相棒21
(2022年10月期・テレ朝・水曜21時枠)
監督:橋本一(1)(2)(3)(4)(7)(10)
権野元(5)(6)(8)(9)(11)
内片輝(12)(13)(15)(16)、守下敏行(14)(17)(18)
脚本:輿水泰弘(1)(2)、川﨑龍太(3)(14)、光益義幸(4)(18)
岩下悠子(5)(13)(15)、瀧本智行(6)(10)(11)、山本むつみ(7)
森下直(8)、根本ノンジ(9)、櫻井智也(12)(17)
神森万里江(16)、光益義幸(18)
エグゼクティブプロデューサー – 桑田潔
チーフプロデューサー – 佐藤凉一
プロデューサー – 高野渉、西平敦郎、土田真通
編集 – 只野信也
音楽 – 池頼広
https://www.tv-asahi.co.jp/aibou/
第18話 悪役
【ストーリー】
■共映東京撮影所
ここでは現在映画「アウトロー・レガシー」(任侠もの)
の撮影が行われていた。
最後は主役の藤枝克也と一対一で小桜千明が刺しにいく。
監督は主役を刺した時点で撮り直しを要求する。
「もう少し迫力を出せないか」
千明は尊敬する俳優で同じ事務所の藤枝に相談する。
どうやったら藤枝さんのようなすごみが出せるのか。
彼は千明は男の割りには優しすぎることが問題だ。
千明は椅子に座りスマホに目を通すと「淳」という
人物から何度もメールや着信があるのを知る。
・千明は撮影所を出る
外に出ると池田敦が待っていた。
時間が有るかを問うととにかく一緒に来て欲しいと言わ
れる千明。
■HOSHINAエンターテイメント
捜査一課が現場にやってくる。
益子によると死後12時間。凶器は小型のナイフで腹部
を刺されたこと。現場にその凶器は無かった。
被害者は会社の社長・保科貴之(42歳)。
昨夜社長は19時頃に社員全員に退社しオフィスに彼一人
の状態だった。
この被害者は曰く付きの人物で裏カジノを経営していた
疑いが有りマークされていたという芹沢。
■警視庁
・特命係
角田から被害者の保科のことについて聞く。
表向きHOSHINOエンターテイメントは健全なイベント
会社だがそいつのフロント企業だろうという。
組対五課にとっても尻尾を掴むチャンス。
殺しの見立てはどうなっているのか?
一課は「内輪揉め」「敵対組織の仕業」を疑っている。
初動の聞き込みでは社長は「”亡霊”に呪い殺された」
なんて証言が有ったという。
右京は確認したいことがあるとして亀山と出かける。
●HOSHINAエンターテイメント
捜一と同じ会社を調べる。
対応に出たのは矢口綾子という社員だった。
彼女によると一昨日向かいのビルの警備員が尋ねて
来て社長に話が有ると言ったためにオフィスに
通したという。社長はその時言っていたのは・・
「そんな馬鹿な、あり得ない」という言葉。
現場にいた捜査一課は向かいのビルは空きビル。
警備員の振りをして被害者と接触した。
制服を着ていた身分を隠して逢おうとしているなんて
被害者の裏課業に関係しているのか。
捜査一課としてはそのセンで調べることになる。
彼らがいなくなった後に右京たちは矢口綾子から話
を聞く。保科についてのこと。
「亡霊に殺された」という噂について尋ねる。
その警備員は社長に動画を見せていた。
「防犯カメラのような映像」だった。
薄暗い非常階段に男が一人居た。赤い上着を着て髪の毛
がストレートで長い髪の男。
社長に何を見てたのかを聞いたら
「亡霊の写った呪いのビデオだ」と言っていたとの事
だった。
■感想
シナリオを見ていると脚本家ならば一度はこういう題材で
ドラマを制作したいと思う人が多いのかな。
役者が役者のスキルを使って事件を解決する為に演技を
通して相手の行動を見極めていく。
撮影現場ではあまり評価されていない俳優が、実生活で
は3つの役柄を演じて一つの事実を暴いていくものだ。
内容は違うけど、思い出す作品として1986年の映画
「F/X 引き裂かれたトリック」(F/X Murder by Illusion)
という作品が挙げてみる。これは特殊メイクのアーティスト
として働く人物が暗殺偽装現場を装い、成功したと同時
に今度は自ら狙われていくもので、そのスキルを使って
相手の攻勢を回避してすべてを暴いていくシナリオだ。。
本来良い演者になる為に、実社会での豊富な経験をする
事への因果関係はどうなのだろうか。
沢山の経験をすれば演技の中でもそれが反映されるのか。
精神論に限定すれば確実に経験・体験によって身に付く
ものや備わるものが多いとは思うし、特定の要素に於い
ては実生活での経験はかなり大きな財産と成り得るものが
ある。
しかし無情なことに経験によって感受性の幅は広がった
としても、決してそれを上手く表現できるようになるとは
限らない。
今回はそんな演者たちがドラマの主人公であり、そのもの
たちの共演だ。
因みにドラマの中では、キャラクターになりきるアプロ
ーチの仕方は実生活での経験を元にして役柄に深みが
出ているという結論が存在する。
●見たものを信用するな!
