相棒20
(2021年10月期・テレ朝・水曜21時枠)
監督:橋下一(1)(2)(3)(4)(6)(15)(16)(19)、
守下敏行(5)(7)(8)
蔵方政俊(9)(10)、権野元(11)(12)(13)(18)
脚本:輿水泰弘(1)(2)(3)(19)、神森万里江(4)、
池上純哉(5)、森下直(6)、山本むつみ(7)(15)、
瀧本智行(8)(18)、川﨑龍太(9)(13)、根本ノンジ(10)、太田愛(11)、斉藤陽子(12)、徳永富彦(16)
エグゼクティブプロデューサー – 桑田潔
チーフプロデューサー – 佐藤凉一
プロデューサー – 高野渉、西平敦郎、土田真通
編集 – 只野信也
音楽 – 池頼広
https://www.tv-asahi.co.jp/aibou/
第19話 冠城亘最後の事件―仇敵
【ストーリー】
衆議院議員で実質上・警察のトップ、国家公安委員会
委員長の鑓鞍兵衛は自宅に法務省のキャリア官僚の
日下部彌彦を呼んで、懸案とされる事案の事で話し
を聞く。日下部によると公安調査庁からの情報で、
満期で出所した男・京匡平の話だった。
鑓鞍は内閣情報調査室・内閣情報官の社美彌子に電話
をするが、まだその案件については情報はあがって
来ていないという。早急にその件について探ることを
語る。公安庁なんかに先を越されたら癪に障るだろう
と。
・8年前
雨の日に屋敷から出て来た鑓鞍議員の前に京匡平が
現れると王隠堂鷹児の仇としてナイフで襲い掛かる。
その際議員の鑓鞍には2人のSP、津崎真茅とベテラン
刑事が身を挺して鑓鞍を守る。その際津崎にはナイフ
が刺さる。
その事を鑓鞍は思い出していた。
・東京都第25区(奥多摩)にある王隠堂家
仏壇には王隠堂家の長男だった隠堂鷹児の遺影が
有り、その前で正座し頭を下げる京匡平と、それを
後ろから見ている長女の王隠堂美馬。
・衆議院総選挙区のポスター掲示場
ポスターの外枠が立てられるのを目にした
王隠堂の当主・鷹春は8年前のことを思い出さずには
居られなかった。息子の鷹児は無所属で出馬した時
のこと。
対立候補として和成党・羽山修造、公民党公認候補
の中林健介、立明新党公認候補の佐藤かなこ。
・候補者演説
鷹児は党の公認から外されたことにより有権者は疑問を
生じる。当人は選挙では党名ではなく名前で書いて
欲しいことを訴える。「一からのスタート」
京匡平は党が突然公認を外したことが許せず、それを
指揮していた鑓鞍兵衛を恨んでいた。
そして結果は落選する。
・特命係
青木が特命係にやってくると、冠城に対して二度も
約束を反故にされたことに激怒する。
しかし冠城はそんなことは電話で済む話であろうこと
を告げる。「腹の虫がおさまらない」という青木。
二人は飲みに行く約束をしていたが、冠城が野暮用
だとして約束はドタキャンしたのである。野暮用と
は具体的に何のことなのか。話せば許すという。
右京は女性関係なのかと問う。右京も事情は知らな
かった。
・家庭料理店”こてまり”
右京は一人で店に行く。
話題は冠城に相手が出来たのかどうか。
本当に春が来たなら祝福したい。しかしそれは野暮な
ことなのか。思い起こせず右京には冠城にそういう
機会が増えた感じはしている事を語る。そもそも右京
が今一人で店に来たのもその一つだった。
「やはり春ですかね」
その頃冠城は少女と会っていた。
・王隠堂家
長男の王隠堂鷹児の死は交通事故によるものだった。
しかしそれでも落選からの流れが有ったこともあり
彼の死を嘆く京匡平。
眠れぬ日を送っている彼のことを心配するのは美馬
だった。
「塀の中の煎餅布団は想像以上に堪える」
・鑓鞍兵衛のオフィス
社美彌子が呼ばれてやってくる。
現在までのところ彼が復讐の為に襲ってくるかどうか
の本気度は分からないという。刑務所に受刑者相手
に話をしただけでは武勇伝の延長であり、単なる
自己顕示欲でもある。一応警戒は必要であることを
語る。
しかし社美彌子には別の疑問も有った。
鑓鞍兵衛がお国替えと呼ばれる選挙区を変えての出馬
