相棒21 第16話 女神

相棒21
(2022年10月期・テレ朝・水曜21時枠)

監督:橋本一(1)(2)(3)(4)(7)(10)、権野元(5)(6)(8)(9)(11)
内片輝(12)(13)(15)(16)、守下敏行(14)
脚本:輿水泰弘(1)(2)、川﨑龍太(3)(14)、光益義幸(4)
岩下悠子(5)(13)(15)、瀧本智行(6)(10)(11)、山本むつみ(7)
森下直(8)、根本ノンジ(9)、櫻井智也(12)、神森万里江(16)
エグゼクティブプロデューサー – 桑田潔
チーフプロデューサー – 佐藤凉一
プロデューサー – 高野渉、西平敦郎、土田真通
編集 – 只野信也
音楽 – 池頼広

https://www.tv-asahi.co.jp/aibou/

第16話 女神

【ストーリー】

・とあるカフェ

美和子は薫の顔に向けて水をかける。

「もういい、別れます」

・家庭料理店”こてまり”

右京や小出に対して薫は本日妻と喧嘩したことを話す。
折角の休日が台無し。小出は何か地雷を踏んだのでは
ないかと尋ねる。しかし薫には心当たりがあまりなく
美和子の不満に思っている事は「俺の返事の仕方が
気に入らない」とか突然いちゃもんを付けて来たのだ
という。しかも昨日の今日で“夫婦カウンセリング”
申し込んで来たのだという。
右京は随分と急な話だとして驚く。
言い出したら聞かないのだと薫は嘆く。

パンフレットによるとカウンセリング施設は
「クレシェンド」という名前で都心から近くにあり
経営者は女性・橘志織。
とてもよさそうなところだというと薫は、バカンスでは
ないとして憤怒する。

■竹村のアパート

捜査一課の伊丹はアパートの一室を入念に調べる。
芹沢も出雲もここはもう鑑識が調べつくした事を
語る。伊丹は「現場百回」だとして捜査の意義を唱える。

芹沢はまさかあの竹村彰二がこんな部屋で寝た切りだっ
たことに衝撃を受けていた。出雲はこういう事件は
特命係が好きそうだという。

「そろそろひょっこり来る頃だ・・」

みんなドアが開くのを固唾をのんで見守るが、伊丹は
本当に出て来るから辞めろと忠告する。

・特命係

角田がやってくるが、二人共休みである事を示す札が
裏返っていた。

■カウンセリング施設「クレシェンド」

三組の夫婦がここにやってきていた。

渡辺夫妻 (夫の渡辺拓也、妻の斉藤千春)) /婚約中
亀山夫妻 (夫の薫、妻の美和子)
杉下夫妻 (夫役の右京、妻役の小出茉梨)

薫は右京たちに対して冷やかしは辞めて欲しいとして
出て行ってしまう。
右京は小出のプロフィールだけ借りるつもりだった
が一緒に来てしまったのだという。小出は二人の
事が心配だというが、右京はケロっとした調子で
“心配してない”という。

美和子は最近「結婚詐欺」の取材をしてると言って
いたので狙いは彼でしょうと語る。急な夫婦喧嘩から
のカウンセリングなので何かあると思って当然だという。
美和子は改めて右京の鋭さに感服する中、彼女は
渡辺の事を調べたら三度詐欺を起こしているという。
あの女性も騙されているのだろう。
婚活で出会いその場でプロポーズ。翌日夫婦カウンセラ
ーに申し込んでいる。そこで潜入取材する事を決意
したという彼女。薫には普通に話して協力してもらった
らどうか?という小出に対して、美和子は薫は嘘を付けず
すぐに顔に出てしまうから・・と。

美和子は右京がいるなら安心だという。
しかし右京は結婚詐欺とは別の所に興味がある事を
告げる。

「40年前にある大富豪の屋敷に二人組の強盗が入り
多数の宝飾品を盗んだ。彼らはこの山荘に逃げ込み
数週間身を隠したこと。最後は警察に追われて別々に
逃走し、その後の行方は知れないとのこと。」

盗んだ財宝・・二人は逃走前にこの山荘の何処かに隠し
たと言われる。10億円相当。5日前に首を絞められて
殺された男の死体が発見された。生前は北川徹と
名乗っていたが指紋照合の結果、40年前の強盗犯の一人
竹村彰二だと判明される。

