相棒15 第12話 臭い飯

相棒15
(2016年10月期・TV朝日・水曜21時枠)

プロデューサー:伊東仁、西平敦郎、土田真道
音楽:池頼広

http://www.tv-asahi.co.jp/aibou/

第12話 臭い飯

脚本/池上純哉 監督/杉山泰一

【ストーリー】

冠城と右京はイタリアンレストラン”トラットリア道上”に来て
いた。冠城は食事を待つ間、刑事という職業には我慢の限界だ
という。右京はその理由はと尋ねると、食だという。刑事は
食に無頓着で捜査に追われて出前か弁当かが関の山だという。
たまには仕事を切り上げワインでも飲もうという気の聞いた
人に一度もお目にかかった事は居ないという。法務省は恵ま
れた役所だったんですねと。冠城は

「衣食足りて礼節を知る」

っていうじゃないですかとし、たまには美味しいものを食べ
ないといけないという。それで僕をこの店に誘ったのかと。
右京は料理の味も素材も良いと語る。
料理人で経営者の道上しおりがやってくると右京はテレビで
見た事があるという。以前は料理番組で出演していたという。
右京は冠城のお目当てはそちらでしたかと告げる。

その頃白骨遺体が発見される。身元の特定は難しいもの。
伊丹と芹沢は特命係にそれを説明する。
今朝、福城市の廃倉庫で見つかったとし骨しかないので他殺か
どうかも分からないという。考古学みたいな仕事は暇人にしか
頼めないでしょと嫌みを言う伊丹。こっちはゆっくりとディナ
ーを楽しむほど暇もないという。そのことを知っていることに
驚く中冠城はアイツだなと語る。青木はトラットリア道上は
良いなと呟く。

鑑識の益子桑栄に死後はどのくらいかと尋ねる。
簡単に分かれば鑑識は居られないと。完全に白骨になるには
少なくとも1年は放置しないといけないという。骨の形状から
して男性で間違い無いが死因の特定は難しいという。衣類が
無いのであれば全裸で置かれていたのか。そこのブルーシート
に被せられていたというもの。第一発見者は建設作業員で、
ここはマンションの建設予定地だという。一年前から閉鎖され
来週から解体工事が始まる所だったという。右京は遺体近く
にある袋に目が留まり見てみると米が紙が入っていた。

レポーターたちは(株)タキガワに食品偽装の疑いが出て来た
として報道される。
中園は内村のために食堂のカツ丼を持ってくる。内村はここの
食堂のカツ丼が好きだった。
内村は米袋の中野告発文には信憑性があるのかと問う。タキガワ
は主食用の米に酒や菓子などに使用される加工用の米を出荷
しているという内部告発が有ったという。それを封じようと
する為の殺しだったと。特命に任せるとは何を考えているのか
として伊丹達に激怒する。ウチの食堂もタキガワの米だと聞かさ
れる。

青木は被害者の身元が特定されたとして特命係へ。
骨髄から摘出したDNA型が警視庁のデータベースに有ったという
もの。右京は前科があるということかと語る。
被害者は蜂矢克巳(53歳)。6年前に業務上横領と傷害で3年間の
実刑を受けているという。出所後にタキガワに契約社員として
採用されたという。タキガワには協力雇用主制度を利用して
採用されたものだった。元受刑者の社会復帰のために政府が
その制度を採用する企業に補助金を出しているというものだっ
た。

捜査一課はタキガワにいき社長の多岐川徹から話を聞く。
警察の発表のせいで工場は閉鎖状態だという。一方的な告発文
をながすなんて・・というと伊丹は事実無根だというのかと問う。
紙切れにどれだけの信憑性があるのか。戸柱友一は農務省の
記録と蜂矢の資料を持ってくる。食品Gルンの抜き打ちを受けて
いるとするが調査は先月行われたものだった。蜂矢が殺された
のは一年前。右京は一年前のデータはないのかとして提出を
求める。
一昨年の10月が最後の出勤になっていた。あの人たちは無断欠勤
ょよくするのだという。去年から受刑者の受け入れは辞めたと
いう。彼は職場から米を盗もうとしていたのだという。
冠城はどうも納得がいかなかった。右京も素行の悪い人は
一般社会にも同等の確率でいるハズ。タキガワは多いときには
10名の受刑者を採用し立派に社会貢献していた。しかし社長の
言いぐさからすると補助金と経費削減目当てみたいだという右京。
殆どの人が去年の3月に辞めている中で、亀井雄吉だけは
遺体で見つかった蜂矢と同時期に辞めているという。彼は現在
西多摩刑務所に収監されているとのことだった。

