相棒17 第14話 そして妻が消えた

相棒17
(2018年10月期・テレ朝・水曜21時枠)

プロデューサー:伊東仁、西平敦郎、土田真道
音楽:池頼広

http://www.tv-asahi.co.jp/aibou/

第14話 そして妻が消えた

脚本/根本ノンジ 監督/片山修

【ストーリー】

床に皿が割れて散乱。男・坂崎直哉は血の付いた手を
シンクで洗う。

・花の里
月本は右京と冠城に対してようやく”天然のフグの白子”
が入荷したことを語る。白子焼きにするという中、冠城
の元に電話がなる。大学時代の知り合いが来て欲しいと
のこと。右京に犯罪心理学者でコメンテーターの坂崎直哉
という人が居るが奥さんは元キャスターのオダエミこと
坂崎絵美子さん。オダエミさんが失踪したらしいとのこと
だった。

・坂崎家
右京たちは彼の家を訪ねる。
夫の直哉に話を聞くと、妻は今日一日家にいる予定で
私は夕方の6時に帰宅しても誰もいなかったこと。携帯
の電源が入っていないので連絡が取れないという。
単に出かけたということは?と問うと、不安なことがある
のだという。テーブルに15時2分に購入した食材とレシー
ト。床には割れた皿、勝手口のドアはピッキングの傷、
更に床には血を拭き取った後が有った。

益子がALSライト確認すると血痕が浮かび上がるのを確認。

伊丹と芹沢は直哉から話を聞く。
すると一ヶ月前くらいからストーカーのような男につき
まとわれていると妻からメールを転送してもらったという。
2019年1月15日のメール「いつもみてるからね。ボクの
オダエミ」。警察に知らせなかったのは妻が必要無いと
言ったからだという。
右京は直哉に対して爪の間が赤くなっていることを指摘す
ると手を洗った時についたものだろうことを告げる。
念の為に採取させて頂くという右京。

・特命係
翌日ストーカーの線を探るが全くその形跡は無かったと
いう冠城。そこに角田がやってくると、オダエミの旦那
と知り合いだったのかという。冠城は学生の頃に彼は
大学で犯罪心理学の講師をしていたのだという。その際
意気投合して一つの質問をしたら何時間も話していた事。
そして卒業後にも馬が合ったので酒を飲む関係だったと
いう。角田はオダエミがお天気キャスター時代・小田
恵美子の頃からのファンでフリーのアナから人気ニュース
番組のキャスターに抜擢されたこと。どのアナウンサー
よりも誠実で硬派な感じが良かったという。人気絶頂の
頃にはスポーツ界や芸能界とスキャンダルも有ったが
地味な男と結婚して驚いたという。当時は「格差婚」
「逆玉」「年の差11歳婚」とか言われ、そしてその後は
旦那の直哉の方がコメンテーターになって人気を得て
からは寧ろオダエミの方が家庭で夫を支える内助の功と
して言われ理想の夫婦だとされたという。
そこに伊丹がやってくると冠城に対して”お友達”が怪しく
なってきたぞと語る。青木が面白いものを見つけたのだ
と。

・青木 / サイバーセキュリティー課へ
直哉について怪しいとされる理由について尋ねると2つ
あるという。

1) 絵美子に送ったメールは差出人が偽装して送ったもの
で坂崎家のパソコンから送られているものであること。

2) 絵美子の妹の小田麻衣さんのSNSを見ると、本人しか
見られないダイレクトメッセージに「私このままだと夫に
殺される」「一度キレると止まらない、怖い」と書かれて
いた。妻は夫からDVを受けて居たのではないかということ。
しかし冠城はあり得ないという。

■感想

妻・絵美子の自尊心・優越感は冴えない夫・直哉に対して
嫉妬するような対象では無かったのに、気がつくと自分
よりも人気が出ていて立場が逆転している。それを許す事
が出来ずに、自作自演の失踪劇を演じてテレビ業界に
復帰を試みようとする彼女。人間の持つ本質的な問題
に触れるようなエピソードで凝っていたとは思う。

