健康で文化的な最低限度の生活 第7話 笑わない才女VS働かない無気力中年男

健康で文化的な最低限度の生活
(2018年7月期・フジTV・火曜21時枠)

原作 – 柏木ハルコ『健康で文化的な最低限度の生活』
脚本 – 矢島弘一、岸本鮎佳
音楽 – fox capture plan
主題歌 – AAA「Tomorrow」
オープニング曲 – 安田レイ
演出 – 本橋圭太、小野浩司
プロデュース – 米田孝、遠田孝一、本郷達也、木曽貴美子

第7話 笑わない才女VS働かない無気力中年男

【ストーリー】

小さい頃から愛想のない子だと言われて来た千奈はえみるが
役所に相談にきた担当者と楽しそうに会話しているのを見て
自分には出来ない事だと考える。思い切ってえみるに何を
話して笑っていたのかとするが彼女は会話の内容を覚えて
いなかった。
同僚から食事に誘われる千奈だが、公所児童会館で学習ボラ
ンティアをしている彼女は断ってしまう。
笑う人は良い人、笑わない人は悪い人。そんな単純なこと
で人間の善し悪しを考えられることに不満だった。
日には得意不得意があるということ。
千奈は中学生の坂本夏美に勉強を教えるがもっと優しく教えて
くれたらいいのに・・と。

千奈が担当している中林吉徳がやってくる。
その後の求職活動の報告をすることになっていたが彼は意欲が
ないのか活動していなかった。このままだと生活保護の件を
見直さなければならないこと。再度面談するとして9月14日
に都合が付くかを尋ねるが無理だという表情を見せる。
「その日は阪神タイガースの掛布が引退した日です」

千奈は石橋に掛布について尋ねるとスーパースターだという。
担当している方が引退について語ったのだという。京極ならば
知って居るでしょという石橋。知ってはいるがボクはヤクルト
ファンなので・・と。

5歳上の姉と同居中には短期のアルバイトをしていたが、
職場を転々としていること。その姉が亡くなり1年以上が経つ
のに現在でも就労意欲が見られないのだという。
千奈は廃止も含めた文章での指示書を出すことを語る。
生活保護法第27条12項にはその旨が書かれていた。

■感想

今回の対象者である中林は、文字が読めないのであれば学校
には行けていたのだろうか?行けていない状況であれば役所
ならば分かるのではないかと思ってしまう。

ただ千奈のダークなまでの暗さは過去の家庭環境から来る
何らかの力が働いていると感じていた。生活保護に
関わる何らかの拘りみたいなものはそういう過去に起因して
いるのかと思っていたけど、特にそういうものではなく
単純に性格的なものに起因していたというだけで少々肩すかし
を喰らった感じもする。

吉岡里帆さんの「笑顔」は毒にもなるし薬にもなる。
それは同時に千奈の「厳しい言葉」と「先走る行動力」には
そのペースについていける人といけない人が居てもおかしく
はない。

えみると千奈の間にはちょっとした補完関係が有り、助け
助けられの協力関係が自然と出来上がっている。えみるは
半田が主にフォローしてくれていた印象だけどね。
えみるが気がつかなければ文字が読めないことが分からなか
った千奈。もっと会話していれば不自然なところは出て来て
いたのではないか。

識字障害があると分かった瞬間に行動を取る千奈。
この人は役場に収まる性格じゃないな。杓子定規な対応は
役人にも思えるけど努力する力を見るともっとも能力を
発揮出来る場所ではないと思う。

「障害者」と呼ばれることに難色を示す中林。
五感のウチ、何処か一部が欠けているとその部分を別の部分
でカバーしようとするのでズバ抜けて突出する部分が出て
きてもおかしくはない。この人の場合には”記憶力”だった。