■感想

白骨遺体を見て他殺か自殺かを捜査していくという捜査官と
しては難しそうな案件だったけど、受刑者が社会的には協力
雇用主制度を利用して社会貢献している会社の不正を暴く
以上に難しいことなどあるのかという感じだった。

なかなか一言では言い表せないような内容だったけど、
ギリギリの所で生活をしている人たちの孤独さと姑息さ加減が
色んな形で描かれたシナリオだった。

中華店でターンテーブルを利用したカメラの使い方が面白か
ったことと、ひょうひょうとしていてつかみ所のない小憎らし
さを持つ笹野高史さん演じる亀井の存在は味があった。

どの流れをメインとして受け止めるかで人それぞれの感じ方が
有ったのではないかと。

制度を悪用する個人や企業の流れをメインとして受け止めれば
冠城が制度作成を手がけたとする協力雇用主制度に対して、
それを悪用するものへの憤りとも感じるところは有るし、
累犯受刑者なんて言葉が出たけれど、逃げの場所を刑務所に設定
しているところは姑息だし、逆に人が外の世界でいるよりも
刑務所内に居た方が幸せだと感じる国には果たして未来はある
のかとも思える。

人はマジメに働けば今日よりも明日は良くなると信じている
所が有るけれど、そんな希望を奪われれば今回の亀井雄吉や蜂矢
のような所に追い込まれる可能性はあることだ。
自滅する人ばかりではなくその怒りの矛先が他人に向けられる
ことだってある。

皮肉に感じるのはやはり倉庫に閉じ込められて作業する元受刑者
たちは刑務所と同じような生活を強いられていて、壁一枚隔てた
ところに有る外の世界との温度差を感じるところ。
また人それぞれに持つ罪悪感が徐々に浮かび上がり、今回は
食品偽装をしていた社長以外に悪人らしい悪人は居なかったけど
自分の家族の為に何かをするではなく、自殺するしかなかった
蜂矢の為に元受刑者仲間が取った行動が皮肉に写った。

こんな社長と不倫しているとか道上しおりには失望だ。

しかしまぁサイフに鉄粉がついていたというのはちょっと
出来過ぎか。ゴミの中身を見てゴミ清掃員が慌てていたけど、
捨てられたサイフを見たくらいで慌てることなどあり得ないので
この人が絡んでいるのは間違い無いなと思わせた。

「刑務所のメシは臭いというがそれか嘘だ。本当は一人で食う
メシが臭い」

青木がいつも仲間が欲しくて一緒に特命係の面々を誘おうとして
断られる姿が印象に残るし、今回のエピソードを見ると、花の里
の女将さんが言うように、何を食べるかよりも誰と食べるかも
大事なのかも知れないね。

■出演者

杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁・特命係)
冠城亘 …… 反町隆史 (4代目相棒、総務部広報課->特命係)
月本幸子 …… 鈴木杏樹 (2代目”花の里”)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)
角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策五課)
大木長十郎 …… 志水正義 (組織犯罪対策部)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長・刑事部長)
中園照生 …… 小野了 (警視正・参事官)
青木年男 …… 浅利陽介 (サイバーセキュリティー対策本部特別捜査官)

益子桑栄 …… 田中隆三 (鑑識課員)

亀井雄吉 …… 笹野高史 (累犯受刑者、前科13犯。20年ほぼ刑務所)
道上しおり …… 入山法子 (料理研究家、イタリアン”トラットリア道上”)
多岐川徹 …… 宮本大誠 (大手米穀販売会社・タキガワ社長)
戸柱友一 …… 野添義弘 (タキガワの工場長)
蜂矢克巳 …… 稲健二 (53歳、6年前に業務上横領と傷害)
槇原順子 …… 大草理乙子 (亀井の元妻)
槇原雄一 …… 和木亜央 (順子の息子)
高山重浩 …… 谷口翔太 (ゴミ回収員)
捜査官 …… 杖桐安
報道・レポーター …… 川合千里

中村優里、竹内義貴、中村萌子

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