[新] ミステリと言う勿れ 第1話 変わり者の大学生が殺人容疑!

ミステリと言う勿れ
(2022年1月期・フジテレビ・月曜9時枠)

原作:田村由美
プロデューサー:草ヶ谷大輔、熊谷理恵
脚本:相沢友子
演出:松山博昭(1)
音楽:Ken Arai
主題歌:King Gnu「カメレオン」

https://www.fujitv.co.jp/radiationhouse2/index.html

第1話 変わり者の大学生が殺人容疑!
真実は一つじゃない、人の数だけある!
新感覚ミステリー開幕

【ストーリー】

●自宅

近所の西郷坂公園で殺人事件が発生する中、久能整はバルコ
ニーからのんびりと外を眺める。
「今日はカレー日和」。
そう思った途端カレーを煮込む為の用意をする。

アパートの大家に連れられて二人の所轄の刑事の薮鑑造
と池本優人が久能の元にやってくる。
彼らは警察手帳を見せると久能に夕べ22時のアリバイを尋ねる。
公園で遺体が発見され、被害者は寒河江健。久能の同級生
だった。一人で居たという久能にはそれ以上のアリバイを証明
するものがなかった。署まで同行を求められる。

・1日目

●大隣署・取調室

目撃者の面通しがあり、取調室にいる久能は、夕べ公園で見た
人物だとの証言をされる。目撃者は間違いないと青砥成昭たち
に告げる。

・取り調べ

被害者の寒河江と久能は大学だけでなく高校の時の同級生だろ
うと指摘されるが、久能は全く親しくなかったという。
彼の方は金持ちのボンボンで父は何処かの会社の社長、
親戚には議員が居て、本人はチャラくて派手で女性にモテモテ
だったと語る。知らないという割りにはよく知っていると
藪。発言に悪意ある物言いだという池本、
近寄りたくないタイプであり向こうも来ないので、接点が
ないという。しかし目撃者が証言していること。そして
久能は何よりも、もじゃ頭で特徴的な人物だった。
しかし久能は公園は暗いのによくハッキリと見えましたねと
し、そもそも公園にいたその人物は何をしていたのか。
そして僕はどんな服を着ていたというのか?と問う。
更に刑事の皆さんはその目撃者のことをどれだけ知っている
のかと問うと、僕のことも知らないのだから同じ立場の人物
だろうと告げる。その人の言うことは本当で何故僕の発言は
嘘だと言うのか。
「名乗り出て嘘をつくメリットは有ると思うか?」という青砥。
しかし久能はあるかも知れないでしょうと語る。
疑われている割りには落ち着きすぎては居ないか?と指摘され
ると、久能は何もしていない僕を警察はえん罪にはしないで
しょとし警察の事はバカではないと思って居ると語る。
そろそろ任意の聴取なので帰るというと、藪は明日も来て
下さいと語る。

●大隣署

風呂光は退職願を書くべきか悩んでいた。
久能はそんな彼女に自分の携帯電話を返して欲しいという。
そこに佐橋刑事が来ると、彼女に資料のコピーはどうしたのか
として雑用を命じ、遅いことに激怒される。
ペットが死んだくらいで明日も遅刻するなよと言われる。
久能は会話している際に彼女のパソコンのモニターに退職願
が書かれている事を知る。

久能は帰ろうとしていた際に階段で会話している池本の声が
耳に入る。そこで池本の妻が妊娠している事を知る。

・2日目

●大隣署・取調室

池本と風呂光が久能の取り調べを担当する。
会議室で朝のミーティングの後片付けの雑用をしていた風呂光
は藪から久能の指紋を採っておけと言われていた。
そしていざスキャナーで指紋を採ろうとするがエラーが頻発
してなかなか採れずに居た。

■感想

新年になりドラマは既に何本か観たけれど、今期のドラマと
しては初のタイトル。原作は未読。

洞察力が鋭く、想像力が豊富な主人公が、相手にペースを
譲ること無く常に主導権を握り、百戦錬磨の刑事を
懐柔して本来有るべき道筋に戻していくという内容だ。

面白かったと言えば面白かった。
10年前くらいに見たら絶賛していたかも知れないのだけど、
私生活も含めて現在見ている環境が悪いせいもあるのか、
意外と無味乾燥というのが第一印象。
初回なので仕方が無いけど90分延長は少々長い印象を受けた。

現実問題として一番怖いのは権力を持つ者、又はそれ相応
のプロ捜査機関が犯罪者であることだ。

ネタばれするけれど、刑事が自分の犯罪の罪を着せる為に
主人公は利用された。そしてそんな刑事の妻子もまた
権力者の子息により殺されたであろうことが判明していく。
面倒くさいヤツだと主人公のことを語るが、寧ろその犯罪性
が凶悪且つ手が込んでいて面倒くさい。

・無実・潔白

自分が潔白であることの証明に必要なことは何か。
完全アウェイ状態の中で有罪ありき姿勢で挑んでくる刑事たち。

最初は上述するように全否定から始まっている。
ドアを開けた瞬間から既にエンケンさん演じる藪を含めた
大隣署の面々は犯人だと決めてかかってくる。

刑事という職業柄、押しが強い。
時に胸倉を掴み、そして突き飛ばして後ろに倒されたことも
有り、任意の聞き取りもほぼ強制的である。
そのような状況の中でも冷静さをまるで失わない主人公と、
一刻も早く有罪にしようとして証拠を提示してくる刑事たち。

