太陽にほえろ! 第176話 狼の街

太陽にほえろ!
1972年7月21日から1986年11月14日・全718話
日本テレビ

プロデューサー(日本テレビ):津田昭、岡田晋吉、清水欣也、山
口剛、川口晴年、中村良男、酒井浩至、服部比佐夫
プロデューサー:梅浦洋一、梶山仗佑、新野悟
企画・原作:魔久平
原案:小川英
音楽:大野克夫

http://www.teletama.jp/drama/index.html

第176話 狼の街

脚本/小川英、田波靖男、四十物光男 監督/山本迪夫

【STORY】

【戸川ビル】

ビルの周辺で20代の三人の男が屯していた。
車に乗っている男も居れば、ビルの出入り口に何度
も目を向ける男・修も居る。
2人のボディガードと共に暴力団“戸川組のバッヂ”
1人の男・有藤一郎が出て来る。
3人はそれを見ると後を付けていき人込みの多い
交差点で右わき腹にナイフを刺して何気なく去って
いく。

【七曲署・一係】

事件を知らせる電話が鳴る。
矢追町の交差点で人が刺されたものの、被害者自身が
消えたとのこと。明子は話を聞かない様にして部屋の
外に出る。他にも部屋にはゴリと田口が居た。
ボスからは救急車が到着する前に刺された被害者が
タクシーに乗っていった事を聞かされ、現場に行く
様命じられる。

●矢追町の交差点

山村たちと現場で合流する。
被害者はどうやらヤクザであること。特徴はチェック
の上着を着た男。戸川組にそんな男がいた。
それが有藤一郎であることはすぐにゴリが気が付く。
戸川組の中でも中堅幹部。
戸川組は近年竜神会と構想が激化していることを口に
するデンカ。竜神会が先手を打ったもののか・・

・山村は被害者が有藤なのか探る
・デンカとチョウさんで抗争の動きを探る
・ゴンのボンは有藤を探す

戸川興業と竜神会

チョウさんは刺されたのは有藤で間違いがないと
無線で報告。子分や組員が現在集まっている。

デンカは竜神会も同じで子分に召集がかかった事
を語る。

まるで決戦体制だ。

その報告を受けたボスは本庁に応援要請を求めるの
で、みんな待機してくれと語る。

●屋台

酒を飲んでいる闇医者の男にゴリたちが接触して
話を聞き出す。何処で手当てをしたのか?

●橘倉庫

倉庫に有藤が居ることを破医者から聞かされ、
一係の面々が集まる。現在有藤は血が止まっていて
命に別状がない。

ゴリと田口、山村とテキサスは3分後に一斉に
踏み込もうと語る。
そして前後から同時に室内に入ると銃器を押収する。

有藤はソファーで休んでいた。
山村たちは有藤に接触すると誰に刺されたのか尋ねる。
あんたが逃げたのは誰が刺したのか分かったから
こそ隠れたのだろうとし、やったのは誰なのかと
ゴリも迫る。

・会話中に、有藤の元に電話が鳴る。

彼は自らを戸川興業の社長秘書・尾山であることを
告げると彼はそこに七曲署の刑事がいることを知って
いた。誤解しない様に話しておくと、有藤が隠れた
のは竜神会への報復ではなく、逆に騒ぎを大きく
したくないので身を隠したものだという。竜神会の
強欲には常に迷惑しているし市民に迷惑をかけるつも
りはない。それを聞くと戸川側は我々に協力するのか
を問う山村。「そうです」との返事だった。

有藤に電話を替わって欲しいという小山は戸川社長
と話をする。すると有藤は意外な表情を見せる。
社長から全てを話すよう言われたようだった。

「自分を刺したのは20歳そこそこのチンピラ3人。
名前は知らない。俺を刺したのはその中でも黒い
革ジャンを着た背の高い男。1丁目のプレイコーナーで
若い衆が三人組を目にしたことがある」

あの辺は竜神会の縄張り・・

有藤はあんな素人のガキが来るとは思っていなかっ
たと呟く。世の中は変わったものだ。
戸川組の組長の意向通り俺たちが仇を打ってやる
というゴリ。

【感想】

スーツ姿の厳つい男が人混みの交差点で刺されて
重傷を負う。しかし被害者のはずの男は救急車が
来る頃にはタクシーに乗って自ら姿を消し、そして
何処の病院にも行った記録は無かった。
目撃者情報から被害者と思われる人物の特定
に至り、その人物は新宿の矢追町を縄張りに持つ
ヤクザの幹部の男・有藤だと判明する。
何故彼は被害者であるにも関わらずその場から逃走
したのか。そしてヤクザを刺した人物は果たして
誰で、目的は何なのか。

前にも似たようなシナリオを見たことがある。
70年代の若者がヤクザを見て憧れとか格好良いと
いう思考を持つこと自体がまるで共感出来ない。
そういう任侠ものの作品が多い時代性が有った
のだろうか。

若者が社会から不遇な扱いを受けているという
事実もなく普通の生活をしていて、少しゲーム
センターなどで遊び人っぽさはあるが、それが
何をもって仕事や学業を辞めてまでヤクザの道を
目指そうことに繋がるのか。

