相棒19
(2020年10月期・テレ朝・水曜21時枠)
監督:橋下一(1)(2)、権野元(3)(5)、杉山泰一(4)
脚本:輿水泰弘(1)(2)、神森万里江(3)、児玉頼子(4)
斉藤陽子(5)
エグゼクティブプロデューサー – 桑田潔
チーフプロデューサー – 佐藤凉一
プロデューサー – 高野渉、西平敦郎、土田真通
編集 – 只野信也
音楽 – 池頼広
https://www.tv-asahi.co.jp/aibou/
第5話 天上の棲家
【ストーリー】
記者団たちは参議院議員・自生党の白河達也議員が出て
来ると質問の声を上げる。
帝光地所から多額の金を受け取ったとされる国有地口利き
疑惑についてそのの件での会見は行わないのかと問う。
立ち去ろうとする所を日刊トップ誌の記者・黒崎健太は立ち
塞がり、大矢総理の意向をくんでの事ではないのか?と問う。
白河は然るべき解きに説明責任は果たすと言って出て行く。
●議員会館
特命係の二人は被害を受けたとする達也からの連絡を受けて
やってくる。
お願いしたいのは嫌がらせの犯人捜しで、夜中敷地内にゴミ
を投げ込まれたのだという。その後秘書の本田剛(60歳)の
家の窓ガラスが割られたこと。
嫌がらの原因に心当たりはあるのかと問うと、この記事が
出てからだと語る。
「臨海エリアの国有地払い下げを巡り帝光地所からの依頼で
売却価格を下げるように財務局への口利きし見返りに2千万
を受けたのではないか?」
というものだった。匿名の告発者が持ち込んだ音声データ
を元に記事は書かれたとされていた。本田は匿名告発者
など信用出来るハズも亡いことを語る。
「収賄疑惑が報じられると世間はクロと考えたがる」
と冠城。その結果嫌がらせを受けたということかと。
頼まれた以上警察が動かない訳には行かないとし、中園から
お前らにピッタリの仕事があると言われてやってきたもの
だった。
●白河家・北岡本2丁目
家政婦は大奥様・白河貴代に、警察が来たことを語ると
通すよう告げる。右京は久しぶりですと挨拶すると、貴代
もまた24年ぶりですねと語る。
ここは大蔵大臣・白河十蔵先生が貴代の父であり、父の跡を
継いで家に入った私の夫・秀雄。夫は収賄疑惑の捜査中に
自殺したこと。しかも検察の聴取目前だった。その事件を
二課時代の右京が担当していた。
右京はその達也から嫌がらせの捜査依頼をされたと語る。
そこに家政婦がやってくる。お嬢様が・・と語る。
●病院・診察室
看護師・医師の治療を受けたのは白河瑞江。
傷は大した事はないとし医師の許可を経て瑞江から話を
聞く右京たち。公園で襲われたのか?
瑞江によると広場で遊ぶ大樹のことを男が無理矢理連れて
行こうとしたので止めたら突き飛ばされたという。
●病院・待合室
右京が瑞江から話を聞く間、冠城は子供の大樹の面倒を
見ていた。お腹が空いたという大樹。そんな中、大樹はポ
ケットの中から身に覚えのない手紙を取り出す。そこには
封筒が入っていて、
「白河達也へ、本日午後7時までに会見を開いて国民の前で
自ら犯した大罪を告白しろ。これ以上言い逃れをするようで
あれば」お前の家族を殺す・・告発者X」
と書かれていた。
■感想
これで相棒も昨日放送分の最新話まで追いついたか。
まるで時代劇を見ているような今回の内幕。
しかしやたらと犯人との間で間接的メッセージが多く、
遺書は最も分かりやすいものだが、手紙やパソコン、そして
それを使った動画など近年の時代性を盛り込んだもの。
「ペンは剣よりも強し」という言葉はその内、死語になるの
だろうか。
今回は24年前の事件、右京が捜査二課に所属していた頃に
扱った白河議員の収賄疑惑・毒物自死事件の謎に改めて描か
れるものだった。
ここの所、過去の事件をほじくり返して青酸ならぬ精算
スペシャル化している感じの相棒である。
今年相棒20周年と、ご長寿番組となっているけれど流石に
24年前には放送していなかったので、特命係以前の
右京を知る機会は無いのだけど、捜査二課時代の事は
【S14-04】の時に関係者が出てきた事が有るし、
https://itawind.web.fc2.com/2015/aibo1404.htm
スコットヤード時代の右京の関係性なども時に盛り込まれた
りする。
先日のエピソードも捜査二課がドラマに関与してきた。
特命係としては、事件前の捜査を扱い、捜査一課が殺人
事件を扱っていくという棲み分けが行われたが結局の所
全ての流れは特命が解決していく。
今回の案件も右京ら特命係としての仕事は脅迫事件の
捜査ではあった。中園参事官は特命にちょうど良い仕事だ
としてこの案件を右京に振り分けてはいたけれど、実際の
ところ、白河家・議員の案件に於いては過去の右京が
捜査に関与していたということを知っていたのだろうか?