■感想

感想が遅れてすみません。
仕事が忙しくて疲れて風呂に入りながら寝ていたりする
のも珍しくないので視聴も感想もなかなか進まない (TOT)
感想を辞めるつもりはないですが、半年以上
書き込みがない場合は過労死したと思ってくだされ(笑)

今回のエピソードは過去のシナリオの中で描かれた
個々の事象を抜粋した感じで、それを繋ぎ合わせ
てうまく構成したような流れがある。
事件捜査ドラマを見れば、ある程度のパターンは
確立している訳で、犯罪側も捜査側も個々のエピソード
のパーツは必ずどこかで見かけている事が多い。
ただそれは何処かと言われると思い出せないけれど
確かに存在したような残尿感ならぬ既視感はある。

事件は二つ発生している。

・捜査一課が追っている40年前の大富豪を狙った宝石強盗
事件。

・特命係が追うことになる結婚詐欺事件。

40年前に盗まれた10億円相当の宝飾品は未だに見つから
ず、こうしている間にも当時強盗として入った犯罪者の
二人のウチの一人が今回亡くなって見つかる。
もちろんその事実が無ければ40年も前の事件が動く事も
ない。

●40年前の事件とは・・

昭和58年11月23日。
杉並区の邸宅に二人組の強盗が押し入り、10億円相当の
宝飾品が盗まれる。

犯人の一人は竹村彰二(当時27歳)。
竹村は30年前に大きな事故に遭って半身不随。
年齢も重なり近年は腕を動かすのも難しい状況だ。
現在は古いアパートで寝たきりの状態で介護
ヘルパーの手を借りて生きているのがやっとだった。

金は有るはずなのに何故こんな場所で亡くなったのか。
更に当時の宝飾品が見つかっていなければ、共犯者も
また見つかっていない。

●思い出す過去の事件

相棒を観ている人なら思い出すだろうが、今期の事件
の中でホームレスが亡くなる事件が有った。

ダイイングメッセージのようにして彼の亡くなった際の
状況は笑顔で有り、そして何処かを見つめて亡くなって
いたであろう事を右京が突き止める。視線の先に有った
ものが無骨な男を微笑ませた。
漫才コンビとして活動していた「マコサヤ」のエピソード
だ。

6話の「笑う死体」がそれだ。
https://dramatimez.sakura.ne.jp/jp/2022/11/24/post-1861/

竹村は住宅地のボロアパートの一室で亡くなっていたが
それでも「ここをついの住処」として決断した中には
それなりの理由があり、視線の先に有るものが関わって
いた。

如何にも昭和の刑事ドラマに出て来そうな結末だが、
泥棒は泥棒で有って、正直同情することはまるでない。
しかし悲しく感じてしまうのは自ら被害に遭った訳では
無いからだろうか?

そして竹村が出所を前にして下半身不随になるという
エピソードは14話の「まばたきの叫び」の中で事件の
鍵を握る人物がそれと似たような状況に有った。

●犯罪者を揺り動かすもの

やはり「金」の力は偉大だ。
先日のエピソードの中でも「金」の存在を知ったものが
人を殺して金を得ようとする流れが有った。
ホームヘルパーとして働いている男性。

14話の「まばたきの叫び」がそれに該当する。
https://dramatimez.sakura.ne.jp/jp/2023/02/02/post-1884/

しかし犯罪を犯すものは金だけではない。

今回、40年前の犯罪の共犯をしていた人物は右京が
興味をもって追いかけていた人物だった。
それは結婚詐欺ではない。
人は「突然」これまでのルーティーンと違う行動を
起こした際には何かあると勘ぐることになる。

当時の逃走先として一時期潜伏していたとされる山荘
「夫婦カウンセラー」をしていた一人の女性。

他人を救っているつもりだが、実際には自ら虚勢を
張り夫婦を助けることによって、自ら癒しと生きる糧と
して働いて居たのかも知れない。

しかしここでも彼らの存在により貸別荘は潰れて、
当時犯罪を犯したものが定住している。まるで同情
する気も起きない。

●偏見

この偏見というか先入観はつい先日のエピソードの
中で味わったばかりだ。

15話「薔薇と髭と菫たち」で使われている。

男性と女性がペンネームを利用して入れ替わっていた
ものだった。
40年前の事件に於いて、共犯の二人はそれぞれ別の名前を
使用している事からも名前だけでは判別できないものが
ある。

