相棒20 第12話 お宝探し

相棒20
(2021年10月期・テレ朝・水曜21時枠)

監督:橋下一(1)(2)(3)(4)(6)、守下敏行(5)(7)(8)
蔵方政俊(9)(10)、権野元(11)(12)
脚本:輿水泰弘(1)(2)(3)、神森万里江(4)、池上純哉(5)、
森下直(6)、山本むつみ(7)、瀧本智行(8)、川﨑龍太(9)
根本ノンジ(10)、太田愛(11)、斉藤陽子(12)
エグゼクティブプロデューサー – 桑田潔
チーフプロデューサー – 佐藤凉一
プロデューサー – 高野渉、西平敦郎、土田真通
編集 – 只野信也
音楽 – 池頼広

https://www.tv-asahi.co.jp/aibou/

第12話 お宝探し

【ストーリー】

●東京都調布市西日町のとあるアパート

アパートの一室で殺人事件が発生する。
鑑識によると【死亡推定時刻】は昨夜の21時から23時。
【死因】は脳挫傷。殴られた【凶器】は現場に血痕つきで置かれて
いた。【被害者】は元世田谷西署の生活安全課・警部補の
安岡宏(65歳)。
出雲は第一発見者で元彼の部下だった村上浩平捜査官を
連れてきて話を聞く。
村上によると安岡主任の身元保証人になっていたので、
彼が現在働いている警備会社から連絡があり
彼が出勤せず連絡が取れないこと。そこで様子を見に来たら
部屋の中で殺されていたという。
安岡は3年前の定年後に奥さんが亡くなり、その葬式で挨拶
したのが最後だという。

そこに右京たちがやってくる。
冠城は動画投稿サイト/ユアライブに掲載された動画を捜一
に見せる。そのタイトルは「埋蔵ハンター ここ掘れワンワン」

出てくるメンバーは、

1号(赤)・新井正二、2号(緑)・竹内秀雄、3号(青)安岡。

彼らの目的は

「赤城山に眠る埋蔵金を探す」

というものだった。動画は2年前から投稿されていて、最後に
掲載された動画は一週間前。その時の動画では「お地蔵さん」
を見つけて、その先にある洞窟に埋蔵金があるのではないか
とされていた。埋蔵金が見つかりそこで殺された可能性に
ついて語るが、捜一の伊丹たちは馬鹿らしいとして聞き込みに
行くと出ていく。

・特命係が部屋を調べる

定年後の第二の人生としてユアライバーになる人は増えている
のだという。
右京は壁に貼られたメモに目を向けると「14日11時 金色庵」
と書かれていた。検索してみると赤城山の麓にある蕎麦屋
の名前。そこが集合場所だったのか。

冠城も埋蔵金殺人には懐疑的だった。
しかし右京は歴史的背景として、

「江戸城無血開城の際に徳川幕府が隠匿したとされる
埋蔵金は一説では400万両・・現在の価値にして20兆円とも
いわれている」

と語り、発見されているならそこで殺人になってもおかしくは
ないという。

■捜査会議

捜一の面々はこれまで分かったことを報告する。
被害者は安岡宏(昭和33年9月生まれ・63歳)。通報したのは
村上浩平。安岡は元警部補で定年後に都内警備保障会社で
働いて居たという。当日も8時まで勤務していた。
聞き込みと平行して安岡が関わった事件捜査で逆恨みの動機を
もった人物を探しているという。
そんな中、冠城は質問する。

「ユアライブに投稿していた動画が原因で殺害の可能性は有る
のか。」

“ここ掘れワンワン”のメンバーは割れたのかと言うと、青木は
身バレしないようにしているが自分にかかればすぐに分かる
という。

■赤城山/群馬県前橋市富士見町

●そば処 金色庵

右京は一人、そこを訪れる。
そこではユアライバーの二人、新井と竹内が居た。
右京は二人に話しかける。安岡が殺されたことを告げると、
右京は同僚だったという。二人は刑事ではなく警備員の同僚
であると勘違いするが訂正はしなかった。自宅で殺害され
捜査中だが、私は埋蔵金絡みではないかと思って居る事を
語る。

