警視正・参事官)
益子桑栄 …… 田中隆三 (警視庁鑑識課員)
小出茉梨 …… 森口瑤子 (家庭料理店”こてまり”の女将)
出雲麗音 …… 篠原ゆき子 (警視庁 交通機動隊から捜査一課)
亀山美和子 …… 鈴木砂羽 (亀山の妻)

門脇多恵子 …… 中尾ミエ (77歳、元詐欺師・偽名「尾上絹」)
少女期の多恵子 …… 宮川莉奈 (父親が存命だった)
後藤真奈 …… 紗葉 (多恵子の孫)
磯貝直樹 …… 松本哲也 (詐欺師・元関東漸央会構成員)
門脇 …… 吉野正弘 (多恵子の父)
角田 …… 宇江山ゆみこ (角田の妻)

千葉雅大
吉野正弘
桜田祥太朗
関田宗史
杉森功明
川又永香

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