相棒17 第8話 微笑みの研究

相棒17
(2018年10月期・テレ朝・水曜21時枠)

プロデューサー:伊東仁、西平敦郎、土田真道
音楽:池頼広

http://www.tv-asahi.co.jp/aibou/

第8話 微笑みの研究

脚本/金井寛 監督/権野元

【ストーリー】

霊能力者・政道神大が太鼓を叩いて呪文を唱える中、
川村里美(29歳)は手を合わせてそれを聞きながら”消えろ!”
と語る。
栄光大学人間学部教授・宇佐美真一郎は自らの研究室の
オフィスで突然倒れて死亡する。

・特命係
青木は最近の大学のレベルが低いとして憤る。
スマホに送られて来るニュースの中に「宇佐美教授死亡」
「呪い殺された?」という記事が飛び込んできたのである。
栄光大学の宇佐美教授と言えば認知科学の分野で注目すべき
論文を幾つも発表している人だと右京も知って居たが、昨日
心臓麻痺で亡くなったという。青木は学生の間では呪い殺さ
れたと噂が出ているという。そんな噂は知的レベルが低い
という青木。そんな非科学的な嘘に引っかかるお前も相当な
ものだぞと言われる。しかし右京は呪いが非科学的な嘘
とは一概には言えないこと。科学的根拠を発見していない
だけに過ぎないことを語る右京。
噂が立つにはそれ相応の理由が有るはず。
冠城は青木に対してわざと話題を振っただろうと語る。
右京のがっかり顔が見られるチャンスですからと不敵な笑み
を見せる青木。

・栄光大学・認知科学
助教の川村里美の元を尋ねると彼女は如雨露で鉢植えに水を
与えていた。そんな彼女に宇佐美教授について話が聞きたい
という。心臓麻痺ではなく呪い殺されたという噂を知って居る
かと問う冠城。呪い殺したというのはあなたのことなのか?
とも尋ねる。噂の出所の学生から話を聞いたとしアナタは
教授が亡くなる前日に・・・

【教授が生徒たちを前にして話をしていた。教授は来月号に
掲載されるかも知れないと語ると学生の原口護は凄いと称賛
しニューヨークの学会に呼ばれるのではないか?とのこと。】

その会話中に川村里美だけは不機嫌な顔をして出て行ってし
まう。心の中では「死ね!」と思いながら・・

【その日の帰りに川村の前に政道神大という霊能者が現れ
「あなたは悪い霊に取り憑かれている」と言われていた事。】

その話を聞いた川村は最近良い事がなかったのでお祓いを
してもらっていただけだという。霊能者の話をしようとする
と二人の准教授が入ってくる。
ボクが研究の為に呼んだとするのは猪瀬啓吾。そしてもう一人
高野鞠子だった。高野は宇佐美と何冊か共著を出して居た。
以前は共同研究をしていて誰よりも研究熱心な方だったと
語る。教授は今の所事件性はないことを語る右京たち。
しかしその影で川村が微笑んでいるのを右京は見逃さなかっ
た。

■感想

おおっと志村正義さんがひょっこりはんでした。

シナリオとしてはよく出来ていたけど、面白かったかどうか
という点では、懲りすぎて逆に策に溺れてしまった脚本家の
独りよがりの話となった気がする。

科学と非科学的な呪術や共感意識/エンパスの対決の構図
なんていうのは面白いネタなんだけど、もう少し色々な陰謀
と計略が絡んでいて、その中には恋愛感情のもつれとか、
教授の座を巡る争いの構図など教授に向けられる複雑な感情を
盛り込んでは、ミスリードの流れを誘うべきだった。

ドラマとしては人の行動心理学が多分に盛り込まれている。
人は嘘をつくとどうなるのか。コールドリーディングや
バーナム効果など最近のドラマでは当たり前のように出て
くる。

毎日規則性のある人間はとにかく学者肌としては向いている
が、トラブルが生じれば狙われやすいという欠点もある。
毎日同じ時間、同じコーヒーを飲む人物に対しては、計画は
立てやすい。二人も居れば協力してより犯罪計画は複雑怪奇
となる筈だけど、実際にはそのロジックを解き明かすのには
あっさりとしたものだった。

現場百回。聞き込みが重要となるね。

科学的捜査としては、防犯カメラ映像、そして毒として利用
されたアズリチンが農学部の科学研究室の保管庫から盗まれて
いたこと。その保管庫の鍵がかけ忘れたことをどのように
容疑者が知ったのかということ。折角アリバイを作ろうとして
いたものの、殺害に利用したコーヒーのカップや如雨露の
指紋など次々とボロが出てくる。

川村里美という人物は完全にエンパス(他人へ共感する)に
属し、その川村が誰に共感して微笑んだのか。
この微笑みの意味をもう少し深いシナリオとして描ければ
良いのだけど、実際には認知科学の学者たちが行動心理の
面では感情を隠すことが出来ずに居たという面では皮肉で
も有る。

まるで心が読める辺りはTBS「家族八景」を彷彿とさせる。
周りからの思考が飛び込んでくる様。その処理に追われて
川村も相当頭はいっぱい一杯になっていたのだろう。

今回のドラマはシナリオを逆から見ていくと一つの流れと
してすっきりとした解法が見える。

そもそもの発端は共著時代に遡ること。殺された宇佐美は
高野との間で確執が存在していたが、川村を引き抜いた
猪瀬が実際には全ての主導権を握って研究をしていたこと。

権力争いこそこの科学者たちには無かったが、人間の心が
読めすぎるとなかなかコミュニケーションとしても難しい
ものがあるんだなと感じさせる。

どの流れに於いても「殺す」という選択肢は排除出来なかった
のか。それを決定したのはその人本人ということで責任を
問うのは難しいところに有るし、逆に証明するのも難しい
という案件となってしまった。

■出演者

杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁・特命係)
冠城亘 …… 反町隆史 (4代目相棒、総務部広報課->特命係)
月本幸子 …… 鈴木杏樹 (2代目”花の里”)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)
角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策五課)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長・刑事部長)
中園照生 …… 小野了 (警視正・参事官)
青木年男 …… 浅利陽介 (特命係・サイバーセキュリティー)
益子桑栄 …… 田中隆三 (鑑識)

川村里美 …… 佐津川愛美 (29歳、栄光大学・人間学部助教)
高野鞠子 …… 冨樫真 (栄光大学人間学部准教授)
猪瀬啓吾 …… オクイシュージ (栄光大学人間学部准教授)
政道神大 …… 岡田正 (50歳、霊能者)
原口護 …… 小野塚勇人 (栄光大学・人間学部学生)
宇佐美真一郎 …… 並樹史朗 (栄光大学人間学部教授・認知科学)
加古川祐樹 …… 山元隆弘 (栄光大学・農学部教授)
前田七海 …… 小日向雪 (栄光大学・農学部学生、保管庫の鍵)
小柴恵子 …… 北島美香 (自殺した少女・葵の母)
土井彰 …… 長谷川慎也 (27歳、里美の元彼氏)
田川祥子 …… 高橋美津子 (未歩の母)
田川未歩 …… 田牧そら (宇佐美の実験の被験者、IQ140以上)
大木長十郎 …… 志水正義 (組織犯罪対策部)
小柴葵 …… 木内心結

新実芹菜、野杁俊希、河瀬祐未、福田航也、塙萌、田牧そら
三木崇史、白仁裕介、大和田紗希
高橋美津子、宮崎不二子

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コメント

  1. いっしん より:

    木内心結は「小柴葵」です

    http://centralltd.co.jp/talent/kiuchimiyu/