を検討しているという噂が有った。
すると鑓鞍兵衛はそれを認め、今回は東京7区から
立候補するという。
「息を止めたい候補者が居る。私は殺し屋だ」
・片山ひなこ後援会事務所
そこでは片山が出馬の為の準備をスタッフ・後援者
たちと行う。僧侶は紫を基調としているとして服から
イメージからすべてを紫にしていた。
■事件
地元の有力者で資産家の王隠堂家では、長男の鷹児を
自損事故で亡くして以降、鑓鞍兵衛に恨みを持つよう
になっていた。彼が息子を党からの公認外しが招いた
結果、落選してから事故が発生したこともあり、
元凶は鑓鞍にあると考えていた。
王隠堂家で住み込みで働いていた京匡平は、鑓鞍を
暗殺しようとするも失敗し、服役していたが
満期で出所し、再び鑓鞍に復讐するものと思われて
いた。
■感想
前回のエピソードで犯罪を未然に防ぐ為に必要なAI
を導入した捜査方針を中園参事官が警視庁で唱えて
音頭を取ったことがある。
まさに今回は事件は発生していない(あるいは見えて
いないところで進行中?) 案件であり可能性の問題
ではある。
今回のシナリオに於いて法務省管轄の公安調査庁と
内閣情報調査室の対立の構図が有り、更にそこに
警視庁サイバーセキュリティーなども加わり、
情報収集力の争いとなる。
かつての警察庁と警視庁のようなものではあるけれど、
同じようでいて一種の異種格闘技戦でも見ている様な
感じである。
そんな物騒な機関が出て来るからにはそれなり
の大物が出て来るはずで、それが政治がらみの案件
であることも容易に想像は付く。そして冠城にとって
はこのドラマの卒業である事はかなり前からアナウン
スされていたことも有るので、どういう結末を迎える
のかが気になる。エピソードの最後には彼は自分の
足で立っていられるのか。
「Dead or Alive」。
情報機関が集めている流れは様々なものがあれど
やはり今回一斉に探そうとしているのは居るかも
分からない「刺客」の存在。仮に居たと想定し
その行動計画や仲間たちの存在を探すというミッシ
ョンである。
これまでのシーズンを通したネット社会との関連性
を考えると最後のモンスターはネット住民みたいな
扱いも考えられる。
私はまだ最終話は見ていないし情報は遮断して
いるのだけど、冒頭からボディガードのような
Security Policeが活躍したことも有り、それに
ひっかけた流れに沿ったシナリオを用意しているのか
なと想像している。
現在謎の少女(社の娘であることは明らか)を守って
いるのが冠城であり、社と言えばロシアと精通して
いたことがある。国家間の絡んだ捜査とは思わないが
現在のロシアのウクライナに見る関係を見るとロシア
の存在感が妙に圧力を覚えるのは確かである。
■興味深いこと
ドラマの中では二つの興味がある。
冠城の進退はもちろん気になるが、それは既定路線
なので置いとくとして、
1) 三人の女性の存在感
劣勢から昇進していく女性たちの狡猾さというか
明晰さを感じる設定がある。
また冠城が今回女性との関係/影があることを誰かが
リークしている。
女性と限定してしまうとまた問題か。
京匡平も過去の鶴田翁助の件を引き合いに出して
プライベートを違法に侵害していることを主張
し、世間に動画サイトでそれらしく訴え拡散している。
「善良なる日本国民に告ぐ!」
・一人は社美彌子。
絶体絶命を覆し内閣情報官として昇格している。
しかもそれは内閣官房長官である鶴田翁助を引き
ずりおろして鑓鞍兵衛の後ろ盾をもって昇格したこと。
社の娘が何かの脅威に晒されていて冠城が守って
いると思われる。その冠城もまたボディガード的
役割を果たして刺されてしまうのではないかと不安。
* S20-E03を参照
https://dramatimez.sakura.ne.jp/jp/2021/10/29/post-1740/
・一人は津崎真茅。
冒頭で刺されて亡くなったかに思われたが、彼女は
助かり昇進している。そのことにはあまり喜んで
いない。そして今回もまたSPとして現場で同じような
