現在アジアチャンピオンズリーグエリートがサウジアラビアの地
で行われている。ホーム&アウェイではなく日本語でいうところの
セントラル方式(集中開催)である。
短期間で行うことが出来る集中開催は、移動や時差を考えると広い
アジアの中では有効的な手段ではある。
コロナ禍以降、アジア内に於けるサッカーのスケジュールは大きく
変わり、タイトなスケジュールからクラブW杯に否定的なチームが
大きくなっていることは言うまでもないだろう。
これまで2月や3月に予選が始まっていたものが、現在の本選は
9月から始まっており東と西、それぞれ12チームずつ総当たりで
対戦し上位8チームが次のノックアウトステージに上がる。
そして次のステージで4チームずつが蹴落とされて、決勝トーナメント
に進めるのは東西それぞれ4チームずつとなった。
■ACLのルールを変更はアジアを強くするのか?
ACL = AFC Champions League
現在のAFCのサイトを見ると、英語とアラビア語でしか見る事
が出来ない。afc会長を務めているのはSalman bin Ibrahim Al Khalifa
というバーレーンの人だ。
如何に中東が権力を握っているかが分かる。
これまでクラブW杯が毎年開催されていたが、アジア以外の国は
基本的に外国人枠の無いリーグ(厳密にいえば枠の制限はある)が
出場してきており、優勝するのも常にUEFA所属のCL優勝国チーム
だった。ただ彼らに賞金を渡すばかりの大会だ。
それを意識したのか今年のACLからは外国人枠はこれまで3人から5人
と変わって来た流れから一気に外国人枠の撤廃に繋がった。
世界化を意識したものとしては間違いではないのかも知れない。
しかしこれはあくまでクラブレベルの話であり、アジアの中では
資金力のあるチームが常に上位に進めるという貧富の差が生まれて
しまうのではないかと懸念している。
クラブが強くなることはその国の代表チームも強くなるという説
があるには有る。しかし逆に国内の選手の出場機会は確実に奪われ
ている。
最近のアジアの傾向は帰化選手の獲得に有り、縁もゆかりもない
選手たちを代表に招き入れて本選に向けて戦わせているという
のだからどうしようもない。
■開催国の特権
ACLに話を戻し、この大会に於けるルール変更に於いて、その恩恵に
預かり最も享受しているのはサウジアラビアだ。
何故サウジアラビアに有利に働いているのかといえば、上述した様に
これまで決勝トーナメントは「ホーム&アウェイ」方式で行われて
来たが、集中開催の一発勝負のトーナメント方式に変更された。
過去【AFCチャンピオンズリーグ】という名称に変更して以降、大会は
毎年行われて、現在全22回大会が行われている。
移動や時差を考慮し、決勝までは基本的に東・西でリーグが対戦しない
ように変更されている。
サウジアラビアの一国での開催を見ると透けて見えるのは中東勢の
アウェイでの弱さに尽きる。
過去の決勝トーナメントを見ても、中東のクラブはまずアウェイ戦
では全く勝利していない。
21回の開催の中でアウェイで勝利したケースは、2019年の
「アル・ヒラルvs浦和戦」のただ1度のみだった。
集中都市開催できる国というのはどうしても限られてくる。
東アジアであるならぱ日本と中国、中東ではカタール、UAE、
サウジアラビアくらいしか思い浮かばない。
(韓国が除外されているのは、現在ピッチコンディションを
維持管理できていない為)
集中都市開催が決まり開催地として名乗り出たのはサウジアラビア
とイラクのサッカー協会のみ。そしてAFCの謎の投票により今後3シーズン
はサウジアラビアでの開催が決定している。
開催国として決まれば、開催国に有利な日程と開催地が選べる。
これは今回に限らず、どの大会でもそのような特権がある。
■外国人枠の撤廃
●各国の一部リーグに登録されている人数を比べてみよう
単純にネットに落ちていたデータを集めてまとめただけなので何処かで
間違いがあるかもしれないことはあらかじめご了承ください。
全登録者数 ()=その内の外国人枠
・サウジアラビア 所属選手人数 561人 (外国籍 183人) チーム数18
・カタール (スターズリーグ) 所属選手人数413人 (外国籍 158人) チーム数13
・日本(J1リーグ) 所属選手人数 619人 (外国籍 92人) チーム数20
・韓国(K1リーグ) 所属選手人数 461人 (外国籍 82人) チーム数12
・中国(超級) 所属選手人数 501人 (外国籍 91人) チーム数16
・イングランド (プレミア) 所属選手人数 568人 (外国籍 371人) チーム数20
・イタリア (セリエA) 所属選手人数 605人 (外国籍 405人) チーム数20
・スペイン (ラ・リーガ) 所属選手人数 612人 (外国籍 228人) チーム数20
