相棒21 第9話 丑三つのキョウコ

相棒21
(2022年10月期・テレ朝・水曜21時枠)

監督:橋本一(1)(2)(3)(4)(7)、権野元(5)(6)(8)(9)
脚本:輿水泰弘(1)(2)、川﨑龍太(3)、光益義幸(4)、岩下悠子(5)
瀧本智行(6)、山本むつみ(7)、森下直(8)、根本ノンジ(9)
エグゼクティブプロデューサー – 桑田潔
チーフプロデューサー – 佐藤凉一
プロデューサー – 高野渉、西平敦郎、土田真通
編集 – 只野信也
音楽 – 池頼広

https://www.tv-asahi.co.jp/aibou/

第9話 丑三つのキョウコ

【ストーリー】

・家庭料理店”こてまり”

「無い・・どこに行ったのか」
「何を探しているのですか?」
「私の心臓よ!!だからあなたの心臓を頂戴」

美和子はこの話をどう思うか尋ねる。
小出はもしかして「うしみつのキョウコ」ではないかとたかる。
丑三つ時に白いコート・白いクツ・長い黒髪のキョウコに
会ったら最後、心臓をえぐり取られるというもの。
助かる方法はただ一つ。”ハート形のキーホルダー”を投げる事。
キョウコはそれを心臓だと思って追いかけた隙に逃げるしかな
いという。ピンと来ていない亀山に対して、右京はSNSで人気
の都市伝説だと語る。
美和子はしょうもないけどネット記事を頼まれたという。

昔からそういう話は有った。
人面犬、トイレの花子さん・・根拠が曖昧ながら特定出来ない
人物が体験した話としてまことしやかに語り継がれていくのが
都市伝説。右京もこの手の話は少し好きだった。
今の都市伝説は昔と違い広まり方が無茶苦茶早いのだという。
そんな美和子は「うしみつのキョウコ」に関しての動画まで
既にSNSにアップしているという。食い入るように見る右京の姿。

■フリースクール河上/東京都府中市三澄町

・事件発生現場

鑑識の益子たちが現場・遺体を調べている中、捜一の伊丹が
やってくる。
現場では男が胸を刺されて血を流していた。

死因「鋭利な刃物で胸を刺された事による失血死」
死亡推定時刻「午前1時から3時の間」

芹沢と出雲は聞き込みして分かったことを伊丹に報告する。

被害者「河上昌也(37歳)」。フリースクールの代表。
このフリースクールは主に不登校・引きこもりの為に勉強を
教えていたとし、以前はここに寮も完備されていたとの事。
現在寮には誰も住んではいなかった。

・特命係の二人が来る

伊丹たちは不機嫌そうに現場から二人を追い出そうとする。
しかし亀山は良い情報があるとして動画を見せる
出雲は「うしみつのキョウコ」の事を知っていた。
現在流行の都市伝説。芹沢は場所はこの近くだとして映像には
学園の看板が写っていた。
その動画はどうしたのかと問われ、亀山は美和子がSNSにアップ
されているのを教えてくれたという。
投稿者名を見ると“ウォーキング大好きマン”。撮影された時刻
は動画の時間を見ると今日の午前2時15分。死亡推定時刻内の
事だった。
都市伝説のキョウコが実際に出てきて人を殺したというのかと
伊丹は呆れる。

その頃右京は遺体の傍に落ちていた紙片のようなものを見つける。

■警視庁

・取調室

動画を撮ったとするウォーキング大好き人間こと、小池に話を
聞く。アカウント名は自分でつけたこと。
昨日もウォーキング中にたまたま撮れたのだという。
彼はまるで緊張せず、取調室の珍しさ故に動画を回していいか
と尋ねる。
この動画を撮っていた時に立ち去った人物は居なかったのか?
と問うが見ていないという。遺体があるのも知らなかったが、
それを撮っていればもっとバズっていたはずだと語る。

・特命係

動画がアップされていたSNSを閲覧すると、1万以上の”いいね”
が押されていた。角田課長がやってくると「うしみつのキョウコ」
かとし、ネットニュースになっているが大人は面白がっているが
子供は相当怖がっているらしいぞという。夕方の公園から子供
の姿が消えたとのこと。キョウコの弱点はハート形キーホルダー
でかなり売れているそうですよと右京。角田もきっちりと腰に
ぶら下げてあった。かみさんが万が一の時の為に持たせてくれた
のだと語る。