中盤から終盤にかけて障害者職業支援センターに行ったり
ハローワークにいって本人の代理人のようにして暴れまくっ
た千奈。「障害者雇用促進法」を引き合いに出したりして
いたが、千奈が状況をなかなか把握できなかったように、
それぞれの部署でも識字障害がどれだけ言葉で説明しても
容易にどのようなものなのか分かる人は居ないように思う。

「普通の生活をしている人には理解出来ない。あんたが一番
分かって居ない」

自分のパニック障害を引き合いに出して悪いけど、障害と
言われているくらいなんだから障害者的な病気なんだと
思うけど、支援なんて全くない。意外とこの病気にかかって
いる人の中には外に出るのも大変な人も居るという。
自分はたまたま仕事が有り、識字障害よりはパニック障害の
方が社会的には理解が有ったことも有り働くことは出来たが
恐らく一度でも仕事を辞めて空白の期間があれば働きづらか
ったと思う。

引き継ぎをする中で千奈の努力は周りにも伝わった。
そして年齢差はともかく中林が千奈の中に姉の姿を見せると
いうところもまた良かったのではないか。

そして最後に連発して見せた笑顔。
一皮彼女の中で剥けたところが有ったのか。

さて阿久沢の問題が相変わらず怖いくらいに引っかかる。
遠藤憲一さんが浮かれて微笑む程に恐怖が迫っている感じ
がヒシヒシと感じる。そんなダークな心をえみるの笑顔が
見事打ち消してくれるのか!?

■出演者

東京都東区役所生活課

義経えみる …… 吉岡里帆 (22歳、新人ケースワーカー)
半田明伸 …… 井浦新 (45歳、先輩ケースワーカー)
栗橋千奈 …… 川栄李奈 (22歳、福祉専門職のケースワーカー)
七条竜一 …… 山田裕貴 (22歳、一般職のケースワーカー母子家庭)
後藤大門 …… 小園凌央 (22歳、一般職のケースワーカー)
桃浜都 …… 水上京香 (22歳、一般職のケースワーカー)
石橋五郎 …… 内場勝則 (50歳、先輩ケースワーカー)
京極大輝 …… 田中圭 (35歳、生活課係長)
南英里佳 …… 安座間美優 (一般職のケースワーカー)
向井里香 …… 谷まりあ (一般職のケースワーカー)
山岸彩 …… 鈴木アメリ (面接相談員)
青柳円 …… 徳永えり (35歳、定食屋”アオヤギ”店主)
阿久沢正男 …… 遠藤憲一 (53歳、元印刷業、生活保護受給者)
幼少期のえみる …… 古山椛葉 (両親と映画館へ)

あじの純、尾形美香、駒水健、重田裕友樹、藤沢大輔
石田夕理、小川ガオ、佐伯晃、城美うら、真木恵未
岩崎香織、小池まり、佐藤達也、瀬戸葉介、水城ゆう
野田貴之

片岡麻里 …… 阿部純子 (阿久沢の娘・24歳)
須永吉次 …… 佐伯新 (東区役所生活課・課長)
中林吉徳 …… 池田鉄洋 (識字障害)
坂本夏美 …… 畑芽育 (ボランティアで学習支援)
田中耕司 …… 松嶋亮太 (ハローワーク担当者)
小泉一真 …… 関野昌敏 (障害者職業支援センター職員)
中林の姉 …… ふるかわいずみ (1年前に他界)
中林の父 …… (勉強しろと厳しい)
幼少期の吉徳 …… 下川恭平
幼少期の姉 …… 庭野結芽葉
佐々木 ……
吉野 …… (中央医科大病院・精神科医)
千奈の担当 …… 勝倉けい子 (病気)
えみるの担当 …… 藤原由美
えみるの担当 …… 阿部志鴻
君、字が読めないんだっけ? …… 成松修

徳秀樹、下川恭平(子役)、吉原功兼(アナ)
池田香織、田辺レオ(子役)、坂城君、末岡いずみ、岐部公好
吉澤智美

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