相棒17 第12話 怖い家

相棒17
(2018年10月期・テレ朝・水曜21時枠)

プロデューサー:伊東仁、西平敦郎、土田真道
音楽:池頼広

http://www.tv-asahi.co.jp/aibou/

第12話 怖い家

脚本/山本むつみ 監督/杉山泰一

【ストーリー】

引っ越しのサカイでマンションから一戸建てに引っ越しする
宮川家。夫の宮川柊一は荷物を運ぶ中、それを落としそうに
なると宮川厚子からは割れ物が入っているから気をつけてと
言われる。そこに柊一の事を兄さんと呼ぶ女性がやってくる。
妹の円山小枝で、娘の二葉を助っ人に連れてきたという。
厚子はずっとマンション暮らしだったから庭付き一戸建て
は夢見たいだという。父さんと母さんが大事にしてた家を
売るのも嫌だったので住んでもらえて良かったという小枝。
二葉は壁に掛けられた一枚の絵を気にする。庭の木の絵だよね
と。そんな中厚子は木の下で何かが動いていると語る。伯母
さんはホラーの見過ぎだからと二葉に聞かせる。

・花の里
中園が珍しく右京や冠城の行きつけの店にやってきて相談
する。二人に対して引っ越し先で次々と心霊現象が起きて
いる家が有り半月ほど続いているという。夫に訴えても気の
せいだと言われるだけで取り合ってもらえず、私の妻に泣き
ついて来たのだという。妻に泣きついてきたのはタロット
カードサークル・・高校の同級生である宮川厚子だと。月本
は本当に起きていることなのか、それとも心霊現象なのか
と語る。妻から役に立つ部下は居ないのかと言われ市民が
困っている以上職務を逸脱しようとも警察は黙っていること
は出来ないという。地元の警察も心霊では動かないので特命
係がやるしかないという。引っ越し先が幽霊屋敷なんて
ホラー映画の「ポルターガイスト」「死霊館」「シャイニン
グ」こたいだと。中園は便宜は図るので早々に頼むというと
翌日より捜査するという右京。冠城は我々は「ゴーストバス
ター」じゃないという。しかし右京は今度こそ霊に会える
かも知れないと期待する。

・宮川家へ
怪異は大概普通の家で起きるもの。夫の祖父の代からここに
住んでいて60年前に建てられたものだという。義父は3年前
に義母は半年前に亡くなり空き屋にしておくのも物騒なので
二ヶ月前にマンションを引き払って来たという。暫くは何も
亡かったが義母のタンスの引き出しが開いていたり、
誰かが階段をあがると音がするという。また三味線の音が
聞こえるとのこと。冠城は木造住宅がきしむのは【家鳴り】
と言って自然な事だという。そしてタンスは閉め忘れでは
ないか?と冠城。また気味の悪い歯の欠けた櫛が有り、そこ
には白髪が付着して居たとのこと。まるでJホラーですねと
冠城だが右京は失礼だと語る。主人公が恐怖を訴えても周囲
は取り合ってもらえない「ホラー映画あるある」だという
右京。頼みの綱の保安官や警察官も目の前で起きている怪奇
現象に気づかず彼らの無能ぶりと来たら目に余るものが有り、
その間に更なる悲劇が起きてしまう。
映画と違って我々は対処しますと語る右京。

そんな中テーブルに置かれた写真が目に留まる。
主人の妹/小枝と姪っ子/二葉と写っているという。またもう
一つは息子・俊介と写っているもので建築関係の仕事であちこ
ち行っているのだという。壁の絵について尋ねるとずっと前
からかかっていたとし、庭を見るとあの木だろうとのこと。

■感想

捜査一課が関わる案件なのかと思わせて、結局遺体なき事件
であり所轄が担当する訳にもいかず上手いこと特命係にその
案件を回したものだった。
何と言っても珍しいのは中園が花の里に来て右京たちに頼んだ
案件であること。前にも中園の反乱的エピソードは有ったけど
今回は一課の刑事部とは被ることのないエピだったかな。
幽霊の人口密度が世界一高いイギリスで暮らしていた右京
としては謎を説かずには居られないとする下りは面白いけどね。

