相棒21 第10話 黒いコートの女

相棒21
(2022年10月期・テレ朝・水曜21時枠)

監督:橋本一(1)(2)(3)(4)(7)(10)、権野元(5)(6)(8)(9)
脚本:輿水泰弘(1)(2)、川﨑龍太(3)、光益義幸(4)、岩下悠子(5)
瀧本智行(6)(10)、山本むつみ(7)、森下直(8)、根本ノンジ(9)
エグゼクティブプロデューサー – 桑田潔
チーフプロデューサー – 佐藤凉一
プロデューサー – 高野渉、西平敦郎、土田真通
編集 – 只野信也
音楽 – 池頼広

https://www.tv-asahi.co.jp/aibou/

第10話 黒いコートの女

【ストーリー】

・空き倉庫

組織犯罪対策五課はタレコミが有り、宝石窃盗グループを一斉
に掴まえようとしていた。

A班には、角田、大森、小池、河田、辻
B班には、飯田、下前、青山、杉下、亀山

正面から強行突破するA班の角田たちは12名いるとされる
容疑者たちを捕まえていく。裏口から逃げようとした住吉博也
たちを亀山と右京で協力して捕まえる。

取り合えずひと段落し、角田は特命係の二人にお礼をいう。

「手が足りないから助かった」
「課長の株もグーンとあがりますね」

被害総額3億円の宝石窃盗グループを一網打尽にしたのだから
当然だという亀山。しかし角田はタレコミとは違って勢ぞろい
はしていなかった。何人かは取りこぼしたようだという。

これからもう一働きしてくれと頼む角田。
暇ですからもちろん助けるという特命係。

・とあるアパート(国枝祐介)

黒いコートに長い黒髪の女性・菅野茉奈美は、部屋の主である
国枝祐介に対して問い詰める。

「ダイヤは何処なのか?」

知らないという国枝は突然逃げる。
それを追いかけていく茉奈美と、そのやりとりの一部始終を
隣人の田淵は見ていた。
国枝と茉奈美は互いに階段で足を滑らせ、男の方は頭を打ち
血を流して動かなかった。
茉奈美は起き上がると国枝の部屋に戻り、室内を物色する。
その中で走り書きだと思われる住所が書かれてていた。

「ヨコハマ 青葉区 カシワラ・・」

・特命係がアパートへ

亀山たちは車で移動中に救急車の音が聞こえた後に人だかり
を見つける。

二人はそれを気にしつつも国枝のアパートにやってくる。
室内に人が居る様子だが対応に出て来たのは女性・茉奈美だっ
た。国枝との関係を聞くと叔母だとし、母親から様子を見て
来るように言われたという。国枝自身は外出しているとの事。

室内を見せてもらう二人。
何か物色したような跡があり、茉奈美に事情を尋ねようとした
ところ、既に彼女はアパートから立ち去った後だった。

隣人である202号室の田淵に話を聞く。
すると先ほど救急車で運ばれたのが国枝だとし、その先の
歩道橋から転がり落ちたこと。女性に追いかけられて国枝が
逃げた格好だったという。その女性の特徴を聞くと黒いコート
を着ていたとのこと。更に『ダイヤは何処か?』と叫んでいて
切羽詰まっていたようだという。

亀山は盗まれた被害者なのかと右京に相談すると、被害者
ならば逃げる必要はないという。あの女性も窃盗グループの
仲間なのか。国枝が隠した宝を奪おうとしたのか。
事実は分からないがあの様子では目的のものは見つかっては
いないのだろうと。
右京は亀山に所轄である池袋北署から聞き込みしてきて欲しい
事を告げ、右京は益子に電話し、一つ調べて欲しいことが有る
と頼む。益子は正規ルートで来てくれないと困るとするも、
右京からあるアパートの部屋を調べて欲しいと頼む。

■警視庁

・特命係

ホワイトボードに組織犯罪の情報が書き出されていた。
8人の人物。組織には男しかいないので黒いコートの女性が
仲間であることは有りえないという。国枝は群馬の高崎出身。
地元でも札付きの悪だったこと。15歳で少年院、20歳で刑務所。
3年くらい前に逮捕され半年前に出所したばかり。
刑務所仲間の住吉に窃盗事件に誘われたのだという。

・取調室

住吉から話を聞いていく。

■感想

昔映画で「白いドレスの女」という作品が有ったけど、
今回の相棒での女性の特徴黒いコートで黒い長い髪の毛の
女性であり、冒頭から視聴者にも分かりやすい形で提示
する。

この女性がどれだけ事件に関わりを見せているのか。

「お宝を追う正体不明の謎の女」とは美和子さんが雑談の中
で語ったものだけど、女性の正体よりも「お宝が何か」がこの
ドラマの肝となっていく。

(最近「”こてまり”」での話や捜一との絡みでの事件を含めた
雑談に外れがなく面白い形で利用されることが多いね。)

世の中事件は無限に発生しているが、相棒の世界でも同時・平行
的に発生していることは多い。

・冒頭で発生している「宝石店強盗事件」。
・札付きのワルだとされる国枝の「歩道橋転落死事件」。
・国枝が今回の事件以外に行っていたとされる「恐喝事件」
(のちに発覚するが恐喝だけでなく幼児誘拐も含まれている)

幾つかの流れは必然的なものでは有るけれど、ドラマとして
見るとカモフラージュ目的にも見える。

人には出会いというものが有るが、関わりたくなくてもその人に
目を付けられた時点で敗北者となり得るのは実に不条理な事だ。
そしてそれにより最悪の人生を歩まなければならない怖さが存在
する。
人の幸せを奪っていく破壊者のような人物に対峙する女性の姿。

