相棒16 第15話 事故物件

相棒16
(2017年10月期・TV朝日・水曜21時枠)

EXプロブューサー:桑田潔
チーププロデューサー:佐藤凉一
プロデューサー:高野渉、西平敦郎、土田真道
音楽:池頼広

http://www.tv-asahi.co.jp/aibou/

第15話 事故物件

脚本/太田愛 監督/権野元

【ストーリー】

事故物件に住みたいとして不動産屋を訪ねる東大寺雅夫。
家賃が安いと聞いたからだというと、不動産業者の男は
安い物件ならばあると語り、S38年4月に建築された赤羽の
“郡楽荘”の一室を紹介する。東大寺は自殺か殺人なのか?と
問うと先月年寄りが病気で亡くなっただけだと聞かされる。

冠城と右京は「北区のパチンコ交換所強盗事件」を追いかけ
ていた。1週間前に起きた400万円が盗まれた事件に於いて
捜査本部では共犯者が居て金を渡したのではないかという線
での捜査をしていたが右京は犯人の逃走経路を探して回る。
冠城は無駄なことだとするが、単独犯で逃走中に金を隠した
可能性も否定出来ないことを語る。
そんな中冠城は大衆食堂で羽振りのいいホームレスが居たと
いう話を聞いた事を語る。

ホームレスだった雅夫は寝ていた際に犯人がゴミ箱に盗んだ
金をバッグに入れて隠していったのを見ていた。
その後事故物件に住むことにしていた。
彼は浴室の天井を開けてそこに金を隠しておく。すると一冊
の手帖らしきものが隠されていることを見つける。

「この手記が発見される時、私は既に殺されている。これを
手にしてるのが殺人者でないことを祈る。殺人鬼の毒牙に
かかるとは無念だ。私を殺害した犯人を見つけた者には
矢部財団から一千万円の謝礼を支払う。」

それを見た東大寺は怖過ぎると思うと共にその金で立て直し
が出来ると考える。そして写真に写る”母ちゃん”に誓いを
立てる。

食堂で食事をしていたものたちに”羽振りの良いホームレス”
について尋ねて回るとそれは雅夫だという証言が出てくる。
律儀にも酒を奢ってくれたとのこと。

テレビニュースでは「大手家具メーカー、矢部泰造(82歳)
矢部家具の創業者一代で数十億の資産家が亡くなっているの
が発見された」との報道されていた。

右京たちは情報を元に東大寺のアパートを尋ねる。
新しく引っ越ししてきた為、巡回カードの記入をして欲しい
とのこと。立ち飲みの店で友達に会ったとし、どうしてホー
ムレスから一転したのか尋ねると私にも蓄えが有ったことを
語る。ここは事故物件だと聞いたとして右京は一度ゆっくりと
拝見したかったと語り強引に中を見せてもらう。何か雰囲気
が有る。早く帰って欲しい東大寺は引っ越してから体調が
優れないとして帰ってもらえるよう促す。右京は自分も
幽霊に遭遇したいと思っていたので今後個人敵に来ることを
告げる。”何か差し支えがあるのか?”として右京は断れない
雰囲気を作っていく。

■感想

事故物件と聞くだけで、そこに住んでいたものたちのその人
となりの人生について興味が湧くところもあるし、ホーム
レスたちの人生そのものに関しても気になるような描かれ
方をしている。
今回のエピソードを見れば事故物件やホームレスの人生
はドラマとしての題材になり得る素材そのものではないのか
と思う所も有って、今後はもっと取り上げても良いのかな
と思う。
そもそも今回の昭和の建物に関して、古い建造物の歴史の
中にはどんなものが含まれていたのか。

金を中心に動いたドラマだけど、金に笑い金に泣くような
内容となった。金の有り無しは物質的な豊さの象徴で有って
も精神的的には豊であるとは限らない。
このドラマでも被疑者の男が語っていたように決して有利な
ことだけではないことが描かれた。
そして彼らはみなろくな人生を送っていないことも有って
人に取って金とは何かを考えさせられる。

ドラマは別の事件からスライドしてより興味深い事件へと
流れていく導入部は悪くなかったけど、あの家で手記が見つ
かったという時点で一つ事件の解決までの道筋は分かる所
が有った。

刑事ドラマではよくあるのだけれど、遺体に付着して居た
物体が上か下かによって、この案件が不自然なものとして
扱っていく流れが有る。

そこに付着して居たのは埃だ。
今回のテーマを考えれば「埃」というのは汚いものを表現
するものだが、このドラマには「誇り」=「プライド」と
いう対象的な流れがあり、金の有無が誇りを左右するもの
ではないという作者の主張も込められていた感じ。

幾つかの不自然な流れが有ったとはいえ、少々自供頼みで
解決を図るというのは刑事ドラマとしては少々苦しい事情
が含まれていたのか。

生前矢部泰造は良い事をしていたと思うけど、東大寺雅夫
のように奨学金のローンの利子で潰れて人生が狂う人がいる
ところを見れば必ずしも財団が良い事をしているとは
思えないところも有る。もちろん彼はこの財団を利用したもの
ではないのだろうけど・・
そして人生のレールから外れた人は東大寺と同じ道を誰も
があるということを示唆していて、日本の何処が豊かな社会
なのかという所も同時に示している。

それにしても吉田里琴ちゃん改めて吉川愛さんは、成長して
もカワイイままで良かった。

■出演者

杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁・特命係)
冠城亘 …… 反町隆史 (4代目相棒、総務部広報課->特命係)
月本幸子 …… 鈴木杏樹 (2代目”花の里”)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)
角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策五課)
大木長十郎 …… 志水正義 (組織犯罪対策部)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長・刑事部長)
中園照生 …… 小野了 (警視正・参事官)
青木年男 …… 浅利陽介 (サイバーセキュリティー対策本部特別捜査官)
益子桑栄 …… 田中隆三 (鑑識課)

東大寺雅夫 …… 勝矢 (ホームレス、あだ名は”大仏”)
矢部泰造 …… 勝部演之 (82歳、大手家具メーカー”矢部家具”の創業者)
矢部初子 …… 峯村リエ (長女、高慢ちき)
矢部要 …… 櫻井章喜 (初子の夫、金にしか興味がない俗物)
矢部大輔 …… 小澤亮太 (初子の息子、三流大学留年)
矢部継子 …… 長田奈麻 (次女、エキセントリック、底意地悪い)
矢部寛 …… 石井テルユキ (継子の夫、ギャンブル依存)
矢部唯香 …… 吉川愛 (継子の娘)
河合正弘 …… 橋沢進一 (“矢部記念財団”の職員)
岡野広子 …… 西慶子 (矢部家のお手伝い)
市原真里 …… 片岡明日香 (“矢部家具”の社員)
佐野亜紀 …… ミズモトカナコ (“矢部家具”の社員)
宮坂光男 …… 松浦祐也 (アパートでの東大寺の隣人)
不動産屋 …… 田中章 (東大寺から事故物件を求められ”郡楽荘”)
矢部孝子 …… (3年前に亡くなった泰造の妻)
配達の弁当屋 …… 西村誠治 (1月16日の正午に配達)

高橋新太郎、三島ゆたか、藤原智之

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