相棒19
(2020年10月期・テレ朝・水曜21時枠)
監督:橋下一(1)(2)(7)、権野元(3)(5)(6)、杉山泰一(4)
脚本:輿水泰弘(1)(2)、神森万里江(3)、児玉頼子(4)
斉藤陽子(5)、瀧本智行(6)、山本むつみ(7)
エグゼクティブプロデューサー – 桑田潔
チーフプロデューサー – 佐藤凉一
プロデューサー – 高野渉、西平敦郎、土田真通
編集 – 只野信也
音楽 – 池頼広
https://www.tv-asahi.co.jp/aibou/
第7話 同日同刻
【ストーリー】
●荒川区の住宅地
・「荒川区奥千住3丁目解体工事現場内白骨死体遺棄事件」
・2020年11月27日(金)
男性遺体が発見される。遺体はブルーシートに包まれて
白骨化していた。恐らく2年は経過しているとされる。
●警視庁
中園は捜査官たちに見つかった遺体の事を語る。
被害者は、足立区綾瀬本町で発生した「アポ電強盗殺人事件」
の被疑者・野添恭一(当時33歳)。
死因はドンキで殴られたことによる脳挫傷。
アポ電強盗とは・・
2年前に一人暮らしの三井正子(当時78歳)さん殺害。
自宅に保管してあった150万円を奪われたもの。
死因はドンキで殴られたことによる脳挫傷。
殺害後に空き家の床下に埋められたものと推測される。
芹沢は仲間割れなのかと語る。
中園は警察の威信にかけて事件を解明しろと告げる。
●特命係
テレビのニュースでは井原俊樹(40歳)が出演する。
彼は2年前の2018年9月9日に起きた「町田市妊婦転落死事件」
での被害者遺族。妊娠5ヶ月だった妻の井原仁美が駅裏の
階段で突き落とされたものだった。目撃情報がなく事故か
事件かも不明。しかし別件で事情聴取を受けていた須藤龍男
(32歳)が2年前の犯行を自供したというもの。
彼の自供が無いと御宮入りしていたかも知れないと右京は
呟く。
しかしそんな右京の元に弁護しの連城建彦から電話が鳴る。
「ある事件の事で情報を提供したいと申し出ている人が居る」
冠城も遠峰小夜子のことは知っていたので、また彼女の
なのかと語る。
●刑務所
特命係二人は刑務所で遠峰と会う。
彼女は今回起きた事件を新聞で見たとし2年前に町田で起きた
妊婦を突き落とした事件について情報を知っていた。
報道写真で被疑者の須藤の顔写真を見たがあの人はやって
いないのだという。彼女が話すには2年前の事件の日、
「黒真珠養殖投資詐欺」の件で飯垣文雄(60歳)の家を
尋ねていたという。
葛飾区亀明町に住む飯垣家に午後2時過ぎに訪れたが、
その際急に男の子が飛び出してきたが、その男の子の手を
引っ張ったのが須藤だという。事件は町田市で発生している
ので葛飾区とは東京の西と東であり、居られるハズもない
場所とのことだった。
■感想
少し前に見たので間違えていたら済みません。
犯罪・犯行解明のロジックは限りなく難しく、用意された
シナリオは二次元的なものだけでなく三次元的なロジックが
用意されていて、ちょっと凝り過ぎでは無いかという感じが
しないでもない。
そもそも人が人を操るというのは難しいことだし、人の心理
を読み解くというのも相当な訓練がない限り出来るものでは
ない。
しかしシンプルにドラマを見ていると今回のシナリオの
興味深さというものを知ることが出来る。
全ては幼少期とか過去の人となりの人生から繋がっており、
その殆どは男女関係の縺れや人間本来のむき出しの欲望から
派生したものから成り立つ。
・何故不正を犯していないのに殺人を告白するのか。
・何故獄中に居る人物が何の繋がりも無い人の無実の証明の
為に告白するのか。
個人の身勝手な欲望が他人に及ぼす影響として悪い方向に
転がってしまったと共に、人は生きている限り、他人に影響を
及ぼすものだということを証明しているような内容である。
遠峰小夜子が出て来たということは大抵は人を操り
家族を壊すところに繋がっていくけど、今回は何故そんな
彼女が家庭を壊すのかの一端に繋がる大事な幼少期の映像
が映し出される。
この映像もなかなか解釈は難しい。この手の犯罪者は生ま
れながらにして犯罪の根を持っていた可能性も高い。人の
気持ちが分からないという人が少なからず居る。しかし彼女
が見せる時折寂しい表情とテンパったような笑い声が
交錯してどうにも掴みづらいキャラクターだ。気持ちが分か
らず自己の欲求のみで行動を起こしているのか。それとも
破壊することによって得られる快楽が彼女の中に備わって
いるのか。時に人は幸せ過ぎると怖いということを口にする。
幸せが壊れるなら最初からその気持ちを味わわなければよかっ
たという人も居る。彼女は一体どういう人物なのか。
しかし残念なのは「月刊プレス」という雑誌媒体が絡んで
