パーフェクトワールド
(2019年4月期・フジ・火曜21時枠)
原作 – 有賀リエ 『パーフェクトワールド』
脚本 – 中谷まゆみ
音楽 – 菅野祐悟
主題歌 – 菅田将暉 「まちがいさがし」
プロデューサー – 河西秀幸
演出 – 三宅喜重、白木啓一郎
https://www.ktv.jp/perfectworld/index.html
第1話 再会した初恋の人は車いすの建築士…変わる運命
【ストーリー】
川奈つぐみはインテリアデザイン会社の経営者の
東美千代に頼まれて資料を届けに行く。渡辺設計事務所
との打ち合わせで必要な資料。そこには渡辺設計事務所
の面々、社長の渡辺、鮎川、沢田、晴人、三村も同席
していた。つぐみはその中で鮎川のことを知って居た
為に思わず本人かどうかを確かめる。
長野県立松本西校(H19年卒)、高校3年2組で同じクラス
だった事を告げると、鮎川も覚えていた。晴人は運命
の再会というヤツではないかとするが、そんなものでは
ないと否定。つぐみは鮎川は高校のバスケ部で人気だ
った事を告げる。遭うのは何年ぶりなのか?という三村
に対して卒業以来なので11、12年かなと語る。
鮎川は川奈がクランベリーズのデザイナーだったとは
驚いたというが、実は事務の仕事だという。
鮎川は彼女の高校の時のイメージは美術部でいつも体育
館の前で絵を描いていた印象があるという。覚えていて
くれた事に感動する。つぐみはそんな鮎川にもうバスケ
はしていないのかと問うと、周りは凍ってしまう。
鮎川は桜ヶ丘を見て起きたいので先に帰ると告げると
つぐみと名刺交換する。
すると奥の方から晴人が何かを持ってくる。車イスだ
った。お座敷に座っていたので気がつかなかったが
なんと鮎川は下半身不随の車イス/障害者だった。
鮎川が去った後、つぐみちゃんは知らなかったのねと
し、大学の時に事故に有って歩けなくなったのだという。
帰宅するとつぐみは同居している妹のしおりに初恋の
人に再会したことを語る。運命の人ではないか。
私のこと覚えてくれていた。しかし大学の時に脊髄を
損傷して歩けなくなったことを語る。しおりはイケメン
でも障害者は無理だとし、軽い気持ちではつきあえない
よと言われる。
鮎川は帰宅すると彼の元に結婚式の招待状が届いていた。
脇村慎太郎と雪村美姫・・美姫は高校時代から事故に
遭うまで鮎川がつきあっていた彼女だった。
■感想
かなりベタな恋愛ドラマ。
「パーフェクトワールド」というタイトルは何処にかか
っていくのかな。私は洋画好きなので、真っ先に
クリントイーストウッド監督、ケヴィン・コスナー主演
の同名タイトルの映画を思い出すが、パーフェクト”マン”
とは言っていたが世界はまだ完璧にはほど遠い。
最期の時にそう感じれれば良いのかな(って気が早い)
ドラマを興味深くさせる要素としては、
「本当の愛(恋愛)」とは何かということを改めて問いた
だしてくれるようなシナリオで、人間の本質を見極める
のに難しくさせる要素であるものを排除した格好である。
よくある恋愛ドラマだと金とか名誉、地位、年齢などが
障害となることが多いが、このドラマでは下半身不随の
障害者ということで、バリアフリーのこの時代であっ
ても何かと不自由な彼のことを愛することが出来るのか
どうかという事にかかってくる。
鮎川と私はかなり類似する面があるなという気がした。
顔が似れば一番良かったのですけど(笑)
私は特に身体が不自由という訳では無いですがパニッ
ク障害持ちなので、人に合わせて行動するのが苦痛
以外の何者ではないし、自分一人ならともかく誰かと
同居も考えられない。誰かに迷惑をかけたくないという
気持ちが強く、家族以外の人と長くいるだけで本当に
ストレスが蓄積する。仕事以外では誰かと何かしたいと
いう気持ちがこの病気のせいで挫かれるのだけど、
ボランティアなど好きな時に好きなだけ関わるとか