元々は暇つぶしで始めたこと。
タケちゃんと二人で始めたという。埋蔵金に関する言い伝え
は山程あるとし、掘るだけでなくそれを配信すれば最高か
と思ったと。それを見た安岡が参加したいと言ってきたのか?
と問うと、新井はそれを否定しつつ、3ヶ月前に同窓会で久し
ぶりに彼と会った際に会話したのだという。ある時尋ねてくる
と骨董店で見つけたという古地図を広げて入れてくれと言って
来たという。洞窟を見つけてこれからだという際に、突然
辞めたいと言われたこと。連絡があったのは3日前・・
殺される前日のことだった。埋蔵金を見つけて無念を晴らすしか
無いですねというと右京は自分も参加させてもらうと語る。

■事件

元所轄の警察官で定年退職後に警備員の仕事をしていた
安岡宏が自宅アパート内で殺害された。生活安全課の刑事
だった彼は現役当時に何者かの逆恨みを買ってしまった
のではないかという疑惑が持ち上がる中、彼が生前行って
いた行動の一つに警備員をしながら徳川埋蔵金を探す、
埋蔵金ハンターとして活動していたことが判明する。
しかもその行動は動画投稿サイトに掲載されている事が
判明する。埋蔵金の謎と殺人の間に何か関係はあるのか。

■感想

徳川埋蔵金と言えば、90年代にTBSが大金を掛けて発掘作業
をした事を思い出す。糸井重里さんが発起人ではあったけど
川口浩さんの探検隊シリーズのようにして毎週何かが出る
のではないかという期待に胸をふくらませたものだ。
スポーツ誌、ゴシップ誌もここぞとばかりにこの埋蔵金に
関するネタを利用し売り上げを伸ばそうとして取り上げて
いたけど、結局夢は夢のままで有った。

ここの所どうしても注視してしまうのは、どういう流れで
冠城が相棒を辞めるのだろうかということかな。
今のところ辞めるような流れは無いのだけど、何処かで
転換点があるのか。

それにしてもここの所、右京いじりが凄い。彼の変わった
一面を見せるものだけど、マジメな彼のリアクションに期待
する所が大きく、そしてまた彼の期待以上のリアクションを
演技の中の演技で魅せてしまうのだからやはり面白い。

色々とこの流れには共通項があって面白い。

キーワードは熱中していることに関して「突然辞める」という
人の行動心理から見えるものであり、その流れの先には人の
死の匂いが漂って来るのだから何とも言えない。
埋蔵された宝物というのは、そもそもそれを競って探そうと
した結果、生臭い血の臭いとか死臭漂うものが有ったりするの
かな。

誰が誰を殺したのか。
ドラマの枠組みとかフローチャートは早い段階で体を成すが、
その中の事象を埋めるそれぞれの場面に応じた空白の要素の
中に誰を当てはめていくのかを推理して見ていくというのが
今回のドラマ内容だった。

■共通項

面白いのは上述したように共通する流れがあること。
偶然と必然的流れの中に有る皮肉。

見てはいけないものを見てしまったが為に殺害されてしまった
格好で、その中にはいずれも人の死が関わっている。

人には良いこと悪いことに関わらず守るべきものというのは
あるハズで、その執念によって新たな犠牲者が生まれて
しまうというのはなんとも皮肉だ。

誰かにとっては不必要なものでも誰かにとっては大切なもの
も有る。

携帯電話が出回って一周した頃、日本は資源がない国から
一転し突然都会に眠る資源大国と言われる様になった。
携帯電話には金や希少金属が使われていることが多く、そう
したものが回収し再利用する技術が生まれたことによって
金になることが分かったからだ。

殺されてしまった安岡は、現役時代には出来なかったことが
出来るようになった。その途端に事件解決の為のヒントを
見つけた。
それが何処でも無く自分が派遣されたオフィスの一室・倉庫
に送られようとしている資料の山である。事件解決までの地図
のようなものだ。

失踪した人物は殺されてしまったものだと思い込み、そして
埋められた場所はその関係者が発掘作業をしていたであろう
場所だと推察した。

・「執念」

言葉にすれば同じだが、その執念は一方では見つけようとする
もの。一方は見付からないようにしようとするものの攻防で
その執念には差がある。

しかし何故遺体をそんな分かりやすいところに埋めたのだろう
か。不動産デペロッパーであるならば、自分の土地を購入して
誰も立ち入れられないようにすべきではなかったのか。

■心理的駆け引き

・可能性とその排除

右京は埋蔵金の流れに事件解決の匂いを感じ取った。
結果的に見ると逆恨みのお礼参りではなかったが、現役時代には
分からなかったことが判明した事で安岡は殺されてしまった。