悲しい事だけど、人は見た目に騙されやすい。
制服を着ているだけでその人物の事が何一つ分からなくて
も先入観は生まれ、安心したり不安になったりする。
警備用の制服を使って会社に潜り込んだ男性が居る。
その警備員が持ってきたのは非常口に居たとされる
「赤い服・長い髪の毛の男性」が写った防犯映像である。
大抵のイメージは前者は安心感を与えるもので、
後者は不安感を煽るものである。
双方とも素性が分からなくても制服は人の信用を得られる
し、不審者は不安感を与える。
その不安感は「亡霊」となって、人の間で伝聞されていく。
●人間の本質
人には「裏の顔がある」。
表面的なことは分かっても他人の気持ちや行動の中には
本人以外に分からない事も多い。
一見強面でも性格が優しい人は数多く居るし、例え
社会的地位を築いている人物が信用できる人物なのか
と言われると、それもまた違う。
芸能プロダクションの社長は裏カジノを経営していた
とする噂が絶えず持ち上がり、きな臭い人物だった。
先日のエピソード(17話)の中でもアート業界で橋渡しを
するような人物が裏で手を引いて金を儲けていた(詐欺を
働いていた)ことが有るし、ドラマ全体を見ても詐欺師が
色んなところで介在し暗躍している。
それが現代の世の中なのだろう。
・何をもって人を信用していくべきなのか。
同じ志を持っていたとしてもやはり古くから繋がり有って
いる友達は裏切らないものなのか。
悲しい事にこのドラマの中での事務所の先輩・後輩の間
ではまるで信用できるものが無かった。
役者としてライバルになり得るものがあれば蹴落とそう
とすることも有る。なかなか難しいものだ。
●嘘と演技は何が違うの?
演技は人を救う・・のか!?
ドラマの中では演技は自分を救い大事な人を守ることに
使われた。
ドラマの中でも役者の演技に感銘を受けた人は単なる
ファンに留まらずそれを人生目標の為の糧にしている。
しかしそれは幻想にすぎず、悪質なことをして得た
地位でもあった。
ただこういっては何だが、映画の中のアクションは
魅せる要素を重要視しているので、現実のアクション
とは違う。冒頭で悪者同士が差し違える演技が有るが
相手のパーソナルスペースに入れば相手を倒せる確率
は高まるが、逆に倒される確率も高まる。そういう時には
大振りしてナイフなど振りかざすようなことはまずあり
得ないと思う。
●人との出会いで人生は変わる
今回は演劇部のリスト、裏カジノの顧客リストなど
複数のリストの存在によって他人との繋がりが
発覚する。
人生は何処で落とし穴があるか分からない。
今回の件は悲しみスパイラルだ。
金持ちで罪を犯したものは罪を問われることがなく
被害者たちは人生を左右する程の傷を負っている。
北原は腕がよくイケメンのバーテンダーだったので人気
が有ったが、保科との出会いによって人生が変わった。
松尾は元々プロのダンサーだったが3年前に怪我をして
しまう。(クズのような奴が階段でぶつかった北原を
蹴り飛ばした為に転落してしまった為)
■捜査
被害者:保科貴之 (42歳)、社長
事件発生:令和5年月日の夜 21時~23時
事件現場:HOSHINAエンターテイメント
第一発見者:秘書
凶器:小型のナイフ
備考:死後12時間前後で発見。
裏カジノのフロント企業
「亡霊に殺された」
亡霊 = 髪の長い男性、赤い上着
「防犯カメラ映像」「被害者の部屋に仕掛けられた盗聴器」
・事件現場に盗聴器が仕掛けられている。
敵対組織が仕掛けたのか。
それとも過去のカジノの件で恨みを持つものの仕業なのか。
盗聴器は電池式のもの。時間的にはそれほど多くの時間を
監視することは出来ないだろう。
・倒れたキャビネットの下にあるDVD
(最初からDVDが床に落ちていた)
一枚のDVD「桜色の恋人たち」(自主制作)。
