コード・ブルー3 第5話 涙の味がするトマト

コード・ブルー3
(フジTV 2017年・7月期・月21)

脚本:安達奈緒子
演出:西浦正記
音楽:佐藤直紀
プロデューサー:増本淳
協力プロデューサー:中野利幸
演出:西浦正記、葉山浩樹、田中亮
主題歌:Mr.Children「HANABI」

http://www.fujitv.co.jp/codeblue/

第5話 寄り添う人

【ストーリー】

冴島はるかが妊娠していることを知る恋人の藤川。まだ生むか
どうか決めかねているという。仕事が面白いと。白石はそんな
冴島にどうするにしてもヘリは早く降りた方が良いと忠告する。
そんな白石はフェロー3人の特性と指導方針を書かねばならない
ことに頭を悩ませる。一ヶ月見ただけでは分からないと。名取
さんは特に・・。有名シェフの緒方は弟子によって店を奪われて
しまう。一方緋山もお産に関わる仕事をしていたがその場所を
取られたことを緒方に告げる。そんな緒方がポジティブさに
好感を覚える緋山。彼から「闇の中にいる時こそ気合いで明るく
する」と。そんな緋山の前に彼が由紀という妻がいる事を知る。
一方藍沢と脳外科医の新海は人生の全てをピアノに捧げている
天野奏の治療の選択に困っていた。小脳に腫瘍があり、手術
すれば手がこれまで通り動く可能性は少ない。それでも奏は
藍沢の生きて居て欲しい、必ず治るという説得で手術することに。
その手術を藍沢にして欲しいと。そんな中、緊急オペになる。

奏のオペとICUの患者の急変がつづいて流石の藍沢もぐったり。
外は雨が降っていた。
緋山は”友達の話”として白石に緒方の件を遠巻きに話すが、
「不倫はダメだよ」と大きな声で語る。友達の話だからねと
緋山。きっぱり諦めるべきだと。緋山はそれを聞いて相談する相手
を間違えたと考える。

はるかはつわりでトマトしか食べられない状態だとして藤川は
大量にトマトを持ってくる。イライラしてあたられるのだと
いうが、愚痴っている割に笑っていると藍沢から指摘される。
これが幸せかと。

あかりと灰谷は緋山さんの相手って医者なのかなと話す。
名取はこの仕事をしていると出会いなんてそうそうないので医者
が看護師だろうと。あかりは仕事とプライベートは分けたいと
いう。そんな彼女を灰谷は見つめる。

緒方を見かける緋山は声を掛ける。これからリハビリにいくと。
緋山に元気ないねという緒方。忙しくてね・・と半分は嘘をつく
彼女。忙しいのでは無理かとし少し時間をくれないかと緒方は
彼女に告げる。人が居ない所で会いたいと。

そんな中、佐倉消防局から下水道工事中に作業員3名が増水で
流され、レスキュー隊員1人負傷、2名は助けて軽傷。そして
流された人物が一人いるが行方不明だとしてDr.ヘリが要請される。
ヘリに乗っている際に成田川佐倉橋水門で行方不明者を発見し
意識不明の重症だという。名取は俺が軽傷のレスキュー隊員
の方に行きますという。名取を下ろした後に白石と雪村が
成田川に向かうという。

■感想

救命士と病院の連携なんていうと、「シカゴ・ファイアー」
「シカゴ・メッド」の関係を彷彿とさせますね。

バッドエンディングの中から希望的光明を見出すところは
人々に心に深く突き刺さるところが大きいね。
救命の中でも難しいところで処置しているので、あんまり助かり
過ぎる例を出しすぎるとちょっと違和感があるからな。

バブル崩壊後、過去の成功体験から自信を掴ませようと
して日本のメディアは誘導していたけれど、医療現場は寧ろ失敗
体験から上手く目的を見出すところに繋げている。

冒頭から砕けた医師同士のやりとりもその後に訪れる危機的
状況への前振り感はヒシヒシと感じたけれど、同じ立場で不利な
状況を抱えているもの同士が時に愚痴り、時に言い訳せず、支え合い
語り合いながら目的地に向かい共に進み出すという流れが有る。

