相棒20 第9話 生まれ変わった男

相棒20
(2021年10月期・テレ朝・水曜21時枠)

監督:橋下一(1)(2)(3)(4)(6)、守下敏行(5)(7)(8)、蔵方政俊(9)
脚本:輿水泰弘(1)(2)(3)、神森万里江(4)、池上純哉(5)、
森下直(6)、山本むつみ(7)、瀧本智行(8)、川﨑龍太(9)
エグゼクティブプロデューサー – 桑田潔
チーフプロデューサー – 佐藤凉一
プロデューサー – 高野渉、西平敦郎、土田真通
編集 – 只野信也
音楽 – 池頼広

https://www.tv-asahi.co.jp/aibou/

第9話 生まれ変わった男

【ストーリー】

●スーパーヤガミ

・2001年11月3日

駐車場で(有)関田電気工事店の関田昌平(生・S41.3/10)が
何者かによって刺されて亡くなる。

・2021年(20年後)

聖洋大学陸上競技部のバンがスーパーヤガミの駐車場に駐まる。
現場を通る学生の一人の青年・吉岡翼(20歳)はそこで記憶が蘇る。
何かによって刺される感触。胸が苦しくなると彼はその場で
蹲り倒れる。

●警視庁/鑑識課

益子から呼び出された特命係の二人。
遺族から押収品の「還付請求」が有ったとのこと。
被害者の遺品を返却して欲しいと。被害者は電気工事士の関田
昌平。20年前府中のスーパーマーケットで起きた事件で犯人は
捕まっていないハズではないのか?という右京。未解決なのに
返して良いのか?とは冠城。犯人らしき指紋やDNA型は検出されな
かったので証拠能力は低いし遺族が望むならば返そうという
ことになったという。これを被害者の奥さんに届けてくれと
特命係に頼む。

●関田邸

殺された昌平の妻・関田園子に会う。
彼女は夫が殺害され20年が経過し、気持ちに区切りを付けよう
と思ったということ。犯人の逮捕を希望に生きるよりも夫の魂
と静かに暮らしたいと思うようになった気持ちの変化を告げる。
これまでに精一杯捜査には協力してきたこと。情報提供を求める
チラシをずっと配っていた。集まる情報は懸賞金目当てのデマ
ばかりでこの前には変な事を言い出す人まで現れたという。

「殺された時の記憶が蘇った」

という人物で、それが夫の生まれ変わりだと言われたという。
チラシを配っていた際に若い男性から声をかけられた。
名前は吉岡翼。
喫茶店で話を聞くと、彼は夫が亡くなった2001年11月3日に
生まれた人物であり、夫が運ばれた府中総合病院で亡くなった夫
と入れ替わるようにして生まれたというもの。

「僕は昌平さんの生まれ変わりかも知れない」
「僕にも訳が分からない・・しかし殺された時の記憶がある」

からかっているものとばかり思ったという園子。

しかしこれは前世の記憶なのか?と冠城。
具体的にはどんな記憶があると言っていたのかと問う右京。
しかしあまりにも気味が悪かったので話は出来なかったと
いう。自分の記憶が正しいか確かめたいと言っており、
生まれ変わりだなんてそんなハズはないですよねという園子。

■事件

2001年(平成13年)にスーパーの駐車場で胸を刺されて殺害さ
れた電気工事技師の男性。その20年後の2021年(令和3年)に
自分は殺害された被害者の生まれ変わりだと名乗る大学生
が現れ、その殺された際の記憶が残っているという。
その人物から話を聞く前に右京たちは担当の所轄である府中北
警察署に立ち寄り警察官から話を聞き、解剖報告書を見て
青年と会う事になる。

・事件に於けるポイント

自分は被害者の生まれ変わりだと語る吉岡翼。
偶然にも被害者の関田昌平が殺され運ばれた病院で生まれた
子で、彼は被害者と犯人しか知り得ない情報を有していた。
果たして彼は生まれ変わりでは無いにしても、20年前の事件に
どう関係しているのか。

