相棒21 第17話 定点写真

相棒21
(2022年10月期・テレ朝・水曜21時枠)

監督:橋本一(1)(2)(3)(4)(7)(10)
権野元(5)(6)(8)(9)(11)
内片輝(12)(13)(15)(16)、守下敏行(14)(17)
脚本:輿水泰弘(1)(2)、川﨑龍太(3)(14)、光益義幸(4)
岩下悠子(5)(13)(15)、瀧本智行(6)(10)(11)、山本むつみ(7)
森下直(8)、根本ノンジ(9)、櫻井智也(12)(17)
神森万里江(16)
エグゼクティブプロデューサー – 桑田潔
チーフプロデューサー – 佐藤凉一
プロデューサー – 高野渉、西平敦郎、土田真通
編集 – 只野信也
音楽 – 池頼広

https://www.tv-asahi.co.jp/aibou/

第17話 定点写真

【ストーリー】

●イベント企画会社「ASANO EVENT Planner」

鑑識や捜査一課が現場にいた。
被害者は浅野真一(50歳)、事務所でイベント会社を
経営。
益子によると死因は後頭部を強打したことによる脳挫傷。
死後3日は経っている。
ここは個人経営で社員はなく、誰も出入りしていなかっ
た。第一発見者は宅配業者。ドアが開いているのを不自然
に思い開けたら被害者が床に倒れていたという。
伊丹は「シャレた場所にある」と事務所の立地の良さを
呟く。

・特命係の二人が来る

右京は補足するようにしてイベント会社ではアート関連
を手掛けていたことを語る。

伊丹は嗅覚が鋭い特命係に嫌気が差す。

「何でいつも来るのか」
「そこに事件があるからだ」

右京はそんな争いとは他所に川向からカメラ撮影している
青年の姿を目撃する。

■警視庁

●特命係

角田がやってくる。

話題は昨日殺された浅野の事だった。被害者はイベント
企画のうまい話を持ち掛けて金だけ持ち逃げするのを
繰り返している。何度か被害届も出されているが
不起訴になっているのが現状だった。

「騙されて恨みを持つ人物の犯行なのか」

捜査一課はその線で事件を調べていた。

右京はSNS (Signme)に投稿されていることを指摘する。

投稿されているのは現場の事務所の外観を撮ったもの。
定点写真。
2023年2月19日(日)までは毎日、同じように撮影
されたものが掲載されているが、その日を境にして
更新は滞っていた。

・現場近く

SNSでの投稿者であり定点撮影をしているであろう青年・
奥山幹太に声をかける特命係の二人。ここに来れば会え
るだろうと思ったという。幹夫の話を聞く。
小学生の時にカメラを買ってもらってからなんとなく
通学路にあるものを撮っていたがいつの間にかあの建物
を撮るのが毎日の習慣になっていた。

「何故なのか建物なのか?」

「毎日の時間の繰り返しの中で昨日と同じように見える
ものが実は変化していることに気が付いたから。並べて
見ることで繰り返しのループにいる訳ではないと感じら
れるのか?」

と右京は問いかける。

「この所SNSの更新が止まったのか何故か?」

事件が起きたので不謹慎だと思ったという。
しかしニュースになったのは2日前の事でSNSでの
更新が止まったのは5日前のこと。その時事件が起こっ
たと指摘する。

■感想

久しぶりの「相棒」鑑賞になりました。

今回のエピソードのサブタイトルは「定点写真」。

そのワードからイメージするのは不動なものとして
印象強いがレンズ越しに映るものは日々刻々として
移り変わっている。
その変化はゆっくりとし過ぎている為に頭では
認知されず、連続性から離れてようやく気が付くもの
だ。
ちょっとした「アハ体験」みたいなもの。
閃き体験に幸せ物質が必ずしも発生するかは分からない
けど・・。

日常のルーティーンを繰り返す中で相手の行動の変化
(特に気にしている相手)というのが一番気がつきやすく、
自らの変化は気が付きにくいものなのかも知れない。

今回は利害関係で結ばれたビジネスライクな関係と
感情的なものが関わるヒューマンライクな関係の流れが
存在し、ビジネスで結ばれた関係性は全て破綻していく。

人と人とが関わる中で、そのキャラクター間に結ばれた
ものはどちらの関係に属しているのか。

ドラマとして皮肉に作ってあるのは間違いなく、他人の
心を揺さぶる決定的瞬間の写真を幹太が撮影していた
ことに尽きるのだろう。殺害した時、その現場を写した
写真。あゆみにはそれを見せたのに奪って消す事は
無かった。そして金を強請っていた柴山とか被害者で
あり詐欺師の浅野慎一が一緒に映っている写真まで撮影
していた。

不自然に思えるのは何故この事務所を写していたのか
という事と、浅野慎一という名前は私がイメージするに
浅井慎平さんを思い起こさせることかな。

●始まりは・・・

カメラマンにとって始まりは単純にカメラに収めたい
被写体が有った筈だ。
そこには純粋なものしかない。
その点は過去の大塚あゆみにも有った筈だし、
現在撮りたいと思うものを撮り続けている奥山幹太は
その渦中にある。

最近のカメラ性能から素人でもプロが撮影したような
写真が撮れる事からも最近のハードルの高さは大変そう
だ。
しかもプロとなり、求めるものが高くなる程に、
構図・構成・企画など自分に求めるものが多くて高く
なる。

シャッターを押すタイミング。
時間的概念を勘案するとそれは一瞬の出来事で
有り、その瞬間とは二度と訪れない唯一無二のものだ。

求めるものが撮れるかどうかは腕次第だが、
そもそも大塚あゆみは自分が何を撮りたいのかを見失っ
ている。

●純粋さは失われてしまうのか。

本格的なアーティストとなると、商業主義も深く関わっ
てくる。創作活動には金が必要だ。
それには人に見てもらう事、仕事を得る為の販路を
広げる事、そして何よりも勢いに乗るためにコンテスト
のようなもので受賞して注目を浴びる必要がある。

