(2017年1月期・フジTV・木曜22時枠)
原案:岸見一郎・古賀史健『嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え』
演出:池澤辰也、及川拓郎、星野和成
脚本:徳永友一
プロデューサー:目黒正之、井元隆佑
音楽:得田真裕
主題歌:大塚愛「私」
オープニングテーマ:NEWS「EMMA」
http://www.fujitv.co.jp/kira-yu/index.html
第1話 最強アドラー女子が始動!勇気の心理学で連続殺人の謎を解け
【ストーリー】
1999年。
庵堂蘭子は年下の子たちを引き連れて森へとやってくる。
蘭子は森の中に咲く一輪の花に引きつけられてその前に
いくと突然目の前が暗くなる・・
2017年。
彩子や美里たちは喫茶店でケーキを選ぼうとする。
子供はショートケーキが食べたいという中、子供よりも前に
並んでいた蘭子は残り一個しかないショートケーキを注文して
店で頬張る。
青山は大文字に面会する。帝都大文学部心理学科教授で
警視庁の捜査のコンサルタントをしている人物だった。
青山は理解不能で社会常識がなく、大ざっぱに言えばサディスト
だという。しかし大文字は井戸水のことを例に挙げると、
井戸水は18度だが冬も夏も同じ常に一定の温度を保つものだと
いう。つまり全ての人間は主観の中で生きて居ること。
自分の見方を返ると世界が変わる
という。その瞬間から人は生まれ変わるとし世界は驚くシンプル
だと分かるという。人は勝手に複雑なものにしていると。
「大切なのは嫌われる勇気です」という。
1日前。
青山は捜査一課8係に赴任する。半田係長に挨拶に行くと
電話中で目の前の資料に目を通せという。
豊島区撮影スタジオ女性モデル殺人事件。1月7日ファッション誌
「美ビーナス」の赤塚留美(40歳)が午後7時半、現場付近で
何度も振り返る姿を目撃され、その30分後にスタジオで殺害され
たものだった。死因は宗を一突き刺された事による出血性ショ
ック死。腰の辺りに赤い腫れがあったのでスタンガンで押し当て
られた後に殺害されたのだろうと。ファッションの羽毛を右手
にし撮影用のバッグが現場に落ちていたという。そして現場は
羽毛がばらまかれていて犯人によって現場が工作されていた。
足長24cmの足跡が有ったということ。
半田は青山にバディと合流して捜査してくれと。
その頃三宅はトレンチコートを着た不審者が現場付近で目撃され
ていると報告を入れる。
豊島区高田。
現場近くで蘭子は彷徨いていた。
■感想
刑事ドラマとしてはありがちな主人公像。
人とは違い協調性は皆無で組織の中に入り込もうとしない。
アウトロー的役割を担っている刑事役には香里奈さん。
最近日本のドラマの見て居る本数自体が減っているので香里奈
さんを見るのは久しぶりな感じがする。ちょっと痩せたかな。
それともメイクが少し意図してスッピンナチュナルにしている
からなのかな。他人の目を意識しないということを意図して
メイクも最小限にしているって感じだ。
そんな彼女が関係無いようなことをしているとジャニーズ・
加藤くん役の青山は捉えている様だけど、実際にはきちんと
彼女の中には犯人像を捉えてそれに向かって突き進んでいる。
彼女には彼女の中で組み立てられたロジックと観察眼が有り、
それらは小出しながらも間違った意見を語る捜査関係者の前
で
「それは間違っていると明確に云々・・」
と定型的言葉を使って否定していく。
日本のドラマはどうも決めぜりふを決めてそれを毎回着実に
話させることで流行語でも狙っているのかと思わせる程だけど
その辺がマンガチックな安っぽさを生んでるようにも感じる。
殺されたのは二人のアラフォーモデル。
元々その世代に人気の有ったモデルの天野がはじき出されている
現状が有り、殺されたモデルをはじき出して復権しようとして
いるのではないかとする意図が見え隠れしている。
初回としてはマズマズだけど、最近どうも俳優としての南野陽子
さんって苦手。石田ひかりさんも苦手になりつつあるので、
ちょっと個人的には感情移入しづらすぎて泣けた。
そしてママ友も5人、6人集まればこういう意地の張り合いが
起こったりするんだね。
一件目の殺人の証拠を消すために二件目の殺人も演出。
そして最重要容疑者だった女性の殺しはストーカーの男に任せ
て演出した。
心の中の自己満足を満たすには必要な要素である優越的意識の
為にが起こした事件だった。
・アルフレッド・アドラーの心理
ドラマでは重要な役割としてこの心理を捜査に当てはめている。
アドラーはオーストリアの精神科医で個人心理・独自の理論・
人生哲学・自己啓発理論に大いなる影響を与えている。
「全ての悩みは対人関係の悩みである」
「この世界から人が居なくなれば悩みは無くなる」
「全ての犯罪は対人関係の悩みが生むもの」
そんなやりとりが桔平さん演じる大文字と青山の間で描かれ、
蘭子はそれを放棄したことで悩みが本当に無くなっているのか。
「アドラーを実戦するには勇気が必要。それは幸せな勇気」
こういってはなんだけどアドラー心理の欠点は、犯罪は
人それぞれに価値観が違うからこそ起こるもので、幸せ云々を
抜きにして、人は一人では生きていけない現実があるからこそ
難しい社会なのだと思う。自分の価値観だけを押しつけられる
世界など当然存在しない。
・18年前の誘拐
蘭子さんは18年前に山で百合をみて居る時に誘拐されたよう
な姿が有った。そこを訪れた際には全く関係無いと思っていた
大文字の姿が有ることでこの人も容疑者の一人として取りあえ
ず、立場的には敵か味方か線引きの難しいところに据えること
で興味を持たせるのだろう。
■出演者
庵堂 蘭子 …… 香里奈 (32歳、捜査一課8係)
青山 年雄 …… 加藤シゲアキ (28歳、8係)
大文字 哲人 …… 椎名桔平 (52歳、帝都大学文学部心理学科の教授)
半田 陽介 …… 升毅 (55歳、8係係長)
小宮山 正明 …… 戸次重幸 (42歳、8係・リーダー的役割)
浦部 義孝 …… 丸山智己 (38歳、8係・プロファイル)
三宅 隆俊 …… 桜田通 (26歳、8係・デジタル捜査)
相馬 めい子 …… 相楽樹 (28歳、帝都大学医学部法医学講座の助教)
梶 準之助 …… 正名僕蔵 (45歳、鑑識課主任鑑識官)
村上 由稀菜 …… 岡崎紗絵 (22歳、鑑識課鑑識係)
間雁 道子 …… 飯豊まりえ (20歳、帝都大学文学部心理学科・大文字研究室)
土方 登志郎 …… 寿大聡 (36歳、帝都大学文学部心理学科の准教授)
幼少期の蘭子 …… 桜田ひより
天野真紀 …… 南野陽子 (43歳、ファッション誌「美ビーナス」)
植村彩子 …… 石田ひかり (真紀の教室の生徒)
鈴村美里 …… 青山倫子 (真紀の教室の生徒)
坪内翔平 …… 坂田聡 (1年前、真紀へのストーカー)
赤塚留美 …… (被害者40歳、ファッション誌「美ビーナス」、1/7)
丹羽優香 …… 中井理恵 (被害者38歳、ファッション誌「美ビーナス」、1/11)
藤本恭子、新虎幸明、向衣琴、桐生あやの
本間菜穂、白川朝海、葉月しの、横田美恵子
依田かおり、中村梨子