(2018年4月期・テレ朝・水曜21時枠)
脚本:深沢正樹(1)(2)(10)、岡崎由紀子(4)、真部千晶(3)、瀧川晃代(5)、徳永富彦(9)、
吉原れい(6)、青山勝(7)、山本南伊(7)、岩瀬晶子(8)
監督:杉村六郎(1)(10)、新村良二(5)(6)、長谷川康(7)(8)
吉田啓一(2)(3)、田村孝蔵(4)、細川光信(9)
ゼネラルプロデューサー:大川武宏
プロデューサー神田エミイ亜希子、金丸哲也、小髙史織
主題歌:V6「Crazy Rays」
音楽:吉川清之
http://www.tv-asahi.co.jp/tokusou9/
第10話 3つの時の殺人
【ストーリー】
●浅輪家の朝
倫子は朝食を作り、直樹はそれをテーブルに並べる。
直樹は倫子に昇進試験を受けようと思っていることを告げる。
主任なのに巡査部長って訳にはいかない。決めたのなら
応援するという倫子。そんな中、直樹に新藤から電話が鳴る。
高森徹也法務大臣が殺されたというものだった。
●現場へ
実際に現場に行くと新藤の早とちりだった。
殺されたのは法務大臣の妻・静江(56歳)。
【鋭利な刃物で背中を一突きされ即死した】という青柳。
高森法務大臣や与党幹事長/共新党幹事長も一緒にやって
くる。規制線のテープの中には夫の法務大臣だけが入れられる。
高森は妻の亡き姿を見て「自分が悪い私の責任だ」と語る。
彼女は「私の身代わりで死んだ」こと。私と間違えて殺した
のだろうと。
現場には組対三課(以前の四課)の安達芳男が来ていた。
彼は【凶器のナイフ】を持ってくる。
これは大臣の自宅の庭に突き立てられていたとのことだった。
これが何を意味するのか分かるだろうと問う。
大臣は組織犯罪撲滅をスローガンにして徹底的に暴力団を
排除してきた人。ヤツらが牙をむいたのだろうという。
●警視総監室
神田川警視総監は柴崎刑事部長に特捜の事件かと思ったが
組対に回したのは君なのかと問う。高森直々の命令じゃない
のかと問うがそれを否定する柴崎。
●現場
マスコミがマイクを向ける中、大臣は語る。
「私は暴力は許さない。自分の命をかけてでも全ての暴力、
そして犯罪を殲滅する」
与党幹事長として、そして高森の友達として共に戦うという
川勝雄太郎。
組対の安達は、大臣と間違われて暴力団に殺されたのだろう
事を告げる。
「凶器のナイフは犯行声明だ」
直樹は結論づけるは早いと言うが、組対は犯人の目星はついて
いるとして龍丸会の構成員である事を告げる。
合同捜査ということになる。また一年前のようなことになるな
という安達。しかし青柳はあの時は組対に責任の非が有り、
また部下を犠牲にするようなことはするなと忠告する。
●検視
真澄は遺体を検視する。
特捜の志保よりも先に組対の安達が報告書を手にするが、
真澄はそれを取り上げると志保に渡す。
志保は目撃者捜しに行くと語る。
●特捜9
組対によってやるべきことが限られていると青柳は愚痴る。
浅輪が組対に譲歩するなんてどういうことかと真意を問いた
だすメンバーたち。相手の出方を探る為。
矢沢たちからこれまで分かっている情報を報告させる。
高森静江は財閥系企業のお嬢さん。
20年前に高森法務大臣と結婚。20年前高森は警察庁警備局
公安課の課長だったこと。3年前に高森は議員になってから
よき妻として夫を支えていた。
マスコミへの顔出し、ボランティア活動、文化活動、SNSも
大好きだった。【SNSに投稿された写真の一枚は殺害時の帽子と
ジャケット】だと判明する。
志保は解剖結果によると【死亡推定時刻は今朝4時前後】。
昨日の彼女の行動は家政婦によると知り合いに会いに行くと
言って夕方に出かけている。帰宅時に襲われたのではないか
と村瀬。
大臣は夕べ10時から3時までは生放送の政治討論の番組に
出演していた。共新党の川勝と食事中に遺体発見の知らせ
が入ったという。
川勝は時期総理と噂されている人物で高森とは昵懇だった。
■感想
いよいよ新特捜9となった後の最終話。
このシーズンに入りタイトルも「特捜9」という変更が行わ
れたり、宗方朔太郎が班長として9係にやってくる。
もちろんこれは前身である「警視庁捜査一課9係」で班長を
勤めていた加納倫太郎役の渡瀬恒彦さんの死去によるところ
が大きいのだろうが、形としては今までの形を踏襲している。
ただやはり宗方朔太郎が訳あり人物として何を抱えている
のかという人物像の掘り下げは新シーズンの醍醐味であった。
最終話だけ有って規模も大きいものになる。
まるで「相棒20」の議員絡みの初回3部作のような議員と