●主人公を悩ますもの

彼女はどんなテーマで何を撮影していくかの問題で
悩んでいた。

ある程度同じ舞台に立っていれば、他人の作品から
良い意味でインスパイヤされて、自ら吸収していくこと
になる。
同じアーティストにばかり傾倒していけば、作品は
更に似て来る。似ていくうちに自ら何をしたかったのか
が分からなくなる。

かつてドラマで中谷美紀さんと水川あさみさんが共演
した「ゴーストライター」(2015年1月期)を思い出す。

またこのシーズンの15話「薔薇と髭と菫たち」の入れ替
わりストーリーも系統は違うが二人で得意な分野を
分かち合っていた流れを思い起こさせる。

●他人の為の自己犠牲

今回はこのケースがこれが多かった。

自分の貴重な時間や立場を犠牲にするのは「金」とか
「名声」だけでなくそれなりの愛情やリスペクト、
そして義理堅さがあるのだろう。

大塚あゆみは師匠を助けようとした。
奥山幹太は大塚あゆみを助けようとした。
深澤杏子は奥山幹太を助けようとした。

その結果、果たしてどうなったのか?

●作品が他人に及ぼす影響力

人のアートを見た時に少なからず影響を与える作品という
のはあるはずだ。本を読んでいて何かを吸収するかの
ように拘りを持って作り上げている作品には何かが宿っ
ている。

見守っているものたちの姿はかなり印象的だ。
作品そのものだけでなくその人自身にも視線が注がれる。

・澤田洸平を見守る大塚あゆみ
・奥山幹太を見守る深澤杏子
・奥山幹太を見守る大塚あゆみ
・大塚あゆみを見守る奥山幹太

影響力は第三者へも大きく広がる。

SNSでの公開は多くの目を引き留める役割を果たすが、
その作品自体を大きく評価する人物が居るだけでなく
アート以外のものに引き寄せられて注目する人が出て
来る。

メディアの利用、SNSでの発信力、著名人のバックアップ。
それだけで容易に集客力を増やすことは出来る。
しかしアイデアの枯渇だけはどうしようもない。

■捜査メモ

事件発生:令和5年2月20日
被害者:浅野慎一 (50歳)
事件現場:ASANO Event Planner
第一発見者:宅配業者
死因:後頭部強打による脳挫傷

備考:被害者のことを詐欺被害で訴えたものが何人も
居る。投資・出資詐欺の疑い。

不自然なこと:

・狙われる会社の経営状況が筒抜けだった。

・被害者が発見された事務所を毎日撮影しているもの
のアクセス数は2022年11月24日から25日にかけて
劇的に変化している。

・SNS更新が止まったのは2月19日

・第50回美写紋賞受賞パーティーで吉川とあゆみが
言い争っていた。「話が違う」

・アリバイは嘘

・撮影時にはワークブーツ(現場での足跡と一致)

■その他

・大塚あゆみの作品 (監修:澤田洸平)

初作「-風が舞う稜線を歩み-」
二作目「燈 -Tomoshi-」
現在 「慈悲の雨 彼女の髪を塗らせ」

・「美写紋賞」

第50回美写紋賞の受賞作品時別展覧会 (開催3/6~5/8)

受賞者は候補者リストにも記載されていた野坂佳耶子
の「Bostalgia 2023」。

これを審査する事務局というものがあるが、こういう
もの多くは個人が作り出したもの。
そこに平等なものなどあるはずもない。

「確かに権威はあるが権威主義の象徴みたいなところが
ある。」(by 美和子)

・カメラマンとして・・

「そこにある最高の瞬間を切り取ろうとしていた。
しかし今は最高の瞬間を作り出そうとしている。」

■出演者

杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁警視庁・特命係)
亀山薫 …… 寺脇康文 (1と5代目相棒、)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (警視庁捜査一課。伊丹の後輩)
角田六郎 …… 山西惇 (警視庁組織犯罪対策五課)
**内村完爾 …… 片桐竜次 (警視庁警視長・刑事部長)
**中園照生 …… 小野了 (警視庁警視正・参事官)
益子桑栄 …… 田中隆三 (警視庁鑑識課員)
小出茉梨 …… 森口瑤子 (家庭料理店”こてまり”の女将)
出雲麗音 …… 篠原ゆき子 (警視庁 交通機動隊から捜査一課)
**衣笠藤治 …… 杉本哲太 (警視庁副総監)
**甲斐峯秋 …… 石坂浩二 (警察庁次長・警視監 警察庁のキャリア官僚)
亀山美和子 …… 鈴木砂羽 (フリージャーナリスト、”こてまり”見習い)
**土師太 …… 松嶋亮太 (サイバーセキュリティ対策本部特別捜査官)

奥山幹太 …… 寺田心 (高校一年生、SNS写真投稿)
大塚あゆみ …… 大野いと (カメラマン、注目されている)
深澤杏子 …… 幸澤沙良 (幹太の幼馴染み)
澤田洸平 …… 奥田達士 (カメラマン・あゆみの師匠)
柴山忠 …… 和知龍範 (「アートクリエイターズオフィス」社員・あゆみのマネージャー)
浅野慎一 …… 平井真軌 (イベントプランナー)
山下辰二 …… 森永徹 (中古カメラ販売チェーン社長)
吉川 …… 谷藤太 (「美写紋賞」事務局長)

林摩耶、八木優羽亜、金田将浩、中澤実子、山下森羅
福田桃芭

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