相棒17 第16話 容疑者 内村完爾

相棒17
(2018年10月期・テレ朝・水曜21時枠)

プロデューサー:伊東仁、西平敦郎、土田真道
音楽:池頼広

http://www.tv-asahi.co.jp/aibou/

第16話 容疑者 内村完爾

脚本/児玉頼子 監督/内片輝

【ストーリー】

●神奈川県警・警察本部、取調室

捜査官たちは容疑者に対して
「凶器は何処か」「二人の間で一体何が有ったのか」
と問うと、
あなたの犯行で無いなら答えるよう求める。
なんと容疑者として取り調べを受けているのは警視庁の刑事
部長の内村完爾
だった。

それを受けて中園は特命の二人を呼び出す。
今回だけは特別捜査の指揮権を与えるという。極秘に行い、
目立つ行動は慎めという。刑事部長が殺人の被疑者なんて
知られたら警視庁のメンツは丸つぶれ。世界に対してどう
対処すれば良いのか。マスコミに情報が漏れる前に真相を
解明しろと命じられる。

●特命係

テレビでは既に殺人事件について報道されていた。
昨夜午後7時、川崎の多摩川河川敷で人権派弁護士・小柳征矢
が後頭部を殴られて死亡し発見される。

角田がやってくる。
「噂は本当なのか?」刑事部長が隣(神奈川県警)に捕まったと
いう話だという。何故その事を知っているのか・・青木が
何処からともなく掴んだ情報を漏らしていた。
「何で被疑者になっているのか?」

中園からの説明によると、昨日の刑事部長室で中園は内村に
対して会合の時間だとして呼びに来る。
しかし内村は電話しており、これから出かけると言って出て
行く。午後6時過ぎだったとのこと。7時過ぎに二人の刑事が
河川敷に居る内村を見つけて逮捕する。

二人の間に何かトラブルが有り河川敷に呼び出したのか。
角谷よるとあの弁護士と対立したことは何度もあるという。

●川崎の多摩川河川敷/小柳征矢殺害現場

神奈川県警が鑑識を入れて調査する中、警視庁からは捜一
もやってきてもみ合う。県警はそうやって捜査を邪魔して
48時間が経過するのを待っているのだろうと。

刑事の平尾は係長の村井武生に鑑識からあがってきた情報
をまとめた紙を届ける。
それを覗く右京。
被害者の靴底と衣服から薔薇の成文が検出されている様だ
という。鑑識書にはフェニルエチルアルコールとケラニオー
ルが検出されていて、これらはローズ系のオイルや香水に
使用されている成分だという。しかし村井は柔軟剤とか
芳香剤じゃないのか?と問う。しかしそれならなぜ靴底に
付着しているのか。
村井は平尾に対して事件関係者に薬品・香料を扱う人物が
居ないか確認しろと語る。

●薫花堂(線香工場)

特命係の二人は事件現場近くの工場に目をつけてやってくる。
社員の長嶋智博からこの工場のことを聞く。
薔薇の成分を練り込んだ線香を作っているとのこと。
社長の根岸が対応に出てくる。
弁護士が殺害されたことについて話を聞くと今朝にニュースを
見て知ったという。ウチには小柳弁護士の紹介で雇った工員
が居るので弁護士のことは知って居るとし、前科のあるもの
だという。2ヶ月前には須藤修史を連れてきたので頼まれて
面倒を見ているとのこと。弁護士は何度も仕事ぶりを見に来て
いたが昨日は来ていないし、須藤に至っては本日は無断欠勤
とのことだった。

■感想

色々と自分勝手な人の多いこと。
素直じゃ無い人っていうのが多いのか、単に日本人は不器用
な性格の人が多いのか。
手伝って欲しいのにそれを素直に言えない人。
義理堅く自分の立場よりも友人の事を守ろうとするもの。

言葉を伝えるのが下手で、先入観が生まれる限り、その
先入観を覆すのは難しいほどのものが存在している。
特に今回のように殺人ともなれば一度先入観が生まれたら
払拭するのは難しいハズだ。

マスコミや世論の無責任な言動の数々。
関係者以外の第三者の中でも正義の名の元に、一個人には
あるハズも無い裁量権を行使し、遺族のための正義を振りか
ざそうとする。しかし自分は情報を無秩序な世界に出すだけで、
世論を誘導して同じ指向を持つ人を味方につけて社会から
追い出そうとする無責任な正義である。

相棒の中で県警とか市警が警視庁の人間をリスペクトする
シーンは見た事が少ない気がする。
神奈川県警くらいになれば警視庁と同等の捜査能力はあり
そうな感じもするし、今回の一件は殺人事件ではあるが、
内村が絡むことが無ければ県警だけで処理できた案件でも
あるのかも知れない。
それでも同じ捜査官で事件の解決を目指すもので有る限り
多少は協力する体制で挑んでも良さそうなものである。

事件そのものは難しいトリックはなかった。
人の気持ち・感情のコントロールの難しさやコミュニケー
ションの僅かな誤解が人を殺すまでに至るロジックを解ける
かどうかの問題だった。

弁護士の仕事もまた難儀なものだ。
人の権利を守るために時に殺人犯であっても守る立場で
居なければならず、まるでその姿勢は加害者を守り被害者
遺族のことを考えて居ないような非情な人物像にも写り得る。

捜査・事件解決を急ごうとするあまり、細かい作業を怠る
姿が多かった。それらを特命係たちが埋めていった格好
だった。

そして被害者遺族と加害者の関係に於いても、同じ立場に
なるという事は難しい。それは現在の日韓関係を見ても
明らかなのだろうけど、12年という月日をどう過ご
したのかを理解しようとして理解出来ずにいるのは、ある種
外野からの余計な情報が沈静化していた感情を再燃させて
しまったというところだろう。

心の底では被害者家族は決して加害者を許すことは無いという
ことは忘れてはならないことだ。

■出演者

杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁・特命係)
冠城亘 …… 反町隆史 (4代目相棒、総務部広報課->特命係)
月本幸子 …… 鈴木杏樹 (2代目”花の里”)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)
角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策五課)
大木長十郎 …… 志水正義 (組織犯罪対策部)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長・刑事部長)
中園照生 …… 小野了 (警視正・参事官)
青木年男 …… 浅利陽介 (サイバーセキュリティー対策本部特別捜査官)
益子桑栄 …… 田中隆三 (鑑識)
甲斐峯秋 …… 石坂浩二(警察庁・長官官房付)
衣笠藤治 …… 杉本哲太 (警視副総監)
大河内春樹 …… 神保悟志 (警務部 首席監察官・警視正)

笹山隆文 …… 江藤潤 (内村の大学時代の同期)
笹山由美 …… あめくみちこ (笹山の妻)
須藤修史 …… 佐野泰臣 (薫花堂勤務、12年前無差別殺人)
小柳征矢 …… 五宝孝一 (小柳征矢法律事務所 弁護士)
村井武生 …… 清水伸 (神奈川県警捜査一課 係長)
長嶋智博 …… 森聖矢 (薫花堂・勤務)
根岸 …… 内藤トモヤ (薫花堂・社長)
篠塚 …… 和木亜央 (小柳征矢法律事務所 所員)
野崎 …… 国枝量平 (笹山の会社の同僚)
平尾 …… えんじ則之 (神奈川県警捜査一課 刑事)
岡田恒彦 …… 村上かず (神奈川県警 刑事部長)
笹山明希 …… 竹内詩乃 (笹山と由美の娘・12年前の通り魔事件の被害者)

伊藤美希、大島奈穂美

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