刑事と暴力団の関係の構図が問題視されるようなもので、
このねつ造事件に関わる全てのものは人間ではなくサイコパス
に近い精神を持っている。
興味深いのは3つの事件が関係しているが、5年前の事件は
宗方朔太郎の流れから派生し捜査していたもので、1年前の
事件は特捜班が捜査していた流れで有ること。そして3度目
の正直とばかりに事件が発生したのを機に解決を図るという
物語である。
何故今回の事件が発生したのか。
過去の事件を見れば自ずと今回の事件は実行犯は分からなく
ともその殺害意図は見えてくる。
宗方が語っていたように、真相に近づいた相手に牙を剥く。
それが例え現役の刑事であってもだ。
法務大臣が法治国家を唱えながら、警視庁の捜査課を潰す
ように命令できてしまう。
更に今回のドラマはパワハラ・モラハラ的問題が強く関わっ
ていたり、金で結ばれるばかりの利害関係が存在しており、
男女の関係も絡んでいる。しかしそういう関係は実に脆い
もので関係が崩れればすぐに暴露されてしまうものである。
■疑惑を持つに至ること
大臣は遊歩道を通ってあの時間に帰宅すると予測して待ち
伏せしていた犯人が殺害したのではないかとされる。
その場合犯人は大臣のスケジュールを把握している人物だが
そこまで知っているのであれば、徒歩で帰宅する大臣はまず
いないと分かるだろう。
被害者の指紋は検出されず。
指紋が検出されなかったというのは被害者の帽子にだ。
帽子のヘリが内側になり不格好になっていた。普通なら直す
であろうこと。その違和感は写真からも分かるようになって
いる。
真澄から解剖報告書に書かなかったことがあるとの情報。
致命傷の背中の一突き。実は二回刺している。最初のキズが
致命傷なのに何故二度刺したのか。
ジャケットのキズは1ヶ所。
帽子もジャケットも殺した後に殺害工作の為に身につけさ
せたもの。
大臣と間違えて殺すように見せかけたものだが、こうなると
最初から静江夫人を狙ったとしか思えない。
・高森による生け贄。
真相に近づくものは確実に潰される。
恐ろしいのは刑事を犠牲にする政治家とその組織の人間だ
ろうか。
■警視総監
宗方朔太郎の正体が明かされる。
5年前に警察を辞める前までは人事課に籍を置いていたが
実際には警察庁監房人事課監察官補。首席監察官は高森
であったこと。裏舞台。不正した大勢の仲間の首を切り続け
て来た事。警察組織に無くてはならない存在。
■過去の事件
高森徹也夫人が5年前に亡くなっている。
再捜査の必要性。
そして1年前の9係が解散される事になった事件の再捜査の
必要性。
全て高森が関わっていた。
高森の本当の顔とはどんなものなのか。
まさに今回のタイトルである3つの事件。
・5年前(2013年)の事件
被害者:山根秋乃(22歳)
職業:キャバクラ
練馬東署管内のラブホテルで覚醒剤を大量摂取で死亡。
犯人:龍丸会の未成年の構成員が自首してきた。
捜査官:桜庭忠司 /練馬東署刑事課・刑事
押収した袋の指紋と別の男の指紋が一致。
男はアリバイがあり、しかも無理矢理指紋をつけさせられたと
訴えた。
桜庭刑事の方が証拠ねつ造の疑いをかけられて、自宅で妻と
共に自殺。2歳の娘(琴美)を残して死亡した。
・1年前(2017年)の事件
誤認逮捕で捜査記録から抹消されていた小出智之(30歳)。
この人物は9係解散に関わっていた事件の人物。
1年前雑居ビルの共同トイレでドラッグの過剰摂取で死亡。
小出が暴力団と関わっていたことで組対がかかわってくる。
安達はクソだが、並河康弘組対三課の刑事はマジメな人物。
9係は並河と組むが、彼はミスを侵す。
事件現場近くの防犯カメラ(2017/6/29 7:40)に写っていた
龍丸会の構成員。しかしアリバイがある。
カメラは書き換えられていて、逆に並河が証拠ねつ造だと
されてしまう。謹慎中に自殺。更にそのねつ造には9係が
関わっているという責任を背負わされて解散になった過去。
■捜査
・志保と村瀬
高森と静江の関係を調べる。
SNSに映像をアップしているが色んな店を訪れている。
料理を見れば一人では無いことは分かる。
6/1のレストランの映像でもヒゲ男が出てくる。
川勝雄志(32歳)。幹事長の長男で秘書。
雄志は5年前の事件にも関わる。山根秋乃の知人。
・2
高森の夫婦関係を調べる。
宗方はある一人の女性から話を聞くよう告げる。
高森が大臣になるまでの間に親しくしていた女将の存在を
見つける。高森は酷い男だとして秘密の暴露をしてくれる。
夫婦関係はひえきっていたこと。静江の実家は大企業で大事な