来たけど、ここに芦名星さんが居ないことかな。
ドラマ自体はS17E6「ブラックパールの女」を見ると
遠峰との因縁が分かる。
■今回の事件
複数の事件が出て来た。
「荒川区奥千住3丁目解体工事現場内白骨死体遺棄事件」
「町田市妊婦転落死事件」
「アポ電強盗殺人事件」
「黒真珠養殖投資詐欺」(S17E6より/葛飾区亀明町)
どうしてもベースは全て2年前の事件なので、口答での証言
が多い事。2年も前のことをどれだけ覚えていられるのか
ということである。もちろん当事者ならば分かることだろう
けど、すれ違いざまに見たような事は通常では既成事実以外
は殆ど記憶から抜け落ちているハズだ。
とにかく過去に絡んだ事件・事故が多いが、妊婦が突き落と
された件は完全に夫がクロだろうなと思って見ていた。
ドラマはどれも何かを守ろうとする為のもので、その守る
べきものが何かという事。
それが全ての事件を解く鍵となるが、右京が最後に語るよう
に、遠峰の発言は何処まで証拠能力があるのか。そして本当
の事を話しているのか・・である。
・人の繋がり
人の繋がりはシーズン19では特に重要なもののように思う。
その連絡方法が色々と多岐にわたるもので、今回は
どのようにして遠峰と雑誌編集・白石は連絡を取っているのか
というのが最後に残されていた謎だった。
その謎の前に、ドラマでは広い東京を舞台にして意外と
小さな所で色々と回っているシナリオだった。
・野添は少年の綾部との関係性を消すために犯罪を自白する。
しかし悲しいことに半グレ時に掘ったタトゥーは目立ち過ぎ
た。車道に飛び出す少年を守るが結局少年の証言でアリバイ
は崩れていく。きっかけは遠峰の目撃証言だった。
・妊婦殺人は、殺人では無く事故だった。
やはり目立つ所に傘の影が映ってしまうことにより足がついて
しまう。問題は井原俊樹が何を隠しているのかだったが、
結果としては脅されていたようで、脅していたのは白石だった。
彼女は不倫相手との結婚を求めているのかと思ったけど、
よく分からないが人を操ることの楽しさに芽生えてしまった
様子。
・気になること
・今回遠峰の10歳の頃のエピソードが描かれた。
両親はいつも喧嘩していて、そしてある時父が母親を階段
から突き落とした映像を目にする。
・町田での妊婦転落時の画像を投稿したのは誰なのか。
・今回は全容解明している時に右京さん冠城さんが随分と
井原俊樹に優位性を誇示していた。
・過去に事件が多かったので容疑者は一見無限に居そうな
感じも受ける
・結果として野添が所属していた半グレ集団と警察に追われ
た須藤は遺体が掘り出されて足がつくのを恐れる為に別の事件
を名乗り出た。
・ブルーシートの中から毛髪が出る。
■出演者
杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁・特命係)
冠城亘 …… 反町隆史 (4代目相棒、総務部広報課->特命係)
伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)
角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策五課)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長・刑事部長)
中園照生 …… 小野了 (警視正・参事官)
青木年男 …… 浅利陽介 (サイバーセキュリティー)
益子桑栄 …… 田中隆三 (警視庁鑑識課員)
小出茉梨 …… 森口瑤子 (家庭料理店”こてまり”の女将)
出雲麗音 …… 篠原ゆき子 (警視庁 交通機動隊から捜査一課に異動)
連城建彦 …… 松尾諭 (弁護士)
遠峰小夜子 …… 西田尚美 (犯罪者・平成の毒婦)
白石佳奈子 …… 魏涼子 (38歳、月刊プレス編集部員)
井原俊樹 …… 福井博章 (40歳、仁美の夫)
須藤龍男 …… 成田瑛基 (32歳、妊婦転落死事件の犯人として自首)
井原仁美 …… 山口あゆみ（享年34歳、2年前、階段から転落死した妊婦）
谷江 …… 林健太 (成城本町交番巡査)
小夜子の父親 …… 鶴田翔
小夜子の母親 …… 葉月美沙子
三井正子 …… 山下けいこ (当時78歳、強盗殺人被害者)
正子の娘 …… 藤田るみ
野添恭一 …… 柳川公輔 (アポ電強盗殺人被疑者・白骨)
綾部裕樹 …… 佐野祐徠 (当時10歳、須藤に助けられた小学生)
裕樹の母親 …… 森めぐみ
飯垣文雄 …… (60歳、葛飾区亀明町)
森尾淳史 ……
白石智明 …… (37歳)
10歳の頃の小夜子 …… 佐々木告
加賀美茂樹、緖川さとみ、川名陽介、山口ルツコ