[終] 相棒16 第20話 容疑者六人~アンユージュアル・サスペクツ

相棒16
(2017年10月期・TV朝日・水曜21時枠)

EXプロブューサー:桑田潔
チーププロデューサー:佐藤凉一
プロデューサー:高野渉、西平敦郎、土田真道
音楽:池頼広

http://www.tv-asahi.co.jp/aibou/

第20話 容疑者六人~アンユージュアル・サスペクツ

脚本/輿水泰弘 監督/権野元

【ストーリー】

医者は風間楓子の顔の傷を縫う。
額に出来た傷。
病院には美彌子と青木が同行してきていた。
看護師からお大事にとされる中、無事に処置は成功する。
青木は楓子に対して診断書を取って置いた方が良いのでは
ないかと挑発するような言葉を発する。

●週刊「フォトス」に出社する楓子。

上司の編集長はどうしたのか?と心配される。
突き落とされたんだとして楓子は語ると、上司は会議室で
二人きりで詳しい事情を聞く。

楓子が落ちたのは平成30年2月27日午後9時ルシアナホテル
の2階の階段だった。そこに居たのは・・・

甲斐峯秋、衣笠藤治、内村完爾、中園照生、社美彌子
青木年男

翌日のフォトスにはその事実が目線が入ってはいたが詳細に
取り上げられていた。知る人が見ればすぐにその人物が
誰なのかが分かるもの。「警察の6人の容疑者」とは雑誌も
気合いが入っているなと角田。

●喫茶店

右京と冠城は楓子から雑誌に書かれていたことの事実関係を
確かめに行く。

偶然に6人の刑事にルシアナホテル前で会ったこと。

楓子はその日上京した母・匡子をそのホテルに送った帰りの
ことでエレベーターで「誰かに押された」と語り、そうで
なければ落ちないという。これは傷害事件であると。
「警察を呼んだのは私ではない」という楓子。
当時美彌子が楓子を介抱しそして峯秋が救急車を要請して
いた。

「誰なのか・・・背中を押したのは・・押されて落ちたのは
間違い無い。」
と6人に聞く。

ならば警察を呼ぼうという青木。あることないこと書かれて
しまうからだという。しかし呼ばれた警察官は衣笠がいた
ことも有ってもまともに話が聞ける状態でも無かった。
青木が警察を呼んだという。

刑事6人の前でやってきた警察官など話しもマトモに聞ける
ハズがないとし、衣笠藤治の前では直立不動だったこと。
その写真はスマホで撮影したという。

結局被害届は出さなかった。編集長がどうしてもと言うので
掲載したという。

「犯人捜しはしてくれるのか。」

右京は当日楓子が着ていたアウターがどんなものだったのか
を尋ねる。厚手のコート、モコモコのデブコートだと。

●風間家/風間燦王会

週刊誌を見た風間匡子は娘に対して怪我した写真の主が楓子
であると勘づいて電話してくる。
構成員の檜山与一はやはりお嬢なのかと確かめる。

●聞き取り

当日現場に駆けつけた警察官から話を聞く捜一。

その後大河内に報告。
抗議が少しずつ増えていること。それなりに格好を付ける
必要があるとし、その裏には国家公安委員の三上冨貴江から
の問い合わせがあったという。

●サイバーセキュリティー対策本部

青木は土師太、ネットに書かれている情報の事を知らせる。
犯人は”根暗ホワイトハッカー”である青木だとして掲示板
には住所や家族の事も含む情報が書かれてしまう。
青木だけでなく6人が特定されるのも時間の問題。

●週刊フォトス

捜一の二人は当時の事情を聞きに行く序でに風間楓子に圧力
をかける。

一方特命の二人もまた社美彌子から当時の事情を話を聞くの
だった。

■感想

まず語らなければならないのは、大杉さんの急死後、そのポジ
ションに付いたのは杉本哲太さんだった。
最初は違和感があるかと思うが杉本哲太さんは演技も上手い
ので次第に慣れると思う。そもそも私の中の相棒の半分は
岸部一徳さんがドラマの中の役柄とは言え亡くなってしまった
ことでかなりの喪失感が未だにある。