■感想

前回のエピソードと似ている感じかな。
過去の時効事案から引っ張りだしたもので、前回は亡霊の存在
が抽出されたが今回のエピソードでは輪廻転生である。

府中北署の刑事・萩原哲也から、「特命とは超常現象を扱う
りか?」
とされていたけど、いよいよ相棒・特命犯は日本版
「Xファイル」に転向するのかと思わせる・・というのは嘘だ
けど、ここの所、現実主義的右京に怪奇現象をぶつけてその反応
を見ようとしているのか。

2001年にはまだ監視カメラの類いのものは現場に設置してある
ところが少なかった様で、この年の私は学生身分だったけど、
カメラや携帯は90年代に普及し始めていたが動画撮影に関しては
ちょっとした映像機器でも高かった。今のように鮮明さ
はなく安い初期投資で容易に設置できるものでもなかったかも
知れないですが・・。

ドラマでは親子関係が抽出される。

「関田家 (被害者)」は夫の昌平、妻の園子。
「吉岡家 (生まれ変わり)」は夫は吉岡博幸、妻は直美、
息子は翼。
「八神家 (現場関係者)」は父・淳一、息子の友彦

この中に犯人がいる事は明らかなのだろうし、これ以上登場
する人物を増やせば後付け感が強くなる。

シナリオはいまいちピンと来るものがなかった。
被害者の生まれ変わりというには視聴者を説得するには苦しい
こと。そもそも加害者と被害者が知り得る情報を知っていた
とするけど、そんなに大した情報では無い。

しかし本人は至って真面目そうだし、色々と事象的に偶然が
重なるところも有って、その存在感自体は興味深いものとなっ
ていく。

■当時の事件・被害者の人物像

被害者の関田昌平さんは人に恨みを買うような人物ではなかった。

解剖報告書から見えてきたのは、これといったものではなく
腹部と左胸を刺されて殺されたという事と、凶器は小型の刃物
で、胸の方の傷が致命傷だった。
所持品は盗まれていなかったので金目的ではなく怨恨ではないか
とされる。

あの現場に来ていた理由は何か。
スーパーの店員の八神友彦によると通報したのは父・淳一だと
いう。

・記憶の検証

そもそも記憶というのは曖昧なもので、勝手に自分の経験則が
加味されて都合良くねじ曲げられてしまう可能性がある。
それを考慮するとどうも過去の件で言葉尻を突っついていく
捜査というのは前回のエピソードでもそうだが相当苦しい。

現場に行って生まれ変わりだとされる吉岡から話を聞いていく。

「犯人は見ていない」
「アーミーナイフのような小さなもので刺された」

これだと誰でも報道内容から言える事では無かろうか。

■不可解なこと

色々と不可解なところが出て来る。
死亡推定時刻が開店直前の午前9時20分から25分とかなり限定的
である。
後に分かるがこの細かい時間に起きたことを見ていたものが
居る。

遺体近くには当時の人気のカードダスが現場に落ちていた。

何故被害者のものだとされる記憶が、生まれた当時の青年が
覚えているのか。

「タイヨウ」と叫んでいた人物が居る。
それが今回のキーワードとなるが、そもそもスーパーヤガミ
の店長は被害者に駐車場での空調設備の点検を頼んでいて
開店前に頼んでいたとしていたので、叫び声がしたとするなら
まずは彼が被害者であると疑いそうだ。

・吉岡親子

被害者の生まれ変わりだとされる吉岡翼の両親は健在だ。
父の吉岡博幸は参考人調書も受けている。
母親の吉岡直美も当然健在だ。

当時妻の直美が病院にいて陣痛が始まろうとしていた。
父・博幸は病院に向かう途中でスーパーに立ち寄りそこで
事件が発生した。

奇っ怪な行動を取っていたことも判明する。
父親は店内を走り回っていたというのである。

警察に話す父親の言葉を息子の翼は信用していなかった。
何かを隠していることは確かな様で、その存在感は微妙に
膨らむ。

何よりも5歳くらいまでの家族写真がこの家には存在して
いない。

そしてこの家族は転居を繰り返している。

・写真は事実を照らし出す

過去の事件に於いて写真が大事な役割を果たすのは前回の
エピソードでも同様だった
お正月の写真に於いてホールケーキを食べているところが写って
いたが正月に食べるものだろうか。