フェローの初期値があまりに低かったので心配したけれど、
今回のエピソードを通して見ると自覚させるところが大きく、
自信にみなぎっていた人に取ってはショック状態を
経験させて怖さというものを体験させる。

冒頭ではみんな他人の痛みが分からない為にかける言葉がなくて
辛い思いをしているんですよね。それが最後の段階になって誰も
がその人に取って名言に近いような一番欲しい言葉を投げかけて
くれる存在になっており、支え合うことのありがたみというもの
を改めて実感させる。

白石とか藍沢は他人の気持ちが分かるようで分からないところも
あるんだけど、それは悪意から来るものではないし、本質的な
部分ではその人となりの痛みっていうのが分かって居るのよね。

働く医師ばかりがどうも不幸を背負いすぎているけど、実際の
現場もこんな感じなんだろうね。救命で働いている人には
頭の下がる思いしかしない。

責任の所在が巡り巡るものがあり、吉崎のことを救えなかった
倉田の思い。その倉田のことを判断ミスで危ういものとして
しまった名取。ジャニーズ優遇されすぎだろってくらいに大して
役者としての経験もないのに有岡大貴はいい役をもらっている
よなぁ。
言い訳しようとすれば幾らでも出来る職場。
だからこそ自分に厳しくないと成立しないところも有る。

冴島はるかの流産は残念だけど、正直フライトドクターに戻す
為に脚本家の計算に思えてくるところは邪推しすぎか。
「ダウントン・アビー」に於けるアンナさんのエピソードを思い
出すな。
早産を繰り返してなかなか妊娠しないためにロンドンの医師から
子宮口を縛ってもらい成長させることを行う。
残念ながら冴島はるかの場合、それも間に合わなかった。
よくドラマの中で、悲しいのにお腹だけは空くことに人間としての
性を感じては罪悪感に苦しめられるシナリオが有るけれど、
冴島の場合妊娠中は何を食べても美味しくなかった筈のご飯が
流産した途端にむなしくも美味しく感じてしまうことに複雑な
心境が伺える。

■出演者

藍沢耕作 …… 山下智久 (フライトドクター、脳外科医)
白石恵 …… 新垣結衣 (フライトドクター、チームリーダー)
緋山美帆子 …… 戸田恵梨香 (フライトドクター、周産期医療途中)
冴島はるか …… 比嘉愛未 (フライトナース、妊婦)
藤川一男 …… 浅利陽介 (フライトドクター、整形外科専門)

名取颯馬 …… 有岡大貴 (フェロー、名取総合病院の一人息子)
灰谷俊平 …… 成田凌 (フェロー、要領が悪い。コンプレックス)
横峯あかり …… 新木優子 (フェロー、若干夢見がち)
雪村双葉 …… 馬場ふみか (新人看護師)
町田響子 …… 伊藤ゆみ (管制官、コミュニケーションSP)
鳥居誠 …… 岩井拳士朗 (Dr.ヘリ、整備士)
早川正豊 …… 伊藤祐輝 (Dr.ヘリ、パイロット)
広田扶美 …… 下垣真香 (看護師)
橘優輔 …… 歸山竜成 (啓輔と三井の息子、拡張型心筋症、11歳)

梶寿志 …… 寺島進 (ベテランパイロット)
西条章 …… 杉本哲太 (脳外科部長)
三井環奈 …… りょう (フライトドクター)
新海広起 …… 安藤政信 (脳外科医)
橘啓輔 …… 椎名桔平 (救命救急部部長)

緒方博嗣 …… 丸山智己 (割烹”おがた”板前、中心性頸椎損傷)
天野奏 …… 田鍋梨々花 (14歳、天才ピアニスト、藍沢の患者?)
天野 …… 荻野友里 (奏の母)
倉田正敏 …… 大谷亮平 (57歳、救命士)
倉田和美 …… 立石涼子 (妻)
吉崎孝司 …… 長谷川慎也 (26歳)
緒方由紀 …… 岩上陽子 (妻、博嗣を見出したが・・)

山盛由果

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