今回のドラマでは、6人は何故あの場に居たのか。
メディアが警察の地位の失墜を狙っているとは考えづらいが、
少なくとも週刊誌を売るための自作自演も考えられる。
ただそれをやるにはリスクが高すぎて割りにも合わない。
逆に警察側の人たちもリスクを考えれば誰一人としてこの事件
を起こしたところで利益にならないところがある。

それにしてもエスカレータから落ちる風間楓子のスタントが
凄かった。「蒲田行進曲」よりも長いしね。

感想としては・・冗長過ぎるシナリオとしか言いようが無い。
謎としてそこまで楽しいかと言われるとそうでもないし、
状況を考慮すればそれ程多くの証拠が出てくるとも考えづ
らい。今時なら防犯カメラで終了パターンである。

状況を色々と抜き出して絞殺していくのが楽しそうなエピソ
ードではある。

社と峯秋、衣笠と青木、内村と中園はそれぞれ二人ずつ
別々にディナーの帰りにホテルで出くわしたという。
そしてそこに楓子もまたやってくる状況によって発生した
もの。

当日は雨。峯秋だけは傘は持っていなかった。
「雨」「傘」は一つのキーワードとして見ることが出来る。
ランダム性に溢れた要素の中で犯行は難しいが、彼女は
厚手のコートを着ていた為に気がつかないことも考えられる。

エスカレータに向かっていた風間に最も近かったのは峯秋
と内村。二列に並んでいて社と青木、そして一番遠い位置
にいたのは中園と衣笠である。

———————–
「中園」「衣笠」
「杜」 「青木」
「甲斐」「内村」

   「楓子」
———————–
↓ ↓ エスカレータ

もしも誰かが故意に楓子を押したなら他の人物は見ている
と誰もが考えるハズだ。そういう脚本家不利の中で、視聴者
心理に対する優位性を保つことは可能なのか。

謎として楓子が落ちる前に【赤ちゃんの大きな泣き声】が鳴り
響いていた為に集中力はそちらに傾いていき、【相互監視に
は無かった状態】
である事。
計画的なものであるなら【ミスディレクション】が効果を
最大限発揮していると言える。

【週刊フォトス女性記者転落事件】

発生日時:平成30年2月27日午後9時頃
場所:東京都千代田区丸の内西3-1-1 ルシアナホテル2階の
下りエスカレーター付近
被害者:風間楓子
容疑者:6人

※それぞれの主張に目を向けて見よう。

■6人の容疑者

最初の聞き取り調査は正直それ程深くは突っ込んでいない。
恐らく後半に向けて「組織の縦割り」「組織の論理」を
見せられるものかも知れない。

●青木年男
青木サイバーセキュリティに属しているし、頭は切れる
し、少々ネットに書かれている情報の事を知らせる。
犯人は”根暗ホワイトハッカー”

青木はこういうことにならない為にも警察を呼んだし、
楓子自身も被害届は出していない。
それでも本人が誰かに押されたといえば自然に傷害罪として
親告罪ではなく警察は捜査していかねばならない。

●甲斐峯秋

ダークナイトパパと書かれていた。
突き落とす理由がない。向かいには刑事部長がいた。
赤ちゃんの泣き声がしたのでそれ以外の人の事は分からない。
衣笠は週刊「フォトス」をよく思って居ない。

●衣笠藤治

捜一が彼に取り調べする。
報道の自由を盾に言いたい放題の雑誌(角田談)
腹いせとしては子供染みている。
角田の情報によると、フォトスは警視庁幹部と暴力団組長と
の癒着に関する疑惑を探っているという。

●内村完爾

暴力団との癒着という話が持ち上がりその癒着している警察
の上層部は内村だという疑惑。
暴対法から現在暴排条例が施行されている状況で、最近では
暴力団よりも半グレの存在が勢いを増している。

