MIU404 第10話 Not found?いやいや見つけてやるってーの

MIU404
(2020年7月期・TBS・金22時枠)

脚本 – 野木亜紀子
音楽 – 得田真裕
主題歌 – 米津玄師「感電」
プロデュース – 新井順子
演出 – 塚原あゆ子(1)(2)(3)(6)(9)、竹村謙太郎(4)(5)(8)(10)、
加藤尚樹(7)
編成 – 橋本孝、渡瀬暁彦

https://www.tbs.co.jp/MIU404_TBS/

第10話 Not found
(見えない敵との戦い 4機捜存続の危機!)

【ストーリー】

ハムちゃんを狙ったと思われるエトリは警察に逮捕され、
バンで連行する途中に突然ドローンを使った爆弾によって
車は破壊される。

すぐにそれはテレビでも報道され、死亡した男は氏名不詳の
容疑者とされる。
更にRECは浜田から直接メールを受ける。これまでは成川を
経由していたが捕まった為に直接情報がメールされてくる。
爆発事件についての情報があるというテキストファイル。
RECはされを開く。

●芝浦署

被害状況を報告し合う。
使われた爆弾はC4レベルの高性能爆薬で残留物を分析中。
陣馬は同情の一機捜の二人は重傷で一人は全治2週間だった。
エトリの司法解剖の結果、死因は爆風による肺挫傷。
検視で一つ気になるのはエトリは目と鼻を整形していること
だった。丸重は組対からの情報でDNA検査の結果エトリの
本名は鴻上悟(44歳)。過去に殺人事件(被害者:瀬波藍子)の
容疑者で荒川西署が任意で引っ張ろうとした矢先に投身自殺
したという。そして被疑者死亡(平成26年9月20日)で送検され
ていた。逃げるために整形していたエトリは裏社会ではBの
スポンサーだった。
ゆづるは問題は誰がエトリを殺したのかということ。
ネクタイピンからGPSが発信され、その信号を拾ったドローン
によって追跡され爆発したものだと分かる。
エトリの側近の話では、エトリにはいつも誰かの指示を
受けていたこと。
糸巻がやってくると、当時の捜査資料から興味深い供述が
あるという。亡くなる直前に知人に話していたこと。
「面白い若者に出会った。男には仮想通貨の知識が豊富で
以前は大手システム開発会社に在籍していたこと。自分が
開発したシステムにはバックドアが仕掛けてあり、情報を
引き出し放題」
。その若い男がエトリを使っていたのだろう
と。
それを聞いた志摩は”久住”と勘で語る。
それを聞き逃さず伊吹が追求するとドーナツEPの売人で
関西弁で20大、池袋のクラブの常連だった人物。
辰井組のシマで、エトリは辰井組のダンベだった訳だから
可能性はあるという。
しかし久住の現在の居所は分からず、偽計業務妨害で逮捕
した成川の取り調べをウチがやることになっているので
そこで久住のことを聞き出そうということになる。

■感想

最終話前のエピソードなだけになかなか熱い展開だった。
前回のエピソードの感想の中で、私は前向きな話として
描かれたと書いたし、嵐の前の静けさとも書いている。

ただ前回のタイトルを見ると「或る一人の死」となって
いることから、これは誰に引っかかって行っているのかを
未だに考えさせられている。

近親者の死によって精神に異常を来す人は居るだろうし、
それが原動力となって生きていく人もいる。それは良くも
悪くも目的を持ったその人なりの信念を固執するものと
なり、十人十色の価値観だ。だから「正義」はぶれてしまう。

一番気になっている死については、私はゆづるの夫の
事だった。それが今回意外とあっさり出てきたところは
潔い。それぞれの過去が描かれている中でゆづるのことは
まだまだ描かれていなかったからね。

野木亜紀子さんは現代社会の中でもサイバー社会に於ける
人間関係を描くのが上手い。あまりドラマの脚本家は
現代的サイバー社会を取り込むのが上手い人を見たことが
ない。
大抵は便利なツールとしての使い方の提示か、犯行を示す
アリバイ的役割程度だ。

人を操ることの容易さは、先日のエピソードの中でも
描かれていたが、今回の流れを通してみると誰かが、意図
した投稿の中でも画像というインパクトは相当あるなと
思わせる。音声のインパクト以上だし、文字などとは
比べものにならない。

人心掌握術が上手いだけでなく、システム開発部にいたと
いうことも有って相当ネットワークやパソコンにも精通
している。先日の「半沢直樹」ではバックドアを後になって
作るというマヌケな描写となっていたが、このドラマの
中では既に制作者である久住が手足のように他人のプライベ
ートとも言えるパソコンに侵入している。

