グランチェスター 牧師と刑事の殺人捜査
(Grantchester) 2014 , England
製作総指揮 / Rebecca Eaton、Diederick Santer
第1話 探偵の素質 Episode #1.1
脚本 / James Runcie、Daisy Coulam
監督 / Harry Bradbeer
プロデューサー / Emma Kingsman-Lloyd
原作 / Sidney Chambers and the Shadow of Death by James Runcie
(c) Lovely Day(Grantchester)Ltd 2014
イギリス放送 / ITV
放送権・配信権 / SHINE INTERNATIONAL
【STORY】
●ケム川(グランチェスター・メドウズ)
Grantchester Meadows
ため池に立つ一本の木にはロープが吊るされていた。
そのロープを使ってターザンのようにぶら下がるシドニー
(James Norton)。
彼は一緒に来ていた幼馴染の女性アマンダ(Morven Christie)にも
同様のことをさせるとロープが切れて女性は池に落ちる。
シドニーは池に飛び込み急いでアマンダを探すが見つからない。
アマンダは仕返しとばんりに彼を驚かせただけだった。
●駅
水に濡れた状態でアマンダと共に駅に行くとアマンダを汽車に
乗せる。お別れのキス。
アマンダからのお願いとして靴を捨ててと言われる。
それならロンドンへ行って作ってもらおうかなとシドニー。
次の再会は来週の金曜日。
・自転車 Cambridge ~ Grantchester
King’s College Chapel
シドニーは時計を見ると急いで自転車にまたがり目的地へと
向かう。途中にはケンブリッジ大学のキングス・カレッジ・チャ
ペルを通り、グランチェスターの町へ。
町の人達・Mr.ブラント (Chris Bearne)はシドニーを見ると声を
掛ける
●教会(牧師館)
向かった先では牧師館の家政婦をしているマグワイア夫人
(Tessa Peake-Jones)が、シドニーを見て激怒する。
「シドニー・ベケットを恨みます」
ベシェですよ。
彼はアメリカのジャズ・サックス奏者・シドニー・ベシェ
/Sidney Bechetのレコードをジャケットから取り出すと曲を鳴らす。
濡れた服を正装に着替える。鐘の音と共に彼は目を閉じて祈りを
捧げる。
・教会には棺が運ばれてくる。
町のみんなの冷たい視線。シドニーはその態度に憤怒する。
「仕方がない。自ら命を絶てば地獄行きです」
というマグワイア夫人。
シドニーは命の尊さを解く。
“人の子の罪は全て許される”、どんな罪も許されるのです。
ストーントン夫人(Pheline Roggan)に声を掛けると彼女はシドニー
にお礼を告げる。
優しいお言葉でしたというパメラ(Rachel Shelley)と、亡くなった
男の夫人ヒルデガード・ストーントン (Pheline Roggan)は
ドイツ人だというクライブ(Andrew Woodall)。
・葬儀が終わるとみんなバーで歓談する。
死者の悪口を言うクライブ。
パメラ・モートン(Rachel Shelley)はシドニーの元にいくと、
夫がスティーヴン(Eoin McCarthy)と仕事をした事を語る。
葬儀を終えた聖職者なのでみんな声をかけるのを遠慮するのだ
という。
パメラはどこかで放話せないか?と言われて教会の一室に戻る。
シェリー酒を注ぐと牧師であるのにそれを振る舞う姿に違和感
を覚える。
「聖職者として未熟な点です」
パメラから何を話しても秘密にしてくれる?と確認される。
信用してくださいとシドニー。
スティーヴンの結婚生活は昔ほど幸せじゃなかった。
奥さんはドイツ人よ。
数ヶ月前仕事を終えた夫と会う約束をしてたのに、あの人
は忘れてた。それでスティーヴンと飲みにいった。
最初は何気ない会話だった。でも何かが変わった。
一緒に逃げようと言われた。
ニースやフレンチリビエラに行ってもいい。
暖かい夕暮れに星の下で踊ろうと話し合って計画した。
愛し合った。
一緒に生きようとしていたの。
「悔いなく生きるんだ」と言われた。
私が来た理由が分かるでしょ?というパメラ。
わかりませんと牧師。
スティーヴンは自殺なんてしてない。
あなたが話すのを聞いて信用できると思った。
私は警察には行けない。
でもあなたは人の心を知ることが仕事よね。
あなたなら誰に何でも聞けるわ。どんな個人的なことでもね。
まだ理解出来ていないのですが・・
【これは殺人よ、チェンバース先生。】
■警察署
自転車で外出のシドニーが向かったのは警察署。
待合室で女性に声をかけられる。
女が必要か?