何よりも彼の自尊心を傷つける為に犯罪心理学者としての
プライドを崩すような行動を取って一連の計画を成し遂げ
ようとしていること。

近年男性と女性の役割は均等とは言わないが、それに近い
ことを求められる割にやはり男性は女性の上に立ちたいと
本能的に感じる。年収の差など別に女性が多くの給料を
もらっていても問題はないのに、マスコミとか妙に男性が
そういう女性を避けているように煽っては居ないだろうか?

このドラマでは女性優位の立場であった。
そしてある程度の活躍までは妻としても夫のことを泳がし
ていたのだろうけど、まさかのキャスターへの抜擢に
彼女自身の許容範囲が越えてしまったところがあるんだろ
うね。または元々の性格から、注目を常に浴びていたい
という心理が女性側には存在しているようだった。
妹が姉を嫌っていたところを見ればそう性格の良い女性
ではなかったのだろう。

インターネットを使ったり携帯電話を使ったりして色々と
近年のネット社会を利用したような犯罪計画/アリバイや
既成事実によって巨像を作り上げ、そして炎上商法と
同じようにして、自作自演劇によって再びスターダムに
のし上がろうとしている彼女の姿。

元々の絵美子を演じた東風万智子さんもかつては真中瞳
という名でバラエティ番組でブレイクして、テレ朝
のニュースステーションに抜擢された人物だ。
そういう経緯も有って分かる人には何処か興味深い流れ
として写ったことは言うまでもない。

ストーカーが居るとしていたけどなまじ嘘ではないような
感じもする。それは角田のようにオダミエを心酔している
人物がいるように、彼女の運用コンサルタントの田中
小百合という人物は絵美子への拘りを持っている人なの
だろう。包丁まで持っていたしインサイダー取引に手を
染めていたとしても彼女の為に人生を犠牲にしている。

この事件を見れば明らかに「正当防衛」が成り立つ。
にも関わらずどうも日本は正当防衛でも人を殺めた事実
の方がクローズアップされてしまうところも違和感が
有る。

冠城は最後まで坂崎のことを信じて居た。
見て居る人は如何にも犯人だろうとする先入観を最初の
5分間で植え付けられているのだけど、右京が語る様に
証拠が出すぎているというところに違和感は有った。

光と影が入れ替わっていく瞬間を黙って見て居られなか
ったのだろうね。

最後にフグの白子を食べていた。白子といえばメスの象徴
的なものであるので、それを食することでそうしたジェ
ンダー的な葛藤なんかも大いに含んでいると思わせる様な
内容だった。

■出演者

杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁・特命係)
冠城亘 …… 反町隆史 (4代目相棒、総務部広報課->特命係)
月本幸子 …… 鈴木杏樹 (2代目”花の里”)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)
角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策五課)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長・刑事部長)
中園照生 …… 小野了 (警視正・参事官)
青木年男 …… 浅利陽介 (特命係・サイバーセキュリティー)
益子桑栄 …… 田中隆三 (鑑識)

坂崎直哉 …… 宮川一朗太 (犯罪心理学、TVコメンテーター)
坂崎絵美子 …… 東風万智子 (坂崎の妻・元人気キャスター”オダエミ”)
小田麻衣 …… 佐藤みゆき (カメラマン・絵美子の妹)
田中小百合 …… 樋口泰子 (32歳、鈴森会計事務所・資産運用コンサルタント)
鈴森 …… 伊沢弘 (鈴森会計事務所所長)
ジムのインストラクター …… 五刀剛
ジムの会員 …… 上村愛香、内田尋子
麻衣のアシスタント …… 山本ゆま
あさやけNEWSキャスター …… 川合千里

藤原正和、名倉由桂、海老原正美、河合美侑

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