スポンサーでもある。高森にとっては静江は死んで欲しかった
という。
・青柳と矢沢
静江の夕べの足取り調査。
静江の足取り。タクシーで降りた場所ではジャケットも帽子も
身につけていなかった。自宅から随分遠くで降りていることが
気になる。人目を気にしている。
グランマリンホテルの映像(2018/6/8 AM3:27)、静江の姿。
その5分前にヒゲの男が出てくる。不倫相手だろうこと。
・2
川勝雄志と5年前の事件について調べる。
キャバクラ嬢によると5年前にも話したとのこと。
・直樹と新藤
凶器の出所を調べる。
派手な男が買ったという店側の証言を得られる。
そこには防犯カメラがあり照会の結果、龍丸会の
須山一平(25歳)だと判明。罠かも知れないとして直樹は
単独での新藤の行動を止めようとする。
チンピラ同士喧嘩して留置所に居たアリバイがある。
新藤は責任を感じて辞めようとする。
しかしそこで見えたのは過去と全く同じ手口の高森の姿が
あること。
・2
川勝雄志と一年前の事件の関係を調べる。
雄志と小出智之が連んでいたとパチンコ店員から聞く。
小出の死の時にも話したことを聞く。
また小出は死んだ時にかなりの大金を手にしていた。
冒頭からジャケットに目をつけていたけれど、夫婦とはいえ
大臣を間違えて殺すほど似てないしそんなマヌケはいるのか
と小一時間。
■見立てと結論
川勝雄志が山根を殺した。
小出が川勝の代わりに身代わりタイホされる。
その事実をもって川勝を脅して金をむしり取っていた小出
は殺害された。
川勝幹事長は高森法務大臣に手を回す。
そして高森にとって不要な存在である妻の殺害を雄志に行わ
せた。
見立ては誰が見ても間違いは無さそうだったが・・
しかし証拠が無い。
これは迷宮入りさせようとしている。
高森は市民を監視統制したがっている。妻を殺害されれば
同情票が入り、警察の無力さも利用してそんな理念を実現
させようとしている。
息子に身を隠せと父親から言われる。
自分が疑われている事を知った雄志。
実際に殺し屋・暴力団が彼の姿を追いかけるが、これって
青柳たちがあぶり出していたんじゃないのかなと思った。
「汚い連中には手段を選ばない。」
これってバラさなくても良かったんじゃないのかな。
最終的には「クローザー」の如く自供を取って逮捕する。
マスコミの前で告白させる流れは少々芝居がかっていたけ
どね。
黙認したという安達。
真相を追究しようとするから行ったというとんでもない刑事。
法務大臣によると大義が違うらしい。
人殺しなどしなくても大義は成立出来る気がするけど。
宗方が初めて激しく感情を露わにして法務大臣の首根っこ
を掴んで見せた。
■出演者
警視庁捜査一課特別捜査班
浅輪直樹 …… 井ノ原快彦 (特捜9・主任、元渋谷中央署刑事課主任)
小宮山志保 …… 羽田美智子 (特捜9、元二子玉川署生活安全課係長)
青柳靖 …… 吹越満 (特捜9、元警視庁資材課)
矢沢英明 …… 田口浩正 (特捜9、杉並南署総務課主任)
村瀬健吾 …… 津田寛治 (特捜9、元東中野署刑事課係長)
早瀬川真澄 …… 原沙知絵 (監察医)
新藤亮 …… 山田裕貴 (特捜9、元新宿中央署)
宗方朔太郎 …… 寺尾聰 (特捜9・班長、元警視庁人事課)
浅輪倫子 …… 中越典子 (パティシエ、直樹の彼女)
神田川宗次朗 …… 里見浩太朗 (警視総監)
佐久間朗 …… 宮近海斗 (鑑識)
広岡巧 …… 新貝文規 (鑑識)
桜庭琴美 …… 庄野凛 (朔太郎と一緒の娘)
神田川宗次朗 …… 里見浩太朗 (警視総監)
柴崎直道 …… 清水章吾 (刑事部長)
高森徹也 …… 中原丈雄 (63歳、法務大臣)
川勝雄太郎 …… 大門正明(66歳、共新党幹事長)
安達芳雄 …… 山下徹大(組織犯罪対策課第3課 課長)
高森静江 …… 藤井かほり(56歳、徹也の妻)
小出智之 …… 崔哲浩(容疑者1年前(2017)に死亡、享年30歳)
並河康弘 …… 横山一敏(1年前まで組織犯罪対策課第3課 謹慎の後に死亡)
川勝雄司 …… 聡太郎(32歳、徹也の秘書 雄太郎の息子)
須山一平 …… 細川洪(25歳、暴力団の構成員)
2歳の頃の琴美 …… 佐藤恋和
山根秋乃 …… 雪中梨世 (享年22歳、キャバクラ勤務、2013年死亡)
桜庭忠司 …… 吉田悟郎 (刑事、5年前(2013)な死亡)
桜庭良美 …… 末永百合恵 ()
…… 千咲としえ (クラブのママ、元高森の愛人)
…… 門田佑斗 (暴力団の構成員)
押田瑞穂、土井ケイト、雪中梨世、梅垣又