[終] 相棒15 第18話 悪魔の証明

相棒15
(2017年10月期・TV朝日・水曜21時枠)

プロデューサー:伊東仁、西平敦郎、土田真道
音楽:池頼広

http://www.tv-asahi.co.jp/aibou/

第18話 悪魔の証明

脚本/輿水泰弘 監督/橋本一

【ストーリー】

青木の右京と冠城の写真を壁に貼り画鋲で刺している中、
お宝の発掘と称して他人のパソコンに侵入していく。Mという
フォルダーが有り如何にも怪しい。中を見ると子供の画像と
動画が入っていた。

社美彌子は出社すると私的に使っているパソコンの様子がおか
しいことに気がつく。部下の松永に対してパソコンのアイコン
って勝手に配置が変わることは有るのかと問うと、そうはならな
いという。社美彌子は青木に電話してその件を相談する。

青木は特命係にやってくると冠城や右京たちの前で社美彌子の
パソコンの件を相談する。人のパソコンにどう侵入するのかと
いう冠城に対して、OS、ブラウザ、メーラーのセキュリティー
ホールを突くとかバックドアを仕掛けておくこと、ウィルスに
感染させて侵入口を開けてそこから入るという。ウイルスが
仕込んだホームページに巧みに王道して偽装した実行プラグラム
を仕込むとかメールにウイルスを添付して送ること。まあ相手の
目を盗んで仕込むことも出来るという。冠城は特に気をつけた
方が良いとし飲んでいる途中にパソコンを開いたまま放置して
トイレに行くことがあるからという。そういう間に仕込まれること
があるんだというと、仕込むヤツはお前くらいだろうと。
社美彌子は自分のパソコンのアイコンの位置の変更されている
のに気がついたという。侵入者が脳トレを仕込んだのかもと
青木。少しだけ変わったことに気がつくかどうか。
すると話を聞いていた右京はクラッカーの仕業なら足跡を残すよ
うな真似はしないという。気がつかれたらバックドアが無意味に
なるからだと。パソコンを見てやれば良かったのではないかと
冠城。しかし青木はそれを言ったら私物なので良いと断られたの
だという。もしかしたら自撮りの裸の画像とか彼との写真が
入っていたのではないかと。

大河内がサイバーセキュリティー対策課の谷崎莊司を連れて特命係
にやってくる。冠城に対して君のパソコンを調べさせて欲しい
という。冠城はその理由は何なのかを聞かせて欲しいという。
広報課の課長のパソコンにバックドアが仕掛けられていたという。
そんな疑いを小耳に挟んでいるという冠城たち。君に嫌疑がかか
ってかるとすると、疚しいことはないので別に調べてもらっても
構わないが私が社美彌子のパソコンに入ったと思うのかと。
そもそも俺にはそんなスキルもないという。

右京は「あるということを証明するのは簡単。無いという事を
証明するのは実質上不可能・・いわゆる「悪魔の証明」です」
と語る。冠城は気の済むまで調べてくれという。

青木は谷崎に対して大変ですねと声を掛ける。
警視庁のサーバーに侵入するのであればともかく個人のパソコン
に侵入したなら覗きではないのかと。覗きは卑劣な行為だろう
という谷崎。

右京は冠城に対して他人のパソコンに侵入するスキルが有ると
仮定して何故に社美彌子のパソコンに侵入したのかと問う。
個人的興味・・自撮りのヌードを見るとか?下世話な興味に駆ら
れた侵入か、それとも全く違う目的が有るのか。冠城は口説く
材料を探していたのかもと言う。
そんな中青木がやってくると私は何が有っても冠城の味方だと
語る。ログの解析により冠城のパソコンから侵入している形跡が
有り、メールした痕跡も有ったという。社美彌子は「記念写真」
というメールタイトルで冠城から送られたメールを開いている
という。冠城はそんなメールは送ったことはないという。
右京は冠城のパソコンが踏み台になっている可能性はないのかと
告げる。冠城のパソコンが何者かに乗っ取られていてその何者か
が冠城のパソコンから社美彌子のパソコンに侵入したのだという。
社美彌子のパソコンにもバックドアやセキュリティホームを突か
れていれば冠城に罪をなすりつけられるという。しかし冠城の
パソコンにはセキュリティホールもバックドアもなかったという。
既に消去されている可能性はどうなのか。社美彌子が侵入に気づ
いて発覚を恐れてバックドアを削除したこと。となると侵入者は
ソバに居るものの仕業ということになる。冠城は青木に対して
お前はそもそも覗き見の趣味があるだろうと告げるが、怒った青木
に冗談だと語る。