今は大丈夫です。
・そんな中、シドニーの元にジョーディ警部がやってくる。
個室でシドニーは警部に殺人のことを話す。
情報源は?
匿名です。
今は二件の詐欺事件と連続強盗を抱えてるんだ。
怪しい羊肉を売るやつのせいで病人も出てる。
俺が見る限りこの件はハッキリしてる。
酒飲みなのは当然だとしても借金まみれだったんだ。
横領してた。それがバレそうになりウイスキーを飲んで頭を
撃ったんだ。
【遺書】が有った。
あんたは教会で祈るべき。「濁った水に入ろうとしてるぞ。」
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■感想
1950年代初頭。
ケンブリッジのグランチェスター村で牧師をするシドニー・
チェンバー。
彼は第二次世界大戦に於いて近衛歩兵スコットランド連隊
(SCOTS GUARDS)の士官として戦い、その心の傷と戦いながら
町の人たちを牧師として見守っていた。
そんな状況の中、一人の中年男性スティーブン・ストーントン
(Eoin McCarthy)が自宅のオフィスで拳銃を使った自死を
遂げてしまう。シドニーや彼を知る町の人達はスティーヴン
を見送るために牧師館に集まるが、スティーヴンのことを
知るモートン家の妻・パメラは牧師を密かに呼ぶと、彼女の
口から「彼は自殺ではない」と言われる。
シドニーと懇親にしているジョーディ警部にこの件を話しに
行くが・・・
イングランド東部にあるケンブリッジシャー州の
実在する村、グランチェスター。
Google Mapで見るとケンブリッジに有り、南にはロンドンと
いうイギリスの大都市がある。
ロンドンまでの距離は100kmくらい、今の感覚だと車や列車で
2時間かからないくらいだけど、埼玉式計算で行くと深谷市か
ら東京駅に行くくらいの距離。
1950年代が舞台だとされているので汽車の速度からすれば
ちょっと時間はかかりそうだけどね。
日曜日に見たドラマだけど月曜は疲れていたし、肩が痛かっ
たので、火曜日に感想を書けばいいかなと思っていたところ、
火曜日はなんとAsia Champions League Elite Best16
町田 vs 江原の1st Leg の試合が有ったのでなかなか思うこと
書けず遅れました。このドラマ、WOWOWのYoutubeチャンネル
の方で公開されているので興味がある方はどうぞ。
まだ初回なので見ている方としても手探り状態ではあるの
だけど、第一印象として残る映像は・・・
「自転車で忙しく動き回る牧師の姿」かな。
移動手段が自転車で、なにかひらめいた時には必ず自転車で
右に左に動いている。
因みに標識には左がケンブリッジ、右に行けばグランチェスター
と書かれていた。
それ以外に目立つのは・・
・主人公がイケメン(笑)
・牧師らしくない行動力。
・牧師には仲のいい幼馴染?の女性がいる。
・駅は象徴的な舞台の一つでドラマが生まれる場所。
・のどかな町並みはとてもキレイ。
・公的建造物や当時の爵位の高いものたちの建築物が凄い。
・時代設定は第二次世界大戦(1939-1945)での疲弊を乗り越えて
景気がよくなり始めた1950年代。
初回なので人物を覚えるだけで大変かなと思っていたけど、
メインキャラクター自体は少ない気がする。
その内町の人達の中でも常に登場する人は出てくるのだろうか。
牧師は人の死に近いところにいて多く関わるものだけど、
運ばれてくる棺・遺体に関してそれが殺人なのか、普通に亡く
なったものなのかをどのようにして見極めていくのかというのが