また今回は右京が3年ぶりと語っていた【S16-08】に登場
した黒崎健太が登場する。
の一部を利用した格好だった。
当時は東京地検の検事だったが、高松に左遷され、退職して
今はジャーナリストとして働いていた。
因みに捜査二課は現在陣川くんが所属している【S16-11】。
https://dramatimez.sakura.ne.jp/jp/2018/01/11/post-602/
■今回の事件のポイント
なんと言っても議員の収賄事件。
しかも話を聞けば小野寺幹事長とか大矢総理大臣が絡んで
いるとなれば、普段なら間違いなく政治家の圧力に屈して
内村・中園辺りは腰が引けてしまうような案件である。
それ以上に更に”上の人たち”が出てきそうなもの。
“告発者X”が白河達也議員を潰そうとしているが果たして
誰なのか。正直秘書が絡んでいることは想像に難くは無いが
木田は先代の収賄疑惑の時にも不正を知って何らかのアクシ
ョンを起こそうとしていたのか。それともこの人は単なる
白河家御用達のフィクサーなのか。
家柄を守るなんて人は数少なくなっている感じがする今日。
政略結婚などを見るに考え方の古さ、天皇家でも今はそんな
事はしない。
・テーマ
ドラマとしては幾つか共通する流れがある。
例えばこのシーズンはよりネットやマスコミを利用した
世論誘導の流れがあること。
今の世の中SNSに書かれただけでも相当な圧力だが、政治家
として金にまつわる不正疑惑が浮上したら既に終わりを
意味するものである。
ここでは政治家として白河もそれを利用して不利な状況から
一気に世論を味方に付けるというウルトラCをやってみせた。
そして何よりも個人としての立場が他の圧力によって窮屈な
までに押し潰されそうになる現実として描かれている。
信念とか使命、社会や国の役割として自分に課せられたもの
だと信じている人が少なからず居ること。その為に自らの人生
を犠牲にしたり、家系・家紋を守るために人の命よりも
それを優先した格好だった。
■人をコントロールする事は難しい
人間は自由な生き物だとされるけど、人生に於いて選択肢
は限られているものだ。
白河という枠で一人の人物を都合良く手綱を引いて操作
しようとしたが見事に裏切られる。
この白河達也も元は総理の派閥とは逆の立場の人間として
迎え入れられた格好だったが、結果として勝ち馬に乗ろうと
して修正しようとした。しかし圧力によって何度となく
この動きを止めようとし、その都度この人物はそれをスルリ
と乗り越えてしまう。
コントロール出来ないのは子供も同じだ。
子供は正直に見たものを口にしてしまうがそれがまた対照的
な姿だった。
■事件解決までの着眼点
「真実は事実の積み重ねでしか無い」
右京が言った台詞だけど、今回達也が自殺かどうかを考慮
する際に、会見では彼らが語るように崇高な信念と強い
責任感など微塵も感じられない。にも関わらず遺書ではそれ
を感じるものが有る。明らかに別人が書いたもの。
・被害者について
死亡推定時刻は昨夜25時から27時の間。
死因は中毒死・・アルカロイド系の神経毒。
毒はトリカブトのようなもの。
私の様な昭和の人間はトリカブトと言うとあの昭和61年に
起きた「トリカブト保険金殺人事件」を思い出す。
そのトリカブトは24年前にも使われたものであることが
分かる。
・その他
・相棒全エピソード一覧
(レスポンシブでは無いので注意、別サイトへ)
https://itawind.web.fc2.com/drama/aibo_all.htm
■出演者
杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁・特命係)
冠城亘 …… 反町隆史 (4代目相棒、総務部広報課->特命係)
伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)
角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策五課)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長・刑事部長)
中園照生 …… 小野了 (警視正・参事官)
青木年男 …… 浅利陽介 (サイバーセキュリティー)
益子桑栄 …… 田中隆三 (警視庁鑑識課員)
小出茉梨 …… 森口瑤子 (家庭料理店”こてまり”の女将)
出雲麗音 …… 篠原ゆき子 (警視庁 交通機動隊から捜査一課に異動)
白河貴代 …… 冨士眞奈美 (68歳、達也の義母・白河十蔵の娘)
白河達也 …… 湯江タケユキ (衆議院議員・白河家の婿養子)
白河瑞江 …… 池田香織 (達也の妻・貴代の娘)
木田剛 …… 伊藤正之 (達也の秘書)
黒崎健太 …… 内田裕也 (日刊トップ・政治部記者)
岡元 …… おかやまはじめ (日刊トップ・編集長)
東郷 …… 遠藤たつお (帝光地所・常務)
小川 …… 助川嘉隆 (帝光地所・社員)
白河秀雄 …… 鎌田規昭 (故76歳、貴代の夫・24年前、服毒自殺)
白河大樹 …… 吉村龍希 (達也の息子)
家政婦 …… 弘中麻紀 (白河家の家政婦)
白河十蔵 …… (元大蔵大臣)
小野寺 …… (幹事長)
大矢 …… (総理大臣)
篠崎竣一 …… (警部補)
宮本博康 …… (警視)
池田宜大、服部整治
野口雄介、吉村龍希、川村朋栄、阿部真澄、笠田康平
彩羽、滝沢俊男