そういうことで離人感を防いでいる状況だ。
相手に迷惑かけたくないという気持ちは日本人が持つ
メンタリティの一つであり、家は兄貴が結婚してちび
っ子たちがいるのでこの子たちを見守って行けばいい
かなと。
さて余談になってしまったが、取りあえず障害者たち
の事情を最低限知らせる事は忘れていない。
特に一番の問題は「排泄障害」を患っているということ。
人間の付き合いに於いては一番最初に相手の欠点を
知る事で逆に成就することは多いと言われる。相手に
対する見方は減点法よりも加算法である方が良いこと
が多いのだ。
そして「じょくそう」という状況が発生する。
血流圧迫によって皮膚が壊死する病気で、神経が
通っていないので座ったら座りっぱなしの状態になる。
それを放置しておけば敗血症で亡くなる。
いわゆるエコノミー症候群にも似ているし寝たきり
老人が床ずれを起こすのに似ている。
以前大学を中退した後、私は特許庁のコンピュータで
福祉関係の特許調査を散々行ったので記憶に残っている。
また良い面としては車椅子の性能が向上していたり、
車の設計も車椅子の人の為に作られていて便利な
反面、少々障害者自身の地位を上げすぎて、個人の
プライドを下げすぎてしまっているところは気になる。
デザイン事務所に勤務しているので大層立派な部屋に
住んでいる訳だけど、私ならまず生活面や将来を気に
してそこまで贅沢な暮らしをするだろうかと思う。
ただ彼は言って居たように
「次なんかない。何時死ぬか分からないのに・・
今やらなきゃダメなんだ。」
この言葉を聞くと先のことよりも今を生きるという
意識が強そうだ。
ドラマで気になるのはこの二人の間には繋がりが
薄い。長い間片思いをしていただけでそれ以外の
繋がりがないこと。無理矢理相手に興味が有ったよう
な描き方をしているがどうにも
「世界の中心で愛をさけぶ」のような時間の共有が
少なすぎて、寧ろその点では美姫の方に分がある。
秀逸だったのは結婚式を前にして、美姫側に罪悪感が
強いのかと思わせつつ、鮎川の方に未練が強かった
ことか。
長野に戻るかどうかの選択も待っている中で、30歳
にして方向転換しようとしている。
実家の父親が役場の福祉課に勤務しているという
設定は如何にもなキャラクターの配置ではある。
最後に葵というヘルパーが来たけれど、彼女はどういう
意図を持っているのかが気になる。
やっぱり山本美月さんがズバ抜けて可愛い。
可愛いのは何にも勝る要素やね。
それこそこのドラマの本質ではないが、顔ではなく
演技を見て欲しいと言われそうだ。
■出演者
インテリアデザイン会社・クランベリーズ
渡辺設計事務所
鮎川樹 …… 松坂桃李 (29歳、渡辺設計事務所・一級建築士)
川奈つぐみ …… 山本美月 (19歳、クランベリーズ・事務員)
是枝洋貴 …… 瀬戸康史 (29歳、アプリ製作会社経営)
長沢葵 …… 中村ゆり (36歳、元看護師、ヘルパー)
渡辺晴人 …… 松村北斗 (24歳、渡辺設計事務所・社員)
川奈しおり …… 岡崎紗絵 (つぐみの妹、大学生)
渡辺剛 …… 木村祐一 (50歳、渡辺設計事務所)
雪村美姫 …… 水沢エレナ (29歳、樹の元彼女)
東美千代 …… とよた真帆 (48歳、クランベリーズ・経営)
川奈咲子 …… 堀内敬子 (53歳、母、長野県松本市)
鮎川文乃 …… 麻生祐未 (55歳、保険外交員)
川奈元久 …… 松重豊 (58歳、父、市役所・福祉課)
沢田一馬 …… 池岡亮介 (渡辺設計事務所)
三村 …… 高島豪志 (渡辺設計事務所)
高校時代の樹 …… 坂東龍汰
高校時代の洋貴 …… 宮世琉弥
高校時代のつぐみ …… 田鍋梨々花
高校時代の美姫 …… 熊谷江里子
脇村慎太郎 …… (美姫の結婚相手)
岩田知幸、山元隆弘、三濃川陽介
土井玲奈、ふるかわいずみ、石川啓大、阿邊龍之介
清水葉月、宮地大介、米村秀人