相棒にしては時々ある珍しい形のエピソードで、個人的には
好きなシナリオだったけど、とにかく分かり易いところが
有り、木の下に誰かが埋まっているのは火を見るよりも明らか
で、尚かつその件で警察が動いた限り解明されるのは
時間の問題だった。
こういう脚本って岩下悠子さんとか太田愛さん、山本むつみ
さんなど女性の脚本家が好きですよね。

先日のエピソードでも遺体を家の下に埋めたみたいなエピを
見た気がするけど、とにかく先代が起こしたことを現代まで
引きずってしまったことへの罰が全て。親子なのにコミュニ
ケーションが不足している現代らしいエピソードとも言える
のかな。

ドラマでは正直謎らしい謎がない。
遺体は実は最後まで登場しなかった息子の俊介ではないのか
とか、親の土地を渡したく無い妹が意地悪して追い出そうと
した可能性は考えたけど、その可能性も消されていく。
位牌に書かれた戒名は誰のものなのか。
そして実家に近寄らせなかった意図は何か。
真実を色々とねじ曲げて伝えられてしまったもので、正直さ
に欠けるあまりに残念なことの連続だった。

ホラー映画を意識していた割には大した怖さはない。
数々の怪奇トリックを化学的に説明する為に利用された
感も強く、今回のテーマとも言うべき「血(血統?)」が全て
だった。

トリックに関しては全てイタズラグッズのようなもので済ま
せてしまったが、血の手形だと思っていたシーツは
フェノールフタレインを利用したもの。アルカリ検出の指示薬
で溶液は無色透明だがアルカリ性の物資・・炭酸ナトリウムを
加えると赤く変わるという。空気中の二酸化炭素と中和される
と色は消える。

消えないロウソクもまたイタズラグッズで芯に少量の黄リン
を染みこませると同様のことになる。

人毛とファイバー製の人工毛。

殺されたと思っていたが実際には骨の折れ方から考えても
自殺だと判明。今まで隠していたこと、目にしたことは全て
誤解から始まったものだった。真実を知る両親は亡くなる前に
話して上げればヨカッタのにな。

結局殺意は無いがお節介な隣人のせいで色々と混乱する状況
となった。築60年の物件といえば相当なもののハズなので二階
などにもう少し亡くなった峰夫が鬱か何かで苦しんでいた
ようなあれば良かったんだけどね。

■出演者

杉下右京 …… 水谷豊 (警視庁・特命係)
冠城亘 …… 反町隆史 (4代目相棒、総務部広報課->特命係)
月本幸子 …… 鈴木杏樹 (2代目”花の里”)

伊丹憲一 …… 川原和久 (警視庁刑事部捜査第一課員)
芹沢慶二 …… 山中崇史 (捜査一課。伊丹の後輩)
角田六郎 …… 山西惇 (組織犯罪対策五課)
小松真琴 …… 久保田龍吉 (組織犯罪対策部)
内村完爾 …… 片桐竜次 (警視長・刑事部長)
中園照生 …… 小野了 (警視正・参事官)
青木年男 …… 浅利陽介 (特命係・サイバーセキュリティー)
益子桑栄 …… 田中隆三 (鑑識)

宮川厚子 …… 南野陽子 (妻)
宮川柊一 …… 三上市朗 (夫)
宮川俊介 …… 辻大樹 (息子、建築関係の仕事)
工藤幾代 …… 竹内都子 (52歳、向かいの主婦、ジョギング中死)
円山小枝 …… 春木みさよ (柊一の妹)
円山二葉 …… 白本彩奈 (小枝の娘)
宮川清子 …… 塩田朋子 (柊一の母、半年前に死亡)
横塚 …… 浅見小四郎 (マンションの管理人)
宮川峰夫 …… (当時39歳、失踪、37年前殺害された)
宮川保憲 …… 石井浩 (柊一の父、2年前に死亡)
ホラー映画の女優 …… 深月ユリア

岡本正仁、唯井由美、内田吏音、井上風宇子、金子乃彩

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