母になる
(2017年4月期・日テレ・水曜22時枠)
脚本 – 水橋文美江
演出 – 中島悟
主題歌 – 安室奈美恵「Just You and I」
チーフプロデューサー – 西憲彦
プロデューサー – 櫨山裕子、秋元孝之
http://www.ntv.co.jp/haha/
第2話 愛しいわが子と再び暮らせる!育てた母が送った衝撃の手紙
【ストーリー】
結衣は広が見つかったという報告を受けて児童施設に居る広と
電話で会話する。広は母のことを知りたがり、スカイツリー、
東京タワーとかアパートの窓から見えるのかと問う。結衣は
極々普通のアパートなので飛行機雲が見えるくらいの2階建て
小さなアパートだという。部屋にはあなたが描いた絵が張って
有るという。同じ施設の田中今偉は広に対して誰と電話している
のかと尋ねると親戚の叔母さんだという。それを聞いてちょっぴり
寂しさを覚える結衣。俺が描いた絵って何?というと、幼稚園
の頃に描いたものだという。後ろから時間だぞって聞こえたけど
昼飯なのか?と問う。好きな物はと問うと「ツナサン」かなと。
じゃあ今度持っていくという。広はさっきは済みませんと告げ
ここの施設には色々な子が居て母親が居ない子がいるので母さん
と電話していると言うと悲しい顔をする人が多いのだという。
親戚の叔母さんなんて言って済みません。電話とても嬉しかった
です”お母さん”。結衣は嬉しくなりちゃんとご飯を食べてと語る。
結衣はこの時から今まで鬱いでいたことが嘘のように変化する。
これまで食事も味気なく、眠りも浅く、人と心を通わせること
も出来なかったこと。それでもまた会えると信じていた。
毎日通る道なのに花屋があることも知らずに生活していた。
広にもう一度一緒に暮らしましょうと話そうと考えていた。
木野は陽一の住むマンションに行くが、琴音が追い返す。
自分は児童保護司で9年前に誘拐された陽一さんの息子の件で
その息子が見つかったのだとすると、琴音は素っ気ない態度を
取る。一応名刺は受け取るが・・
そのことを陽一に話す琴音だが、まるで精気のない姿を見せて
仕事を淡々としていた。
里恵の元にも木野がやってくると彼女は琴音に助けを求める。
琴音は西原教授に電話すると、もうそういう話はまっぴらだと
して孫が助かったという言葉を信用していなかった。
莉沙子は結衣との交流が続いていた。
結衣に頼まれて莉沙子は娘の繭の日々の話を聞く。もしも嫌なら
ばいつでも辞めるから言ってねという莉沙子。
莉沙子は広が見つかった時の為にも結衣にスタミナをつけてと
して焼き肉に連れて行くが、実は今胸がいっぱいなんで食事も
食べれないという。ハッキリ決まったらちゃんと話しますと言うと
莉沙子はついに結衣にも男が出来たと勘違いする。
■感想
なんなんでしょうか。この沢尻エリカさんの安定した演技と、
役になりきってゲッソリ感満載の藤木直人さんの役柄に於ける
メソッド/アプローチ。病気なのか?ってくらいにちょっと痩せて
目の下にクマが出来て今までの姿とガラっと印象が変わっていた。
その姿はちょっと心配になってくる程だ。
そんな彼らが息子の生存を聞いた瞬間に立ち直っていく姿。
道枝駿佑くんを見ていると山田涼介くんに見える。
顔かたちもそうだけど、演技というか役柄もまたどことなく
似ているところがあるんだよな。
視聴者の誰もが感じていたであろう柏崎広の正体に関して、
彼は広本人なのかどうか。誰かとどさくさに紛れてすり替わって
おり本物は別に居る(または死去している)のではないか、
自分の親だと思わせて金品でも奪って逃走するなど可能性を
考えていたけど、結局の所ドラマでは「産みの親」か
「育ての親」はベースとなっていきそうだ。
柏崎広が結衣とコミュニケーションを取る姿は不自然極まりな
い言動・演技にしか写らなかった。
その背景、この性格・性質には通常の人にはわかり得ない、児童
養護施設で生れ育った人物特有の行動として表れ、処世術を
身につけたが為のものかと思ったけど、まさか裏から麻子が
操っているとは思わなかった。しかも麻子はその後の未来の
展開もかなり把握しているようで、驚く程に想定し対策を取って
いる。広に対して礼節の中に紛れ込ませた洗脳めいた流れが実に
憎らしくもあり怖さも感じる。
麻子の行動は犯罪そのもの。何せ確信犯だ。
テレビでも相当放送していただろうし世間的にも話題になって
いた事件が耳に入ってこない訳が無い。
ただ世間から隔絶されているという現実は、今回誘拐されて
この9年の月日を暮らしてきた結衣と陽一が体現していて、
普段通る道に花屋が有ったことさえ知らなかったという結衣の
行動から見ても、人は極限の状態になるとやはり周りが見えなく
なるというものがあるのも事実なのだろう。
1話の麻子はまさに仕事はしていたみたいだけど隔絶されたような
環境に居た訳だしね。
施設に預けられたのが2年前の頃。
やはり学校に通わせる為には戸籍がないと難しいので、一度は
手放すような行動を取ったのだろう。それまでの間に如何にして
麻子という人物は他人の子に対して自分の子だということを
洗脳したのか。そして如何にその期間に幸せさを与えたのかという
所に今後の広の態度の中から見えてくるのだろう。
人の心の問題にも繋がってくるので、断ち切れないものが生まれて
しまったことで、各々どうやって過去と向き合っていくのか。
色々と伝聞的流れが多く、伝聞は曲解を生んだり、また真実を
伝えずエゴ混じりで自分の意図した言葉で相手に伝えようとする。
それぞれ空白の時間に芽生えてしまった生活のリズムを元のリズム
に戻すことなど可能なのか。
こういうドラマって大抵は韓国ドラマじゃないけど”記憶喪失”
みたいになっていて最後は過去と現在のパズルが繋がるように
出来ているのだけど、それとはまた一風変わっている。
■出演者
柏崎 結衣 …… 沢尻エリカ (34歳、北海道出身、陽一と離婚)
柏崎 陽一 …… 藤木直人 (43歳、人工知能研究)
木野 愁平 …… 中島裕翔 (25歳、児童福祉司)
柏崎 広 …… 道枝駿佑 (13歳、3歳の頃誘拐された)
緒野 琴音 …… 高橋メアリージュン (31歳、柏原オート従業員)
西原 繭 …… 藤澤遥 (13歳、広と同窓生)
田中 今偉 …… 望月歩 (16歳、児童養護施設で暮らす)
西原 太治 …… 浅野和之 (60歳、東欧大学・理工学部教授)
西原 莉沙子 …… 板谷由夏 (38歳、フリーのヘアメイク)
柏崎 里恵 …… 風吹ジュン (61歳、柏原オート・社長)
門倉麻子 …… 小池栄子 (37歳、誘拐された広を助け7年暮らす)
3歳の頃の西原繭 …… 宝辺花帆美
3歳の頃の柏原広 …… 吉武歓
渡良井鈴生 …… 吉村界人 (23歳、東欧大学学生、誘拐犯、自殺)
石澤 …… 六角慎司 (児童養護施設”汐風園”)
望月さや香 …… 横内亜弓 (ラーメン店のパート)
吉河颯人、下山葵、金森絢也、高村佳偉人(子役)