状況・物的証拠を重ねたところで本人は認めない。
それは自分自身が無罪であることに自信があるからだ。
「真実は人の数だけある」とするけれど、真実が真実
として突き通されることがあるとは限らない。
このドラマのような印象操作によって恰も犯罪者のような
扱いにされてしまい、押しの強さからえん罪となる事もある。

ドラマあるあるとしては、組織的犯罪者たちを逮捕した後に
集団心理を逆利用して仲間だと思って居る人物、正しいと
思って居る事実に少しだけこれまでと違った価値観を与えて
風穴を開けていけば良い。

・信頼と不信感

仲間は信頼できる。
共有している時間の分だけ相手のことを知っている。

それらは全て虚構で有り表面的な事だけをもって知っている
つもりになっているだけである。

相手が何を考え、何に悩み、どんな問題を抱えているのか。

真実が人の数だけあるとすれば、個人的事情や問題も人の数
だけ存在している。
家庭の事情・私生活に踏み込むのはなかなか難しい。
それぞれが抱えている問題をどれだけ把握している
のか。上司と部下の関係も上手くいっていなさそうな職場だし
付け入る隙はある。
刑事としての本文に向かって一直線の人物である程に
陥りやすい罠というものもある。

今回のドラマは精神的な心理戦に於ける戦略の一つであった。

刑事は4人。
大将は藪、大佐は青砥、大尉は池本、そして一兵卒として
風呂光が居る。

この4人の中でも一番懐柔しやすいのは、明らかに退職願を
出そうとして弱っている人物・風呂光聖子である。

彼女の悩み・苦しみがなんなのか。
何故退職願を出そうとしているのか。
先ずは視聴者にも軽く推理させていくと同時に、主人公の
会話の組み立て、段取りに耳を傾ける。
小耳に挟んだどんな小さな事でも実はその人にとっては重大な
ことであるかも知れない。孤立してしまっている彼女にとっては
同じく刑事に取り囲まれて孤立している主人公にとっては
都合が良い。

今一番求めている彼女にそれを与えることによって、ある意味
懐柔することが出来る。

彼女が失った刑事としての自信感を上手く引き出し、尚且つ
味方につけるという流れをもって誘導していく。

そして次にターゲットにされたのは池本優人。
女心が分からず妻とは不和な状態が続いて少々不機嫌な感じ
だが、根は悪い奴では無さそう。家庭での役割に於いて
ちょっとした妻の苦労を彼自身に知らしめて、理解させること
で不和な状態を緩和させる。

大佐・青砥はちょっと難関だった。

・証拠が揃いすぎていること。
・都合良いタイミングで証拠が出てきている事実。
(凶器や目撃者、借用書など)

それに加えて過去に起こしてしまった『連続幼女殺害事件』
に於ける誤認逮捕でえん罪を起こしている。
そこにつけ込めば彼にも動揺せざるを得ない。
そして刑事ならば必ず一つくらいは過去の傷というのはある
ものだ。

・Q.E.D

「真実は人の数だけある。しかし事実は一つ。警察が調べ
るのはそこだ!」

数々の仕掛けられたトリックを暴いて見せた。

しかしそのトリックを暴く為に必要なのは彼自身では無く
彼のヒントを元にして刑事自身がそれを行わねば説得力は
生まれない。

その過程で発揮した主人公の記憶力というのも特筆すべきもの
がある。
最初から全てを話さない。意図しているのか話す必要が無い
と思ったのかは分からない。言葉足らずで不利な状況が生まれる
ことも有れば必要以上に情報を語る事でそれを利用される事も
ある。

3年前の夏に藪の妻子はひき逃げ事故に遭った。
殺された被害者は当時高校3年生で親から買ってもらった
ばかりの車を何故か処分していた。

久能が落としたカギを交番に届けた人物もまた藪だった。

寒河江が妻子を殺したことに対して罪を認めずにいたから
殺害し、その罪を久能に押しつけた。

しかしその車もまた部活動の先輩に貸したという話もある
という。そしてその先輩は復讐劇が始まったと考えて
自首してきた。

ネクタイピンの色がトパーズでトパーズの語源が「探し始める」
というのは出来すぎな感じも受けるが・・

■出演者

久能整 …… 菅田将暉 (東英大学教育学部の学生)
風呂光聖子 …… 伊藤沙莉 (大隣署・新人刑事、”フロミツ”)
池本優人 …… 尾上松也 (大隣署・巡査)
青砥成昭 …… 筒井道隆 (大隣署・警部、冤罪事件)
薮鑑造 …… 遠藤憲一 (大隣署・警部補、妻子を事故で亡くす)
佐橋謙介 …… 三島ゆたか (大隣署・)
寒河江健 …… 藤枝喜輝 (西郷坂公園で刺殺された久能の同級生)

露木リラ …… ヒコロヒー (整と出会う事務員)
熊田翔 …… 永山瑛太 (大学の研究室)
奈良崎幸仁 …… 金田明夫(乗客)
坂本正雄 …… 久保田悠来(乗客)
犬堂オトヤ …… 阿部亮平(バスジャック犯)
煙草森誠 …… 森下能幸(バスの運転手)
柏めぐみ …… 佐津川愛美(乗客)
淡路一平 …… 森永悠希(乗客)

大家 …… 岩田丸
高校時代の同級生 …… 兼次要那
大隣署の刑事 …… 古河耕史 (池本と階段下で雑談)

小林三十朗、青山明日香、星野彩夏、西本ヒカル、平林美子
早川進人、北川美麗、山本主税、早坂理恵

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