・現場に容疑者は現れる
(DVDに出演していた小桜千明が居た)
●組対5課との連携
2年前に池袋の裏カジノ事件が有った為に角田率いる
組対5課との絡みも多かった。彼らの情報が役に立つが、
今回は当時のリストが如何にして人と人との繋がりが
あるかを知る上で重要な役割を果たす。
悪い意味ではないが人のリストは古今東西悪い事に
利用されてばかりだ。
高レートのバカラ賭博。
客には著名人多かった。
元締めまでたどり着けず。
・星野の口座から北原の名前(当時バーテンダー)。
接点を土師に調べてもらうが何も出ない。
しかし失踪した過去が見つかる。
●視聴者に真相を知らせない為の工夫
決して上手い技巧ではなかったが、幾つか真相をごまか
そうとする流れが存在する。
・裏カジノを使った過去の事件。
・亡霊の存在
・過去の演劇部の面々
事件現場にも表れる。星野との関係も匂わせる。
●普段とは違う行動
・学校(教師)を3日前に休んでいた池田淳。
・一年前(令和4年2月9日)に北原は失踪者届が出ている。
届け人は松尾朋香。演劇部仲間
■その他
・「追憶の死者」
藤枝が主演。連続殺人鬼の物語。
小道具のナイフを千明はもらっていた。
鬼気迫る演技・・しかし本物の殺人鬼だった。
・東京都立高嶺高等学校・演劇部
千明らの出身校。
当時の部長:池田淳 (現在同高校の演劇部で顧問)
(2009年/13年前)
千明のスマホのリストに入っている。
(当時の演劇部の写真9人。北原陽介、松尾朋香)
シェイクスピアの戯曲「ヴェニスの商人」の現代版
アレンジ。金貸しシャイロック役を当時千明が演じる。
・3度の演技
千明は真相を探る為に池田淳を相手に演技する。
千明は淳が何かを知っているのではないかと思っていた
為のもの。
失踪時の北原と同じ背格好の人物に演技してもらい
撮影して保科に仕掛ける。
藤枝は裏カジノの常連。北原は金をむしり取ろうとしていた。
藤枝を殺害する演技。
■出演者
杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁警視庁・特命係)
亀山薫 …… 寺脇康文 (1と5代目相棒、)
伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (警視庁捜査一課。伊丹の後輩)
角田六郎 …… 山西惇 (警視庁組織犯罪対策五課)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視庁警視長・刑事部長)
中園照生 …… 小野了 (警視庁警視正・参事官)*益子桑栄 …… 田中隆三 (警視庁鑑識課員)
小出茉梨 …… 森口瑤子 (家庭料理店”こてまり”の女将)
出雲麗音 …… 篠原ゆき子 (警視庁 交通機動隊から捜査一課)
**衣笠藤治 …… 杉本哲太 (警視庁副総監)
**甲斐峯秋 …… 石坂浩二 (警察庁次長・警視監 警察庁のキャリア官僚)
亀山美和子 …… 鈴木砂羽 (フリージャーナリスト、”こてまり”見習い)
土師太 …… 松嶋亮太 (サイバーセキュリティ対策本部特別捜査官)
小桜千明 …… 一ノ瀬ワタル (悪役専門俳優)
藤枝克也 …… 山口祥行 (俳優)
池田淳 …… 長谷川慎也 (高嶺高等学校演劇部顧問教師・小桜の友人)
松尾朋香 …… 田中道子 (小桜の友人)
保科貴之 …… 鈴木信二 (「ホシナ・エンターテイメント」社長)
北原陽介 …… 小山悠 (31歳、バーテンダー・小桜の友人)
矢口綾子 …… 中川可菜 (「ホシナ・エンターテイメント」社員)
伊東慎二 …… 湯浅浩史 (俳優)
竹内昌幸 …… 斎藤譲 (バーのオーナー)
河本唯 …… 辻本みず希 (「桜色の恋人」出演女優)
…… 戸張瞬 (撮影所の守衛)
栗田昌治、白井雅士、依田真一、倉田昭二、原布助