「三無主義」
・警察の人間を事務所に入れない
・警察の人間に会わない
・警察の人間には情報を渡さない

しかし組織対組織ではなく個人対個人だとしたら簡単に断ち
切れない

内村は桑田というヤクザと知り合い。
そして桑田と風間匡子は同じヤクザで、シナリオ途中で
ホテルに会うシーンがあった。

●中園照生

「見てしまった」という中園。意外と終盤まで影が薄い。

■第2、第3の事件

・陸橋から青木年男が檜山与一とぶつかり落とされる。
事件性があるものなのかどうか。
青木は過失だとして訴えるという。しかし勝利しても罰金
30万円の過失傷害。当事者同士で話し合えとの捜一。

身元を調べると檜山与一は暴力団(銀流組傘下・風間燦王会)
だと判明。楓子と同じ大阪の人。
なんと驚くべき事に風間という名前から考えても分かる様に
楓子はヤクザの娘。

報復なのかどうか。

ちょっと笑えるのは内村は青木の事を快く思って居ない。
副総監と中が良いからだ。これはラストのオチでも色々と
利用された。

与一は警察についての情報もよく知っている。

・中園が階段から突き落とされる

金剛地理によって突き落とされた。

楓子と同じ状況。立場は違うが警察とヤクザが被害に遭う。

・時代は昭和、平成、そして令和へ

昔のヤクザと警察はある程度組織と組織で協力していた部分
がある。
昔のヤクザは警察にだけは手を出さなかった。
「暴排条例」「三無主義」の時代。
ヤクザの構成員にメンツ/落とし前の為に報復させている。

加賀さん演じる風間匡子の存在のお陰で昭和らしい香りは
残っているし、楓子が幼少期のヤクザと警察の関係性を
回想シーンを通して見ることが出来る。

・警察対ヤクザ

略式起訴の罰金刑程度の案件。
重過失傷害は生ぬるいとして傷害罪であげようという。
相手は暴力団だ。

喧嘩を売っておいて逮捕するという警察の側のエゲツさ。

しかし48時間経てば釈放されることはヤクザも知っている。

「今時ヤクザからは喧嘩は仕掛けない。しかし売られた喧嘩
は買う。相手が誰であろうとも・・それがヤクザのプライド」

伊丹に警察のプライドのことを指摘したが答えられない彼は
苦虫を噛みつぶすばかりだ。

■第2STAGE

色々と内部で聞き取り調査が始まる。
縦割りの組織故の調査なので上手く進行するとも思えない。

国家公安委員で成林大学経済学部で教授を務める三上冨貴江
の存在が浮上。彼女の権限は警察庁の指導であるが、警視庁の
首席監察官に何故か連絡している。

国家公安委員の運営は警察庁・長官官房/甲斐が行っている
為に内部調査の指揮は彼が行っていることになる。

「潔白だからこその行動」「裏の裏を付いた行動」

右京が徐々に「真実」というワードを用いる事が多くなって
いく。

・聞き取り調査 Part II

今回は右京と冠城が調査していく。内部調査がまるで役に
たっていない(供述調書を見ても明らか)からだけど、興味
深いのは相手の感情を揺るがして本音や真実を引き出そう
としている点だ。大抵人を怒らせると感情の箍が外れて本音
が口から出てしまうことがある。
誰を怒らせて誰に優しくしては情報を引き出そうとしている
のかを見ているだけで楽しい。

・最初に右京が目を付けたのは甲斐。

・次に目を付けた相手は社だ。
何故社は病院に付き添ったのか。
雑誌を使った警察批判を阻止する為に釘を刺すような行動に
出たのではないかと社を疑う。

・青木も疑う。
何故病院に付き添ったのか。
被害者の言動に猜疑心を抱く。その為について行ったのでは
ないか。疑ったことで激怒して話も聞かずに出ていくがまた
戻っとくる。