今後の興味の示すところだ。
■事件
被害者 : スティーブン・ストーントン
妻 : ヒルデガード・ストーントン
2人が出会ったのは戦後のベルリン。
スティーヴンは北アイルランド/アルスター人 /Ulsterであり、
北アイルランドで最も古い町キャリクファーガス/Carrickfergus
に住み湖畔を散歩しようと言って誘われたという背景がある。
遺体を発見したのは雨の夜に帰宅した妻が自宅で亡くなって
いる夫を見て悲鳴をあげたのが始まり。
自宅のオフィスの椅子に座った状態で、銃を使った自死。
遺書が見つかっている。
(遺書に関しては警察はあるというが、夫人は無いと語る)
少し引っかかる設定としては未亡人となってしまう夫人は
ドイツ人であり、やたらとモートン家のクライブがその事を
強調している点だ。
欧州での第二次世界大戦の開戦はドイツがポーランドに侵攻
したことに始まっているのでイギリスでは元々ドイツ人を
軽視していただけなのか。何やら怪しい雰囲気が漂う。
被害者は酒、ギャンブル、女に溺れており、牧師から見れば
まさに罪人そのものだろう。しかし役職は弁護士事務所を
経営していて、モートン家のクライブと共同運営している。
奥さんもまた戦争で家族・友人のほとんどを失っているのか
夫の自殺に関して問われると、割とあっさりしており、
既に切り替えたような態度を見せる。
むしろクライブの弁護士事務所で働いていたモリソンの方が
涙して悲しみを表していた。
彼が妻と共に住もうとしていた「キャリクファーガス」は
地名であり、そしてアイルランド民謡としても知られる。
その歌詞の内容を見れば、故郷や失った愛への哀愁を歌った
人生の最期の曲のようなものであり、とても寂しさを漂わせる。
●奥深いメッセージ
上述したようにイギリスにとっては人種問題は欠かせない
ものなのだろう。イギリスという土地自体、イングランド
スコットランド、ウェールズ、北アイルランドで構成されて
おり、牧師が今回現場写真を見た際にフラッシュバックとして
映し出されるのは彼が第二次世界大戦の中で敵兵を射殺して
いる映像だが、その際、彼が身につけている軍服は、
スコットランド近衛連隊(Scots Guards)と刻まれている。
スティーヴンは北アイルランド人で妻のヒルデガードはドイツ人
だ。
人が違えば飲水も変わる。
被害者のスティーヴンはジェムソン /Jamesonと呼ばれる
アイリッシュ・ウイスキーだけを飲んでいたとされる。
「濁った水に入ろうとしてる」
とはジョーディ談。
ここでは【濁った水】というの重要なキーワードだ。
このメッセージは話の中で何度か耳にする。
牧師が訪問先で出されるシェリー酒の事を指すわけでもなく、
彼は好んでウイスキーを深酒するが、濁った水とは牧師としての
道徳観念を指す言葉の一つでもある。
嗜む程度の飲酒はともかく、彼は人の心に入り込める牧師の立場
だという事を利用して、事件を解決に導くというのだから、
見方を変えると少々倫理的にはエグい。
日記帳を盗み出したりもしていた。
この日記帳を盗みだすミッションの際に、なんとなく未亡人の
女性と男女の関係になりそうな雰囲気が有ったので、
牧師が自ら警部に対して「罪を犯した」というセリフは
それを指すものだと思った。
更に言えば今回のドラマは水にまつわるシーンが多い。
冒頭のターザンごっこで二人でため池に落ちるシーンが有り、
濡れた服のままでアマンダは汽車に乗っている。
そして下にも言及するがデカンタ内の変えられていた酒も
その一つだ。
●自殺ではなく他殺だと気がついたのは?
