相棒18 第16話 けむり~陣川警部補の有給休暇

相棒18
(2019年10月期・テレ朝・水曜21時枠)

監督:橋下一(1、2)(5)(6)(11)、権野元(3)(4)(8)(9)(16)
片山修(7)(10)、杉山泰一(13)、内片輝(14)(15)
脚本:輿水泰弘(1、2)、神森万里江(3)(8)(9)(11)
児玉頼子(4)(5)(12)、斎藤陽子(7)、根本ノンジ(6)(10)(16)
山崎太基(13)、徳永富彦(14)(15)
エグゼクティブプロデューサー – 桑田潔
チーフプロデューサー – 佐藤凉一
プロデューサー – 高野渉、西平敦郎、土田真通
編集 – 只野信也
音楽 – 池頼広

https://www.tv-asahi.co.jp/aibou18/

第16話 けむり~陣川警部補の有給休暇

【ストーリー】

新目黒に有る、夜のケアハウス”泰然の杜”。
男が血を流して倒れ、そして犯人が逃げていく。
窓には入ってきたであろう穴が開いていてテーブルには
タバコの吸い殻が残されていた。

・現場

捜査一課と鑑識は現場のケアハウスに入ってくる。
芹沢によると被害者は施設長・山倉武夫(65歳)。
鋭利な刃物で心臓を刺されて亡くなっているという。
凶器は犯人が持ち去ったのかと伊丹。益子は窓から
侵入した形跡が有るが指紋は一切無し。唯一机にタバコ
があるだけだと。

・特命係
陣川公平の声が聞こえる。
角田は陣川に対して二課の刑事になった途端に顔も出さ
なくなったと私的。陣川は忙しくしていたとし今では
「二課のエース」と呼ばれていると語る。
そんな中、また「けむり」が出たそうで、警視庁の管内
だけでも50件以上の犯行を重ねている連続窃盗犯の異名
だという。
右京もその事件を知っていた。
最初の犯行は20年前。今回は遺体が出たのがこれまでと
違うこと。陣川はずっと調べていたが命を奪ったことには
海よりも深い事情がある筈・・有休を取ったので特命と
一緒に捜査させてほしいという。

●現場 / ケアハウス”泰然の杜”

外からガラスを切り抜いて進入した跡。盗むのは貴金属や
現金など足の付かないもの。仕事を終えた後、必ず現場
でタバコを一本吸い、その吸い殻以外の痕跡を残さず煙
のように姿を消す。DNAは残っていないので唾液が付かない
方法で吸っていること。やつが狙うのは闇金などあくどい
稼ぎをしている会社・・そして人を傷つけることはない
筈なのに今回は殺人だという。

そして今回はもう一つ違うところがあるという陣川。
施設内の防犯カメラが全て切られているという。

●ケアハウス”泰然の杜”

木村勝則と田中千秋は言い争いをしていた。スタッフの
清水が止めに入る。この人は泥棒だとして木村は田中に
クレームを入れる。通りかかった右京たちは様子を見て
いた。木村が清水と田中の立ち会いの下、彼女の部屋の
引き出しを開けると色んなものが入っていて木村の時計
も入っていた。田中さんはこの施設内でも古参の人だが
忘れっぽくて他人のものを自分のものだと思いしまい
込んでしまうところがあるのだという。

●小料理店”あおびょうたん”

陣川は「花の里」で決起集会をしたかったが、もう幸子
さんと会えないのかと嘆く。女将の野中文江は陣川に
対して斎藤理沙ちゃんがお気に入りではなかったのか?
と問う。理沙さんは運命の人だという陣川は週5回は店に
通っていた。そして自分は区役所の納税課ということに
なっていた。
そんな中突然常連客の佐田重蔵(68歳)は飲み過ぎたので
帰るとし、つけて置いてと語る。板前の太川誠也にそう
告げて店から出て行く。

そして新たに二件目の事件が発生する・・・

■感想

久しぶりに登場の陣川くんのエピソード。
陣川くん演じる原田龍二さんは昨年浮気の数々が
文春で取り上げられて暴露されていたし、そんな
彼が口にした「花の里」の女将役だった鈴木杏樹さんも
また浮気していることが発覚した。

連続窃盗事件ともなれば共通ワードが鍵になる。

今回のエピソードの共通するワードは「虐待」と「復讐」
では有ったけど、陣川くんが何度となくアナログ的捜査
を展開したので「働き方改革に逆行する姿勢はまさに昭和
のデカだ」と青木くんから言われた。