徐々に浮かび上がる事実として「鈴木司」「北川徹」
の名前が挙げられる。何故40年前にそれが明らかに
されなかったのか。

●昭和の恋愛物語

昔の反体制思想は若者を中心として激しいものがあった。
そして警察に追われるウチに分かれることになり、
数十年後になって再会するという物語はある。
どのようにしてそれまでの人生を歩んできたのかという
所にドラマ性と視聴者の想像をくすぐるものが有り、
そして再会した時には果たして何が残っているのか
という所に切なさを覚えるものだ。

このドラマでも形はまるで違うが似たような気分を
味わうことが出来るのだ。一方は捕まり一方は彼が
出所するのを待っている。しかし彼から会いに来ること
はなかった。それどころか途中までは視聴者も共犯者
の存在は当然男性だと思い込まされている。

結婚詐欺が男性ではなく女性であった事と同様に
あらゆる意味での犯罪者像を視聴者の頭の中でかきまざ
されると言った面白い流れだった。

●足長おじさん

盗んだ金の一部は児童施設に寄付されていた。
1994年3月30日・金曜日のことだ。

施設からは多くの子供たちが社会に巣立っていく。
ここの人たちにとっては盗まれた金とは知る由も無い。

こういう怪盗的義賊のような人物像としては如何にも
な感じだが、私は泥棒は泥棒で有って同情はしない。

更に寄付した施設から結婚詐欺師が生まれてしまった
ことに関してはかなり微妙な流れになってしまった。
生育の問題があるにしてもね。

●バランスの良いシナリオ

なによりも捜査官の全てを上手く使ったところは好感
が持てる。右京さんたちにとって休日にも捜査をして
いるし、いつもは話を聞いているだけだったコテマリ
さんも参戦。亀山夫婦に於いて薫ちゃんの性格をよく
知る美和子さんだからこそ出来る荒業(笑)

更に捜査一課の使い方もうまい。
伊丹刑事が拘りをもって捜査していたので二人も従う
しかないが、芹沢&出雲はちょうどよい塩梅で彼を
茶化していて面白さを提供している。

財宝は金庫に入って警視庁に送られて来た。
解除したのは中園だったが、周りでみんなが見守って
いる。しかし爆発物処理の経験もない中園がやらされ
ているところがまた面白いね。

●映画は時代を象徴する

ネット社会に於いて映画の話をすると年齢がばれるとか、
ゲームや見ていたテレビ番組も同様なのだが、とにかく
年齢が特定されやすい。

好きな映画としてある人は「ショーシャンクの空に」
あげたし、カップルの女性は「フォレストガンプ」
あげた。

「大学に入ったばかりの時に公開初日に見て感動しま
した」

■出演者

杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁警視庁・特命係)
亀山薫 …… 寺脇康文 (1と5代目相棒、)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (警視庁捜査一課。伊丹の後輩)
角田六郎 …… 山西惇 (警視庁組織犯罪対策五課)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視庁警視長・刑事部長)
中園照生 …… 小野了 (警視庁警視正・参事官)
**益子桑栄 …… 田中隆三 (警視庁鑑識課員)
小出茉梨 …… 森口瑤子 (家庭料理店”こてまり”の女将)
出雲麗音 …… 篠原ゆき子 (警視庁 交通機動隊から捜査一課)
**衣笠藤治 …… 杉本哲太 (警視庁副総監)
**甲斐峯秋 …… 石坂浩二 (警察庁次長・警視監 警察庁のキャリア官僚)
亀山美和子 …… 鈴木砂羽 (フリージャーナリスト、”こてまり”見習い)
**土師太 …… 松嶋亮太 (サイバーセキュリティ対策本部特別捜査官)

橘志織 …… 銀粉蝶 (夫婦カウンセラー・本名「大沢由紀乃」)
斉藤千春 …… 吉本菜穂子 (渡辺の婚約者・本名「鈴木司」・偽名「吉田千秋」)
竹村彰二 …… 小林尚臣 (40年前の強盗犯・偽名「北川徹」)
三宅隆史 …… 花王おさむ (児童養護施設「峯尾児童園」園長)
渡辺拓也 …… 高島豪志 (千春の婚約者)
小田島謙三 …… 春延朋也 (介護を受ける老人)
青年期の橘志織 …… 大串有希
青年期の竹村彰二 …… 和田慶史朗

古谷佳也、伊田臣弥、石井浩

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