相棒18
(2019年10月期・テレ朝・水曜21時枠)
監督:橋下一(1、2)(5)(6)(11)、権野元(3)(4)(8)(9)(16)(17)
片山修(7)(10)、杉山泰一(13)、内片輝(14)(15)
脚本:輿水泰弘(1、2)、神森万里江(3)(8)(9)(11)
児玉頼子(4)(5)(12)、斎藤陽子(7)、根本ノンジ(6)(10)(16)
山崎太基(13)、徳永富彦(14)(15)、山本むつみ(17)
エグゼクティブプロデューサー – 桑田潔
チーフプロデューサー – 佐藤凉一
プロデューサー – 高野渉、西平敦郎、土田真通
編集 – 只野信也
音楽 – 池頼広
https://www.tv-asahi.co.jp/aibou18/
第17話 いびつな真珠の女
【ストーリー】
●殺人現場/港区台場の湾海橋
河川敷で女性の遺体が発見される。
捜査一課の伊丹と芹沢は益子の元に駆けつける。
・被害者は20代女性
・頸部を圧迫されたことによる窒息。
・死亡推定時刻は夕べの21時から23時。
・外傷として両手の親指を切断。
指切り男がまた現れたとし、被害者はこれで三人
(過去:池宮帆香(32歳)、見智由実(25歳)が被害に遭う)
指は現場で見つかっていない。
遺体の状況から見て別の場所で殺害され指を切られて
ここに運ばれた可能性が高いという益子。
2年前と同じ手口だという芹沢に伊丹は徹底して聞き込み
だと語る。
●特命係
KKTNニュースでも事件の報道が行われていた。
発見したのは付近を通りかかった男性。
右京は切り取られた指は何処にあるのかと考える。
被害者のものを記念品としてコレクションする犯罪者は
居るが今回の殺人の場合、殺害方法は単純で遺体への
執着心も薄いこと。まるで指が欲しくて人を殺している
ようだという。右京は冠城にも意見を求める。
しかし今の冠城は何処か変でため息ばかり。
右京がどうしたのか尋ねると、どうやら俺は振られた
ようだと語る。新崎芽依さんからメールがないこと。
2週間前にメールが届いてまた東京でキッチンカーを
初めたとして写真を添付してきたという。そこには
焼きたてのパンの店”ネコの耳”と書かれていた。
写真のお客さんの年齢層は高く介護施設なのではないか
と推察。メールの文章でもパン屋に買いに行けない人
の為に焼きたてパンを出しているとのこと。そして店が
軌道に乗ったら連絡すると有り、それ以降の連絡がない。
冠城側は何度もメールをしているが返信がないこと。
「早く君に会いたい」と書いたので引いてしまったのか?
と右京に語る。
角田課長がやってくる。
例の事件で遺体のノドに妙なものが詰まっていたという
情報を持ってくる。
●鑑識課
異物とはブラックパール/バロック真珠だろうという。
丸くなり損ねたと言えるが逆に個性的で愛好者も多いこと。
前の事件では出ていなかった。これまでの被害者は飲み
込み胃酸で溶けてしまったのか・・真珠は酸に弱い。
または今回の限って犯行のルールを変えたのか。
●捜査本部
中園によると被害者の身元が判明。
被害者は堀内真由子(28歳)、飲食業で働いていた。
被害者の爪からは犯人のものと思われる皮膚片が見つかり
頸部からは黒い絹の繊維片が採取されている。
こんな猟奇事件が続けばマスコミは騒ぎ出すので急いで
犯人を挙げろと発破をかける。
そんな中、冠城の携帯に弁護士の連城建彦からメールが
届く。「あなたに会いたがっている人がいる」との事だ
った。
喫茶店で連城にあって話を聞くが、私は連絡を頼まれた
だけなので本人に聞いてほしいという。
そして「月刊プレス」を読んだか?と尋ねられる。そこに
は、「ブラックパールの女 遠峰小夜子、拘置所から手記」
と書かれていたのだった。
■感想
頭脳犯の犯行が続きますね。
先日の伊武さん演じるスコットランドヤードの刑事の
エピソードもそうだった。
双方に言えるのは「記憶」というか「過去」に関連する
執着にも似たものが類似点としてあげられる。
また自らの力を誇示したいとするねじ曲がった形での
野心的発想も目に付く。
弁護士の連城建彦は、過去に3度も出演している。
S15-16 / S16-6 / S17-6
会話の記憶の達人だそうで、頭が切れる弁護士。
そして遠峰小夜子はS17-6に続いて2度目の登場だ。
“平成の毒婦”、”黒真珠養殖の投資詐欺”というキーワード
を持つ女詐欺師は、人を誘導するのが上手い。
新崎芽依はS.16-9に登場しているが先天性の相貌失認の
ため人の顔が識別出来ないという大変な生活を強いられて
いる。
様々な天才たちが集まる中での謎解き大会。
ここで足りないのはロジック自体を作り上げるメイン
の人物では無いか。小夜子がそれに該当する可能性は
否定できないのは、やはり彼女は口八丁手八丁な所が
ある。
しかし指を切る犯人が目撃者が居るのか居ないのか
分からないけど「男」と断定されているのは何故なの
だろうか?