立場でいる事に驚き。意外と隠れた存在なので後半
では何をするのか気になる。
「私を出世させてくれた男がまたやらかしそう」
これは京匡平とデキて居るのかもしれん。
・一人は片山ひな子
元国会議員で失脚した女性。尼僧になったり、時々
出てきてはしぶとくドラマにかかわり続けている。
鑓鞍が彼女を潰しにかかっている。
「跳ねっ返りのコスプレ女史を退治しようと思ってね」
2) 真相・真意は何か
今回は「仇討ちとは何か」ということを明確化して
いた。いやまぁその辺はどうでも良いことですが、
裏切られた場合、仇討ちというよりも本人が怒りを
覚えて、復讐心を抱く。
党執行部に弓引いた謀反人として片山雛子は潰されて
しまったわけだけど、今回は政権復帰を画策して
いる。しかしそれが本気なのかどうか。
凶器準備集合罪なんて言葉も出て来たが、京匡平
だって馬鹿ではない。
フェイクニュース、ネット社会の情報伝達など
真相を確かめることなく言葉だけが走り出して
しまうこともある。
少しの真実が混ざっていると全体がオセロの如く
黒いものが白いものに見えてしまう。
その辺の心理を掴んだ京匡平が今回は手玉に取ろう
としていた鑓鞍に一矢報いた。
そして意外にも雛子と鑓鞍が密会していたシーン
などもある。
■その他
・殺人犯・朱雀武比古の愛人
・謀反人・音越栄徳の右腕
・詐欺師・瀬戸内米蔵の附法弟子
・最悪の男たちを渡り歩く稀代の悪女
片山に送られてくる怪文書。
・2017年改正組織的犯罪処罰法が成立。
しかしそれの適用対象はテロ組織や暴力団。
■出演者
杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁警視庁・特命係)
冠城亘 …… 反町隆史 (4代目相棒、総務部広報課->特命係)
伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (警視庁捜査一課。伊丹の後輩)
角田六郎 …… 山西惇 (警視庁組織犯罪対策五課)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (警視庁組織犯罪対策部)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視庁警視長・刑事部長)
中園照生 …… 小野了 (警視庁警視正・参事官)
青木年男 …… 浅利陽介 (警視庁サイバーセキュリティー)
益子桑栄 …… 田中隆三 (警視庁鑑識課員)
小出茉梨 …… 森口瑤子 (家庭料理店”こてまり”の女将)
出雲麗音 …… 篠原ゆき子 (警視庁 交通機動隊から捜査一課)
大河内春樹 …… 神保悟志 (警視庁警務部首席監察官、警視正)
衣笠藤治 …… 杉本哲太 (警視庁副総監)
甲斐峯秋 …… 石坂浩二 (警察庁次長・警視監 警察庁のキャリア官僚)
鑓鞍兵衛 …… 柄本明 (衆議院議員、国家公安委員会委員長)
片山雛子 …… 木村佳乃 (元国会議員)
日下部彌彦 …… 榎木孝明 (法務省のキャリア官僚)
社美彌子 …… 仲間由紀恵 (内閣情報調査室・内閣情報官)
王隠堂美馬 …… 酒井美紀 (鷹春の娘)
津崎真茅 …… 野波麻帆 (警視庁警備部警備課第二警備係班長)
湯本律郎 …… 柿本光太郎 (警視庁警備部警護課警護第二係班員)
京匡平 …… 本宮泰風 (王隠堂家 書生)
王隠堂鷹児 …… 青戸昭憲 (王隠堂家 長男・鷹春の息子)
王隠堂鷹春 …… 勝野洋 (王隠堂家 当主)
林秀善 …… 黒澤優介 (小田山署・鶴ヶ谷交番・巡査)
芦田保 …… 関ヒロユキ (小田山署・鶴ヶ谷交番・巡査)
平賀弓雄 …… 植木祥平 (片山雛子の秘書)
久角壱仁 …… 辰巳智秋 (公安調査庁職員)
神長敏 …… 平塚真介 (「週刊自由画報」専属記者)
社マリア(M) …… 土方エミリ (社美彌子の娘)
冠城由梨 …… 飯島直子 (冠城の姉)
渡部雄作、江端英久、平塚真介、山崎日菜、
助川嘉隆、黒川昌信、保科光志