感情移入の激しい陣川くんは信じるものはとことん信じる
人なので、冷静な右京さんとの間に溝が出来るも、
右京さんは今のままの陣川くんで居て欲しいことを
口にしていたし、今回は色んな意味で郷愁を誘うような
味付けではあった。(「けむり」なんて五右衛門のような
泥棒が出たりするしね。)

ハッカーが自分のプログラムテクをひけらかす為の署名
行動のようにして、今回の「けむり」もまた犯罪者として
現場に自分を証明する跡を残す。しかし何度も繰り返し
行っている窃盗犯が今回に限って違う手口で有ったり、
けむりらしからぬ犯罪性を見せることでウイルスが
新局面に達したかの如く、色んな可能性として変わって
いくものかに思われた。

その一つは年齢的歳月の流れを感じさせるもの。

ドラマ的には相当長いスパンで犯罪と復讐による傷跡が
人を狂わせ続けた。
最近のドラマの傾向は立て続けにして犯罪の「被害者」と
「加害者」の共存的性格も見られるのが不思議なもの
だが、一つ一つ順序立てて犯罪の動機なり、犯行現場を
狙うことが出来る人物を絞り込んでいくところはとても
上手く出来ていたと思う。

冒頭の刷り込みで、「認知症」が関係しているのかなと
も思った。20年前の犯罪者も今ではかつてのようには
行かず、証拠を残していってしまっているようにも見え
る。

勿論これほどわかりやすいくらいに証拠が残されていく
課程を見れば誰かが誰かをかばうための犯行という線も
可能性としては十分に考えられ、視聴者もその思考に
ついて行くことが出来た筈だ。

展開が二転三転していく光景は興味深いものが有ったし、
次々と容疑者が変わっていく姿。そもそもの事件は16年
前に殺害された三峰慎吾殺人事件とその被疑者の死の
二つが混在する。
第一発見者が田中千絵だったという辺りの偶然性と必然性
を面白く混在させている。

そして最後に残された謎は最初に捕まった佐田重蔵が
所持していた二村カバン店の126万円の領収書。
平成17年3月3日・・15年前の事である。

偶然と必然を言及したが田中千絵が持っていた携帯は
当時の理沙の父・三峰慎吾のものだった。
そこには当時の被疑者死亡で終わった遠藤司の無実の証拠
が刻まれており、もうそんな昔のことでも携帯カメラが
普及していた頃なんだなと思うと妙に感慨深い。

毎回ヒロインが出てきて良い感じの関係になる陣川君の
光景はふうてんの寅さんか、それともジェームズ・ボンド
かという感じだけど、ベースはイギリス風になっている
のでやはりボンドという事にしましょうか。

■出演者

杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁・特命係)
冠城亘 …… 反町隆史 (4代目相棒、総務部広報課->特命係)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)
角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策五課)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長・刑事部長)
中園照生 …… 小野了 (警視正・参事官)
青木年男 …… 浅利陽介 (サイバーセキュリティー)
益子桑栄 …… 田中隆三 (警視庁鑑識課員)
衣笠藤治 …… 杉本哲多 (警視庁副総監・警視監)
甲斐峯秋 …… 石坂浩二 (警察庁長官官房付)
陣川公平 …… 原田龍二 (捜査二課、「二課のエース」)

斎藤理沙 …… 飛鳥凛 (25歳、居酒屋”あおびょうたん”従業員、クリーンレンタルラムール)
佐田重蔵 …… 小倉一郎 (68歳、居酒屋”あおびょうたん”客)
野中文江 …… 山下裕子 (居酒屋”あおびょうたん”女将)
太川誠也 …… 影山樹生弥 (25歳、居酒屋”あおびょうたん”従業員)
山倉武夫 …… 田上ひろし (65歳、ケアハウス”泰然の杜”理事長)
木村勝則 …… 中山克己 (ケアハウス”泰然の杜”入所)
田中千秋 …… 水野千春 (ケアハウス”泰然の杜”入所)
清水 …… 青柳弘太 (ケアハウス”泰然の杜”従業員)
遠藤司 …… 金森規郎 (当時42歳、”泰然の杜”)
太田 ……大月秀幸 (練山児童養護施設・所長)
三崎慎吾 …… 佑々木優 (当時45歳、”泰然の杜”理事長)
真田陽子 …… (施設)
小学生の時の理沙 …… 古川凛 (ランドセル)
闇金の社長 …… 森本のぶ
取調室の捜査官 …… 宮下忠人
…… 古谷朋弘
松代直樹 …… (清掃業・新曙町クリーン)
山口智 …… (清掃業・新曙町クリーン)

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