・謎解きは面倒くさい?
事件のストーリー自体は遠峰小夜子が月刊プレスの
手記に書いたものを紐解いていくと全てが分かるという
仕掛けとなっているが、彼女の存在そのものが色々と
ヒントを与えるストーリーテラーの役割を担っている。
鼻歌の「キラキラ星」の謎や、出版関係に於ける広告
ページの「隠しノンブル」まで解かなければならないと
いうのだから大変だ。
何故か突然登場した遠峰小夜子。
「私はここに居るよ」と青山テルマさんバリの自己主張
のようにして刑務所から自らの存在感を発揮する。
基本的には冠城が右京と協力しない限りドラマとしての
謎解きは難しいものが有る事件であり、冒頭では
色々と冠城の私生活や恋愛的思考までも右京に話すところ
を見るとまさに相棒として染まった感じだ。
今回の事件は右京さんでなければ、それぞれ別のように
して存在している二つの事件の組み立て作業は難しい
一本の流れだった。それは上述したような冠城の私生活
の流れが事件に組み込まれていた訳だし、推察するには
少々難しい案件でもある。
冠城の活躍の場を増やそうとしたのか、半分は個人で
動くシーンで構成され、後に合流して犯人逮捕後の
「第三者の目」を来週以降の存在として前振りした感じで
協力者がいる可能性を示唆する流れを演出。
ブラックパールがノドの中に入っていた流れと首を絞めた
流れに於いて、その痕跡(ベルトのバックルのような四角
の跡)からそれが黒いシルクのクロスタイであり、バーテ
ンダーとつなげる流れは難しかった。
そもそも右京でさえも知らなかった新崎芽依と冠城の関係
に何故遠峰小夜子が食い込めたのかという話で有る。
・色んな顔
今回のキーワードは何か。
小夜子の発言からしても新崎芽依の病気の流れからして
も「顔」というのが正しいようだ。
顔は個体を識別するのに最も最適なもの。
人は存在を消したい人と消されたくない人が居るのだろう
が、基本に犯罪者は存在は隠したいのだろう。
“顔を覚えられない”芽依と”顔だけは忘れない”小夜子は
実の母娘ではないかと勘ぐってしまう。
ダイニングバーの店主がまさかの連続殺人鬼。冷凍庫
には戦利品として被害者の指が有る
・謎解きのヒント/メイさんを探せゲーム
・「クレオパトラは己の栄華を誇るために
真珠の耳飾りを酢で溶かして飲んでみせた」
・「その昔 マレー半島の一部では真珠を入れた瓶に
死体から切り取った指で栓をしておくと、いつの間にか
真珠が増えているという奇妙な迷信があった」
・「事件は全て満月か新月の夜に起きている」
「真珠貝の成長には一定の周期があって、成長の始まり
は海が大潮の日。つまり 月の引力が最大になる満月か
新月の日」
・「”木曜島”はオーストラリア北東の沖合にある小さな島」
「かつては 真珠貝採取の拠点で日本からも多くの潜水
夫が移住していた」
・「隠しノンブル・・P32・P43・P47・P54。座標軸かも」
・「キラキラ星は元々は替え歌。フランスの童謡で
『Ah! Vous dirai-je、 Maman (お母さん聞いて)』」
■出演者
杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁・特命係)
冠城亘 …… 反町隆史 (4代目相棒、総務部広報課->特命係)
伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)
角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策五課)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長・刑事部長)
中園照生 …… 小野了 (警視正・参事官)
青木年男 …… 浅利陽介 (サイバーセキュリティー)
益子桑栄 …… 田中隆三 (警視庁鑑識課員)
衣笠藤治 …… 杉本哲太 (警視庁副総監・警視監)
甲斐峯秋 …… 石坂浩二 (警察庁長官官房付)
遠峰小夜子 …… 西田尚美 (詐欺師、刑務所に服役中)
連城建彦 …… 松尾諭 (連城法律事務所の弁護士)
新崎芽依 …… 朝倉あき (キッチンカー”ネコの耳”)
森尾淳史 …… 古山憲太郎 (“月刊プレス”の編集長)
寺田肇 …… 滝裕二郎 (“南雲記念病院”の事務長)
平川典明 …… 西川瑞 (ダイニングバー”木曜島”の店長)
中安信吾 …… 瑞木健太郎 (“城西冷機”の営業二部)
深堀久司 …… 谷畑聡 (元城西冷機社員)
堀内真由子 …… 原田もも子 (飲食店、指切り殺人の被害者)
女性刑務官 …… 山口ルツコ
警察官 …… 宮下忠人 (取調室・書記)
池宮帆香 …… (32歳、大田区大森で被害)
見智由実 …… (25歳、世田谷区用賀で被害)
掛川初恵