しかし社美彌子も不用意だとし記念写真が送られたとしても拡張子
は当然フォトを示すもの。バックドア実行プログラムファイルは
拡張子が明らかに違うという。クリックを躊躇すべきだとし、
それでもどうしても添付ファイルを開きたい衝動が有ったのでは
ないかという。「記念写真」というタイトルは彼女の気を引くのに
十分なものが有ったのではないかと。

冠城は社美彌子に電話するが電話に出ない為に留守録にメッセージ
を入れておく。今度の件で私には全く身に覚えのないこと。課長
との約束は守るとし詮索するような真似はしませんと。

翌日、社美彌子の元に週刊フォトスの記者だとする風間楓子から
電話がなる。葉林社からあなた宛の速達を見てくれたかという。
封筒を見てみると子供の写真が入っていた。美彌子は用件は何な
のかと問うと、今週に週刊誌で記事を掲載するので色々と聞きたい
という。

■感想

S13-1「ファントム・アサシン」で描かれたシナリオの中で
右京の中で未消化に終わったという答えの流れを掘り起こして
それを解明しようとしていく流れだった。
http://itawind.web.fc2.com/2014/aibo1301.htm

ルール通りの役人的立場で行動を起こす人物・天野是清が当時
そんなルールを破ったことの違和感を右京は引きずっているようで、
それを改めて問いただしていく。

ただ正直s13の内容を全く覚えていないのでそんなルールを破る
ような犯罪を犯していたのかさえも正直覚えていない。

ドラマとしては数々の疑問点・矛盾点があり、右京が食いつくには
十分のものが有った。

相棒のシナリオは全体的にサイバー系捜査には弱い。
ようやく近年サイバー系の捜査機関が関わってくるようにはな
ったが、その理由はこのドラマが好まれているのは比較的高齢者
層に依るところが大きいのかなと思っているが、最近はインター
ネットと言えば会社をリタイアした層の方が上手く活用して使っ
ているので、取り込むことを決めたのかなと。ネットを通じた
落とし穴的なエピソードを混ぜつつも、かつて遠隔操作されて
犯罪者になった冤罪事件のようなものも現実に有った気がするの
でそんな要素が盛り込んで描いたような話だった。

テーマとしては二つ存在していた様な感じ。
冠城のパソコンが仲介されたように、現実の流れでも仲介者・
協力者がいて事件捜査の流れを容易にはさせなかったこと。
ネット社会だとプロキシサーバなどを経由してよりわかりにくい
流れにしたりするけど、そんな意図が平行して描かれていた。

そして何よりも犯罪は証明されないと犯罪にはなり得ないこと。
悪魔の証明と称していたけど、裁判では推定無罪なんて言葉
も有るくらいだし、本当の犯人やらその人となりの正体、その
行動の意図など相当誤魔化していたので、相棒としては珍しく
かなりのクリフハンガー的な終わり方をしている。