■事件発生です

現代の事件を調べていく内に過去の事件も掘り出された。

エトリと呼ばれていた男。名前だけしか明かされずに居た
ことも有って大物感は存在していたし、演じているのが
水橋研二さんだということも有り、悪人感は強い。

そしてその彼は過去に瀬波藍子という人物を殺害し、
エトリ/鴻上悟が荒川に飛び込んだ形跡があることから
被疑者死亡と送検されている。

・ラスボスはエトリではない

ドラマとして上手く作ってあるのは、久住はかつてから
時々顔を出していた人物ということだ。そしてエトリは謎
の人物的な描き方をされている。
どっちがラスボスなのかはこれだけ見ると明らかにエトリ
であるが、演じている俳優の今のドラマに於ける位置を
考えるとやはり菅田将暉さんということになるのか。

私が見たドラマの中で菅田将暉さんはロクな役を演じて
いないので十分に彼の役柄に対するいらだち感をあおり立て
た。

ドラマの中では久住は「メフィスト・フェレス」という悪魔
的人物だとされるが、人間ならば誰でも甘い言葉に弱い
ものである。問題はその相手が何を欲しているのかを掴む
観察眼なり

・久住に対する人物像

意外と彼に対する人物像が現れてこない。
エトリを使っていた人物・・志摩は直感で久住の名前を
あげた。ドーナツEPというドラッグを販売している人物。

成川、そしてRECは確かに金儲けの為に悪いことをしている。
しかし最終的には久住という人物像を暴く為の協力をして
いた。

いつも池袋のシェアオフィスを利用していること。
池袋はかつて裏カジノが有り、ハムちゃんが密告した場所
でも有った。成川が似顔絵作成に協力すればすぐに見つかる
ような気がするんだけどね。

■私生活

こんな状況でも私生活の描き方は悪くなかった。

九重の父・篤人は息子のキャリアの為にズルをしようと
している。しかしそれをフォローしたのは陣馬だ。

この流れで思い出すのがフジテレビでかつて放送して
いた「踊る大捜査線」
現場と会議室との間で相当な温度差があり、管轄争いや
組織の論理、官僚主義や縦割り行政の問題などが浮上して
いく内容だった。
現場の捜査官の青島俊作とキャリアの室井慎次がやり合って
居たが室井が糞みたいな組織でその地位に居続けるのも
現場に変革をもたらすが為だった。

九重と陣馬はそれとまさに令和の青島と室井のような関係
になりそうだ。

そして「ゆづると志摩」「ハムちゃん、ゆたか、伊吹」の
流れ。両者共に一度はこういう家庭なりシチュエーションを
求めていた所があり、ドラマの中でも過去にそれらしきこと
を語っている。志摩は語らない人だがそれでも態度には
現れる。
翌朝の二人の中でも伊吹が志摩に対して、二人きりの夜に
ついて言及する流れは面白かったし、ゆづるが如何にして
努力してきたのかを端的に表す上手いシーンでも有った。

■結果

なんとか久住の正体をあぶり出そうとした。
RECを使って正体を引き出そうとしたが、相手の方が上手で
用意周到だった。しかしどんなに用意していても例外は
ある。かつて登場した出前太郎が役に立った。
電話越しに聞こえる出前太郎の声。

一方で陣馬は事情聴取の流れから大田区・六郷にあるオフィス
だとしてしらみつぶしに当たる。一度は引っかかったかに
思わせてさすがはベテラン刑事である。しかしその結末も
また気になる終わらせ方だった。

「僕は死にません」(c)101回目のプロポーズ

とはならないだろうな(笑)

■出演者

伊吹藍 …… 綾野剛 (第4機動捜査隊)
志摩一未 …… 星野源 (第4機動捜査隊)
九重世人 …… 岡田健史 (第4機動捜査隊・キャリア)
陣馬耕平 …… 橋本じゅん (第4機動捜査隊)
特派員REC(児島弓快) …… 渡邊圭祐 (WEB動画チャンネルの運営者)
糸巻貴志 …… 金井勇太 (第1機動捜査隊・解析班)
我孫子豆治 …… 生瀬勝久 (警視庁刑事部のトップ)
桔梗ゆづる …… 麻生久美子 (機動捜査隊隊長)
羽野麦 …… 黒川智花 (ハムちゃん、情報提供者)
桔梗ゆたか …… 番場天嵩 (息子)

久住(浜田) …… 菅田将暉 (ドーナツEPの売人?)
成川岳 …… 鈴鹿央士 (私立バシリカ高等学校3年2組)
谷山 …… 坂田聡 (1機捜本部)
九重篤人 …… 矢島健一 (警察庁刑事局長)
エトリ(鴻上悟) …… 水橋研二 (裏社会に影響を持つ資産家)
前園 …… 竹本和正 (エトリの部下)

平尾仁、水野智則、芹澤正和、坂川良
小日向春平、志村彩佳、松田悠我、小本匠晃(アナ)
神谷亮太、高橋浩子

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