相棒17
(2018年10月期・テレ朝・水曜21時枠)
プロデューサー:伊東仁、西平敦郎、土田真道
音楽:池頼広
http://www.tv-asahi.co.jp/aibou/
第18話 漂流少年~月本幸子の覚悟
脚本/児玉頼子 監督/内片輝
【ストーリー】
●里の花
特命係の2人が店に来ていたので、かつて幸子が関わったと
する椎名智弘(S16-10話参照)から手紙が届いたことを語る。
S16-10
勉強して高校程度認定試験に合格し、北区赤羽に住んでいた。
世話になったお礼を幸子に連絡。メールではなく葉書で伝える
なんて喜びが伝わるという冠城。幸子は励ますことくらいしか
出来ないというが、冠城は
「苦しい時の励ましが大切・・その真心が支えになっている」
と語る。
●まごころの古道具”しなだ”
じいちゃんの品田虎夫(通称:シナトラ)と孫の直人は軽トラで
買い物に行く。リサイクル店をしている彼らは色々と買い回っ
ていたが、その帰りに6丁目の河川敷に寄っていこうという。
ここには家具など不法投棄されている場所だが、場合によって
はまだ使えるものも多かった。
めぼしい物を物色していく。
椅子、カバン、衣装ケースなど・・まだまだ使えるじゃないか
として嬉しそうに荷台に積もうとしていたところ、衣装ケース
を開けるとなんと男性が入っていた。虎夫は寝ているだけかと
思い起こそうとするが・・息がなく死んでいた。
直人はすぐに警察に電話しようとするが、虎夫は状況を考えて
見ろと語る。これでは俺たちが不法投棄したように思われてい
るし、そもそも衣装ケースにも指紋が沢山付いていること。
小さい頃にじぃちゃんが旅に出たことが有っただろうとし、
本当は塀の向こうに行っていたんだと語る。前科者の指紋が
残っていたら疑われるだけだという。しかし直人は見て見ぬ振り
は出来ないという。虎夫はある考えを思いつく。
●歩道橋
人通りの多い道で虎夫は倒れた振りをする。
みんなが無視して通り過ぎる中、幸子は声を掛ける。
虎夫は幸子に孫と待ち合わせしている場所として6丁目の河川敷
の不法投棄現場へ連れて行ってもらう。そして偶然遺体を
見つけた振りをしようとする。
孫の直人が現れると、さりげなく衣装ケースを開ける。
しかしなんと遺体が無くなっていた。
直人は幸子に対して、今日近辺で死体とか見付かっていない
ですよね?と尋ねるが、彼女はまだ新聞・ニュースを見ていな
かった。
そこで特命係の冠城に電話し、北東京市の死体・事件について
尋ねる。
冠城はすぐに分かるとして平成31年2月25日の事件の検索を
警察のデータベースで行う。唯一亡くなっているのは自分の
会社の事務所で首を吊って亡くなっている変死体だけだった。
「何でそんな事を知りたいのか?」
●北東京警察署
捜査官の村瀬史郎から自殺/事件の話を聞く。
あれは首つり自殺だったこと。亡くなったのは小さなリフォー
ム店で経営する店主の元宮康弘(53歳)。遺書はないが従業員
の話だと経営難で借入金の返済に苦労していたのだという。
更に妻子とも別居中であること。死ぬ前の晩も思い詰めた顔で
事務所に残っていたという。
遺体の現場写真を見ていた右京は自殺だとする結論に不自然
だと語る。
・後ろポケットに2つ折りの財布が入ったままの状態
・手袋をしたまま首を吊っている
法医学専門医の居る大学病院に遺体を持ち込んで司法解剖して
もらった方が良いと語る。経費を理由にそれを拒むが、冠城は
右京という人物の厄介さを説き、何も無ければあの人のせいに
すれば良いとして納得させる。
■感想
シーズン17もこのエピソードを入れて残り3話。
18話と19話は一つの流れとなっているので実質的に2話かな。
これを見ている時には既にシーズン20が始まっているので
事情は分かっているのだけど、月本幸子役を演じた
鈴木杏樹さんがこのシーズンで降板するという悲しい事実と
共に、どんな形で終わるのかが気になるところ。
冠城の元に月本から電話があった際に右京さんが冠城の周り
をウロウロして、一刻も早く私に電話を替わりなさいとばかり
の態度を見せるのだけど、その心情が分からないでもない。
また今回は冠城との連携に於いては下でも言及するつもりだが
元宮康弘の遺体の件で所轄の警察に司法解剖させる為に
二人の面白い連携的なものも見られた。何処で打ち合わせした
のか分からないけれど自然と連携が取れているところは
さすがは相棒である。
エピソードを2話に分けるとどうしても冗長さは感じさせる。
1話目の事件は踏み台/前振りにして、2話目のエヒソードの
中に真相・真実を集約させるものがあるのだろうけど事件が
発生する度にどうしても腰砕けになるところはある。
「消えた死体の謎」なんてシナリオは色んなミステリー小説