色んな推論の元で動いていたのでイマイチよく分からない所も
多かった。花の里の女将さんが右京の顔色を伺って状況を読んで
いたのに対して、今回のドラマでは色んな所でそれぞれのキャラ
クターがバックドアを使って侵入しトラップを使って顔色を伺って
いたような感じだった。
右京が使ったトラップ、そして社美彌子が使ったトラップは
いずれも顔色・反応を伺ったもので、いざという時にどの人物が
味方になるのかどうかを秤に掛ける意図も有ったのかも知れない
が、そもそもの社美彌子の父親の件は額面通りではないと思われ。
女性が襲われたと言えばもうそれ以上言及出来ないし証明も
出来ないしね。その襲ったとされるヤロポロクは冠城がネットで
調べていたが2014年6月4日付けのネット記事の中で亡命を求めて
いることから相棒時間と現実の相棒の放送時間を照らし合わせる
とS13-1よりも前に亡命していることになるんだよな。

右京の推論だったか忘れたけど、天野是清が社美彌子の女の武器
を使わせていたことも有って、キャリアを潰させない為に自分が
犠牲になったとしていたが、この社美彌子という人物は実は相当
なくせ者で、正直カイトの様な影ある流れが待っている感じもする。
今回の一連の流れで社美彌子は自分を擁護させるために甲斐峯秋
を使い、この人も自分を守る為の踏み台にしようとしているのでは
ないかという感じも受ける。

峯秋を生かしている理由は衣笠藤治と対峙させるところも
あるんでしょうけど、まぁこの辺の二人の対立が今後組織の中
でどう影響を及ぼしていくのか。

しかし中園照生の下克上や青木年男の影のある陰謀的流れは
明確な形では描かれませんでしたね。
右京が冠城に対して激高したところも珍しかったけど、寧ろ
右京が怒るとしたら冠城が何かを隠している事じゃないのかな。

違和感があるとすれば美人キャリアとは言え、社美彌子のこと
を週刊誌に取り上げてどれだけ影響が有るんですかね。
冠城が「俺はこう見えてロマンチストです」と語ったり
日下部は「警察は信用出来ない。巨大な権力組織は不都合な
事実を握りつぶす」
とした辺りも気になる。
そして何よりも、右京の口からプリキュアのキャラクターが
云々っていうのは少々無理がないかな。孫がいれば分かるんだ
けどね。

■出演者

杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁・特命係)
冠城亘 …… 反町隆史 (4代目相棒、総務部広報課->特命係)
月本幸子 …… 鈴木杏樹 (2代目”花の里”)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)
角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策五課)
大木長十郎 …… 志水正義 (組織犯罪対策部)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長・刑事部長)
中園照生 …… 小野了 (警視正・参事官)
青木年男 …… 浅利陽介 (サイバーセキュリティー対策本部特別捜査官)
益子桑栄 …… 田中隆三 (鑑識)

日下部彌彦 …… 榎木孝明(法務事務次官)
甲斐峯秋 …… 石坂浩二(警察庁・長官官房付)
衣笠藤治 …… 大杉漣 (警視副総監)
社美彌子 …… 仲間由紀恵 (警視庁総務部広報課課長・警視正)
大河内春樹 …… 神保悟志 (首席監察官・警視正)

天野是清 …… 羽場裕一 (元内閣府内閣情報調査室長)
風間楓子 …… 芦名星 (週刊誌”フォトス”記者)
軍司森一 …… 榊英雄 (40歳、キング出版、東大の将棋部)
ヤロポロク・アレンスキー …… ユーリー・B・ブラーフ (ロシアの元スパイ)
マリア …… ピエレット・キャサリン (美彌子の娘)
甲斐享 …… 成宮寛貴 (元特命係、ダークナイト)
下山秀和 …… 五代高之 (元議員)
谷崎莊司 …… 柴木丈瑠 (サイバーセキュリティー対策課)
松永 …… 大山竜一 (警視庁総務部広報課、PCの質問)
総務部長 …… 山田百貴 (警視庁総務部、記事が出るぞと)
美彌子の母? …… 三谷侑未 (マリアの面倒を見ている)

須間一也
辻京太、大滝明利、佐瀬弘幸、嶋本勝博、桝谷裕
安藤広郎、今村均、横山祥二、松山旭博、梅垣又

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