■第二の事件

翼が何者かによって襲われる。
犯人に近づきすぎたことによる強襲事件なのか。
埋め込みからは凶器が発見される。

刺された翼は幸い意識もあり、重傷ではない。
少なくとも正面から刺されていることもあって犯人を見ている
可能性は高いが、彼から犯人像が語られることがない。

発見された凶器は電気工事で使用する電工ナイフで先日
被害者の遺留品として返却したものではないかということで
犯人の特定は絞り込まれる。犯人はそれを受け取った園子で
あろうこと。

・徐々に真実と整合性が合致し始める。

翼が園子に刺されたのは、青年によって「バカにされた」と
思い込んでしまったこと。園子にとっては事件に区切りを付け
たい時期で有り、それでいて再び事件関係の情報が一人の
青年によってもたらされたのだから・・

■残った謎を解き明かせ!?

まず現場に落ちていたカードダス。これは無関係かも知れない
し判断は難しい。
しかし益子から指紋が掲出され、そこには指紋が出てきた。

「タイヨウ」と叫んでいたという言葉は誰が何に向けられた
ものなのか。

この謎も明らかになっていく。
そもそも翼の本当の名前が吉岡太陽である。

提出されたスーパーのレシートにはオムツ購入が書かれている
サイズが違う

■Q.E.D

役所の記録を調べれば簡単なトリックではありますよね。

直美には前夫との間に子供がいたこと。
民法では離婚後300日以内に笑まれた子は事実とは関係なく
前の夫の子供とされ、その戸籍の手続きをしなければならない。

問題は太陽を妊娠・出産したということを前夫に知られたく
ないところから来る。
2001年11月3地に第二子である翼を出産したが、生後4ヶ月で
亡くなってしまった。

松本清張『砂の器』のように、ある事件によって人物がすり
替わってしまっている。

犯人は友彦だった。
太陽と遊んでいたが彼は護身用にアーミーナイフを持っていた
ことも有って、太陽と遊んでいることを不審に思われた際に、
通報されることを嫌って殺害した。

二つの事件共にナイフで刺す必要性がまるでない。
説明すればすぐに分かるだろうに・・・
この時代、確かにアーミーナイフって流行ったことがあった
よな。

■出演者

杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁警視庁・特命係)
冠城亘 …… 反町隆史 (4代目相棒、総務部広報課->特命係)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (警視庁捜査一課。伊丹の後輩)
角田六郎 …… 山西惇 (警視庁組織犯罪対策五課)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (警視庁組織犯罪対策部)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視庁警視長・刑事部長)
中園照生 …… 小野了 (警視庁警視正・参事官)
青木年男 …… 浅利陽介 (警視庁サイバーセキュリティー)
益子桑栄 …… 田中隆三 (警視庁鑑識課員)
衣笠藤治 …… 杉本哲太 (警視庁副総監)
甲斐峯秋 …… 石坂浩二 (警察庁長官官房付)
大河内春樹 …… 神保悟志 (警視庁警務部首席監察官)

小出茉梨 …… 森口瑤子 (家庭料理店”こてまり”の女将)
出雲麗音 …… 篠原ゆき子 (警視庁 交通機動隊から捜査一課)

吉岡翼(太陽) …… 今井悠貴 (聖洋大学陸上競技部員)
関田園子 …… 中込佐知子 (関田の妻)
吉岡博幸 …… 画大 (翼の父親)
吉岡直美 …… ともさと衣 (翼の母親)
八神淳一 …… 岸博之 (スーパーヤガミ店長)
八神友彦 …… 栗原卓也 (スーパーヤガミ副店長)
萩原哲也 …… ふるごおり雅浩 (府中北警察署刑事)
関田昌平 …… 渡辺翔 (電気工事士・20年前殺害される)
園子の前夫 …… 高橋悠太 (DVで妻に暴力)

中学生期の友彦 …… 高橋琉晟
吉岡翼 …… 間手野桜 (本当の翼、死去)
幼児期の翼 …… 加藤叶和

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