1)
スティーヴンのオフィスに有るデカンタの中に入っていた
酒の種類。被害者が経営する事務所を尋ねる前に未亡人の
妻の証言では、ジェムソンしか飲まないと言っていたはずが
デカンタの中にはスコッチが入っていた。
利き酒できるイケメン牧師・・恐るべし。
私はビールとワインと焼酎のお湯割りくらいしか飲めないの
で、スコッチやウイスキーの違いがどれほどあるのかは分から
ない。
ただこの酒だけで自殺か他殺かを決めつけるのはちょっと
無理がある。
「濁った水が寄ってくることもある」
とはシドニー談。
2)
遺書だとされるメッセージ。
筆跡はスティーヴンのもので間違いない。
遺書があると言っていたパメラにその事実を告げるが、彼は
日記を書いていたので会っていた人が分かるはずだと述べる。
いつ書かれたものなのか。誰に宛てて書かれたものなのか。
当初はピンと来ないがアマンダとの会話でピンとくる。
遺書だとされるものの文体は落ち着いていて、それでいて
自ら断とうとしていたのは命ではなく関係とのこと。
女性関係が乱れているとしていたので、誰か愛人の事を指すの
だろうが、それが誰との関係だったのか。
結局ドラマはこの日記帳の意味を知ることで解決に導かれるの
だが、他人の心を理解していない私としては正直よくわからな
かった(笑)
■その他
●牧師シドニー役のJames Norton
『ハッピー・バレー 復讐の町『(原題 : Happy Valley 2014年から)
『マクマフィア』(原題 : McMafia 2018年)
『戦争と平和』(原題 : War & Peace 2016年)
『ザ・ネバーズ』(原題 : The Nevers 2021年から)
映画『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』
(原題 : Little Women, 2019年)
映画『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』
(原題: Mr. Jones 2019年)
●昨日はハンガリーに負けた。6対3だ。
サッカーの聖地・ウェンブリー・スタジアムで行われたサッカー
の親善試合。1953年11月25日のこと。
イングランドがハンガリーにまさかの6対3で負けると同時に
ウェンブリー・スタジアムで初めて海外のチームに負けるサッカー
史に於いても歴史的事件。
●十戎の8番目
「偽りの証言をしてはならない」
シドニーがヒルデガードの家から日記を盗んできたときのセリフ。
●偽りの唇を主はいとわれる
旧約聖書の「箴言」12章22節。
Mrs.マグワイアさんがシドニーに対して語るセリフ。
●モディリアーニの絵の様だ
You look like a Modigliani. Long neck, slightly sad eyes
シドニーがアマンダのことを見てそう語る。
アメデオ・モディリアーニ(1884-1920)。
首が長く、憂いのある表情の女性の絵を描くのが特徴だとされる。
アマンダはシドニーとの関係と共に彼女は別の男性との政略結婚を
させられようとしている。
●バックギャモン
警部 vs 牧師。バーだかダイナーで勝負しながら事件について
語り合う。牧師が警部にルールを教えたが、シドニーが負けて
しまった。この辺はハンガリーvsイングランドの試合になぞられ
ていたのかも。
●牧師の言葉
『どんなに頑張ろうと過去は消せません。
未来へ進むしか無いのです。過去を背負い 希望を胸に
未来へと目を向けるのです。振り返ってはなりません。
貴重な時間が無駄になります。ある人がこう言いました。
“悔いなく生きるべきだ”と。誰もがそれを心に刻み悔いなく
生きなければなりません。命には限りがあります。
人はもろい存在です。誰もが死を前に生きているのです。』
■使用された曲
・
■出演者
シドニー・チャンバース (James Norton) 牧師
ジョーディ・キーティング (Robson Green) 警部
アマンダ・ケンダル (Morven Christie) シドニーの友人、美術修復師
Mrs.マグワイア (Tessa Peake-Jones) 教会
ヒルデガード・ストーントン (Pheline Roggan) 喪主、ドイツ人
スティーヴン・ストーントン (Eoin McCarthy) 自殺とされるが・・
キャシー・キーティング (Kacey Ainsworth) ジョーディの妻
エスメ・キーティング (Skye Lucia Degruttola) 長女
パメラ・モートン (Rachel Shelley) 妻、スティーヴンと恋愛
クライブ・モートン (Andrew Woodall) 夫・ハゲ、弁護士
アナベル・モリソン (Michelle Duncan) ブロンド女性、弁護士事務所
Mr.ブラント (Chris Bearne) グラントチェスター町人
アニー (Sia Berkeley) パブの店員
ディケンズ! (犬)