の中で何度も使われていそうだ。
しかしどうやって運び出されたのかなどの細かい現場検証は
行われなかった。
また当時自殺したとされる元宮康弘の件に於いてもかなり
曖昧な捜査しかしていない事が覗える。
元々経費の関係なのか解剖医の少なさなのか、日本では司法
解剖をしない事例が多い事が言われるけど、扼殺されたので
あれば争った形跡とか何処かに付着しているはずだよね。
組織的なものの犯行であるならば遺体は証拠を隠すために
燃やすなりして処分しそうだけど・・
ドラマを見ると最終話ではないが、幸子も相棒の二代目の
甲斐トオルと同様に法では裁けない人への復讐という事が
キーワードとなりそうだ。
・一体何が起きたのか
品田虎彦の店に居候する河野彬。
シナトラこと品田虎彦は冒頭から嘘を付き、孫にまで嘘を
付いていたこと。前科持ちではないのに自分を
やけに蔑む光景は何を意味しているのか。
徐々にドラマでは「金」の問題から派生する「復讐」の
問題ではないかという事が描かれていく。
・幸子と彬
信用させる為なのか、幸子の性格なのか。
出会ったその日に自分が殺人犯で服役していたことを語る。
その甲斐もあって彬からの接触がある。
過去に復讐した側の人間である月本幸子。
夫が亡くなり借金で首が回らなくなった彼女はヤクザが愛人に
なった訳だが、実はヤクザが幸子を手に入れるが為に彼女の
夫を殺して人生を滅茶苦茶にしていた。
世の中間違えていること。逮捕することも叶わないならば
自分の手で殺害する。そんな復讐をやり遂げて今の彼女がある。
彬も恨まれる方の立場の人間のようで、過去には特殊詐欺犯の
一員だった。受け渡しの際の見張り役をしていたのが彬。
・繋がり
殺されたリフォーム店の店主は金に困っていた。
仕事はマジメで顧客からの評判は良い。
しかしその影で詐欺に有ったとする人物を調べていくと、
そのリフォーム店に関係がある事が分かる。
仕事とはいえ他人を室内に通すことの恐ろしさを感じる世の中
になったね。
・特殊詐欺
元締め、手配師、見張り、受け子、名簿屋。
殺された元宮は名簿屋をしていたであろう事が徐々に判明する。
そして逃げ回っている彬は見張り。そして見張りをしていた
際に捕まったのは坂口敦という17歳の人物。浅川署の警察官
の植原智三からその話を聞く。
彼が殺された時に無くなっている二冊のB6版ノートに情報は
書かれている。
合田金融が関係していることは明かなのだろうが、シナトラ
がどう関係しているのか。
■出演者
杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁・特命係)
冠城亘 …… 反町隆史 (4代目相棒、総務部広報課->特命係)
月本幸子 …… 鈴木杏樹 (2代目”花の里”)
伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)
角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策五課)
大木長十郎 …… 志水正義 (組織犯罪対策部)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長・刑事部長)
中園照生 …… 小野了 (警視正・参事官)
青木年男 …… 浅利陽介 (サイバーセキュリティー対策本部特別捜査官)
益子桑栄 …… 田中隆三 (鑑識)
甲斐峯秋 …… 石坂浩二(警察庁・長官官房付)
衣笠藤治 …… 杉本哲太 (警視副総監)
大河内春樹 …… 神保悟志 (警務部 首席監察官・警視正)
河野彬 …… 浦上晟周 (素性不明の少年)
品田直人 …… 長谷川ティティ (虎彦の孫)
坂口淳 …… 福崎那由 (17歳、オレオレ詐欺の受け子)
明石治 …… 吉見幸洋 (警視庁浅川警察署 刑事)
合田茂樹 …… 小林一英 (合田金融 社長)
元宮康宏 …… 羽田真 (61歳、元宮リフォーム 社長)
品田虎彦 …… 鶴田忍 (スーパーリサイクル「しなだ」店主、”しなだ”)
篠塚道子 …… かとうずんこ (中華料理「太陽」のおかみ)
村瀬史郎 …… 鈴木将一朗 (警視庁北東京警察署 刑事)
新見徳子 …… 塚田美津代 (68歳、元宮の顧客の老婦人)
田辺春 …… 大塚みどり (63歳、元宮の顧客の老婦人)
成島和美 …… (73歳、元宮の顧客の老婦人)
太田公子 …… (73歳、元宮の顧客の老婦人)
植原智三 …… (警視庁浅川警察署 刑事)
元宮明子 ……
元宮里美 ……
椎名智弘 …… 小原唯和(回想、ハッカー、S16の10話より)
小原唯和(回想)、かないしゅう、石坂美樹、八尾宗徳
二家本辰巳、赤池高行、所博昭、浜田大介、本橋陽一