疑いの目は実際に安岡と一緒に埋蔵探しをしていた二人に向け
られるが、彼らは現場を掘るのに躊躇することが無かったの
で、犯罪とは無関係な人物となった。怪しい言動を時に見せて
は視聴者を惑わそうとしていたけどね。

・東堂沙耶香の失踪に見る行動心理

旦那が大抵妻を殺害してしまい会長である父親がその隠蔽に
一役買うということは王道的展開である。
しかし旦那自身が失踪届を出している事や、子供がまだ
幼いことから考えてその可能性は限りなく排除される方向に・・。

その後会長自身が失踪届を取り下げて欲しいと言いに来たこと
によって一気に容疑は会長であり父親に向かう。

・3年前の事件を解決する方法

ネットを利用することが多くなった相棒。
サイバーセキュリティーの青木らが色々と活用されることに
なったことからもそれは明らかだ。

人を殺した人は罪悪感が生まれる。
それが故意では無く過失であるなら尚更だ。
時間が経つ程にその気持ちは膨張する。
またそれに関わった人物は見付かるかどうかで不安感な
日々を過ごしているハズだ。
社会的に高い位置にいる人ならば尚更のこと。

そんな気持ち・罪悪感を利用するのが「特殊詐欺」ではあるが、
上手いこと動画を利用して、犯人の不安感を引き出し、殺害者
自ら現場に足を運ばせるように誘導した。

■Q.E.D

結果としてみると一人の人が亡くなっているので悲しい事だが
限りなくその感情を排除するために、失踪して殺されていると
思われていた沙耶香は生きていた。代わりに彼女の事を強請っ
ていたホストの男・熊沢和也が亡くなっていることが分かる。

安岡の執念は妻が亡くなったことによる喪失感が全てだった。
今まで当たり前の様に居た人が居なくなることの寂しさは
計り知れないものがあるだろう。
安岡が沙耶香を見つけた時、皮肉にも両者の間には天と地
ほどの気持ちの違いが有ったのでは無いか?

■出演者

杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁警視庁・特命係)
冠城亘 …… 反町隆史 (4代目相棒、総務部広報課->特命係)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (警視庁捜査一課。伊丹の後輩)
角田六郎 …… 山西惇 (警視庁組織犯罪対策五課)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (警視庁組織犯罪対策部)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視庁警視長・刑事部長)
中園照生 …… 小野了 (警視庁警視正・参事官)
青木年男 …… 浅利陽介 (警視庁サイバーセキュリティー)
益子桑栄 …… 田中隆三 (警視庁鑑識課員)
衣笠藤治 …… 杉本哲太 (警視庁副総監)
甲斐峯秋 …… 石坂浩二 (警察庁長官官房付)
大河内春樹 …… 神保悟志 (警視庁警務部首席監察官)

小出茉梨 …… 森口瑤子 (家庭料理店”こてまり”の女将)
出雲麗音 …… 篠原ゆき子 (警視庁 交通機動隊から捜査一課)
石川大輔 …… 林泰文 (美彌子の秘書)
土師太 …… 松嶋亮太 (警視庁サイバーセキュリティー)
社美彌子 …… 仲間由紀恵 (警視庁総務部広報課長)

安岡宏 …… 小宮孝泰 (65歳、警備保障会社員・元世田谷西署生活安全課警部補)
東堂元信 …… 目黒祐樹 (70歳、東堂エステート 会長)
東堂沙耶香 …… 朝見心 (34歳、憲一の妻・3年前に失踪・偽名「高橋明子」)
新井正二 …… 山本龍二 (蕎麦屋「金色庵」店主)
竹内秀雄 …… ぎたろー (温泉旅館「赤城宝山楼」跡取り息子)
村上浩平 …… 小谷真一 (警視庁世田谷西警察署生活安全課 刑事・安岡の元部下)
磯部昭夫 …… 真山章志 (大学教授)
石田貴代美 …… 栗山かほり (温泉旅館「赤城宝山楼」従業員)
熊沢和也 …… 横山涼 (32歳、元ホスト・3年前に失踪)
新井康子 …… 麻生絵里子 (新井の妻)
東堂憲一 …… 丸山裕征 (40歳、東堂エステート 社員・元信の息子)
東堂祐希 …… 家城綾太郎 (憲一と沙耶香の息子)
秘書 …… 奥村美香

桑名悟史

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