・ドイツ (ブンデスリーガ) 所属選手人数 543人 (外国籍 283人) チーム数18
■ACL Elite 開催国 vs それ以外のチーム(横浜、光州、ブリーラム)
サウジアラビアが対戦したチームのメンバー構成を見てみよう。
・AL NASSR (4-2-2-2) vs 横浜戦 気温29度
先発
FW前 J デュラン(Colombia)
FW前 C ロナルド (Portuguesa)
FW前 オタヴィオ (Portuguesa)
FW前 マネサディオ (Senegal)
MF後 アリ・アルハッサン (Saudi Arabia)
MF後 プロゾビッチマルセロ (Croatia)
DF右 スルタン (Saudi Arabia)
DF中 シマカン (France)
DF中 アル・ラジャミ (Saudi Arabia)
DF左 プーシャル (Saudi Arabia)
GK ベント (Brazil)
交代出場
ウェズリー (Brazil)
ラポルテ (Spain)
ヤフヤ (Saudi Arabia)
カシーシュ (Saudi Arabia)
アル ハイバリアブドゥラー (Saudi Arabia)
・AL HILAL (4-2-3-1) vs 光州戦 気温33度
先発
FW前 ペトロヴィッチ (Serbia)
FW左 アルドサリ (Saudi Arabia)
FW中 マルコス (Brazil)
FW右 マルコム (Brazil)
MF左 ミリンコヴィッチ (Serbia)
MF右 ネヴェスルペン (Portuguesa)
DF左 ロディレナン (Brazil)
DF中 クリパリカリドゥ (Senegal)
DF中 ハッサン (Saudi Arabia)
DF右 カンセロジョアン (Portuguesa)
GK ボノ (Morocco)
交代出場
ナッサー (Saudi Arabia)
アッシャハラーニ (Saudi Arabia)
カンノモハメド (Saudi Arabia)
カイオ (Brazil)
アル・ハムダン (Saudi Arabia)
・AL AHLI (4-2-3-1) vs ブリーラム戦 気温31度
先発
FW前 トニー (England)
FW左 ガレノ (Brazil)
FW中 ロベルト (Brazil)
FW右 マフレズリヤド (Algeria)
MF左 アル=ジョハニ (Saudi Arabia)
MF右 ケシフランク (Côte d’Ivoire)
DF左 アリオスキエズジャン (North Macedonia)
DF中 イバニェスロジェール (Brazil)
DF中 デミラルメリ (Türkiye)
DF右 エイリー・マジュラシ (Saudi Arabia)
GK メンディエドゥアール (Senegal)
交代出場
マッテオ (Belgium)
モハルド (Saudi Arabia)
クリスティアン・コスタ (Brazil)
ヴェイガ (Spain)
アル ブライカンフェラス (Saudi Arabia)
上述したクラブはACLEに於けるサウジアラビアチームだが、
全て前線には外国籍の選手が立ち並ぶ。
交代メンバーも外国人枠の選手を起用出来るというのだから
うらやましい限りだ。正確な情報ではないかも知れないが
サウジアラビアのチーム事情を見ると大抵チームは10人の
外国人枠があるみたいなので一応全員国内以外の選手として
チーム構成されることは無いのかも知れない。18チームに対して
外国人が183人登録されているので単純に考えても1チーム10人
か。
日常クラブレベルの日韓戦でサッカー好きが討論する際に
出てくる言葉は、勝敗を分けたのは実力そのものに有らず、
所属している外国人選手の質の差で決まるのではないかとされる。
国内選手同士は似たり寄ったりで、大抵最終的なシュートを決めるのは
国内選手よりも精度の高い外国人枠の選手ということを主張したく
なるのである。
そうやってこれまで日本と韓国は互いに言い争ってきた。
しかし少しずつ事情が変わって来たのは、国内選手の海外
移籍の差が大きくなってきたことによって、そんな争いにも
終止符がうたれようとしている。
Jリーグから代表選手になるのは今のご時世だと相当難しく
なりつつあるからである。
どの大陸・地域に於いてもブロック単位で大会が開催される。
東アジア(EAFF)ならばEAFF E-1サッカー選手権が2年ごとに開催される。
この手の大会はほぼAマッチデーには該当しない期間に開催され
る為に国内のクラブチームの代表選手の戦いになるわけだが、
上述するように日本はJリーグからA代表に選出されることが
ほぼなくなりつつあるので、大会自体は正直A代表の強化とは無意味に
なりつつある。リーグの底上げにはなるのかも知れないが・・