亀山は偽物であるとしてくだらないと語る。
右京はあなたと同じ意見の方もいるという。
書き込みをみると「sashimi」というアカウント名の人物は

「絶対に嘘だ・・やらせ・・捏造決定」

と激しく動画に反応する。
sashimiは初めて半年前に「うつみつのキョウコ」を見て撮影
し投稿した人物だった。その後も情報・動画をあげている。

しかしsashimiの反論に対しても亀山は、「なぜ偽物だと言い切
れるのか」として疑問を提起する。

■公園

右京は公園に来ていた大村啓太郎に近づく。
右京はsashimiに対してダイレクトメッセージ/DMを送って
会おうとしていた。一方大村もまた自分はsashimiではなく
彼にDMを送ったのだという。
大村の肩書は栄和国際大学・社会学部客員教授で社会心理学者
で有った。彼は都市伝説の研究をしているという。
右京は都市伝説に関して語る。

「古来からの伝説・伝承と違い実際に有った出来事として
語られる。その歴史は意外と古く一説では1960年代フランス
で女性誘拐事件の噂話が広まったのが始まり。日本に
伝わったのは1980年代の消えるヒッチハイカーの話でしょう」と。

■感想

不登校や引きこもりの生徒が通うフリースクールの代表の男が
刺殺されて発見される。
代表の男・河上の評判は悪く、生徒を強引にスクール内の寮に
監禁状態にし、契約金と称して大金を巻き上げた挙句に追い出す
という阿漕な商売を繰り返していた。
それとは別に最近SNSを中心として都市伝説「うしみつのキョウ
コ」と呼ばれるものが俄に世間を賑わせていた。

ドラマのテーマは単純に「責任の所在」だった。
より詳細に書けば「生み出したものの責任」ではないのか。

発信した情報への責任は誰にあるのか。それぞれの行動の先に
ある結果に対してその責任は其の人本人にしかないものなのか。

情報の発信から伝達まで容易過ぎることも有ってその感覚自体が
麻痺している事も有る。それは同時に「責任」という言葉自体も
「人間」価値自体が低くなってしまっているのだ。

個々の事象を見ると昭和に一度は流行したネタのオンパレードな
印象も有る。

「都市伝説」「引きこもり」「フリースクール」

今の世の中、携帯電話そのものが個人を特定するアイテムと
なっているが、その携帯電話を使って誰だか分からない様な
キャラクターを作り出してしまうところは皮肉でしかない。

動画撮影など容易になったことも有って、それを利用して無限
の可能性を引き出すことが出来るが、便利で容易に使える程に、
そういう道具は使う人次第で色んな意味合いのものへと変貌
する。

ネットによる情報の信ぴょう性はどの程度のものなのか。
一見すると動画は真実を映し出すレンズの役目を果たすが、
撮影する人によっては、金や欲望を満たすための道具となり
得る。

最近ではITの進化と共に映像を見た人への心理的な所を刺激し
感覚を狂わせ相手を欺く為のものとして利用されることも有り、
他人の心を操る為の道具として負のイメージが付きまとう。

●携帯電話の影響力

誰かが何かの意図をもってその情報を流している可能性がある。

そもそもこのキョウコを生み出したものは、その存在により
承認欲求や自己顕示欲の為に卑劣な努力をしている。

美和子が冒頭で語っていた。
「今の都市伝説は昔と違って広まり方が無茶苦茶早い。」
(信憑性を確かめる前に噂を広めてしまう人多数。)

「ネットが作り出したキョウコの存在によって夕方の公園から
子供たちが消えた」
(公園で遊ぶ子供たちの五月蠅さを解消)

「キョウコの弱点はハートのキーホルダー」
(完全にその商品を売り出すものたちの欲望)

●この世に生み出したもの責任

これは幾つかアレンジの仕方で描かれている。
全ての責任が彼らによってのしかかるというものではないが
その根源はそこにたどり着く。

「情報を生み出したこと」 = 松田綾人、大村教授
「引きこもりの生徒の両親」=
「引きこもりを作った教師」= 足立達夫
「詐欺スクールの責任者を生み出したもの」 = 足立達夫

意図したものではないのかも知れないが、元教師の足立は、
彼女を引きこもりにしたことへの償いを果たそうとしていた。
しかしその彼はフリースクールが如何に悪いところなのかの
調査を怠り、無駄に被害者を増やしていた。

●違和感がある

色々と違和感を感じるところもある。

今時だと勘案すれば有る有るなのかも知れないが、DMをもらった
人と容易に対面でのコンタクトを取るだろうか?