今でも半グレとヤクザの関係などは存在するし、
どちらが暴力の世界を支配しているのかよく
分からないが、この若者たちはどちらにも当てはま
らない。

冒頭での張り込み時には有藤を狙おうとしている
ことは想像がつく。ただしそれが出来るとしたら
この男に家族や仲間が何らかの不遇な仕打ちをされた
などの恨み・仕返し・復讐的なものがあると考えるの
が妥当だろう。
最近流行りの自警団だったとしても、人を自衛で
殴ることは出来たとしても、ナイフで後ろから刺す
行為にはまた違うレベルにある。

シナリオは裏の裏の裏を付いていき真相を暴くまでに
興味深い流れがあるのは確かで、それはまるで
キャベツの葉を一枚ずつ剥いでいくような感覚だ。

次々と視聴者を陥れる為のギミック的感覚を進行
するシナリオの完成度の高いとは思う。

●刑事はなんでもお見通しだ!

自分たちの管内での事情についてはよく知っている。

例えば被害者の男性を服装や体の特徴などで割り出し
たし、この時代は闇医者の存在は欠かせないが、
有藤の手当をした人物が屋台に居るのをすぐに
掴んでいた。

この界隈では「戸川組」と「竜神会」が対立して
いるのを知っているし、若者のアリバイを証明した
バーの店長は竜神会との関係があることを掴む。

ゴリが尾行していることを知り、彼らは明らかに
不自然にもライフル銃のような箱を持って歩き
始める。そして彼らが行こうとする先に居るのは
戸川組の幹部が集まるビルの向かいのビルの屋上。
必死に止めるが実際には中に入っていたのはカメラ
だった。

訴訟を起こすという若者たちにゴリさんも動じない。
訴訟を起こすとなればそれなりの手順も手間もかかる
からだ。

●ゴリさんは若者を助けようとする

ゴリさんは彼らと同じ年齢の頃には似たような目を
していたとして若者が最後の一線を越えるのを防ぐ
防波堤の役割を果たす。

ゴリさんが悪の道に進まなかったのは、多感な
時期に悪い人物とのかかわりが無かったことだ
という。

相手が一枚上の行動を取ったとしても、必ずゴリさん
はその行動の意図を読んで繰り返し彼らの前に現れ
る。

終盤にはゴリさんが一発の銃弾を持って署を出る。
ゴりさんの信条・信念としてどんな時でも銃の中に
弾は込めないというような流れがかつてより有り、
その拘りのせいで人を助けることが出来なかった
ことも有った。

ただゴリさんの今回の流れを見ると一発の銃弾だけ
を持っていくというのはギミックであり、実際には
その弾にもまた火薬は込められていないばかりが
気が付くとチェンバーの中に銃弾すら込められて
いない。

その辺の拘りはこれまで見たエピソードの中では
以下のところに書かれている。

・第14話 「そして拳銃に弾をこめた」
https://itawind.web.fc2.com/1970/taiyou/taiyounihoero014.htm

・第52話 「13日金曜日マカロニ死す」
https://itawind.web.fc2.com/1970/taiyou/taiyounihoero052.htm

・第122話 「信念に賭けろ!」
https://itawind.web.fc2.com/1970/taiyou/taiyounihoero122.htm

などで描かれている。

●「戸川組(戸川興業) vs 竜神会」

事件が有った周辺は竜神会の息のかかった土地だった。
その敷地内で戸川組の幹部を殺したとなれば問題に
なり抗争が激化することは必至だろう。

犯人の修ら三人にはアリバイが有り、
「チェスターバリー(Chester Bully)」というパブ&ディ
スコの店のレシートを所持している。
店のマネージャーの三島はレシートから犯行時刻で
ある午後3時にはこの店にいたことを告げる。

しかし三島が殺害されたことで話は変わってくる。
捜査一課・鑑識からはブレーキに細工の痕跡がある
とのこと。

ますます危険性を持つ流れの中で、暴力団同士の
勢力図の拡大の構図の中で利用されているのを
知る。

戸川組の組長が若者を動かし、戸川組幹部を襲わせて
いた。その中には尾山の社長秘書が単独で戸川を
裏切っているのかと思わせた。

【CAST】

藤堂俊介 …… 石原裕次郎 (七曲署・一係のボス、係長)
山村精一 …… 露口茂 (山さん)
石塚誠 …… 竜雷太 (ゴリさん)
島公之 …… 小野寺昭 (殿下)
野崎太郎 …… 下川辰平 (長さん)
三上順 …… 勝野洋 (矢追町派出所から異動、テキサス)
田口良 …… 宮内淳 (ボン)
矢島明子 …… 木村理恵 (アッコ)

修 …… 中島久之 (刺した若者)
修の仲間 …… 中村俊男 (ボンに捕まる)
修の仲間 …… 藤井つとむ (テキサスに投げられる・パーマ)
有藤一郎 …… 田中浩 (戸川組の中堅幹部
ヤミ医師 …… 邦創典 (有藤の手当をする、メガネ・ヒゲ)
尾山 …… 大村文武 (戸川興行社長秘書)
三島 …… 遠藤剛 (ディスコ「チェスターバリー」支配人)
戸川組組員 …… 戸塚孝
尾山の側近 …… 大宮幸悦
刑事/鑑識 …… 村越伊知郎
交番の警察官 …… みずのこうさく
…… 池水通洋

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