ネタばれすれば茉奈美は国枝を含めて過去にも古川健作(当時17歳)
という男性を殺害しているが、国枝が犯罪を犯さなければ
彼女は誰を傷つけることもなかったのだろう。

シナリオとしては分かりやすく放送30分前後にして大方の全容は
判明している。その後は実の母子が別れなければならなく
なった流れの中に悲哀を感じて視聴者が共感出来るかどうか
ということだろう。

盗まれたものの身になって考える。
他人の迷惑になることはしないというのは日本人に植え付け
られた価値観のようなものだが、国枝はその価値観から外れた
人物だった。他人に迷惑をかけないで生きることは難しいこと
だが、それでも誠実に生きていれば誰かの手を借りて生きる
ことは決して恥ずかしいことではない。

●事件に共通する流れ

事件の流れの中に存在している共通性がドラマでは
先の展開を分かりづらくしているが、同時にそのヒントが少し
でも紐解ければ物事は一気に解決に向かう。

国枝の元を尋ねた黒いコートの女性と特命係。

そして今回のキーマンとなり得る風巧堂の主人・安西正則。

たどり着く手段はそれぞれだけど必ず目的地であるこの店に
たどり着く。

その方法論はアナログとデジタル。

特命係は被疑者の携帯電話を通して事件前後の犯人の行動の
足取りを探る事で国枝がこの店を訪れたことを解析していた。

一方で先に到着した茉奈美は国枝の家で見つけたメモを頼りに
この店を尋ねる。

「一枚の写真に写っていたもの」

軽井沢で店を構えていた時の写真(17年続いた老舗の店舗)。

過去を映し出すものとして事件解決へのヒントに繋がっている
ところなど定石ではあるがなかなか面白い。

●素性が分かるまでは魔性の女

指紋採取することで上述した6年前の群馬県高崎市で起きた
高校生刺殺事件(古川健作(当時17歳))の現場指紋と、今回
発生した国枝家で採取された指紋は一致する。

家財道具を残して持ち家から消えた人物。

女性の主人は進行性ガンで赤ちゃんが生まれたばかりの頃に
亡くなっている。

赤ちゃんの名前はキラキラネームだった。

「ダイヤちゃんです」

赤ちゃんの痕跡が夫を失い精神不安だった頃に誤って火傷させ
てしまった。

●罪は何処まで?

このドラマでは犯した罪に対してどの程度の処罰が行われるのか。

茉奈美は2件の事件を犯しているが、1件目は子供が誘拐された
上に犯人の男は刃物で脅して来た。もみ合っている内に倒れて
刺してしまったというパターンだ。

2件目は国枝を追いかけた際に彼女は彼を捕まえようとした所で
歩道橋から落下したこと。不可抗力にも思えるが、どちらの
事件でも通報していないことによって罪は加算していきそうだ。

そして風巧堂の主人。
かつて本業と並行して保護司としての仕事をしていて
国枝の担当となる。
誘拐された子であると知らなかったのかどうかは分からない。
国枝から子供を渡された時点で警察に赤ちゃんは届け出てい
る。しかし国枝から渡されたと言わずに公園に捨てられたと
嘘をついた。また国枝のアリバイについても偽証している。

■その他

●犯罪グループ

・塩田真治 (31歳)
・国枝祐介 (24歳)
・飯原龍一 (27歳)
・太田和馬 (28歳)
・山下絢斗 (33歳)
・下垣優二 (33歳)
・大杉将弥 (32歳)
・中山悠大 (26歳)

●特命係 vs 捜査一課

「特命係嘱託の亀山」
「捜査一課の嫌味(伊丹)」
「嫌味・・全然気にならない」

■出演者

杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁警視庁・特命係)
亀山薫 …… 寺脇康文 (1と5代目相棒、特命係嘱託)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (警視庁捜査一課。伊丹の後輩)
角田六郎 …… 山西惇 (警視庁組織犯罪対策五課)
**内村完爾 …… 片桐竜次 (警視庁警視長・刑事部長)
**中園照生 …… 小野了 (警視庁警視正・参事官)
益子桑栄 …… 田中隆三 (警視庁鑑識課員)
小出茉梨 …… 森口瑤子 (家庭料理店”こてまり”の女将)
出雲麗音 …… 篠原ゆき子 (警視庁 交通機動隊から捜査一課)
**衣笠藤治 …… 杉本哲太 (警視庁副総監)
**甲斐峯秋 …… 石坂浩二 (警察庁次長・警視監 警察庁のキャリア官僚)
亀山美和子 …… 鈴木砂羽 (フリージャーナリスト、”こてまり”見習い)
**土師太 …… 松嶋亮太 (サイバーセキュリティ対策本部特別捜査官)

菅野茉奈美 …… 橋本マナミ (ダイアを探す女)
安西正則 …… 五代高之 (レザーグッズ専門店「風巧堂」オーナー)
安西一紗 …… 山下裕子 (正則の妻)
安西美月 …… 加藤柚凪 (正則と一紗の娘)
(幼児期の美月(大愛・ダイア):青木結咲)
国枝祐介 …… 高野光希 (宝石窃盗グループの一員)
吉澤 …… 大森ヒロシ (群馬県警高崎南警察署 刑事)
住吉博也 …… 上原拓朗 (宝石窃盗グループの一員)
田淵 …… 中野順二 (国枝の隣室の住人)
古川健作 …… 天羽尚吾 (不良少年・6年前、殺害される)
雪乃 …… 河野彩吹 (美月の友達・公園にて)
菅野祐樹 …… 鹿野祥平 (茉奈美の夫・6年半前に癌で死亡)

島崎裕気、吉田春菜

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