フリースクールでは廃人の様な人物を生産しているが
それが全く噂として流れない。例え契約があるにせよ普通
は流布するのが当たり前ではないか。(寮で監禁している)

フリースクールに通わせるにあたって月謝のこと、授業の
内容のことなどまるで説明を聞かずに放り込んでしまっている。
それはまるで厄介者を追い出しているかのようだ。

人の気持ちを伝えるのであれば、デジタルよりもアナログの
方が優れている。手紙の便せんが現場に残っていたが、
デジタルとは違って手書きの手紙が送られ続けていたこと
に本人ならば気持ちの転換があるのだろう。

自分に不都合があるとナイフを取り出して安易に人を切りつける。

二つの事件の流れはいずれも映像に映る看板が目印となる。
看板の役割を果たした格好だが、二つとも似たような使われ方
をしているのは違和感がある。

■その他

・都市伝説 = Urban Legend

現代の都市伝説は1960年代フランスの女性誘拐事件の噂が
広まったのが始まりだとされる。
日本に伝わったのは1980年代の「消えるヒッチハイカー」

・最初の撮影は5月27日の隅田川沿いの公園
・今回のフリースクールでの殺害は11月25日。

・引きこもりは男性のイメージがあるが女性も同じ

・右京のことがSNSでネタにされる。

・大村の論文「未確認情報の流布 噂の伝播速度の流動性」

・府中東警察署管轄の事件

・「悪いことをしたら謝ろう」。
小学生の時に習う人としての最低限の責任の取り方

・元々うしみつのキョウコが生まれたのは、加奈の母親の納骨
された日。

■出演者

杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁警視庁・特命係)
亀山薫 …… 寺脇康文 (1と5代目相棒、)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (警視庁捜査一課。伊丹の後輩)
角田六郎 …… 山西惇 (警視庁組織犯罪対策五課)
**内村完爾 …… 片桐竜次 (警視庁警視長・刑事部長)
**中園照生 …… 小野了 (警視庁警視正・参事官)
益子桑栄 …… 田中隆三 (警視庁鑑識課員)
小出茉梨 …… 森口瑤子 (家庭料理店”こてまり”の女将)
出雲麗音 …… 篠原ゆき子 (警視庁 交通機動隊から捜査一課)
**衣笠藤治 …… 杉本哲太 (警視庁副総監)
**甲斐峯秋 …… 石坂浩二 (警察庁次長・警視監 警察庁のキャリア官僚)
亀山美和子 …… 鈴木砂羽 (フリージャーナリスト、”こてまり”見習い)
**土師太 …… 松嶋亮太 (サイバーセキュリティ対策本部特別捜査官)

青山加奈 …… 江田友莉亜 (27歳、引きこもりの女性)
足立達夫 …… 廣川三憲 (元教師・加奈の高校時代の担任)
大村啓太郎 …… 佐藤銀平 (社会心理学者・栄和国際大学社会学部客員教授)
松田綾人 …… 寺山武志 (動画投稿者”sashimi”)
河上昌也 …… 栗原功平 (37歳、”フリースクール河上”代表)
小池 …… 友松栄 (動画投稿者”ウォーキング大好きマン”)
青山直子 …… 千咲としえ (加奈の母親・4月に過労死)
浦野 …… 吉村賢人 (引きこもりの青年)
丑三つのキョウコ – 小澤葵 ()
浦野昭文 …… 川村朋栄 (浦野の父親)
浦野 …… 名越佳代 (浦野の母親)

堀口敬巧、吉村賢人、下山優一、ニルベース齋藤

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