・内村も疑う。
青木同様に意図して怒らせた印象もある。
被害者の位置関係からして二人の可能性が高い。
甲斐と内村の二人。内村には動機があるという。
部長と暴力団の関係をフォトスが嗅ぎ回っているから。

・衣笠藤治も疑う。
位置関係から衣笠は容疑者ではないとして優しい口調で
語りかけた。ただそのお陰でフォトスを余程憎んでいる
事が分かる。

・目には目を・・

なんと娘・楓子の敵討ちをするために母親が離婚までしよう
としている。楓子曰く、母親は思慮深さ、エキセントリック、
デンジャラスな性格を持ち合わせているらしい。
なんと母親は銃(チャカ)を持っている可能性が有るとのこと。

・現場100遍

現場のエスカレーターで調べていた特命係に声をかける女性
の風間匡子と対面。

若い衆が2人タイホしたことを知っていた母親。
誰も話していないが・・
楓子によると警察関係者に聞いたという。

■クローズド

容疑者は6人から3人に減る。みんなを集めて話す。

絞れた原因として中園の挑発。
「我々に犯人を特定してみろ」とけしかけている。

犯人捜しに積極的な甲斐ではなく中園が何故けしかけた
ものなのか。
参事官は犯人を知っている。
理不尽な報復を受けた中園。怒り心頭。
告発せずに特命係をけしかけたこと。

メンバーで当時の状況を再現をしてみる。
青木の供述調書は赤ちゃんが泣いたときのことも詳細に
記載している。

ただ最後は中園に自供する。
中園の侮蔑する発言が出来る人物・・青木。
そして衣笠も便乗して青木が傘でついたのを見たと証言し
始める。

「呼び止めただけなんです。傘でツンと。」
「何故声をかけて呼び止めなかったのか。合理的理由は?」

「故意では無く過失だ」

島流しと称して青木は特命係へ。
甲斐は衣笠に貸しを作った。

「処罰感情」は望んでいない為に右京も慣用的立場を取った。

■出演者

杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁・特命係)
冠城亘 …… 反町隆史 (4代目相棒、総務部広報課->特命係)
月本幸子 …… 鈴木杏樹 (2代目”花の里”)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)
角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策五課)
大木長十郎 …… 志水正義 (組織犯罪対策部)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長・刑事部長)
中園照生 …… 小野了 (警視正・参事官)
青木年男 …… 浅利陽介 (サイバーセキュリティー対策本部特別捜査官)
甲斐峯秋 …… 石坂浩二 (警察庁・長官官房付)
衣笠藤治 …… 杉本哲太 (警視庁・警視副総監・警視監)
土師太 …… 松嶋亮太 (サイバーセキュリティー対策本部)
社美彌子 …… 仲間由紀恵 (警視庁総務部広報課課長)
大河内春樹 …… 神保悟志 (警務部人事第一課首席監察官)

風間楓子 …… 芦名星 (写真誌「週刊フォトス」の記者)
三上冨貴江 …… とよた真帆 (国家公安委員、成林大学経済学部経済学科教授)
檜山与一 …… 遠藤雄弥 (「風間燦王会」構成員の構成員)
風間匡子 …… 加賀まりこ (楓子の母、組織のトップ)
編集長 …… 橋本拓也 (「週刊フォトス」編集長)
黒澤平八郎 …… 徳井優 (黒澤総合法律事務所長)
金剛地理 …… 大賀太郎 (風間燦王会」構成員の構成員)
風間圭三 …… 三溝浩二 (69歳、匡子の夫)
風間哲郎 …… (圭三の父)
風間千代 …… (圭三の母)
医師 …… 唐沢民賢 (楓子の治療)
幼少期の楓子 …… 古川凛

青戸昭憲、谷本琳音、足立智充、原圭介、
山科ノロ、谷充義

山本剛士、榎本正太郎、葛野慎吾、西原康彰、木村康雄、
比佐仁、山下徳久、福田航也、虎濱レイジ、新虎幸明、
松下美優、南瀬嵩

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